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大型連休が県内事業者にもたらした影響
   〜観光客増などの好影響もあったが、多くの事業者にとっては悪影響が上回った〜

研究員  藤本 迪也

1.2019年の大型連休(ゴールデンウィーク)

4〜5月にかけての大型連休(ゴールデンウィーク、以下「GW」と表記)は、例年であれば、平日を間に挟み、最長でも5連休程度であったが、2019年に関しては、新天皇即位に伴い、5月1日を「即位の日」としたため、10連休となった。

図表1 4〜5月の大型連休(2019年/2018年の比較)
図表1 4〜5月の大型連休(2019年/2018年の比較)

(資料) 筆者作成

○さまざまな影響が予想された10連休

GWを前に、観光地を中心に特需を期待する声が聞かれる一方で、子育て世帯からは、連休期間中の子どもの預け先が心配との声も聞かれた。また、「連休前後に仕事(受注)が集中するのではないか」、「人手が確保しづらくなる」といった悪影響を懸念する企業も多かった。

さまざまな影響が予想された2019年のGWについて、実際に、日本国内、県内ではどのような状況だったのかを、本レポートにおいて確認する。

2.GWが日本経済に与えた影響

○多くの観光地で観光客が大きく増加

GWを背景に、国内旅行・海外旅行に出かける人数が大きく増加した。NEXCO3社と本州四国連絡高速道路が発表したGW期間における高速道路の交通状況によると、主な区間の日平均交通量は前年比16.8%増となり、10km以上の渋滞発生数は前年比68.6%増となった。全日空と日本航空が発表したGW期間の国内線の利用実績についても、2社合計の旅客数は14.4%増となり、大きく増加している。さらに、JR各社によるGW期間の利用状況を見ると、東海道新幹線の利用者数が前年比18%増、山陽新幹線が同29%増、北陸新幹線が同26%増、九州新幹線が同20%増、北海道新幹線が同45%増となっている。

観光庁の「宿泊旅行統計調査」では、5月の延べ宿泊者数は前年比6.5%の増加となっている。海外旅行についても、主要旅行業者の取扱額が欧州方面を中心に好調で、GWを控えた4月には前年比23.4%増となった。

図表2 GW期間中の観光状況
図表2 GW期間中の観光状況

(資料) 各社・各機関の公表資料に基づき筆者作成

○外食、スーパー、家電量販店、ホームセンターの販売額が増加

日常的な買い物、外食についても、GW期間中の販売額は増加した。日本フードサービス協会によると、加盟外食企業の売上高(5月)は前年比3.1%増で、客数は同1.4%増(3か月ぶりに前年比増加)となっており、ファストフード店、ファミリーレストランで売上高が増加した。例年よりも休日が増えたことで、家族や友人との外食、自宅での食事会などの回数が増えたことが増加の要因と考えられる。

また、経済産業省の「商業動態統計調査」によると、スーパー販売額(5月)が2か月ぶりに前年を上回り、家電量販店、ホームセンターの販売額(5月)も前年を上回った。長い休日を利用して、家電製品の買い替えを実施したり、家事等に多くの時間を費やす人が増えたものと考えられる。

図表3 GW期間を含む5月の小売・外食の販売額(売上高)
図表3 GW期間を含む5月の小売・外食の販売額(売上高)

(資料) 日本フードサービス協会、経済産業省の公表資料に基づき筆者作成

○パート・アルバイト収入は減少した可能性が高い

GWによる好影響が見られる一方で、休日増加に伴い、パート・アルバイト等の勤務日数・時間は減少している。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、従業員(パート・アルバイト含む)の総実労働時間(5月)は前年比4.4%の減少となっており、パート・アルバイト収入は減少した可能性が高い 。

○企業の景況感はやや悪化

帝国データバンク(TDB)が2万社以上の企業を対象に毎月実施している「TDB景気動向調査」によると、国内企業の景況感を示す景気DI(5月)は、前月から1.4ポイント下降した。TDBは、景気DIの下降要因として、海外の経済情勢の悪化に加えて、GWにより稼働日数が減少し、企業活動が停滞した点を挙げている。

「GWで現場がストップ。工事遅れがかなり深刻」(建設業)、「4月に前倒し受注があり、GW以降は、その反動で受注が減少」(製造業)、「GWで、稼働日数が不足し、売上が減少」(卸売業)、「GW以降、消費者の節約志向が強まった」(飲食業)といったGWの悪影響を指摘する回答が目立った。

3.GWが県内事業者にもたらした影響

以上のように、GW期間中の日本国内では、観光客の増加、外食店の売上増、飲食料品・家電・家事用品の売上増といった好影響が見られる一方で、企業活動を中心に、稼働日数の減少などの悪影響も多く見られた。以下では、和歌山県内におけるGWの状況について確認を行う。

○県内観光地は活況

和歌山県の「ゴールデンウィーク(GW)観光客入込状況について」によると、県内主要観光地におけるGW期間中の観光入込客数は、宿泊客数が前年比23.7%増、日帰り客数が同35.0%増となった。和歌山県は増加の要因として、休日の増加、改元イベントの開催、GW直前のテレビ番組において、那智勝浦町が取り上げられたことなどを挙げている。

研究所が実施した「景気動向調査」においても、4〜6月期の旅館・ホテル業の景況感を示す景況BSIは1〜3月期から30ポイントの上昇となった。

図表4 GW期間における和歌山県内主要観光地の1日平均観光入込客数
図表4 GW期間における和歌山県内主要観光地の1日平均観光入込客数

(資料) 和歌山県「2019年主要観光地におけるゴールデンウィーク(GW)観光客入込状況について」

○百貨店、家電量販店などで販売額が増加

近鉄百貨店和歌山店の販売額(5月)は、前年比0.8%増と5か月ぶりに前年を上回り、来店客数も同3.6%増となった。経済産業省の「商業動態統計調査」によると、家電大型専門店の販売額(5月)が前年比6.9%増、ドラッグストアが同7.3%増、ホームセンターが同6.2%増、コンビニが同4.7%増と高い伸び率となった。

図表5 GW期間を含む5月の小売販売額(売上高)
図表5 GW期間を含む5月の小売販売額(売上高)

(資料) 近鉄百貨店、経済産業省の公表資料に基づき筆者作成

○県内事業者の多くはGWの悪影響を指摘

全国と同様に、県内においても、観光や百貨店、家電大型専門店等でGWの好影響が見られる一方で、県内製造業を中心に、企業活動においては、「売上高の減少」、「連休前後の業務過多・業務集中」、「人件費・外注費等のコスト上昇」といった悪影響が目立った(図表6)。

図表6 GWが県内事業者にもたらした影響
図表6 GWが県内事業者にもたらした影響

(注) 色付きの項目は「好影響」、色なしの項目は「悪影響」を意味する
(資料) 和歌山社会経済研究所「景気動向調査」(2019年6月実施)

○「売上高増加」は一部の事業者に限定

GW期間中に「売上高増加」となった事業者は、9.5%にとどまり、旅館・ホテル業、飲食業がその半数を占めた。GW期間中に8日以上営業していた事業者においても、売上高が「増加」した事業者は27.3%にとどまり、「減少」した事業者(30.7%)の方が多かった。「連休中も営業したが、人通りが少なく、客数が減少した」(小売業)、「取引先からの受注に対応しようと営業していたが、休んでいる取引先が多く、受注はなかった」(製造業)といった声も聞かれた。

○県内事業者の6割が、10日間程度の大型連休は「希望しない」と回答

以上のように、GWにおいて、「売上高増加」といった好影響を受ける県内事業者が少なく、「売上高の減少」といった悪影響を受ける事業者が多い中で、今回のGWのような大型連休を希望するか、質問したところ、64.7%の事業者が「希望しない」と回答した。

図表7 10日間程度の大型連休の希望意向
図表7 10日間程度の大型連休の希望意向

(資料) 和歌山社会経済研究所「景気動向調査」(2019年6月実施)

4.まとめ

過去最長の大型連休となった今春のGWは、国内・県内ともに、観光客・買い物客が大きく増加し、主要観光地は例年以上の盛況となった。ただし、その一方で、企業活動への影響については、国内・県内ともに悪影響が目立った。今回の大型連休による経済効果が注目される中、「従業員のシフト調整に苦労した」、「連休前の業務集中で残業が増加した」といった悪影響が大きかった点には留意が必要である。時期は異なるが、本年度の年末・年始は9連休となる企業も多い。今回のGWを参考に、悪影響を軽減する取り組みが求められる。

(2019.12)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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