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2022年度 講演会 要旨
  「いま求められる「地方再生」〜地域に若者を呼び戻そう!〜」

世代・トレンド評論家/立教大学大学院 客員教授 牛窪 恵 氏

私、マーケティングライターで、インフィニティというマーケティング会社をやっております牛窪と申します。よろしくお願いいたします。

今日お話しさせていただく地方再生についてですが、皆様の地元、和歌山をどう愛していくか、そして、実は今の若者は、地元愛がすごく強いのですが、ぜひその辺りの話を希望をもってお聞きいただければと思います。

私どもの会社ではマーケティング調査を行っていますが、私たちにとって強敵が出てきました。ビッグデータと言われるものです。都度インタビューを行わなくても、デジタル化で様々なニーズが分かる世の中になってきました。ただ、実はこのデジタル化は、皆様のこの和歌山にとって大きなプラスになるものを幾つも得るきっかけになったのではないかなと思っています。




今回のコロナをきっかけに、デジタル化が4つの壁を取り払いました。1つ目は【会社と家庭の壁】、2つ目が【都会と地方の壁】、3つ目が【本業と副業の壁】、そして4つ目が【リアルとバーチャルの壁】です。

1つ目の【会社と家庭の壁】について、今、Z世代と言われる若者は、「なぜ会社と家庭をはっきり分けるのですか。スマートフォン1つあれば会社でも家でも仕事ができるのに」と言います。弊社は若者研究を長年続けていますが、世の中は若い人たちが予見した方向にどんどん向かっています。

2つ目の【都会と地方の壁】は、都会は便利でいいけれども、ごみごみしたところに住みたくない、都会の真ん中で広い家は買えない、海の近くとか森の近くとか、伸び伸びしたところで子育てしたい。特にテレワークが入って毎日会社に通わなくていいのなら郊外に引っ越す、地方に移住するという方が増えています。

3つ目の【本業と副業の壁】については、国が副業を推奨しています。その理由は、残業を禁止すると生活費が不足する人が増えるせいもありますが、副業によって、ふだん交流しない地域や業種の人たちと接すると、その業界や地元の人が気づいていない自分たちの魅力を指摘してくれたりする。それによってイノベーションが起きることは、アメリカのシリコンバレーの事例などで分かっていて、副業を解禁していろんな人の流れができたほうが、新しいビジネスが生まれると言われています。

4つ目の【リアルとバーチャルの壁】の一例は、インターネットショッピングです。経産省は上の世代にも利用してもらいたいとしていましたが、情報漏洩などの懸念から、なかなか利用者が増えなかった。しかし、コロナで外へ買物に行くのが怖い、あるいはネットで買物をしたほうが楽などで、55歳以上の方の3人に1人以上が日常的にインターネットショッピングをするようになりました。




マーケティングの神様と言われるフィリップ・コトラー先生が2年前に「Marketing 5.0」という本で、「これからの商売ではジェネレーションギャップを考えるべき」や、「デジタルに何歳のころ初めて接したかによって、その人の価値観、消費傾向、人とのコミュニケーションの取り方が大きく違ってくる」と言われました。

日本の世代でいえば、バブル世代(52〜63歳)、団塊ジュニア(46〜51歳)、ロスジェネ・草食系世代(35〜45歳)、ゆとり世代(28〜34歳)、Z世代(17〜28歳)などに分けられますが、 コロナで若者の価値観が全世代に広がったと私は思っています。

まず、いまの若者は新しいデジタルを操りながらも、実は先祖返り、昔ながらの環境に優しいもの、社会に優しいもの、あるいはリサイクルしながら仲間とシェアしていくもの、などを望んでいます。私たちバブル世代の、どんどん新しいものに買い換えて消費したほうが社会や経済のためになる、と信じていた人たちも、「やはり手作りのものを長く大切に使いたい」や「リサイクルすべき」、「自然に囲まれて働くのが楽しい」という価値観に変わってきました。

地元を愛する人も、今までは地元に行かなければ応援できなかったのが、今はクラウドファンディングや、ふるさと納税などもインターネットでできる時代になっています。田舎暮らしを体験したいと移住してくる人たちは、「人間にとって何が大切か。鉄とコンクリートに囲まれてパソコンを打っていることではない。もっと自然と触れ合う暮らしがしたい」と言います。

アメリカでも中国でも、コロナで家族の結びつきが重視されるようになったと言われています。そしてSDGsです。これは地産地消とも関係しています。つまりは、作って壊してというバブルの文化ではなく、やはり作った先に私たちは責任が発生したり環境と共存したりしていかなければいけない。その考え方が2025年の大阪・関西万博に通じます。

先ほど先祖返りと言いましたが、古い価値観に戻りながらも、実はそれを支えているのがデジタルです。また企業としては、自分たちが社会にとってどのように役に立つか。そこを打ち出さないと若い人たちを採用しにくくなっている。逆にそこを打ち出すことで、和歌山のために、社会のために、人のために何かしたいという若者が戻ってくることにもなります。




最後に、皆様にお伝えしたいことがあります。デジタルの時代になると、いろんな連絡が時間・場所かまわずに入ってきます。これは便利なようで、やはり心が疲れます。コロナでデジタル、テクノロジーが進んだのはいろいろな意味で良かったと思います。ただ、それは何のためにあるかといえば、便利にするためではありません。先ほどのコトラー先生が「テクノロジーはツールである。人間を幸せにするためにあるのだ」と言っています。まずはぜひ、皆さん自身を大切にしていただければと思います。

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