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和歌山県の景気動向〜景気動向調査2010年〜

主任研究員  松村光一郎

はじめに

当研究所では、四半期毎に景気動向調査を実施し、県内企業の実態・動向・先行きを把握するとともに、現在の経済環境が県内の各企業にどのような影響を及ぼしているかを調査しており、また同時にトピックス的な事項を毎回クローズアップして特集として調査している。

ここでは、昨年(2010年1月から12月まで)1年間に実施した景気動向調査をもとに、2010年の県内景気を振り返るとともに、特集で取り上げた各テーマにおける県内各企業の取組みや実態を紹介する。

1.和歌山県内の自社景況

当研究所の景気動向調査では、昨年1年間(2010年)の和歌山県の景気動向を四半期毎の調査におけるBSI値から概観し次のように表現した。

1〜3月期 BSI値 -34.3(8.1ポイント上昇) 「県内景況感4期連続改善」
4〜6月期 BSI値 -30.4(3.9ポイント上昇) 「県内景気は改善傾向が続く」
7〜9月期 BSI値 -22.6(7.8ポイント上昇) 「景況感は改善続くも先行き不透明」
10〜12月期 BSI値 -25.7(3.2ポイント下降) 「景気回復は小休止、跛行性強く先行き不透明」

県内景況感は、21年4月〜6月期以降、改善傾向が続き、22年に入っても7月〜9月期まで改善が続いて、BSI値を前年と比較すると平均で約20ポイント高くなっている。しかし、10月期〜12月期には、円高の進行や失業率が高止まりの影響もあり、景気回復は足踏み状態となった。

また、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(日銀短観)と比較してみると、改善幅等は多少異なるものの同様の動きを見せている。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

2.地域別の自社景況

県内自社景況を和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域の4地域に分けて比較すると、地域別で景況感の動きや改善幅が異なるものの、7月〜9月期は全地域で改善となった。また紀北地域は全期で改善となった。

<地域区分>

和歌山市
紀北地域 海南市、紀美野町、岩出市、紀の川市、橋本市、かつらぎ町、九度山町、高野町
紀中地域 有田市、湯浅町、広川町、有田川町、御坊市、美浜町、日高町、由良町、印南町、みなべ町、日高川町
紀南地域 田辺市、白浜町、上富田町、すさみ町、新宮市、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町

県内自社景気の地域別比較表(全産業)

4〜6月 7〜9月 10〜12月 改善幅
(対1〜3月)
和歌山市 up up up +4.0P
紀北地域 up up down +24.5P
紀中地域 down down up +18.2P
紀南地域 down up up +10.0P
和歌山市・・・4月〜6月は下降、7月〜9月は上昇、10月〜12月は下降した。
紀北地域・・・上昇が続いた。
紀中地域・・・上昇が続いた。
紀南地域・・・4月〜6月、7月〜9月は上昇するも10月〜12月は下降した。

3.特集調査の要約

(1)「新たな政策への期待について」(平成22年3月調査)

2009年8月の総選挙で民主党政権が成立し、政権公約としてマニフェストには様々な政策が盛り込まれていた。しかし、国を取り巻く環境は税収の落ち込み、悪化する雇用情勢など、企業でも景況感は回復せず先行きも不透明であり、企業の「新たな政策への期待」について調査・分析を行った。

【要約】

企業の厳しい景況感が続く中で、「景気対策」を期待する割合が9割を超えており、他の政策を大きく上回っている。中長期的な効果を生み出す政策よりも即効性のある景気対策が現状の企業にとって必要な状況にあることが伺われる。いろいろな政策が実現すれば、企業業績の改善につながると考えている企業は9割を超えており、政策効果を期待する声は高い。

また、政策実現のための国債発行については、5割超の企業が肯定的であるが、逆に国債発行をするべきではないと反対する企業も約3割となっている。政策実現にはお金が必要であり、その原資には企業が支払う税金も当然に含まれている。今の厳しい経営環境にある企業が期待する効果を最大限生み出す政策実現を期待したい。

図1 期待する政策
図1 期待する政策

図2 政策実現された場合、自社業績に対する効果
図2 政策実現された場合、自社業績に対する効果

図3 国債発行
図3 国債発行

(2)「デフレの影響について」(平成22年6月調査)

政府は2009年11月の月例経済報告で「緩やかなデフレ状況にある」との認識を示した。

景気は回復傾向にあるといわれていたが、物価の下落は企業収益を悪化させ個人消費の減少につながっており、景気低迷の要因といわれる「デフレ」の影響について調査・分析を行った。

【要約】

デフレの影響について、「マイナスが大きい」と「少しマイナスがある」の回答を合わせると約8割の企業がマイナスの影響を受けていることがわかった。

これらのマイナス影響の内容は、「売上・利益の減少」が62.6%を占めて最も高く、次いで「競争の激化」、「消費者の低価格志向」、「商品・サービス価格の引下げ」と続いている。

また、デフレに対して最も効果があると思われる施策としては「需要創出」32.5%、「法人税引下げ」24.8%、「金融対策」20.3%となっており、消費拡大や消費を刺激する税制改革や金融対策などの要望が多かった。

図1 デフレの影響
図1 デフレの影響

図2 マイナス影響の内容
図2 マイナス影響の内容

図3 効果があると思われる施策
図3 効果があると思われる施策

(3)「消費税に関する意識調査ついて」(平成22年9月調査)

財務省は、国債や借入金などの国の借金が6月末時点、904兆772億円で過去最高を更新したと発表した。国の財政状況は主要先進国の中でも最悪の水準となっており、さらに、人口高齢化に伴う社会保障費の増加が見込まれることから、近い将来、消費税を含めた税制改正の必要性に対する認識は高まっている。そこで、税制改正の中でも関心が高い「消費税に関する意識調査」行った

【要約】

消費税の見直しに関する意識は、「まず歳出削減を最大限すべき」と回答した企業が全体の約7割を占めている。税率については、「品目により軽減すべき」と回答した企業が75.9%あり、その軽減すべき品目は、「食料品」が90.9%と圧倒的に多く、次いで「医薬品」「水道水」「家庭用燃料及び電力等」など生活必需品であった。

適切な消費税率については、「10%〜19%」と回答した企業が34.0%あり、「6%〜9%」の26.0%を合わせて現状よりも高い税率を選択した企業が6割あった。

さらに、消費税の見直しについては、「早期に引き上げるべき」(6.0%)、「引き上げはやむを得ない」(50.8%)を合わせると条件付ながら5割を超える企業が、見直しを容認していることがわかった。経営に与える影響を懸念しつつも国の財政状況と増大する社会保障制度等を考えての選択である。

図1 見直しに関する意識
図1 見直しに関する意識

図2 軽減すべき品目
図2 軽減すべき品目

図3 見直しについて
図3 見直しについて

(4)「円高が企業経営に及ぼす影響について」(平成22年12月調査)

個人消費の落ち込みなど景気が厳しい状況の中、平成22年の初めから円高基調が続いており、1995年以来の円高水準となっている。この急速な円高が輸出企業の収益悪化を招き、企業マインドの下ぶれを招くことが懸念されている。

このような状況の下、政府・日銀においても為替相場の動向を注視し円高回避に関する議論も頻繁に行われていることから、「円高が企業経営に及ぼす影響」について調査を行った。

【要約】

急激な円高が企業経営に及ぼす影響については、「どちらともいえない」と回答した企業が35.8%、「今のところ影響はない」が29.9%で全体の約6割以上を占めた。「マイナスの影響を受けている」、「マイナスの影響が大きい」と回答した企業は全体の2割にとどまっている。

マイナスの影響を受けている企業の内容は、「売上減」や「受注減少及び受注単価の低下」、また「海外商品の流入」などの回答が多かった。また数少ないプラス影響があると回答した企業の内容は「仕入れ単価の低下」と「原材料価格の低下」が大半を占めている。

自由意見の中には、急激な円高に対しては、企業努力だけでは対処がし難いとの意見も多く、今後の政府・日銀等の対応、支援策への期待が強いことが伺われた。

図1 自社利益に与える影響
図1 自社利益に与える影響

図2 海外との取引関連企業の影響
図2 海外との取引関連企業の影響

図3 望ましい(対米ドル)為替水準(海外との取引企業)
図3 望ましい(対米ドル)為替水準(海外との取引企業)

(2011.4)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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