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和歌山県の信用保証動向

研究員  石橋 宏之

はじめに

和歌山県内の中小企業に対し「信用保証」を通じて金融の円滑化を図り、中小企業の健全な発展に寄与することを目的として設立された和歌山県信用保証協会は、中小企業と金融機関とを結び付ける『かけ橋』の役割を果たしています。

平成20年11月10日から実施された国の緊急保証制度を活用した中小企業向け県融資制度(資金繰り安定資金・緊急対策枠/新設、経営支援資金・セーフティ枠/拡充)についても、和歌山県信用保証協会が「信用保証」を行なっています。

そこで、和歌山県信用保証協会が発表している「保証月報」のデータ(保証承諾・保証債務残高・代位弁済)について紹介します。

【保証承諾】
  • 中小企業者からの保証委託の申込を受け、信用保証協会が応諾(金融機関に対し信用保証書を交付)すること。
【代位弁済】
  • 信用保証付の貸付金等が、中小企業者の倒産などの事由により金融機関へ返済できなくなった場合に、信用保証協会が金融機関に対して貸付残高を支払うこと。

<県融資制度の概要>

◎資金繰り安定資金(緊急対策枠/新設)

保証対象 中小企業信用保険法第2条第4項第5号(不況業種)に該当する方
保証限度額 8,000万円(返済、運転資金)
融資利率 年2.4%以内
保証期間 10年以内

◎経営支援資金(セーフティ枠/拡充)

保証対象 中小企業信用保険法第2条第4項第1号〜第8号に該当する方
保証限度額 5,000万円(運転資金)
融資利率 年1.6%以内
保証期間 10年以内

1.保証承諾

(1)保証承諾の推移

保証承諾の推移を見ると、件数は18年度まで減少していたが、19・20年度と増加し、20年度は前年比20.0%増の9,253件と大幅に増加した。また、金額においても19年度まで減少していたが、20年度は前年比50.2%増の123,898百万円と過去5年間で最高額となった。

保証承諾の推移(表)

保証承諾の推移(グラフ)

(2)月別

保証承諾を月別に見ると、20年度上半期(4〜9月)は3,109件(前年比25.9%減)の33,732百万円(前年比16.0%減)と件数・金額とも前年を下回ったが、下半期(10〜3月)は6,126件(前年比75.0%増)の90,167百万円(前年比113.0%増)と大幅に前年を上回った。特に12月は2,098件(前年比166.6%増)の32,909百万円(前年比226.2%増)と大幅な増加となった。

月別保証承諾の推移(表)

月別保証承諾の推移(グラフ)

(3)県制度

県制度の保証承諾を見ると、新融資制度が実施された20年11月以降大幅に増加し、特に12月は1,708件(前年比475.1%増)の26,676百万円(前年比894.0%増)と大幅な増加となった。また、20年度下半期(10〜3月)では4,771件(前年比189.7%増)の68,360百万円(前年比363.8%増)、20年度累計でも6,571件(前年比89.0%増)の83,577百万円(前年比170.5%増)と大幅な増加となった。

県制度保証承諾の推移(表)

県制度保証承諾の推移(グラフ)

(4)業種別

保証承諾を業種別に見ると、20年度は鉱業で件数が前年比50.0%減(2件減)となったものの、他の業種では件数・金額とも前年を上回った。また、19・20年度では保証承諾件数・金額とも建設業で最も多くなった。

業種別保証承諾

(5)市郡別

保証承諾を市郡別に見ると、20年度は御坊市で件数が前年比7.0%減となったものの、他の市郡では件数・金額とも前年を上回った。

市郡別保証承諾

2.保証債務残高

(1)保証債務残高の推移

保証債務残高の推移を見ると、件数は19年3月(18年度3月)以降増加傾向となり、19年9月末(19年度9月末)には32,712件まで増加したが、翌月から再び減少傾向となり、20年度末には前年比3.4%減の31,180件となった。一方、金額は20年10月末(20年度10月末)に248,486百万円まで減少したが、11月以降増加に転じ20年度末には前年比4.2%増の272,556百万円となった。

保証債務残高の推移(表)

保証債務残高の推移(件数・グラフ)

保証債務残高の推移(金額・グラフ)

(2)業種別

保証債務残高を業種別に見ると、20年度末の金額は製造業・農林漁業・建設業・卸売業・運送倉庫業・サービス業では前年を上回った。

業種別保証債務残高

3.代位弁済

(1)代位弁済の推移

代位弁済の推移を見ると、件数・金額とも18年度以降年々増加しており、20年度は994件(前年比17.1%増)の8,498百万円(前年比13.3%増)と過去5年間で最も多くなった。

代位弁済の推移(表)

代位弁済の推移(グラフ)

(2)月別

代位弁済を月別に見ると、20年度上半期(4〜9月)は452件(前年比5.2%減)の4,218百万円(前年比16.0%増)、下半期(10〜3月)は542件(前年比45.7%増)の4,280百万円(前年比10.8%増)となり、下半期に件数が大幅に増加した。

月別代位弁済の推移(表)

月別代位弁済の推移(グラフ)

(3)業種別

代位弁済を業種別に見ると、20年度は製造業・小売業・飲食業・運送倉庫業で件数・金額とも前年を上回り、特に製造業では227件(前年比84.6%増)の2,491百万円(前年比79.9%増)と大幅な増加となった。

業種別代位弁済の推移

おわりに

20年度の保証承諾は、件数・金額とも前年を大幅に上回り、特に20年11月から実施された中小企業向け県融資制度を含めた県制度の保証承諾は大幅に増加した。また、20年度の代位弁済も件数・金額とも前年を上回った。

このようなことから、昨年9月以降の世界的な金融危機などの影響により、県内中小企業においても資金繰りが悪化した企業や金融機関への返済ができなくなる企業が増加していると考えられ、今後も保証承諾や代位弁済の動向に注視する必要があると考える。

参考資料

(2009.7)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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