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和歌山県産の農産物における輸出戦略 Part2 「輸出戦略と戦略品目」

研究部長  藤本 幸久

1.和歌山県産主要果実の輸出状況

わが国の平成26年農産物主要輸出先は、地域別にはアジアが72%を占め、次いで北米が17%、3位にヨーロッパ7%となっている。国別には1位が香港で22%を占め、次いでアメリカ15%、3位台湾14%、以下、中国10%、韓国7%、タイ6%、ベトナム5%、シンガポール3%と続く。

わが国の農林水産物の輸出先別推移(単位:億円)

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一方、平成26年の和歌山県の農業産出額は次表のとおり952億円であり、うち果実が581億円で農業産出額の61%を占める。品目別には、みかんの231億円は果実産出額581億円に対し40%のウェイトを占め、次に梅が117億円で20%、柿80億円で14%、桃48億円8%、八朔26億円4%となっている。

和歌山県の農業産出額(平成26年)

(農林水産省統計より作成)

【 和歌山県産の農産物における輸出戦略 Part1 「輸出の現状と課題」 】 でも述べたとおり、輸出業者に対するヒアリングによると、和歌山県産みかんの直近の輸出状況としては若干増加してはいるものの、輸出数量と金額とも大きな変化はない模様である。柿は輸出数量が増加してはいるが、単価ダウンにより輸出金額は微増となっている状況のようである。桃は単価に大きな変化はないものの、輸出数量の増加により販売金額を大きく伸ばしているようである。

なお、それぞれの輸出先は、桃が、台湾・香港・シンガポール、みかんは、カナダ・シンガポール・マレーシア。柿は、タイ・香港・マレーシアなどが主力の輸出先国並びに地域となっている模様である。

2.東南アジア主要国の桃の輸入状況

わが国の果実とりわけ桃の輸出先国及び地域は大半が東南アジアであることから、その輸出状況を見てみることとする。

平成26年の桃の輸出先第1位は香港4.9億円で全輸出額8.28億円に対し60%のシェアを占め、2位は台湾3.1億円38%、3位シンガポール、4位タイ、5位マレーシアという状況になっている。

わが国の桃の輸出先別推移(単位:百万円)
わが国の桃の輸出先別推移
(財務省貿易統計より作成)

次に、農林水産省の「台湾・香港・タイ・インドネシアにおける当該国産及び他国産輸入青果物の流通量・価格に関する調査報告書」をみると、香港における桃の輸入量は増加傾向にあり、平成25年の桃の輸入量は約12,777トンで、4か国中いちばん多いという状況にある。

ただし、台湾とタイの輸入量は減少傾向にある。なお、平成25年まではインドネシアには日本産の桃は輸入されてはいない模様である。

東南アジア主要国における桃の輸入量推移(単位:トン)
東南アジア主要国における桃の輸入量推移
(農林水産省 H27.1 東南アジアにおける輸入青果物の調査報告書より作成)

先にも述べたとおり、4か国の桃の輸入状況に差はあるものの、小売価格が概して高いことから、日本としては輸出コストとりわけ輸送コストの低減による価格引き下げ、プロモーションの強化、輸出対応産地づくりなどの課題解決が求められている。

東南アジア主要国における桃の市場概況
東南アジア主要国における桃の市場概況
(農林水産省 H27.1 東南アジアにおける輸入青果物の調査報告書より作成)

なお、シンガポールにおける日本からの桃の輸入量は、ジェトロが平成27年3月に実施した「シンガポールにおける日本産果実・加工品消費動向調査」によると、平成23年から平成26年までの4年間、右肩上がりに増加しており、平成26年は平成23年の3倍という状況となっている。

ただし、単価は年毎に大きく変動している。平成24年と平成26年は、日本国内の価格下落により日本からの輸入量が増加した一方、平成25年の輸入額が突出したのは急激な円安が要因と考えられる。

シンガポールにおける日本からの桃の輸入状況
シンガポールにおける日本からの桃の輸入状況
(ジェトロ H27.3 シンガポールにおける日本産果実・加工品消費動向調査報告書より作成)

3.海外市場戦略と輸出適性条件

農産物の輸出における優良事例として、ここでは、「りんご」と「ながいも」を取り上げることとする。

わが国の果実の輸出額推移(単位:百万円)
わが国の果実の輸出額推移(単位:百万円)
(財務省貿易統計より作成)

「りんご」の平成26年の輸出量が約2.4万トン、輸出額86億円であり、わが国の果実輸出総額132億円に対しシェア65%で、輸出果実の第1位となっており、りんご全出荷量の約3%に相当する。なお、国内需給が緩む12〜1月に輸出が集中するため、需給調整への貢献度は大きいといえる。

輸出形態は、青森県の輸出業者が主なパッカーとなり、産地市場で調達し選果した後、日本国内の台湾系輸出商社を介してコンテナ単位で輸出している。特に、台湾は植物検疫条件、残留農薬規制が厳しく、産地での選果及び梱包段階で台湾向けに仕分けする必要はあるが、青森県では6%程度が輸出仕向けとなっている。

わが国の「りんご」の輸出状況(単位:百万円)
わが国の「りんご」の輸出状況(単位:百万円)
(財務省貿易統計より作成)

「ながいも」は、先で述べたとおり国内では評価されにくい商材(規格)の需要開拓の典型例であり、出荷量の約5%が輸出され輸出野菜の主力となっている。主力産地の一つであるJA帯広大正では、生産量の4分の1が輸出仕向けであり、特大サイズを基本とした輸出仕様の栽培管理を行うなど輸出対応型産地づくりをすすめている。

以上のことなどから、輸出における適性条件として考えられることとは、

  • 海上輸送に耐えられること
  • 一定ロットが確保でき、安定供給が可能であること
  • 輸出先国の規制や消費者ニーズに合致していること
  • 競合品目との価格メリットや品質的に優れていることなどである。

まさに、「りんご」や「ながいも」が、これらの条件を満たしているといえる。なお、他の生産国の追随を許さない品質を誇る「もも」は、日本国内での産地間競争があるものの、高いコストがかかる航空便での輸出が可能な、数少ない高級商材であろう。

4.輸出に対する考え方

最後に農産物の輸出にかかるポイントを列挙することとする。

  • 品目特性や国内市場とのバランスを踏まえ戦略的に位置づけること
  • 日本産であれば海外で高く評価されるという幻想は捨てること
  • 輸出は農産物の販路を確保するための手段の一つであること
  • 有利な市場を国内に有している産地は無理をしてまで取り組む必要はない
  • 競合する産地国に打ち勝つため、安定供給ができる産地間連携による体制づくりが必要であること

以上のことが考えられるが、輸出は農業の経営安定化や地域経済の活性化のための手法であって、充分なるマーケティングのうえ、適性が高いと判断できる輸出先国及び地域でこそ効果が発揮されるのである。

あくまでも、輸出することが目的ではなく手段であって、「産地が生き残るため」と「地域の活性化のため」の6次産業化の一つの選択肢として捉えるべきであろう。

輸出にかかる地域活性化のイメージ図

(2016.12)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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