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平成22年度中小企業施策について

研究部長  大門 忠志

はじめに

日本経済は、アメリカのリーマン・ブラザーズ破綻による世界経済の混乱をうけ、厳しい景気後退を経て、2009年春頃より持ち直しの局面にある。ただ、この回復はアジアを中心とする新興国の経済発展や政府の経済対策の効果にけん引された面が強く、国内内需を中心とする自立的回復によるものとは言いがたい。また、現在においても、設備や雇用の過剰感、物価の持続的下落すなわちデフレ、さらには税収減等を通じた財政状況の悪化等日本経済は数々の重荷を背負った状況が続いている。

そのようななか、中小企業の業況は厳しい状況が続いており、政府は累次の中小企業対策を講じ中小企業の支援に努めてきた。しかしながら、中小企業の経営者にとって講じられる施策はありがたいものの、日々の経営の中、どのような施策があり、どのように活用できるのか理解する時間がないのも事実である。

今回、2010年版中小企業白書より、参考になると思われる制度を抜粋しまとめてみた。白書では9章にわたり中小企業施策が講じられているが、利用機会の多いと思われる項目(下表の黄色部分)を抜粋し、対策の概要及び施策やそれにともなう諸制度について概説した。なお、白書にはこの他にも重要な制度や施策が盛り込まれており、詳細については「2010年版中小企業白書」や「平成22年度中小企業施策利用ガイドブック」を参照願いたい。

中小企業庁HP : http://www.chusho.meti.go.jp
中小企業施策利用ガイドブック : http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/index.html
平成22年度において講じようとする中小企業対策

平成22年度において講じようとする中小企業対策

(1)中小企業を守る

1.資金繰り対策

資金繰りの困難をきたす中小企業の支援を行うために、景気対応緊急保証やセーフティーネット貸付などのセーフティーネット金融を継続して実施している。

また、個々の企業の事実実態や信用リスク等を適切に判断し、保証・融資を推進していくとともに、金融庁とも連携を図り民間金融機関等における中小企業金融の円滑化を促進している。

資金繰り対策

*2009年12月より民間金融機関に対し、中小企業者や住宅ローンの借り手から条件変更等の申し込みがある場合、できる限り貸付条件の変更等を行うよう勤めることなどを内容とする中小企業金融円滑化法が施行された。2010年度末まで継続となっており、金融庁の指導により民間金融機関は前向きな対応を行っている。

2.下請中小企業施策

景気悪化のしわ寄せが下請け中小企業に偏ることがないように、不公正な下請取引を取り締まるとともに、法律違反を未然に防止する必要がある。そのため、下請代金支払遅延等防止法の厳格な法運用に努めるとともに、下請けかけこみ寺による相談体制の強化も行っている。また、新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対しての受発注情報の提供、商談会開催を通じた販路開拓支援等の事業を行っている。

○下請けかけこみ寺の設置

下請けかけこみ寺

*(財)全国中小企業取引振興協会HPより

(財)全国中小企業取引振興協会HP : http://zenkyo.or.jp/kakekomi/index.htm
 相談窓口   (財)わかやま産業振興財団 073-432-3412
          (財)大阪産業振興機構 06-6748-1144      その他 各都道府県にあります。

○ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)による販路開拓支援

ビジネス・マッチング・ステーション

(財)全国中小企業取引振興協会パンフレットより

BMSとは、受注企業がインターネットを用いて、取引先の開拓や販路拡大等を行うことを支援するシステム。会員制で、登録・利用等の費用は一切不要。

URL : http://www.biz-match-station.zenkyo.or.jp/
3.経営安定対策

中小企業の経営者が安心して経営できるようなセーフティーネットを強化するために、小規模企業共済法と中小企業倒産防止共済法の改正を行った。

・小規模企業共済制度の改正

  • 個人事業主1人しか加入できなかったところを、その配偶者や後継者を始めとする共同経営者にまで加入対象を拡大した。

・中小企業倒産防止共済制度の改正

  • 私的整理の一部についても共済金支払いの対象とする。
  • (また、平成23年10月までに貸付限度額を現行の3,200万円から8,000万円に引き上げられる予定である。)
(照会先) 独立行政法人中小企業基盤整備機構共済相談室
   TEL :  050-5541-7171    URL : http://www.smrj.go.jp/kyosai/

 その他 最寄りの商工会・商工会議所、都道府県中小企業団体中央会 等

(2)雇用を守る

1.人材・雇用対策

労働者の雇用を守る事業者に対して助成金の活用による支援を行うとともに、優れた人材と採用意欲のある中小企業とを橋渡しする事業や、中小企業の従業員のスキルアップや即戦力人材を育成するための実践型研修事業を実施している。

平成22年3月卒業の新卒者へのインターンシップについては受入中小企業と実習生とのマッチングによる職場実習や、事業活動縮小による失業予防や雇用の安定を図るため休業等又は出向を行うことにより労働者の雇用維持を図る事業主に対して、雇用調整助成金を支給するとしている。

人材・雇用対策

(3)仕事を創る

1.技術開発の促進

中小企業の持つ優れたものづくり基盤技術の高度化を図ることが、我が国製造業の国際競争力の強化及び新事業創出のため、重要である。そのため、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律(以下「中小企業ものづくり高度化法」という)による経済産業大臣認定を受けた研究開発の支援について、中小企業の研究開発から試作段階まで含む取組を支援できるよう制度を拡充し、中小企業自ら新たな技術課題に挑戦し、自ら新たな需要を切り開くための支援を行うとしている。

技術開発の促進

2.官公需対策

官公需の受注機会増大のため、情報提供の場として、「官公需情報ポータルサイト」が作られ、簡易に一括して検索・閲覧することができる。

官公需情報ポータルサイト

官公需情報ポータルサイト : http://kankouju.jp/

また、「中小企業者に関する国等の契約の方針」を定め、地方公共団体に対する要請、説明会の開催等により施策の周知徹底をはかっている。

(4)魅力を磨き国内外に発信容

1.新事業活動の促進

普段接点のない互いに異なる経営資源を有する中小企業同士の連携や、中小商工者と農林漁業者との連携による創意工夫を凝らした新商品・新サービスの開発等の取組を積極的に支援している。

また、新商品等の販路開拓を支援するため、テスト販売を行うことによる商品の更なる品質向上を図るとともに、見本市への出展支援やバイヤー等との商談機会の提供支援など、中小企業の販路開拓の支援をおこなっている。

新事業活動の促進

2.海外への市場開拓支援

海外市場への進出や販路拡大などに取り組む中小企業に対して、情報・人材・資金調達面で海外展開支援の推進及び進出後の円滑なビジネス遂行のための環境整備を行っている。

日本貿易振興機構、中小企業基盤整備機構、日本商工会議所等によって海外展開支援の情報提供や各種セミナー、展示会が開催されている。

海外への市場開拓支援

(5)中小企業の再生・チャレンジを支援する

1.事業再生支援

中小企業再生支援協議会を通じた事業再生を引き続き強化している。

  • 中小企業再生支援協議会(再生計画策定と金融機関との調整を支援:各都道府県に1ヶ所設置)
  • 中小企業承継事業再生計画(第二会社方式:産業活力再生特別措置法)
  • 中小企業再生ファンド
2.事業承継の円滑化

中小企業の事業承継が円滑に行えるように総合的な支援を実施している。

事業承継の円滑化

3.創業・ベンチャー支援

創業者向けの創業塾や新事業展開を目指す経営者や若手後継者等を対象に経営戦略の知識・ノウハウの体得を支援する経営革新塾を行う創業人材育成事業を実施している。

創業・ベンチャー支援

最後に

ここに記載したものは施策のほんの一部であり、各都道府県、市町村においても中小企業支援のための制度が数多くあり、事業を営む上で抱える様々な課題に対して有用な施策が取り組まれている。

諸制度の利用にあたっては様々な要件があり、手間がかかるのも事実である。しかしながら、これからの事業発展とその時間を比べて、事前に手を打つのも必要でないかと考える。本論での施策説明はあくまで概略であり、実際の運用については、記載の問い合わせ先等へ照会のうえ、対応願いたい。制度によっては、応募期間の終了しているものもあるが、重要な施策は次年度以降も継続される可能性もあり、関係部署に照会されるのも一つかと考える。

本稿が、少しでも事業経営のお役に立てることを願いたい。

参考

(2011.1)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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