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景気動向調査 No.105

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(昨年7〜9月期)における県内経済の状況

昨年7〜9月期の県内景況BSIは前期の大幅下降からは持ち直すも
前年同期の水準には至らず

熊本地震、英国でのEU離脱問題が生じた昨年の4〜6月期を経て、7〜9月期の国内経済情勢は落ち着きを取り戻した。そのような状況下で、県内景況BSIは4〜6月期の大幅下降からは上昇するも、前年同期の水準までは戻らず、売上高・収益については依然として4割強の事業者が「減少」と回答する結果となった。中でも公共工事の発注額減少が続く建設業は、6期連続で景況BSIが下降し、商業では売上高・収益等が「減少」しているとの回答が半数以上を占めた。製造業やサービス業の一部には持ち直しの動きも見られるものの、県内経済には依然として弱さが残っている。

3.10〜12月期の国内経済情勢

昨年夏場までの景気低迷からは持ち直しつつあり
国内企業の景況感は緩やかに改善

2016年は年初から夏場にかけて、世界経済の減速懸念の強まり、円高進行、熊本地震、英国のEU離脱問題、台風等の天候不順など、景気を下押しする要因が重なった。10月以降には、情勢に落ち着きが見られるようになり、減速が懸念された世界経済も堅調な推移をみせ、日本からの輸出数量は増加傾向にある。年前半の落ち込みもあって、生産活動、個人消費は持ち直している。11月の米国大統領選挙後には円安株高が進み、企業の景況感や業績も回復傾向を示す。このような状況を受けて、内閣府は12月の「月例経済報告」で、1年9カ月ぶりに国内景気の基調判断を引き上げた。経済情勢は、足元では持ち直しの動きを見せている。ただし、昨年12月に日本銀行が発表した日銀短観調査が示す通り、国内企業の景況感(短観DI)は昨年1〜3月期と同じ値まで持ち直したに過ぎず、今後の見通しについては、弱含む状況となっている。

4.今回の調査課題

以上のような国内経済情勢の中で実施した当調査では、「昨年10〜12月期の県内事業者の景況感・業績」、「1〜3月期の県内事業者の景況感・業績(見通し)」に加えて、特集アンケート「県内事業者の人材確保と今後の取り組み」について報告を行う。

■(特集アンケート)県内事業者の人材確保と今後の取り組みについて

県内では有効求職者数が22年ぶりの低水準となる一方で、有効求人数は高水準で推移しており、事業者による人材確保は難しくなっている。そこで、今回の特集アンケートでは、県内事業者の人材確保の状況と、人材確保難に対する対応策、取り組みについて質問を行った。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

県内景況BSIは2期連続で上昇し、マイナス幅は縮小
ただし、業種によっては、業況に厳しさが見られるなど、明暗が分かれる
また、1〜3月期の見通しには慎重さが残る

○国内景気を示す日銀短観DIは2ポイント上昇するも、個人消費関連の業種は低調な動き

国内景気について、昨年10〜12月期の日銀短観DIは2期連続で上昇(13頁参照)。製造業は3ポイント、非製造業は2ポイント上昇した。製造業については、内需・外需ともに持ち直しの動きがみられる一方で、非製造業については、情報サービス、通信で短観DIが上昇するも、小売、宿泊・飲食サービスなど個人消費に関連する業種では低調な動きとなっている。

○一部に弱さが残るものの、昨年10〜12月期の県内景況BSIは2期連続での上昇となった

昨年10〜12月期の県内景況BSIは2期連続で上昇し、マイナス幅が縮小。建設業における景況BSIの下降基調に一服感が見られたことや、製造業の堅調さ、卸売業、サービス業の持ち直しが全体の景況BSI上昇に寄与した。ただし、小売業では業況悪化が続いており、サービス業においても、旅館・ホテル、飲食業などで業況が悪化している。また、景況BSIが上昇した業種においては、人手不足感が再び強まるなど、懸念材料が複数見られた。

○1〜3月期(見通し)の県内景況BSIは下降。見通しには慎重さが残る

1〜3月期(見通し)の県内景況BSIは商業を除く全ての産業で下降となった。前述の通り、国内外の経済情勢の落ち着きを背景に、国内景気は緩やかな回復基調を見せていることから、今後は、生産活動、個人消費ともに緩やかに持ち直していくことが期待されるが、米国をはじめ、欧米諸国の政治状況、中国経済などについては、先行き不透明感が強く、実態経済への影響については、注意を要する。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

家計の景況感は、2014年4月の消費増税後の最低値を更新

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業82社、サービス業28社の計110社。

広義の建設業の景況感

「広義の建設業」の景況BSIは大きく上昇し
非建設業とほぼ同水準に

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のことで、「非建設業」とは、この広義の建設業以外を意味する。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が134社、「非建設業」は585社の計719社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 70社   景況BSIの推移 (前回 −17.9 → 今回 −1.5)

景況BSIは7期ぶりに上昇
ただし、見通しには弱さが残る

県内建設業は、7期ぶりに景況BSI(昨年10〜12月期)が上昇した。建築工事業、電気工事業、管工事業において、景況感を「良い」とする事業者が増加したことに加えて、土木工事業において景況感を「悪い」とする事業者が減少したことが、景況BSIの上昇に寄与した。

県内建設業を取り巻く環境において、西日本建設業保証(株)が発表している県内の公共工事請負金額(昨年4〜11月期累計)は、前年同期比2.6%減となっており、依然として前年を下回っているが、その減少幅は縮小傾向にある。また、2014年4月の消費増税以降、低迷していた県内新設住宅着工戸数は持家、分譲住宅において持ち直しの動きが見られる。これらの状況改善についても、県内建設業の景況BSI改善の要因と考えられる。

ただし、1〜3月期(見通し)に関しては、景況BSIは再び下降に転じる模様で、今回の景況BSI上昇の動きが継続する見込みは低い。国土交通省「主要建設資材需給・価格動向調査」によると、県内建設業において、セメント、木材、鋼材等の資材需給は依然として緩んでおり、今後についても、業況は低調な推移にとどまると考えられる。

≪製造業≫

回答事業者数: 197社   景況BSIの推移 (前回 −1.2 → 今回 −1.6)

景況BSIは前回からほぼ横ばい
売上高・収益に関するBSIは上昇

県内製造業の景況BSIは前回からはほぼ横ばい。食料品、化学、鉄鋼・金属製品では景況BSIが上昇するも、繊維製品、木材・木工の景況BSIは下降した。

売上高・収益に関するBSIについては、いずれも前期からは上昇。特に収益BSIは2013年以降の最高値を更新。

その他の項目では、昨年11月以降の円安進行、原油価格の上昇などもあり、仕入価格BSIは再び上昇に転じた。また、人手不足感が鉄鋼・金属製品、機械・機械部品などで強まっている。

1〜3月期の見通しについては、業況に堅調さがみられた業種(鉄鋼・金属製品、機械・機械部品)で、景況BSI、売上高・収益の各BSIが下降する模様で、やや弱含む。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 29社
景況BSIは2期連続で上昇し
2013年10〜12月期以降では初めてマイナス圏を脱出


昨年10〜12月期の景況BSIは2期連続で上昇し、0.0に。2013年10月〜12月期以降では初めてマイナス圏を脱した。売上高BSI、収益BSIについても上昇しており、売上高では約4割、収益で約3割の事業者が「増加」と回答した。ただし、業種内で状況は異なり、特に梅干製造事業者において、景況感を「良い」とする事業者は少なく、業況は低調。
その他の項目については、仕入価格の上昇懸念が急激に強まっており、約7割の事業者が前四半期に比べて仕入価格が「上昇」したと回答している。また、業況の悪い事業者を中心に資金繰りが「悪化」しているとする事業者が約3割見られた。
1〜3月期の見通しについては、売上高・収益について、「減少」と回答する事業者が増加し、景況BSIも下降する模様で、見通しには弱さも見られる。
繊維製品 回答事業者数: 36社
景況BSIは5期ぶりに下降
景況感を「悪い」とする事業者が再び増加傾向に


4期連続で景況BSIが上昇していた繊維製品だが、今回は5期ぶりに下降した。中でも丸編みニット生地製造業で景況感を「悪い」とする事業者が目立った。仕入価格の上昇懸念は他業種に比べてそれほど強くなく、仕入価格BSIは0近傍で推移している。
1〜3月期(見通し)については、景況BSIは再び上昇する模様。ただし、景況感を「悪い」とする事業者は約4割と再び増加傾向にある。
木材・木工製品 回答事業者数: 17社
景況BSIは下降し、2013年以降の最低値を更新
業況は依然として厳しい


これまで景況BSIは上下動を繰り返す一進一退の状況にあったが、昨年10〜12月の景況BSIは大きく下降し、2013年以降の最低値を更新した。景況感を「悪い」とする事業者は約半数を占め、売上高では約4割、収益では約6割の事業者が「減少」と回答するなど、業況は依然として厳しい。
1〜3月期の見通しについては、景況BSIは大きく上昇に転じる見通しだが、景況感を「悪い」とする事業者が減少したことが大きな要因であり、売上高・収益等の業績については、依然として「減少」と回答する事業者が多い。
化学製品 回答事業者数: 12社
景況感を「悪い」とする事業者は一部にとどまり
景況BSIは2期連続で上昇し、高水準


景況感を「悪い」とする事業者は、昨年4〜6月期には約4割まで増加したが、10〜12月期には1割弱まで減少した。この結果、景況BSIは2期連続で上昇し、高い水準となっている。売上高・収益についても、「増加」とする回答が「減少」とする回答を上回っており、BSIは比較的高い水準となっている。
その他の項目については、仕入価格の上昇懸念はそれほど強くなく、仕入価格が「下降」しているとする回答が増加している。また、人手不足感については、再び強まりつつある。
1〜3月期の見通しに関しては、今回調査で景況感を「良い」とした事業者の一部で、景況感を「悪い」と予想する事業者が複数見られたことから、景況BSIは下降する模様。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 23社
景況BSIは極めて高い水準まで上昇
売上高・収益についてもBSIは上昇


これまで景況BSIは上昇、下降を繰り返してきたが、昨年10〜12月期については、景況感を「良い」とする事業者が約4割まで増え、景況BSIは極めて高い水準まで上昇。売上高・収益についてもBSIは上昇しており、景況感・業績ともに改善の動きが見られた。
機械・機械部品 回答事業者数: 41社
景況BSIは前回からやや下降するも高水準を維持
ただし、1〜3月期の見通しではマイナス水準まで下降する模様


景況BSI(昨年10〜12月期)は、前回からやや下降したものの、高水準を維持。ただし、1〜3月期(見通し)には、景況感が悪化する事業者が多く、景況BSIはマイナス水準まで下降する模様。これまで堅調な動きを見せていた事業者を中心に、景況感、業績を下方修正する動きが目立った。ただ、このような状況の中でも、業況堅調な事業者を中心に人手不足感が再び強まっており、経営課題として「人材不足」を挙げる事業者が増加している。
その他の製造業 ※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業など
回答事業者数: 39社
景況BSIの上昇に加えて
売上高・収益についてもBSIが上昇


前期に続いて、昨年10〜12月期の景況BSIは2期連続で上昇。景況感を「良い」とする事業者が約2割、「悪い」とする事業者が約2割で拮抗しており、景況BSIは0.0となった。「良い」とする事業者の中には印刷業が、「悪い」とする事業者の中には、生活雑貨品製造業、窯業・土石品製造業が多く見られた。また、売上高、収益についてもBSIは上昇した。
1〜3月期(見通し)については、景況BSI、売上高・収益の各BSIはいずれもやや下降する模様。

≪商業≫

回答事業者数: 203社   景況BSIの推移 (前回 −28.9 → 今回 −20.6)

景況BSIは2期連続で上昇
ただし、卸売業は「改善」するも、小売業は「悪化」

県内商業の景況BSI(昨年10〜12月期)は2期連続で上昇し、一昨年10〜12月期の水準まで改善した。ただし、卸売業では景況BSIが大きく上昇し、売上高BSI、収益BSIも改善する一方で、小売業では、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答した上に、6割強の事業者が売上高、収益が前四半期に比べて「減少」していると回答するなど、様相は2産業で大きく異なる。また、卸売業についても、依然として約4割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答している点や、1〜3月期(見通し)における景況BSIが下降に転じる点などを踏まえると、今後の動向には十分注意が必要である。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 121社
景況BSIは大きく上昇し、売上高BSI、収益BSIも改善した
ただし、その水準は低く、見通しは弱い


昨年10〜12月における県内卸売業の景況BSIは大きく上昇し、2014年4月の消費増税以降の最高値を更新した。さらに、売上高BSI、収益BSIについても、最高値を更新した。昨年4〜6月期には景況BSIが2013年以降の最低値を更新し、過半数の事業者が売上高・収益は「減少」したと回答していたが、今回の調査結果からは状況が改善していることがうかがえる。中でも、建築関連卸売業、飲食料品卸売業、化学製品卸売業、その他の卸売業(包装品、段ボール製品等)における業況改善が全体に寄与した。
ただし、依然として、約4割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答している点や、1〜3月期(見通し)における景況BSIが下降に転じる点などを踏まえると、今後の動向には注意が必要である。
小売業 回答事業者数: 82社
約半数の事業者が景況感を「悪い」とする
売上高・収益等の悪化傾向に歯止めがかからず、業況は厳しさを増している


昨年4〜6月期に2013年以降の最低値を更新した景況BSIは、前回(昨年7〜9月期)は上昇したが、今回(昨年10〜12月期)は、再び下降に転じた。約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答し、業績についても、6割を超える事業者が売上高、収益が「減少」していると回答した。業種別では、燃料小売業、生活・文化用品小売業(書籍、家具、宝石・化粧品等)、衣料品小売業で業況が悪化している。これらの業種では、景況BSIだけではなく、売上高・収益等のBSIも悪化しており、業績悪化傾向に歯止めがかからない状況にある。また、従業員規模別に見た場合、従業員4人以下に加えて、5〜9人、10〜19人の規模において、景況BSIの悪化が進んでいる。
このような状況は、1〜3月期の見通しにおいても、改善の兆しは見られず、県内小売業の業況は厳しいまま推移すると予想される。

≪サービス業≫

回答事業者数: 249社   景況BSIの推移 (前回 −11.6 → 今回 −6.5)

景況BSIは2期連続で上昇するも
業況は業種によって明暗分かれる

県内サービス業の景況BSI(昨年10〜12月期)は、2期連続の上昇となった。不動産業、運輸業、医療・福祉、対事業所サービス業における景況BSI上昇が全体をけん引した。これらの業種では、売上高・収益等の業績についても改善が見られた。

その一方で、旅館・ホテル業、教養・娯楽、生活関連サービス業、飲食業については、業況に厳しさが見られる。2015年までは、サービス業全体をけん引してきたこれらの業種だが、「売上不振」に加えて、「人手不足」、「受注単価の低下」など様々な経営課題を抱え、今後の見通しにも厳しさが見られる。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 ※物品賃貸業含む
回答事業者数: 36社
建設機械等の物品賃貸業の寄与もあり
景況BSIは上昇


景況BSI(昨年10〜12月期)は3期ぶりに上昇。一昨年10〜12月期とほぼ同水準まで回復した。建設機械等の物品賃貸事業を展開する事業者で景況感を「良い」とする事業者が複数見られたことや、不動産取引業の一部において景況感の改善が見られたことが景況BSI上昇に寄与した。
1〜3月期(見通し)については、例年、不動産取引が活発化することから、景況感・業績等の改善が期待されるが、県内事業者の見通しにおいては、景況BSIはやや下降する模様。
運輸業 回答事業者数: 43社
売上高・収益に改善の動きがみられ
景況BSIは2期連続で上昇


昨年10〜12月期における景況BSIは2期連続で上昇した。前回(昨年7〜9月期)と異なり、売上高・収益において、「減少」とする回答が減り、業績状況に改善が見られた。これに伴い、所定外労働時間が増加した事業者、人手不足感が強まった事業者なども見られるなど、業況に改善の動きが見られた。
ただし、1〜3月期(見通し)については、売上高・収益の各BSIがやや下降し、景況BSIも下降に転じる模様で、先行きにはやや弱さが残る。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 21社
景況BSIは大幅下降
1〜3月期の見通しはさらに下降。業況には厳しさが見られる


景況BSI(昨年10〜12月期)は大幅下降。約4割の事業者が景気は「悪い」と回答した。売上高・収益についても4割強の事業者が「減少」していると回答しており、昨年7〜9月期にやや持ち直した業況は再び悪化している。観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、和歌山県内の延べ宿泊者数(外国人含む)は昨年5月〜10月にかけて6カ月連続で前年を下回る状況にある。このような状況の中で、県内旅館・ホテル業における人手不足感は緩和している。
1〜3月期(見通し)については、例年、宿泊者数が少ない時期であることから、売上高、収益がさらに「減少」し、景況感を「悪い」とする事業者が目立つなど、引き続き業況には厳しさが見られる。
医療・福祉 回答事業者数: 38社
景況BSIは3期連続で上昇
「人手不足」、「人件費上昇」が懸念されるが、業況は順調


景況BSI(昨年10〜12月期)は、3期連続で上昇。社会福祉事業者を中心に、景況感を「悪い」とする事業者が減少しており、売上高・収益についても「減少」とする回答が減り、「増加」とする回答が増えた。人手不足感も強く、雇用者数については、前四半期に比べて「増加」させたとする事業者が2割を占めた。経営上の問題点としては、「人材不足」(44.0%)、「人件費」(24.0%)との回答が多くなっている。
1〜3月期(見通し)については、景況BSIはさらに改善する見通しとなっており、業況に順調さがうかがえる。
土木建築サービス業 ※設計・測量業など
回答事業者数: 16社
持ち直しの兆しは見られず
景況BSIは再び下降し、見通しにも厳しさが見られる


前回(昨年7〜9月期)は5期ぶりに景況BSIが上昇したが、今回(昨年10〜12月期)は再び下降。売上高では約6割、収益では約4割の事業者が「減少」と回答するなど、見通し(1〜3月期)を含めて、業況には厳しさが見られる。
教養・娯楽、生活関連サービス業 ※葬祭業、クリーニング業、学習塾、パチンコ業、理美容業等
回答事業者数: 28社
景況BSIは下降し、業況には厳しさが見られる

景況BSI(昨年10〜12月期)は下降。半数以上の事業者が景況感を「悪い」と回答し、売上高・収益では、約6割の事業者が「減少」と回答するなど、業況には厳しさが見られる。経営上の問題点としては、「売上不振」が最も多い回答だが、「受注単価の低下」や「設備の老朽化」を挙げる事業者も複数見られた。「受注単価の低下」は冠婚葬祭業で、「設備の老朽化」については、ゴルフ場、パチンコ店などで回答が複数見られた。
1〜3月期(見通し)に関しては、景況感を「悪い」とする事業者が減ることから、景況BSIは上昇するが、その水準は低く、業況には引き続き厳しさが見られる模様。
対事業所サービス業 ※金融業、建物サービス業、情報通信業、自動車整備業、人材派遣業など
回答事業者数: 51社
これまで景況BSIは下降傾向にあったが
今回(昨年10〜12月期)は上昇した


景況BSI(昨年10〜12月期)は上昇。約1割の事業者が景況感を「悪い」とするも、約2割が「良い」としており、景況BSIはプラス水準。売上高、収益についても、BSIは上昇した。金融業、情報通信業、廃棄物処理業に加えて、対事業所サービス業(人材派遣業等)で景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。
1〜3月期(見通し)については、景況BSIはわずかに下降するも、高い水準を維持する。
飲食業 回答事業者数: 16社
景況BSIは再び下降し、2013年以降の最低水準
「売上不振」に加えて「人材不足」が経営課題


景況BSI(昨年10〜12月期)は、再び下降し、2013年以降の最低水準。売上高、収益の各BSIは2013年以降の最低値を更新するなど、業況には厳しさが見られる。県内では、小売業の業況に厳しさが見られており、飲食業を含めて、県内個人消費に関わる業種での景況BSIは低迷している。ただし、そんな状況下でも、飲食業の人手不足感は極めて強い。半数近くの事業者が従業員が「不足」していると回答している。経営上の問題点についても、「売上不振」の次に、「人材不足」との回答が多くなるなど、県内飲食業は、販売低迷、人手不足といった二つの大きな課題に直面している。
1〜3月期(見通し)についても、景況BSIは横ばいで推移する模様で、引き続き厳しい業況が予想される。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 70社 35.0% 23社 12社 19社 16社
製 造 業 400社 197社 49.3% 84社 67社 29社 17社
商   業 600社 203社 33.8% 83社 44社 41社 35社
サービス業 800社 249社 31.1% 112社 50社 24社 63社
全 産 業 2000社 719社 36.0% 302社 173社 113社 131社

和歌山市とその他の地域とでは、景況BSIに差がみられ
商業を中心に、その差は拡大している

和歌山市 2014年1〜3月期以降でははじめて、景況BSIがプラス水準に
昨年10〜12月期の景況BSIは全ての産業で上昇した結果、全体では消費増税前の駆け込み需要が見られた2014年1〜3月期以来のプラス水準に。他地域では厳しい業況となっている小売業においても景況BSIは改善傾向にある。1〜3月期(見通し)については、製造業や卸売業で景況BSIが下降し、全体でも再びマイナス水準となる模様。
紀北地域 景況BSIは2期連続で上昇するも、前年同期の水準には至らず
昨年10〜12月期の景況BSIは建設業、卸売業、サービス業の寄与もあり、2期連続で上昇。ただし、前年同期の水準は回復できず、1〜3月期の見通しについても、製造業、サービス業に弱さが見られ、全体でも景況BSIは下降に転じる。
紀中地域 景況BSIは2期連続で上昇するも、小売業、サービス業の水準は低い
昨年10〜12月期の景況BSIは建設業、卸売業での上昇が寄与し、全体では2期連続での上昇となった。ただし、小売業、サービス業は他地域に比べて低い景況BSIとなっている点には注意が必要で、1〜3月期の見通しについても、全産業の景況BSIは下降となっている。
紀南地域 景況BSIは2期連続で上昇するも、卸売業、小売業の水準は低い
昨年10〜12月期の景況BSIは建設業、卸売業の上昇が寄与し、全体では2期連続の上昇。ただし、卸売業、小売業の景況BSIは他地域と比べて低い水準にあり、サービス業についても、旅館・ホテル業の低調さもあり、低い水準で推移している。
3.県内事業者の声(アンケート自由回答欄より)
景況感や今後の見通し、取り組み等について

○景況感を左右する業界特有の事情

足元の景況感や将来見通しなどについて、業界特有の事情が影響しているとの自由意見が複数見られた。景況感や将来見通しがあまり良くない事業者では、「若者の車離れ。車の買い替えサイクルの長期化」(自動車小売業)、「取扱い物件の老朽化による不動産価格の下落」(不動産業)、「当社のビジネスモデルは急激に変化してきた日本のエレクトロニクス分野のニーズに合わなくなってきている」(機械・機械部品製造業)、「県内の住宅着工件数は多いが、ハウスメーカーによる着工であることから、地元への恩恵が少ない」(建築材料卸売業)との回答が見られた。その一方で、景況感が良いとする事業者では、「防犯、セキュリティの需要は今後も増える見通しで、売上増加を見込んでいる」(その他の小売業)との回答があった。

○「人手不足」に関する自由意見が多く見られた

人手不足による影響について、多くの自由意見が見られた。具体的な意見は以下の通り、「内職をしてくれる人材が高齢化でいなくなり、製品として出荷できなくなる」(繊維製品製造業)、「原材料をつくる生産者がいなくなり、原料不足に直面するのではないか」(食料品製造業)、「従業員の処遇改善だけでは、人手不足は解決できない」(医療・福祉)、「県内での人員確保が難しく、県外移転を検討している」(その他のサービス業)、「人手が不足する中で、労働生産性向上に取り組む良い機会と考えたいが、そのための資金、ノウハウがない」(その他のサービス業)。

○「新製品開発」、「販路開拓」などに取り組むといった自由意見が見られた

県内事業者の取り組みについては、「インターネット販売の実施」、「県外販路の拡大」といった意見が多く見られた。ただし、「新製品の開発依頼などの話はあるが、なかなか受注までに至らないことが多い。前向きに努力するしかない」(繊維製品製造業)、「県外での販路拡大に長年取り組んできたが、なかなか成果が出ない」(その他のサービス業)とする意見も見られた。

○「高付加価値化」、「海外展開」などへの取り組みに関する意見

「高付加価値化」、「海外展開」についての意見も複数見られた。具体的には、以下の通り。「当地への観光客が減少する中で、当館としては規模を縮小し、高級旅館への転身を図る方向性で動いている」(旅館・ホテル業)、「海外販売比率が引き続き上昇しており、来期には国内販売を海外販売額が上回る見通し」(機械・機械部品製造業)。

○先行きに対する不安

今後の先行きについて、以下のような不安の声も聞かれた。「当社の最終顧客は機械メーカーであり、海外における設備投資動向に左右される。各国のカントリーリスクの影響が懸念され、特にアメリカの政治状況が気になる」(機械・機械部品製造業)、「人工知能やロボットに代替可能になるとされる製品を製造しており、今後の事業展開をどのようにすべきか迷っている」(機械・機械部品製造業)。

4.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

日銀短観DI、県内景況BSIはともに上昇
県内景況BSIの上昇幅が短観DIを上回り、両者の差は16ポイントに縮小

●全産業 〜短観DI、県内景況BSIともに上昇。上昇幅は県内景況BSIが上回り、両者の差は縮小〜

昨年10〜12月期において、日銀短観DI(以下、短観DI)は2ポイント上昇し、県内景況BSIは6ポイントの上昇となった。この結果、昨年4〜6月期には25ポイントまで開いた両者の差は、16ポイントまで縮小した。

1〜3月期の見通しについては、短観DI、県内景況BSIともに下降。短観DIについては、非製造業で、県内景況BSIについては、製造業で特に下降幅が大きくなっている。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜県内景況BSIは1ポイント下降し、3ポイント上昇した短観DIとの差は拡大〜

昨年10〜12月期の県内景況BSIは1ポイント下降するも、底堅く推移している。短観DIは2期連続で上昇し、一昨年の10〜12月期の水準まで回復。鉄鋼等の素材業種、自動車等の加工業種ともに上昇。この結果、短観DIと県内景況BSIの差は6ポイントまで拡大した。

1〜3月期の見通しに関しては、短観DI、県内景況BSIともに下降するが、県内景況BSIの下降幅が短観DIを上回っていることから、差はさらに拡大。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜県内景況BSIは8ポイント上昇し、短観DIとの差を縮める〜

昨年10〜12月期の県内景況BSIは8ポイント上昇し、一昨年の10〜12月期の水準をほぼ回復した。短観DIについては、4期ぶりの上昇となったが、その上昇幅は2ポイントにとどまり、県内景況BSIとの差は縮まった。

1〜3月期の見通しについては、短観DI、県内景況BSIともに下降する模様。特に、短観DIは5ポイントの下降となる模様で、見通しに不透明感が残る。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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