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和歌山県における家計の現状 〜国勢調査・消費実態調査より〜

研究委員  藤本 迪也

1.はじめに

和歌山社会経済研究所では、四半期ごとに県内事業者の協力のもと、県内景況感を報告している。平成25年4月に発表した景気動向調査によると、県内景況感は建設業、製造業、商業、サービス業のすべての産業で改善が見られるなど、国内景況感の改善とともに回復の動きが確認された。

ただ、県内の経済主体は事業者だけではなく、一般家計の単位である世帯もその一つである。そして、和歌山県経済の状況を判断するためには、事業者側からの県内景況感だけではなく、世帯側からの景況感の考察も必要不可欠である。そこで、本稿では、県内世帯の特徴と、その家計の現状を分析し、今後の県経済の分析の一助としたい。

2.和歌山県の世帯構成 〜高齢化と小規模化が進む県内世帯〜

図表1 和歌山県の世帯数の推移(世帯類型別)
図表1 和歌山県の世帯数の推移(世帯類型別)

(資料)総務省「国勢調査」(平成12、17、22年)

和歌山県における世帯数(2010年現在)は392,842世帯で、その構成は、親と子供の二世代で構成される核家族世帯が60.1%、単独世帯が27.4%、三世代世帯が7.9%となっている(図表1)。2000年からの10年間では、世帯数が約13,000世帯程増加している。これは、核家族世帯が横ばいで推移、三世代世帯が減少する一方で、単独世帯が大きく増加したことが要因である。

2−1.単独世帯

2000年からの10年間で大きく増加した単独世帯について、世帯主の年齢階層別にその世帯数を整理すると、図表2のようになる。

図表2 世帯主の年齢別にみた単独世帯数の推移
図表2 世帯主の年齢別にみた単独世帯数の推移

(資料)総務省「国勢調査」(平成12、17、22年)

図表2からは、少子高齢化の中で、65歳以上の単独世帯が大きく増加する一方で、20歳代の単独世帯が減少していることがわかる。また、65歳以上の単独世帯ほどではないものの、35〜44歳の単独世帯も増加しており、晩婚化や離婚件数の増加などが要因と考えられる。

2−2.核家族世帯・三世代世帯

核家族世帯は、2000年からの10年間でほとんど増減が見られなかった。ただ、さらに詳細な世帯類型別にその世帯数の増減を整理すると、図表3のようになる。

図表3 核家族世帯における世帯数の推移(夫婦と子供から成る世帯、夫婦のみの世帯)
図表3 核家族世帯における世帯数の推移(夫婦と子供から成る世帯、夫婦のみの世帯)

(資料)総務省「国勢調査」(平成12、17、22年)

図表3の通り、夫婦と子供からなる世帯では、20歳未満の世帯員のいる世帯が減少し、夫婦のみの世帯では60歳以上の世帯主の世帯が増加しており、核家族世帯においても少子高齢化の影響が見られる。また、女親と子供からなる世帯数も増加傾向にあり、シングル・マザー世帯の増加ならびに、高齢の母親とその子供からなる世帯の増加が見られた。

夫婦、その親、子供等からなる三世代世帯に関しても、少子高齢化等の影響により、世帯数が大きく減少している。ただ、その減少のほとんどが20歳未満の世帯員のいる世帯であり、20歳以上の世帯員のいる三世代世帯の世帯数はこの10年間で大きな変化は見られない。(図表4)

図表4 三世代世帯における世帯数の推移(20歳未満の世帯員有無別)
図表4 三世代世帯における世帯数の推移(20歳未満の世帯員有無別)

(資料)総務省「国勢調査」(平成12、17、22年)

2−3.小括

以上のことから、和歌山県の世帯の現状は、図表5のように整理できる。

図表5 和歌山県の世帯数の推移(世帯類型別)
図表5 和歌山県の世帯数の推移(世帯類型別)

図表5では、世帯数の多い世帯類型ほど、四角の面積を大きく表示しており、そこから、和歌山県内の世帯について、以下の点を特徴として挙げたい。

  1. 世帯主60歳以上の単独世帯や世帯主60歳以上の夫婦のみから成る世帯などの、年齢階層の高い世帯が大きく増加しており、総世帯に占める比率も3割強となっている
  2. 単独世帯などの世帯人員の少ない世帯類型で増加が進む一方、三世代世帯等の世帯人員の多い類型では減少が進んでいる
  3. 子育て期にあると考えられる20歳未満の世帯員を含む世帯は、総世帯の2割程度にとどまり、減少傾向が続いている

次節では、このような特徴を持つ世帯における、その家計の現状を概観する。

3.和歌山県の家計の現状 〜一人当たりの支出額は増加傾向〜

総務省統計局では、5年ごとに全国の世帯を対象とした、家計の収入・支出等の実態調査を実施している(全国消費実態調査)。この調査では、核家族世帯、三世代世帯、単独世帯等の世帯類型ごとに、家計の収入額や支出額の平均値が示されている。

前節で和歌山県の世帯の特徴を整理する際に活用した世帯類型(図表5)に関しても、その平均収入額や支出額が算出されており、図表6はその一覧である。

図表6 世帯類型別にみた世帯収入と支出(和歌山県)
図表6 世帯類型別にみた世帯収入と支出(和歌山県)

年間収入では、世帯人員の多い三世代世帯が8,490(千円)と最も多く、次に20歳未満の世帯員のいない夫婦と子供から成る世帯(7,673千円)、夫婦のみの世帯(世帯主60歳未満)(6,043千円)が続き、夫婦のみの世帯(世帯主60歳以上)や単独世帯(世帯主60歳以上)で相対的に低い年間収入額となっている。

一か月の平均支出に関しては、三世代世帯で最も多く(382,430円)、次に20歳未満の世帯員のいない夫婦と子供から成る世帯(322,805円)、夫婦のみの世帯(世帯主60歳未満)(280,362円)が続く。単独世帯(世帯主60歳未満)、女親と子供からなる世帯、単独世帯(世帯主60歳以上)では相対的に平均支出は少ない。ただ、世帯人員1人あたりの平均支出額を見ると、三世代世帯で最も低く、単独世帯(世帯主60歳未満)や単独世帯(世帯主60歳以上)で高くなっている。

以上のような世帯類型ごとの家計の特徴と、前節で整理した世帯数の動向を合わせて考えると、次のことが指摘できる。

和歌山県の家計の現状としては、三世代世帯や夫婦と子供から成る世帯(20歳未満の世帯員あり)などの年間収入額が相対的に高く、支出額も大きい世帯が減少傾向にあり、年間収入額・支出額ともに相対的に低い単独世帯等が増加傾向にある。

ただ、世帯人員一人当たりの平均支出額を見ると、世帯数が減少している三世代世帯や夫婦と子供から成る世帯(20歳未満の世帯員あり)は、相対的に低い支出額である一方、世帯数が増加している単独世帯では相対的に支出額は高いことがわかる。

以上のように、和歌山県における家計の現状は、その単位である世帯において高齢化・小規模化が進む一方で、一人あたりの支出額は増加傾向にある。このことは、人口減少が進む和歌山県において、家計消費の総額の減少を抑える一助となっているものと考えられる。ただ、増加している世帯類型は単独世帯や、世帯主が60歳以上の夫婦のみの世帯であり、子育て期にある世帯等とは消費の中身に大きな違いがある。この違いは、県内商業、サービス業に大きな影響を与えている可能性が高く、この点に関しては、今後の研究課題としたい。

(2013.6)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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