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和歌山県における最近の社会増減
   〜社会増減の状況には厳しさが見られる〜

研究員  藤本 迪也

1.本稿の目的 〜 社会増減の最近の状況を把握する 〜

「地方創生」という言葉が地方行政の現場で多く使用されるようになって、1年程度が経過した。和歌山県は、昨年6月に「和歌山県長期人口ビジョン」、「和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、「誰もが活き活きと暮らせ、”元気”を持続できる和歌山を創造」することを目指し、「しごと」を創る、「ひと」を増やす、「まち」を創るといった基本姿勢を提起している。和歌山県の人口減少については、県外への転出に伴う社会減少の影響が大きく、総合戦略の中でも、県内で安定した雇用を創出し、県内就職を増やすことを基本目標として挙げている。本稿では、この社会減少に注目し、直近の状況を把握する。

2.和歌山県における社会増減

〇再び増加基調にある転出数

社会増減は、和歌山県への他都道府県からの転入数、県から他都道府県への転出数の差である。図表1では、その転出数、転入数を県内人口(各年10月時点)で割った値の推移を示している。転入数は減少が継続する一方で、転出数は2008年以降、減少傾向にあったが、2010年以降は増加基調に転じている。

図表1 転出数と転入数の推移(和歌山県)
図表1 転出数と転入数の推移(和歌山県)

(注1)2016年の転出数、転入数については、8月までの値を参考に独自の推計を行った。
(注2)2000年、2005年、2010年、2015年の県内人口については国勢調査を参照した。
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」、「人口推計」

〇男女ともに転出数は増加傾向

転出数の増加傾向は男女別に見ても大きな違いはなく、男性・女性ともに2010年以降は増加傾向にあることがわかる(図表2)。

図表2 男女別に見た転出数の推移(和歌山県)
図表2 男女別に見た転出数の推移(和歌山県)

(注1)2016年の転出数については、8月までの値を参考に独自の推計を行った。
(注2)2000年、2005年、2010年、2015年の県内人口については国勢調査を参照した。
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」、「人口推計」

〇主要な転出先地域はいずれも転出数が増加

図表3は転出先の主要地域別に転出数の推移を見たものである。和歌山県では、大阪府、兵庫県、京都府を中心とする「近畿地域」と、東京都、神奈川県を中心とする「関東地域」、愛知県、三重県を中心とする「東海地域」への転出数が多くなっており、図表3ではこの3つの地域のみ表示している。

図表3によると、近畿地域、関東地域、東海地域ともに2010年以降は増加傾向にあり、特に近畿地域は他地域よりも伸び率が高くなっている。

図表3 地域別に見た転出数の推移(和歌山県)※人口千人当たり
図表3 地域別に見た転出数の推移(和歌山県)※人口千人当たり

(注)2000年、2005年、2010年、2015年の県内人口については国勢調査を参照した。
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」、「人口推計」

〇20〜30歳代を中心に、幅広い年齢層で増加する転出数

これまで見てきたように、和歌山県の転出数(人口千人当たり)については、2010年以降増加傾向にある。そこで、図表4に年齢階層別(男女合計)に人口千人当たりの転出数の変化を示した。それによると、20〜30歳代を中心に転出数が増加しており、その他にも、45〜54歳、0〜9歳代で転出数が増えている。

図表4 年齢階層別に見た転出数の変化(2010〜15年、和歌山県)※人口千人当たり
図表4 年齢階層別に見た転出数の変化(2010〜15年、和歌山県)※人口千人当たり

(注1)2010年は国勢調査を参照し、2015年については14年の人口推計をもとに独自に推計実施。
(注2)図表中の網掛け部分は2010年から15年にかけて特に転出数が増加した年齢階層を示す。
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」、「人口推計」

〇男女で転出数の変化には違いがみられる

図表4と同じ図表を性別に見ると(図表5)、男女で特徴に違いが見られる。男性については、20〜30歳代で転出数が増加している一方で、女性については、15〜54歳までの幅広い年齢層で転出数が増加している。

図表5 男女別・年齢階層別に見た転出数の変化(2010年〜15年、和歌山県)※人口千人当たり
図表5 男女別・年齢階層別に見た転出数の変化(男性)
図表5 男女別・年齢階層別に見た転出数の変化(男性)

(注1)2010年は国勢調査を参照し、2015年については14年の人口推計をもとに独自に推計実施。
(注2)図表中の網掛け部分は2010年から15年にかけて特に転出数が増加した年齢階層を示す。
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、「国勢調査」、「人口推計」

3.和歌山県の社会増減の状況は厳しさが増している

以上の通り、和歌山県の社会増減については、2010年までは転出数に減少傾向が見られていたが、ここにきて再び増加傾向に転じている。転出先地域については、近畿地域、関東地域、東海地域で増加傾向にあり、いずれも三大都市圏を含む地域となっている。また、転出者の特徴については、単身者が多いと考えられる20歳代に加えて、30歳代などの子育て期を迎えている年齢階層に多い。その結果、0〜9歳代においても転出数が増加傾向にあり、和歌山県の社会増減の状況は厳しさが増していると考えられる。

今後は、この状況の背景、理由などについて引き続き、分析を行っていきたい。

(2016.12)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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