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道の駅 〜ひとびとの集う場所〜

研究部長  大門 忠志

はじめに

道の駅とは「休憩所」・「情報発信の場」・「地元交流の場」の3つの機能を持った道路施設のことである。全国1,059ケ所(平成27年4月末現在)あまりに増えた道の駅、年間100万人以上の人が訪れる駅もあれば、通り過ぎさられるだけの駅もある。

平成27年4月末現在、和歌山県内では27ヶ所の道の駅が設置されており、他にも登録され建設の予定の駅が4ヶ所発表されている。今では、高度成長期のドライブインのような単なる休憩をもとめる道路の付随施設ではなくなってきており、地元雇用の場や、防災拠点、福祉医療の窓口等々その存在意義は多様化してきている。

今回、これからの県の道の駅の在り方について考察し、道の駅のあるべき姿を検討したい。

1.概要

道の駅は、3つの背景をもとに、3つの基本機能を持つ休憩施設を目的とし、『地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場』を基本コンセプトとしている。

《3つの背景》
  • 長距離ドライバーが増え、女性や高齢者のドライバーが増加する中で、道路交通の円滑な「ながれ」を支えるため、一般道路にも安心して立ち寄れ、利用できる快適な休憩のための「たまり」空間のニーズ
  • 人々の価値観の多様化により、沿道地域の文化・歴史・名所・特産物などの情報を活用した多様で個性的なサービスに対するニーズ
  • 地域にあっては休憩施設が個性豊かなにぎわいある空間となって、地域の核ができ、活力ある地域づくりや道を介した地域連携の促進などの効果
《3つの基本機能》
3つの基本機能

〔休憩機能〕

24時間利用可能な電話や清潔なトイレ、ゆったりした駐車場の基本施設と併せて、レストランや公園、温泉・宿泊施設などが利用できる駅もある。

〔情報発信機能〕

「道の駅」は地域の情報ステーション。道路情報や歴史・文化、名産品や観光地などを紹介する案内板や資料館、物産販売コーナーなどがある。さらに郷土芸能や朝市・展覧会などのイベントも催され、様々な情報を発信して利用者との交流を図っている。

〔地域の連携機能〕

「道の駅」をきっかけに、まちとまちが手を結んで活力ある地域づくりに取り組んでいる。駅相互の連絡を強化することによって、経営内容の改善やサービスの向上が図れるだけでなく、機能の補充もしあえるため 利用者に安心や魅力を与えることが出来る。

道の駅の多様な機能
道の駅の多様な機能

出展:(公財)ちゅうごく産業創造センター
「中国地域における「道の駅」の地域振興に果たす役割及び防災拠点か活用調査」より

2.道の駅の現状

○登録数(H27.4月末現在)     1,059駅

  (参考:(H23) 年間売上額 約2,100億円:年間購買客数 約2億2千万人
  一般財団法人国土技術センター平成25年11月5日「道の駅」報告書より)

○地域別登録数(H27.4月末現在 全国1,059駅(整備中含む)

地 域 登録数 地 域 登録数
北海道 115 近 畿 131
東 北 146 中 国 99
関 東 161 四 国 83
北 陸 74 九 州 121
中 部 121 沖 縄

3.和歌山県の道の駅

(現状)
平成27年4月末現在において、和歌山県内には31の駅(整備中含む)が登録されている。道の駅本来の意図である休憩機能・情報提供機能にふさわしく、県内隅々まで分布している状況となっている。


和歌山県の道の駅

(和歌山県HPより)

これらの駅に対して、平成26年6月に駅自慢や現状の課題や問題点について アンケートを行った。16駅から回答があり、結果概要は以下のとおりである。

○ 駅自慢のものは何ですか。(3つ選択)

駅自慢のもの

駅自慢のものについては、「地元でとれた野菜・果物」が62.5%と最も高い割合を示しており、次いで「地元食材を使った料理」(50.0%)、「木材加工品」(31.3%)、「近隣観光地」(25.0%)、「地元住民とのふれあい」(25.0%)となっている。「その他」の回答としては、「地元木材を使った施設」「和歌山のてっぺんにある道の駅」「加工特産販売所」などがあげられた。

○ 今、あなたの道の駅の課題や問題点はなんですか。(3つ選択)

道の駅の課題

道の駅の課題や問題点については、「来場者数が少ない」が56.3%と最も多く、次いで「認知度が低い」「商品数が少ない」が共に37.5%、「これといったものがない」が25.0%となっている。

*その他の意見
 ・遠い、天候の影響が激しい
 ・店内が狭い
 ・生産者が高齢化してきている
 ・地域生産者の高齢化による産品の減少
 ・施設設置が悪い配置
 ・閉館時に利用できるトイレの数が少ない

○今後の今の道の駅をどのようにしていきたいですか。(3つ選択)

今後の道の駅

今後の道の駅については、「物産の販売強化(販売収益の向上)」との回答が75.0%と最も高い割合を占めている。次いで、「地元の交流拠点(憩いの場)」(56.3%)、「観光拠点(観光案内所、リアル情報の提供)としての認知」(43.8%)、「レストランの強化」(31.3%)となっている。また、「今のままでいい」と回答した団体はなかった。 「その他」の回答としては、「イベント開催」「加工所の強化」「地域住民雇用の場」などがあげられた。

その他、アンケート結果の共通した特徴として

  • 観光地に隣接しない駅では、訪問者は地元が7割以上という駅が多く、地元交流拠点として機能している。
  • 赤字経営の駅が多く、今後設備更新や新たな事業展開を行うことができず、さびれていく可能性が高い。
  • 地元産直をうたっている駅が多い。しかしながら立地特性を見るに、大阪近郊ではJA主体の産直市場や産直専門業者が運営する店舗と競合し、販売に苦戦している。また、その他の農山村地域では、地元住民への販売が中心であり、収益を得るほど域外からの利用者は少ない。
  • 和歌山県では、他府県のように道の駅を目的として、年間を通して遠方からわざわざ訪れ、賑わっている駅というものは見られない。
  • 来場者数が少ない、認知度が低いということを問題視している駅が多い。しかしながら、ほんの数駅を除いて、広報宣伝活動を行っていない。
  • 物産の販売強化を望む声が大きいものの、設立目的が地元交流や観光拠点ということで、物販を目的として作られていない駅もあり、対応に苦慮している。
  • 防災拠点としての機能が求められているものの、資金的な事情から十分な対応がとられていない。

があげられていた。

4.これからの「道の駅」

そもそも“駅”というものは、人々が出入り自由で交流する場所というものであり、そこで人が出会ったり、助けあったりする、コミュニケーションが生まれるような場所である。いろいろな人が集う溜まり場というものであり、駅を起点にそのまちを知ることができるものである。(地元の人にとっては地域振興や地域課題の解決を考える場として公共的な場でもある)

これからの道の駅に求められるのは、
『わざわざ道の駅に行く、駅が目的!(観光であり、癒しであり、新鮮な地元野菜)』
となる必要がある。

産直といえども単に出来たものを売る“農産物直売所”ではなく、それを加工し“農産物加工”、おいしく提供する“農村レストラン”が必要である。どうせ食事するなら、少し足を延ばして、わざわざ食べに来てもらう、そしてそのついでに地元の食材を食卓に、また隣近所への土産にしてもらう。これがこれからの産直のやりかたではないだろうか。新鮮だけではわざわざ訪れてはくれない。自らのアイデアを持って、自ら企画し、自ら加工し販売する。そこに、道の駅を訪れる人は価値を見出してくれる。

観光も既存の景勝地という「点」の観光ではなく、近隣一体となった「面」での観光、見るだけでなく体感できる観光、歴史や風土等地元生活に触れ会える観光、そしてこれらを発信することのできる道の駅が求められている。

今、全国道の駅ランキングといったように、駅自体が観光地化され、注目を集めている駅がある。しかしながら一方で、地道に本来のコンセプトである「地域とともにつくる個性豊かな賑わいの場」として存在する小さな道の駅も存在する。周りに惑わされることなく、地域の人々や道路利用者に末永く利用されるには、画一的ではない、それぞれの地域のもつ歴史や風土、生活習慣などを踏まえ、規模の大小に捕らわれない、適切な機能と役割を持ち、利便性や有効活用も考えた、地域と一体になった道の駅を作り上げることが大切ではないだろうか。自らの道の駅のテーマをどのように決めるか、これが今の道の駅に求められていることだと考える。

最後に、ひとつ。採算性も無視してはならない。補助金があるから作るのではなく、必要であり、事業化の可能性があるから作る。駅を活性化し収益を上げることにより、都会からあらたな労働力が流入し、さらなる地域の活性化につながるのである。利益を上げることは悪いことではない。地域の活性は“人”である、人が住み、人が生活するこことである。そのためにも、収益を上げ都会から若者を呼び戻し、定住を推進していくことが必要である。

(2015.8)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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