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2016年における和歌山県の景気動向

研究員  藤本 迪也

1.2016年の和歌山県の景気動向

ここ最近の県内経済情勢を振り返ると、2014年4月の消費増税以降、紀の国わかやま国体が開催された2015年秋口までは、緩やかながらも県内景況BSIは改善傾向が見られた。ところが、2016年に入ると、国体特需が剥落、国内外で生じた不測要因(年初の上海株の暴落とその後の円高進行、4月の熊本地震、6月の英国のEU離脱問題等)も重なり、4〜6月期の県内景況BSIは2013年以降の最低値を更新した。業績状況を示す売上高BSI、収益BSIも極めて低い水準になり、事業者の景況感だけでなく、業績にも悪化傾向が見られた。その後は、7〜9月期に入り、国内外の経済情勢に落ち着きがみられたこともあり、県内景況BSIは上昇する。さらに、生産活動の持ち直し、輸出の持ち直し、11月の米国大統領選挙後の急激な円安株高は、国内企業の景況感を引き上げ、内閣府は12月の「月例経済報告」において、1年9カ月ぶりに国内景気の基調判断を上方修正した。そして、県内景況BSIについては、個人消費に関連する業種(小売業、旅館・ホテル業、飲食業等)では依然として低い水準にとどまるが、建設業、卸売業、不動産業、運輸業などで景況BSIが上昇したことで、全体では前年同期(2015年10〜12月期)の水準を回復した。

図表1 和歌山県内の景況感(景況BSI)の推移
図表1 和歌山県内の景況感(景況BSI)の推移

(注)景況感を示す「景況BSI」は、景況感を「良い」とした事業者の割合から、
「悪い」とした事業者の割合を差し引いて算出している。

(資料)和歌山社会経済研究所「景気動向調査」

図表2 和歌山県内の業績動向(売上高BSI)の推移
図表2 和歌山県内の業績動向(売上高BSI)の推移

(注)「売上高BSI」は、前の四半期と比べて今四半期の売上高が「増加」した事業者の割合から、
「減少」した事業者の割合を差し引いて算出している。

(資料)和歌山社会経済研究所「景気動向調査」

図表3 和歌山県内の業績動向(収益BSI)の推移
図表3 和歌山県内の業績動向(収益BSI)の推移

(注)「収益BSI」は、前の四半期と比べて今四半期の収益が「増加」した事業者の割合から、
「減少」した事業者の割合を差し引いて算出している。

(資料)和歌山社会経済研究所「景気動向調査」

2.2016年における県内経済情勢の前年からの変化

前述のように、景況BSIの水準は前年同期とほぼ同じとなったが、その内容を見ると、大きな変化が見られる。まず、第一点目は、全体の景況BSIが持ち直す中で、小売業を初めとした個人向け業種の景況BSI(図表4における「家計景況感」)が低迷したままであること。特に、紀北、紀中地域で、その傾向が強いが、和歌山市では家計の景況感は持ち直している。業種別、地域別での景況感の違いが鮮明になっている。第二点目は、仕入価格の上昇懸念が大きく緩和していること。2015年前半までは半数近くの事業者が仕入価格は「上昇」しているとしていたが、2016年10〜12月期の回答割合は3割弱まで下降した。第三点目は、業況が持ち直す業種での「人手不足感」の強まりである。特に、建設業、製造業、サービス業の一部で強まっている。

図表4 地域別に見た景況BSI(2016年10〜12月期)

景況BSI(家計景況感) 景況BSI(全産業)
和歌山市 ▲29.7 0.3
紀北地域 ▲48.2 ▲14.4
紀中地域 ▲66.7 ▲13.4
紀南地域 ▲29.6 ▲17.4
※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業82社、サービス業28社の計110社。

3.2017年の見通しは依然として不透明感が漂う

2017年の県内経済情勢はどのように推移するか。2016年以上に海外の経済情勢が大きな変動要因になると考えられる。米国をはじめ、欧米諸国の政治状況、中国経済などについては、先行き不透明感が強く、実態経済への影響(円の対ドル為替変動、輸出動向等)については、注意を要する。ただし、そのような状況の中で、今後の県内情勢には先行きに期待が持てる動きも見られる。まずは、京奈和自動車道の県内区間の全線開通、大阪府との府県間道路(鍋谷峠道路[大阪府和泉市〜かつらぎ町])の開通である。県北部を中心に新たな交流人口の増加が期待される。また、2017年以降の動きではあるが、和歌山市内に3大学の開校が予定されている。学生数は合わせて1,000人程度が予定されており、市内中心部に新たな人の動きが生まれる。

当研究所としては、このような状況を踏まえながら、引き続き、調査・研究を通じた県内経済の現状分析、課題提起などの情報発信に努めて参りたい。

(2017.4)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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