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地価変動率の推移について

主任研究員  松村光一郎

地価調査について

全国的に景気の長期低迷とともに地価の下落が続いているが、地価の変動率について全国の動きと和歌山県の動きを見てみたい。

公表されている公的地価には、一般的に「基準地価」「公示地価」「路線価」の3つがある。

路線価は「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があり、公示地価などが敷地そのものについての価格(単価)なのに対して、一定の距離を持った路線に対して価格が決められおり、その路線に面した宅地価格はすべて同じという考え方である。評価時点は毎年1月1日だが公表されるのは毎年8月1日となっている。

公示地価は、地価公示法(昭和44年法律第49号)に基づき国土交通省による土地鑑定委員会が、毎年公示する標準値の価格で、昭和46年(地方圏は昭和47年)から調査が行われている。公示される価格は、その年の1月1日時点で、発表されるのは3月20日頃となっている。

基準地価は、国土利用計画法令(昭和49年政令第387号)に基づき、昭和50年以降毎年実施されており調査の主体が都道府県となっている。公示地価が都市計画区域内を主な対象とするのに対して、基準地価は都市計画区域外の住宅地や商業地、工業地、林地なども含んでいる。基準日は7月1日で、発表されるのが9月20日頃(2010年は9月21日発表)となっている。

今回の地価変動率の推移は、都道府県が主体となって調査している基準地価を元に行うこととする。

全国の地価変動率

今年(2010年)9月21日に、平成22年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を国土交通省が発表した。全国で約21000地点の98.5%が昨年よりも下がっている。2年続けて全体的な下落で全国平均では、住宅地で19年連続、商業地で3年連続のマイナスとなっている。

ここ1年間(2009年→2010年)の変動率は、各用途・各圏域で約3%〜5%の下落で、前回(2008年→2009年は3%〜8%)に比べると、三大都市圏を中心に下落率は若干縮小した。これは、2009年の場合、世界的金融危機後で土地需要が大幅に減少した時点の調査であったが、今年の場合、景気は厳しい状況ながら持ち直しを見せている時点での調査であったことが要因として考えられる。

地方圏については、人口減少や中心市街地の衰退といった構造的な要因もあり、住宅地・商業地とも前回とほぼ同様の下落率となっている。

【全国の地価変動率】

全国の地価変動率
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各圏域の特徴(表1及び表2参照)

東京圏⇒住宅地で平均△3%(前回△6.5%)、商業地で平均△4.1%(前回△8.9%)と下落幅が縮小して、上昇・横ばい地点も僅かに見られた。圏域縁辺部では、相対的に交通利便性が低い地域や人口減少により住宅需要が低迷している地域で下落幅が拡大した。

大阪圏⇒住宅地で平均△3.6%(前回△4.5%)、商業地で平均△5.3%(前回△7.1%)と下落幅が縮小して、商業地においては上昇・横ばい地点も僅かに見られた。圏域縁辺部では、特に商業地において、小規模を中心とする既存商店街で集客力が相対的に衰退していること等を背景に引き続き下落が続いている。

名古屋圏⇒住宅地で平均△1.3%(前回△4.2%)、商業地で平均△2.9%(前回△7.3%)と下落幅が縮小して、住宅地では上昇地点が見られ横ばい地点も少なからず見られた。 

地方圏⇒住宅地で平均△3.6%(前回△3.4%)、商業地で平均△4.8%(前回△4.9%)と下落幅が縮小して、地域によっては上昇・横ばい地点も僅かに見られた。

表1

表2

和歌山県の地価変動率

和歌山県でも、国土交通省が全国の基準地価を発表した9月21日に、平成22年7月1日時点の県内の基準地価を発表した。過去の地価変動率を見ると、平成2年に住宅地・商業地ともに22%台の上昇があり高騰しているが、その後はマイナス変動となっている。

【和歌山県の地価変動率】

和歌山県の地価変動率
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県内全体の平均変動率は、平均△4.7%で、前年(2009年△4.0%)よりも下落幅が拡大している。

住宅地(表3参照)については、県内全体の平均変動率は△4.5%(2009年△3.7%)で、前年よりも下落幅が拡大している。平成3年から20年連続の下落で、上昇地点及び横ばい地点はなく全地点で下落している。岩出市は、変動率が△1.7%で、県内の9市の中で唯一昨年度よりも下落幅が縮小している。

商業地(表4参照)についても、県内全体の平均変動率は△5.4%(2009年△4.5%)で、前年よりも下落幅が拡大している。平成4年から19年連続の下落で、上昇地点及び横ばい地点はなく全地点で下落している。県内の景気動向が、依然先行き不透明であることから住宅地以上の厳しい下落率となっている。

表3

表4

和歌山県内市町村別の地価変動率

【和歌山県北部市域の地価変動率】

和歌山県北部市域の地価変動率

【和歌山県海南・紀中・紀南市域の地価変動率】

和歌山県海南・紀中・紀南市域の地価変動率

【平成22年和歌山県地価調査の結果】

平成22年和歌山県地価調査の結果

平成21年の調査から平成22年の調査結果を比較してみると、市部では、紀の川市の△7.3%の下落が最も大きく、ついで有田市の△6.0%、御坊市の△5.8%であった。一方で岩出市は、△1.9%(前年△3.5%)と下落幅が縮小しているが、これは和歌山市や大阪府のベッドタウンとして、人口も増加を続けており今後も一定の住宅需要が見込まれることが要因となっている。

町村部では、那智勝浦町の△8.6%の下落が最も大きく、次いで太地町△7.9%、串本町△6.7%東牟婁地方の下落率が特に大きい。一方、九度山町では△1.6%と下落幅が前年の△3.4%から大きく縮小している。また高野町、広川町、南部町でも若干下落幅が縮小している。

表5

表6

表7

表8

用途別(表5から表8参照)では、住宅地の最高地点が、和歌山市吹上4丁目の173,000円で20年連続トップだったが、前年からは3000円下落している。商業地の最高地点は、和歌山市友田町5丁目の500,000円で、調査対象となった1999年から12年連続トップだが、前年からは20,000円の下落となっている。また、下落幅が最も大きかった商業地は、田辺市北新町の70,800円、及び那智勝浦町北浜の58,300円でいずれも10%の下落となっており地域経済の低迷に加え商業の中心が郊外に移ってきていることが要因と考えられる。

地価変動率の結果

全国的には、全都道府県の住宅地・商業地とも平均地価が前年よりも下がっているが、リーマンショックで大きく落ち込んだ前年と比べると、東京圏や名古屋圏で特に住宅地の下落率が縮小して下げ止まりの兆しが見えてきたといわれている。一方で大阪圏や地方圏については、地価の動きにあまり改善がみられていない。

和歌山県内の地価動向についても下げ止まりとはいえない。調査全地点で下落しており、下落幅も前年よりも拡大している地域が多い。利便性の高い一部の地域(岩出市・九度山町等)では下落幅の縮小も見られるが全体では、住宅地が20年連続、商業地で19年連続の下落となっている。

地価は景気を判断する重要な要素の1つである。特に商業地においては、実質的な利用価値を表しており、地域経済の活性化に直結する指標と考えられる。全国の地方都市や大阪圏の動きと同様に地価に改善の動きが見られない状況で、人口減少や中心市街地の衰退が益々懸念される。

県内の景気動向は、一部で改善されているが依然先行きは不透明な状況にある。土地利用の活性化で実質的な利用価値が高まることで、県内景気の浮揚を期待したい。

参考

(2011.1)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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