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農山村地域と大学生との交流による地域づくり

主任研究員  藤代 正樹

和歌山県の農山村地域では過疎化・高齢化が進み、地域の力だけでは農業や林業を続けていくことが難しくなっている集落が増加している。そこで、このような地域に「若い大学生の活力」を持ち込んで地域づくりに生かそうとした取組が和歌山大学と連携して県内市町村で検討されている。その一環として、学生の受入側となる町民に対して実施した「学生受入に関する意識調査アンケート」の結果と、京都府が大学等とともに進めている農村支援「ふるさと共援活動」についての事例を紹介する。

T.学生の農業・農村支援についてのアンケート結果

県内中山間地域において高齢化・過疎化等により限界集落の状態となっている地域に対し、学生の持つ斬新なアイデアや行動力を活用し、農村地域の活性化をめざしていくため、その体制づくりに資することを目的に対象となる地域住民の意向調査を実施した。

  • 調査時期:平成20年9月
  • 調査対象:有田川町管内住民(回答数106人)
1.回答者の属性
《年齢》
65歳以上割合が66.1%と高い。
年齢
《性別》
男性58.5%、女性34.0%。高齢化の進行とともに、女性一人暮らしの戸数が増えている。
性別
《農業の形態》
専業的農家24.5%、兼業的農家43.4%、無回答32.1%。兼業的農家の割合が高い。
農業の形態
2.調査結果の概要

(1)学生の農業・農村支援に関する考え方

  • 支援してほしい(「是非支援してほしい」34.5%と「期待していないが、できたら支援してほしい」18.9%との合計)は53.4%となり「支援してほしいと思わない」の14.2%を大きく上回り、支援希望者が多いことが分かる。

学生の農業・農村支援に関する考え方

(2)支援内容

  • 「農作業の全部または一部」が43.4%と最も高く、また「間伐等の森林整備」が17.9%となっており、調査対象地域が山間部のため農林業の作業支援が合わせると6割を超える。また、「家の回りの草刈・清掃」は1/4が支援要望している。これは高齢化や人手不足に伴い軽作業についても支障が生じていることが伺える。

支援内容

(3)支援活動に対する謝礼

  • 「ボランティアを基本にするとはいえ、何らかの謝礼はしたい」と回答した人が61.3%あり、「ボランティアが基本だと思うので特に謝礼を考える必要はない」と答えた人の12.3%を大きく上回る結果となった。謝礼を払っても支援を希望する人は多い。

支援活動に対する謝礼

(4)支援活動に伴う宿泊や食事の提供

  • 「自宅で宿泊や食事を提供したい」と回答した人は10.4%に留まっており、「宿泊だけ提供できるが食事は無理」(3.8%)、「食事だけ提供できるが、宿泊は無理」(12.3%)という状態。「宿泊や食事は公共施設や食堂を活用すべき」と答えた人(67.9%)が圧倒的に多かった。

支援活動に伴う宿泊や食事の提供

受入側ニーズのまとめ
  • ・農林業の支援を望んでいる。
  • ・農林業作業とともに草刈等の支援も望んでいる。
  • ・支援活動に対して、ある程度謝礼はできる。
  • ・宿泊・食事の提供は難しい。

有田川町での和歌山大学生の活動(H20年8月9日)

地域名産の山椒を採る
地域名産の山椒を採る
籠いっぱいの山椒
籠いっぱいの山椒
農家の方と
農家の方と

日高川町での和歌山大学生の活動(H20年12月6日〜7日)

山芋堀り
山芋堀り
いちごの葉かき作業
いちごの葉かき作業
八朔の封入作業
八朔の封入作業
農家民泊
農家民泊
農家民泊
農家民泊

U.京都府における「ふるさと共援活動」の取組事例

京都府でも過疎化・高齢化の進んでいる集落は多く、農村集落と大学、NPO団体、企業等が連携して、農村地域活性化への取組が進められている。

活動の概要

これらの活動費として府と市町村から補助金が出ているが、府や市町村が中心となって活動を行うのではなく、実施主体はあくまで、大学等と農村地域である。今後の目指す方向として、@活動地域の拡大(3年間で30地域)、A集落・大学側のアイデア等を実践する企業等との幅広い連携、B次世代を担う学生に対する農村への愛着の醸成、C農村の魅力とともに厳しさの情報発信、等が考えられている。

ふるさと共援組織による集落活性化のイメージ

ふるさと共援組織の取組状況

最後に

もちろん、京都府には大学数が多く、学生数も当然ながら多い。しかし、京都府以外にも、多くの地方で大学等と連携した地域おこしの取組が進められている。和歌山県有田川町では受入態勢の意識調査を行ったが、一方で、学生が支援活動を行うについては様々な課題が考えられる。例えば、本業である学業との両立、大学の支援活動に対する評価、地域への交通アクセス、宿泊費・交通費等ボランティアというだけでは難しい、等。また、学生個々の考え方にもよるが、卒業論文やレポート作成のために活動を行っても、農家にとっては逆に負担となる可能性もある。厳しい地域の状況を認識し、大学生の農山村活動が永続的に行えるシステム作りが必要である。

(2009.3)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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