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RVキャンプ旅行者の動向

研究委員  中西 望

(はじめに)

2020年1月15日に国内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから、既に2年半が過ぎ、新たな変異株が襲ってくるたびに、感染者数は増加しています。この影響により、日本国内における外国人旅行者を含む旅行・観光消費額は、2019年に27.9兆円(日本人旅行者23.1兆円、外国人旅行者4.8兆円)あったものが、2021年には9.4兆円(同9.3兆円、0.1兆円)まで、大きく落ち込んでいます。2022年に入り、新型コロナの第6波の中でも行動制限が緩くなった上半期(1-6月)の日本人の国内旅行消費額は、6.8兆円と2021年の約2倍、2019年の66%まで回復しましたが、更に大きな第7波により、回復のスピードダウンの兆しもみえます。このような中でも、旅行消費額は小さいですが、キャンピングカーによる旅行は、新型コロナの影響を受けずに着実に伸びており、キャンピングカー旅行者のための車中泊施設も増加しています。この車中泊施設の一つに、『快適に安心して車中泊が出来る場所』として、一般社団法人日本RV協会(以下 JRVA)が定めたRVパークがあります。本報告書では、キャンピングカー旅行者(以下 RVキャンパー)やRVパークの現状を調査し、今後の在り方等について考察します。

1.オートキャンプ参加者とキャンピングカーの動向

令和3年観光白書によると、新型コロナウイルス感染症が拡大する以前より、キャンプ等のアウトドア需要は高まっており、オートキャンプ参加人数は、2012年の720万人から2019年には860万人まで、7年間で140万人増加し、さらに新型コロナウイルス感染症による旅行者の変化として、3密の回避につながる自然が多い地域への訪問意向が高まっているとの民間団体等の調査結果が報告されています。

一方、JRVAが発行するキャンピングカー白書2022では、国内キャンピングカーの保有台数は、2005年の初調査以降増加を続けており、2021年には累計保有台数は136,000台となり、直近10年間で1.8倍になりました。また、国内キャンピングカー販売額も2011年以降増加を続け、新車・中古車の合計で635.4億円となり、直近10年間で約3倍と市場規模は急激に拡大しています(図1)。キャンピングカーの購入価格では、400〜500万円台が、全体の26.3%でトップですが、800〜1500万円台が前年比で増加傾向であり、全体の約3割がこの価格帯になっていることから、今後も高価格帯のキャンピングカーが増えていくと予測されます。一方、レンタルキャンピングカー白書によると、レンタルキャンピングカーネット掲載店舗数は、2016年の113店舗から2020年は332店舗と急拡大しており、特に2020年はコロナ禍の影響あってか、関東地方での増加が大きく、前年比20%増となっています。また、1店舗当たり保有台数も2.1から3.0台と車両台数の増加もみられます。このような状況からみると、RVキャンパーは、今後も増加し、高価格帯キャンピングカーの購入者の増加傾向から旅行消費額の上昇にも期待がもてます。

図1 キャンピングカー保有台数と年間販売額の推移

2.RVキャンパーのマナー違反増加とRVパークの誕生

年々増加している車中泊に対して、手軽に安心して泊まれる施設が少なく、利用ルール等の整備されていない道の駅やサービスエリア等の利用者が多くなっており、一般利用客に対する迷惑行為が見受けられています。主な迷惑行為は、1.一晩中エンジンをかけっぱなし、2.駐車場にテントやテーブルセットの設営、3.洗面所で食器や体を洗い、汚水や残飯を流す、4.多量のごみの廃棄、5.施設内で洗濯し、駐車場で干す。その他、駐車場での連泊、施設に近いハンディキャップ用の駐車スペースへの駐車等となっています。これに対して、JRVAは、快適に安心して車中泊が出来る場所として定めた条件を満たす車中泊施設を「RVパーク」として認定し、全国各地の温泉、旅館、道の駅、遊園地等々の様々な施設で、RVパークの設置を進めています。認定要件は、1.4m×7m程度の駐車スペース、2.一週間程度の滞在が可能、3.24時間利用可能なトイレ、4.100V電源が使用可能、5.入浴施設が15km圏内、6.ゴミ処理が可能、7.入退場制限が緩やかで予約が必須ではないこと、8.RVパークの看板を設置することとなっています。また、利用ルールも、車外での調理や直火の禁止、アイドリング駐車や発電機等の禁止、ごみや排水処理の利用規定順守等が定められていて、前述した、迷惑行為を引き起こさず利用者が互いに快適に利用できるようになっています。RVパークの第1号は、2012年7月29日に開設した山口県萩市の「RVパークたまがわ」であり、「道の駅ゆとりパークたまがわ」から約500mの場所で、田万川温泉に隣接して設置されました。2022年8月24日時点では、278施設になっていますが、2021年から急速な伸びを示しています(図2)。

図2 RVパーク数の推移(毎年7月末時点)

3.RVパークの立地及び設備

2021年10月15日時点の235施設では、浴場・温泉やホテル・旅館に隣接した施設が約40%(図3)、利用可能台数が数台程度の施設が大半を占めて、フルコン、バスコン等の大型車が利用できない施設が3割強あります(図4)。また、長期間滞在の利便性からみるとwifiや入浴施設が1km以内にある施設が少なく(図5)、利用料金は、1日、1台当り1,500〜2,500円が全体の約50%を占めており(図6)、一般的な駐車料金と同程度となっています。

図3 隣接施設別RVパーク数◆

図4 駐車可能車種別RVパーク数◆

図5 整備されている設備別RVパーク数◆

図6 利用料金別RVパーク数◆

4.RVキャンパーの特性

キャンピングカー白書2021によると、キャンピングカーユーザーは、関東37.1%、近畿17.8%、東海15.0%と日本の中央部に70%が居住しています。所有者の年齢は、50代、60代が73.3%と多く、旅行の平均宿泊日数は2泊が41.3%と最大ですが、1週間以上の長期滞在も9.2%(内1ヵ月以上が1.1%)あります。家族1日当りの総予算は、5千〜2万円が66.6%と大半が、コストを抑えた旅行を行っています。同行者は夫婦・パートナーが71.8%と圧倒的に多く、宿泊場所(複数回答)は、道の駅81.6%、SA/PA62.0%が依然として多い中、RVパークも55.1%と3位に上昇してきています。食事(複数回答)は、外食利用者が53.6%と最も多くなっています。キャンピングカーによる旅行スタイルの変化(複数回答)は、時間に束縛されない78.0%、目的地が自由に選択できる74.9%、温泉観光地名所を巡りやい56.3%、コストを抑えた旅行51.8%、天候季節を気にしない37.3%、自然と接する機会が増えた32.8%となっています。また、RVパークに対する希望(複数回答)は、施設の増設85.7%、wifi設備44.0%、観光地・繁華街近くへの設置42.1%となっています。

5.RVキャンパーによる旅行消費額の動向

観光庁の旅行・観光消費動向調査からみると、RVキャンパーは前項で述べた通り、コストを抑えた旅行を行っています。観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、車中泊旅行者は、宿泊費のみならず、入場料等の参加費や飲食費まで抑えて、旅行中の消費単価は、一般的な旅行の約1/2となっています(表1)。しかしながら、旅行中消費総額では、ホテルや旅館が殆どを占める中で、キャンプ場と車中泊を合計すれば、ペンション・民宿等を凌ぐ消費額となっており(図7)、全宿泊に対する比率も2021年は5.7%と2019年の1.5倍に上昇しています。旅行消費額が増加する中で、RVパークを開設する事業者視点で見た場合、浴場・温泉、ホテル・旅館、観光施設等、キャンプ場と隣接するRVパークでは、隣接施設利用による売上げ増が見込め、道の駅等では、無料で無秩序に利用されることによる昼間の一般利用者に対する迷惑問題の解決や飲食料品等の売上げ増も見込めます。また、どのような施設にも隣接しないRVパークについても、遊休地や駐車場の一部が利用されており、利用料の収入見込めますが、いずれにしても収入は小さいと思われます。

表1 旅行中の消費単価(2018年〜2022年平均)

図7 観光・レクリエーション旅行における宿泊先別旅行中消費額(2021年)

6.和歌山県へのRVパーク設置促進について

上記の調査をもとに、和歌山県におけるRVパーク設置の促進について考察してみます。近畿のキャンピングカーユーザーは、国内全体の17.8%ですが、2022年8月22日時点のRVパークは29施設で全体の10.4%と少なく、その内、和歌山県には4施設しかない状況です(図8)。三重県を加えた関西圏内では、南部に立地するRVパークは非常に少なく、今後の設置チャンスは残されていると思います。しかしながら、車中泊1泊1人当りの宿泊費は、約1,000円であり、RVパーク単独で開設する場合、管理費等を差し引くと事業化は困難と考えます。一方で、RVキャンパーの希望の1つとして、観光地や繁華街の近くを多くの人が希望しています。また、キャンピングカー白書2021におけるRVキャンパーへのアンケート調査を総括すると、「40〜60代の夫婦やパートナーが、交通手段の少ない観光名所や自然の中で、人に邪魔されず、静かな環境の中で、都会の煩雑さから逃れ、ゆったり過ごす」といった特徴がみえます。従って、これまで人の来なかった、秘境や僻地の自然を観光資源として利用できるチャンスが巡ってきたともいえます。RVパーク単独で事業が困難でも、過疎地域に人を呼び込む手段として、RVパークは、田舎暮らし移住者に向けた宣伝塔になり得ます。和歌山県においては、RVパークを訪れる方々に、地域の知られざるスポットや生活の情報及び伝統文化等の地域課題を知って頂く機会をつくる観光振興とわかやま移住定住総合戦略と合わせ、RVキャンパーによる交流人口を地域密着型の関係人口から移住・定住につなげていくことも一つの方法と考えます。

最後になりますが、このようなRVパークを企画する場合、清潔な24時間トイレ、隣接した浴場、ごみ処理、食器等の洗い場、100V電源(できれば20A以上)に加えて、wifiの設置、ペット可が最低必要条件と考えます。特に、wifiは、希望する利用者も多く、地域密着型の関係人口や第2のふるさとづくりとして、都会で働きながら、ワーケーションやテレワークで地域を訪れる方々にとっては、必須の設備となります。

図8 関西圏のRVパーク(2022.8.22時点)

(2022.12)
(執筆者の所属、役職等は発表当時のものです)

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