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人口減少社会において注目される和歌山県の経済指標(1)
    〜労働参加率について〜

研究委員  藤本 迪也

1.はじめに

○2040年の和歌山県人口は約72万人

国立社会保障・人口問題研究所が昨年発表した『日本の地域別将来推計人口』によると、和歌山県の人口は、2015年には96万1,378人、2020年には91万7,238人となり、2025年は86万9,182人、そして、今から26年後の2040年には71万9,427人になると予想されている(図表1)。

日本全体(出生中位・死亡中位)でも、2010年の国勢調査時の人口1億2805万7千人から、2040年には1億727万6千人、そして、今から約50年後の2060年には8673万7千人にまで減少するとされている。

図表1 将来推計人口(全国・和歌山県)
図表1 将来推計人口(全国・和歌山県)

(資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(全国)」
ならびに「日本の地域別将来推計人口(都道府県・市区町村)」

○国、県で人口減対策が重要視されている

2014年6月24日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」と新成長戦略では、この人口減少に対して、「50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を保持する」との目標を設定し、地方における人口減対策について、その施策方針を打ち出した(図表2)。

図表2 新成長戦略における主な人口減対策の施策

・学童保育は2019年度末までに30万人分拡大
・育児経験豊かな主婦らを子育て支援員に認定
・女性登用の目標を自治体、民間企業で設定
・外国人技能実習制度の見直し
・中小企業の人材確保や定着を支援する地域人材バンクを創設

(資料)『「日本再興戦略」改訂2014』

和歌山県においても、2014年度の新政策の基本的な考え方の一つとして「切れ目のない少子化対策の推進」を挙げており、図表3のような政策を展開している。

図表3 和歌山県における少子化対策

・わかやま結婚支援
   →ボランティアを「わかやま結婚サポーター」として県が認定
・不妊に悩む夫婦への支援
   →特定不妊治療費や一般不妊治療費の助成
・紀州3人っこ施策の推進
   →第3子以降3歳未満児の保育料を無償化
・保育の質と量の充実
・地域のニーズに応じた多様な子育て支援の促進
・児童相談所の相談・虐待対応力の強化
・男女共同参画の推進

(資料)和歌山県「平成26年度 当初予算・新政策」

○経済指標を通じて人口減少に直面する和歌山県の現状を考察する

以上のように、人口減少・少子化対策がますます重要視されるようになる中で、本レポートでは、「人口減少社会において注目される和歌山県の経済指標」と題して、人口減少に関連する経済指標を取り上げる。

2.注目される経済指標 〜労働参加率〜

○懸念される労働力不足

前述した人口減少予測では、人口総数としての減少に加えて、労働力になりうる生産年齢人口(15歳〜64歳人口)の減少も予想されている。2010年の和歌山県における生産年齢人口は59万9,682人であるが、2020年には51万人、2040年には36万5,160人にまで減少するとされており、30年間で約4割の減少となる見込みとなっている。

昨年以降、建設業、運輸業、飲食業を中心に人手不足が問題視されるようになる中で、和歌山県においても、有効求人数の増加が続く一方で、有効求職者数の減少が続いており、県内事業者の人手不足感や人材確保難が目立つようになってきた。[*1]

生産年齢人口の減少が予想される和歌山県においては、今後も、人手不足感・人材確保難の状況は続くものと考えられることから、高齢者ならびに女性の労働参加の促進やUターン、Iターン就業者の増加などにより就業者数の減少を抑制し、労働参加率[*2] を高めていくことが重要と考える。

○「毎月勤労統計調査」の活用

和歌山県内の就業者数については、5年ごとに実施される国勢調査で公表されているが、直近の状況を把握することは難しい。また、総務省が実施している労働力調査では、モデル推計による都道府県別の結果が四半期ごとに公表されており、和歌山県内の就業者数を把握することは可能であるが、調査自体が都道府県別に表章するように標本設計を行っていないことから、結果の利用については注意が必要である。

このように、正確性、即時性という観点から和歌山県内の就業者数の動向を把握する経済指標は見当たらず、厳密に、そして、直近の労働参加率の推移を明らかにすることは困難と思われる。そこで、本稿では「毎月勤労統計調査」を活用することで、労働参加率の推計を行う。

「毎月勤労統計調査」は厚生労働省が実施している調査で、全国調査とは別に地方調査も実施されており、和歌山県においても、約540の事業所(常時5人以上の常用労働者を雇用する事業所)を対象に、現金給与額や常用労働者数、労働時間などを調査し、その集計結果をもとに、県内全事業所(常時5人以上の常用労働者を雇用)における常用労働者数などを月次で算出している。

○労働参加率の推計

毎月勤労統計調査における常用労働者は、期間を決めず、または1ヶ月を越える期間を決めて雇用されている者、日々または1ヶ月以内の期間を限って雇用されている者のうち調査前2ヶ月にそれぞれ18日以上雇用されていた者、役員及び事業主の家族で、その事業所で働いている者のうち、常時勤務して給与の支給を受けている者を意味し、事業主を含む就業者数とは内容を異にする。

さらに、労働参加率を算出する際には「完全失業者数」が必要だが、それに該当する指標は毎月勤労統計調査でも調査されていない。これらの点を踏まえると、厳密な意味での労働参加率は算出できないが、あくまでも、推計値として、以下のような計算式のもと、近年の和歌山県における労働参加率を算出する。

労働参加率(推計値)=常用労働者数[*3] ÷15歳以上人口[*4]

図表4は、上記計算式をもとに算出した労働参加率(推計値)の推移を示したものである。全国と比較して、和歌山県の労働参加率(推計値)は、1割程度低くなっているものの、全国、和歌山県ともに労働参加率はやや上昇傾向にある。2013年以降の景気回復の中で、常用労働者数が増加したことが背景にあると考えられる。

図表4 労働参加率(推計値)の推移
図表4 労働参加率(推計値)の推移

(注)15歳以上人口に関しては、前年10月1日時点の数値を使用。
(資料)和歌山県「毎月勤労統計調査」、総務省「人口推計」

3.おわりに

○注目経済指標の活用

今回取り上げた「労働参加率」は推計値であるが、毎月算出することのできる指標であることから、直近の労働参加率について考察することが可能である。このことから、国ならびに県・市町村の人口減少対策において、その政策効果などを考察する際の参考資料として活用することも可能である。

このように人口減少に関連する経済指標は、政策・施策の効果を測定する際に重要な参考資料となり得ることから、次号の「経済指標」においても、引き続きさまざまな経済指標を取り上げていきたい。

参考情報

  • [*1]
    和歌山社会経済研究所「景気動向調査 No.94」。

  • [*2]
    労働参加率=(就業者数+完全失業者数)÷生産年齢人口。

  • [*3]
    事業所規模5人以上。

  • [*4]
    生産年齢人口(15〜64歳)ではなく、15歳以上人口を計算式に採用した理由は、県内の多くの事業所で65歳以上の労働者が雇用されており、毎月勤労統計調査で算出される常用労働者にも65歳以上の労働者が多く含まれていると考えられるからである。

(2014.8)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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