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関西国際空港の現状認識

主任研究員  松村光一郎

関西国際空港(以下「関空」)は、国際交流や経済発展の面を中心に、和歌山はもちろんのこと、関西圏に大きく貢献してきたことはいうまでもない。今回は、関空の開港から現状に至るまでを色々な数字で見てみることで現状を認識し今後の関空の利用促進に向けた課題を考えてみたい。

関空の施設・規模

関空の施設・規模

関空は国際拠点空港を目指して1994年に開港した。設置・管理者が、日本で最初の第3セクター方式による株式会社として、外部資金を調達して建設されたことも大きな特徴(伊丹は国土交通大臣・神戸は神戸市)である。

空港の規模としては、3000m級の滑走路を複数もった24時間空港で、ハブ空港に関する問題でライバルとして名前が出てくる韓国の仁川国際空港(以下「仁川」)と比較しても引けをとらない処理能力や規模を誇っている。しかし、国内への就航路線については、国内の地方空港25都市と結ぶ仁川に比べて関空は、開港時の約40都市から4分の1近くに減少している。

関空における航空機発着回数・旅客数・貨物取扱量の推移

航空機の発着回数

航空旅客数

貨物取扱量

関空の出入(帰)国者数

関空国際線就航便数の推移

就航便数

国内線・国際線の便数推移

開港以来の航空機の発着回数、航空旅客数、貨物取扱量を見てみると、2003年のテロの、2004年のサーズ、昨年の新型インフルエンザなどの悪影響は別にしても、発着回数・旅客数とも苦戦していることがわかる。

特に旅客数について、国内線では1996年の8,295人が2008年には5,000人程度に減少している。これは、伊丹の就航規制が緩和されて以降、各航空会社の伊丹シフトが進んだことが原因と考えられる。その後2004年に、国土交通省が、伊丹への大型機や長距離便の制限を行ったため、若干回復したが昨年からは、日本航空の経営再建による撤退などの影響もあり1日あたりの就航便数は減少している。

一方国際線については、外的要因による落ち込み以外は、発着回数、旅客数とも横ばい状態だとなっているが、内容的には、欧米路線の減少などがあり厳しい状況には変わりない。貨物取扱量については、2000年に100万トンに迫ったが、その後伸び悩んでいる。

関西3空港からの国内路線

関西3空港からの国内路線

【主な廃止路線及び他空港へのシフト路線】

廃止⇒帯広空港、庄内空港、富山空港、米子空港、宮古空港など
伊丹へシフト⇒釧路空港、青森空港、三沢空港、秋田空港、仙台空港、山形空港、福島空港、成田国際空港、新潟空港、松山空港、高知空港、長崎空港、大分空港、熊本空港、宮崎空港、鹿児島空港、奄美空港など

【着陸料の比較】

関空⇒58万円(以前は約83万円)、成田⇒46万円、仁川⇒18万円

関空の場合は、以前から空港使用料(着陸料)の高いことがマイナスとなり、特に国際線については、就航便数の減少につながっているといわれていたが、昨年から空港使用料の値下げなどを実施して発着便数は回復してきている。

しかし、国内線については、今年6月のダイヤで、わずか9路線に対し伊丹発着の国内線は27路線もある。また、先に述べたように多くの地方空港が、韓国の仁川と結ばれている。関空のハブ機能を求めていくための大きな課題は国内線のネットワークにある。

関空への期待

関空は陸地から5キロ離れた海上に建設されている。この都市部からの距離は、伊丹の騒音公害問題の教訓をもとに最大限配慮したためだが、一方で過大な有利子債務を抱えることになり利用離れを招く大きな原因となっている。

しかし、和歌山にとってはもちろんのこと関西にとって、豊富な観光資源を生かすためにも、国際経済交流拠点として発展するためにも関空の存在は必要不可欠である。大阪府が進めている関空までのアクセス改善や医薬品物流基地機能の強化、また新規就航路線の取組みなどを関西全体で連携して推進する必要がある。複数滑走路+24時間運用の世界に誇れる関空の飛躍を期待したい。

参考

(2010.10)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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