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景気動向調査 No.106

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(昨年10〜12月期)における県内経済の状況

昨年10〜12月期の県内景況BSIは2期連続で上昇し、マイナス幅は縮小
ただし、業種によっては、業況に厳しさが見られるなど、明暗が分かれる

個人消費関連の業種で低調な動きは残ったものの、国内景気は緩やかに改善した。そのような状況下で、県内景況BSIは昨年4〜6月期の大幅下降の後、2期連続での上昇となった。建設業における景況BSIの下降基調に一服感が見られたことや、製造業の堅調さ、卸売業、サービス業の持ち直しが全体の景況BSI上昇に寄与した。ただし、小売業では業況悪化が続いており、サービス業においても、旅館・ホテル業、飲食業などで業況が悪化している。また、景況BSIが上昇した業種においては、人手不足感が再び強まっており、懸念材料となっている。

3.1〜3月期の国内経済情勢

世界経済の復調の動きが強まり、国内の企業活動、個人消費はともに改善
国内景気は持ち直しの動きが鮮明になっている

昨年11月の米国大統領選挙の後、円安株高が進み、企業の景況感や業績は回復傾向を示した。減速が懸念された世界経済についても持ち直しの動きが鮮明となっている。インフラ投資、不動産投資の拡大を背景に中国経済の先行き懸念が弱まっていることに加えて、原油、鉄鉱石等の価格上昇で、資源国経済は持ち直しに向かうことが予想される。

日本国内においても、輸出数量は拡大基調にあり、生産活動についても機械等の資本財を中心に持ち直している。個人消費については、物価変動の影響を除いた実質賃金(平成28年)が5年ぶりに前年比プラスとなり、消費者の景況感は持ち直しに向かっている。さらに、公共投資は底堅く、民間設備投資には増加の動きがみられる。

以上のような情勢を受けて、日本銀行が4月に発表した日銀短観調査では、大企業、中小企業ともに景況感が上昇した。特に、中小企業は3期連続での上昇となっている。

4.今回の調査課題

以上のような国内経済情勢の中で実施した当調査では、「1〜3月期の県内事業者の景況感・業績」、「4〜6月期の県内事業者の景況感・業績(見通し)」に加えて、特集アンケート「販路(市場)開拓の取り組み」について報告を行う。

■(特集アンケート)販路(市場)開拓の取り組みについて

人口減少・少子高齢化を背景に、市場が縮小する状況下では、積極的な販路(市場)開拓が重要になる。そこで、今回の特集アンケートでは、県内事業者における販路開拓の実施状況、進捗度、課題、支援策の活用状況等について質問し、考察を行った。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準で、県内企業の景況BSIを調査したもの。

県内の自社景況BSI

昨年4〜6月期の大幅下降から持ち直していた景況BSIは前回から横ばいで推移
4〜6月期(見通し)の景況BSIは、季節的な要因もあり小幅ながら下降する模様

○2期連続で上昇していた県内景況BSIは前回から横ばいで推移

1〜3月期における県内景況BSIは前回から横ばいで推移した。昨年4〜6月期の大幅下降からの持ち直しの動きに一服感が見られる。産業別では、これまで景況BSIが低迷していた建設業、小売業で値が上昇する一方、製造業、サービス業では下降した。

昨年末以降の円安進行や資源価格の上昇を受けて、仕入価格の上昇懸念はやや強まっているが、現時点では一部の業種に限られる。建設業、製造業、運輸業等で人手不足感が強まっており、人手が「不足」しているとする回答割合は平成25年以降の最高値を更新。人手不足による事業活動への影響が懸念される。

○4〜6月期(見通し)の県内景況BSIは小幅ながら下降する

4〜6月期における県内景況BSIは小幅ながら下降する模様。建設業、サービス業などでの下降が響いた。ただし、これらの産業における下降は季節的な要因も含まれる上に、1〜3月期に景況BSIが下降した製造業は上昇に転じ、小売業については引き続き上昇する。

世界経済の情勢には依然として不透明感が残るものの、国内経済は企業活動、個人消費ともに持ち直しに向かっており、県内景気についても、年後半にかけて製造業、サービス業を中心に持ち直しに向かうことが期待される。ただし、人手不足感の強まり、仕入価格の上昇懸念の強まりには注意が必要。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

家計の景況感は上昇。4〜6月期の見通しでも上昇する模様

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業107社、サービス業25社の計132社。

広義の建設業の景況感

「広義の建設業」の景況BSIは2期連続で上昇し、5期ぶりに「非建設業」を上回る
季節要因もあり、4〜6月期の見通しは下降

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のことで、「非建設業」とは、この広義の建設業以外を意味する。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が158社、「非建設業」は644社の計802社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 88社   景況BSIの推移【 前回 ▲1.5 → 今回 3.5 → 見通し ▲8.3 】

景況BSIは2期連続で上昇
4〜6月期の見通しについては、季節要因もあり、下降する模様

県内建設業は、景況BSI(1〜3月期)が2期連続で上昇しプラス水準を回復(平成25年7〜9月期以来6期ぶり)。前回に引き続き、建築工事業、管工事業などで景況感を「良い」とする事業者が多く見られた。平成26年4月の消費増税以降、低迷していた県内新設住宅着工戸数は、持家を中心に持ち直しの動きが見られており、このことが建築工事業の景況感改善に寄与したものと考えられる。

 その一方で、西日本建設業保証(株)が発表している県内の公共工事請負金額(昨年4月〜今年2月累計)は、前年同期比7.0%減となっている。この結果、公共工事の受注額の多い土木工事業では、景況BSIや売上高・収益の各BSIが低い水準にある。

景況BSIが上昇する中で、人手不足感が再び強まっている(特に建築工事業、管工事業)。また、ハローワーク和歌山が公表している2月の職業別有効求人倍率を見ると、「建設の職業」は4.23倍で、人材を確保しづらい状況にある。経営上の問題点として「人材不足」を挙げる事業者も増加しており、今後の事業経営への影響が懸念される。

公共工事の出来高が落ち込む傾向のある4〜6月期については、景況BSI、売上高・収益の各BSIは下降する見通しとなった。

≪製造業≫

回答事業者数: 201社  景況BSIの推移【 前回 ▲1.6 → 今回 ▲4.1 → 見通し 1.6 】

景況BSIは前回から下降するも
4〜6月期の見通しでは上昇する

県内製造業の景況BSIは下降。化学、鉄鋼・金属製品、食料品で景況BSIが下降した。ただし、これらの業種はいずれも、4〜6月期(見通し)には上昇に転じる。機械・機械部品の景況BSIは高水準を維持。県内製造業は概ね堅調に推移している。

仕入価格の上昇懸念が徐々に強まっており、食料品、鉄鋼・金属製品では約7割の事業者が仕入価格が「上昇」していると回答した。人手不足感については、前回からほぼ変化はなく、約3割の事業者が人手が「不足」していると回答している。業種別では、鉄鋼・金属製品などで人手不足感が強く、4〜6月期において雇用者数を「増加」させるとした事業者は約2割と例年よりも多くなっている。

その他では、化学において「設備の老朽化」を経営上の問題点とする事業者が2割ほど見られるが、設備投資の実施比率は低い水準となっている。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 31社
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲3.4 → 見通し 0.0 】
景況BSIは3ポイント程度下降するも4〜6月期の見通しでは上昇する

前回はマイナス水準を脱していた景況BSIだが、今期は3期ぶりの下降となり、再びマイナス水準となった。前回に比べて、景況感を「悪い」とする事業者は減ったものの、それ以上に「良い」とする事業者の減少が全体の景況BSIを引き下げた。前回に引き続き、梅加工品製造事業者で景況感を「悪い」とする回答が目立つ。ただし、4〜6月期の見通しでは、景況BSIは再び上昇する模様。
その他の点については、仕入価格の上昇懸念がやや緩和したが、依然として4割弱の事業者が仕入価格は「上昇」しているとしており、梅加工品、果実加工品を製造する事業者で回答が多い。
繊維製品 回答事業者数: 37社
景況BSIの推移【 前回 ▲19.4 → 今回 ▲19.4 → 見通し ▲11.8 】
景況BSIは横ばい 4〜6月期は景況BSIが上昇する模様

景況BSIは前回から横ばいで推移した。経営上の問題点として「売上不振」を挙げる事業者が半数近くを占めるなど、業況は良くない。景況感を「悪い」とする事業者は毛織物、丸編ニット生地製造業で複数見られる。
ただし、4〜6月期については、受注高「増加」の事業者が増え、景況BSIも▲11.8まで上昇する模様。
その他の点については、他業種ほどに仕入価格の上昇懸念や人手不足感は強まっていない。
木材・木工製品 回答事業者数: 20社
景況BSIの推移【 前回 ▲47.1 → 今回 ▲15.0 → 見通し ▲5.3 】
景況BSIは上昇 4〜6月期の見通しにおいても上昇する模様

前回において、景況BSIは平成25年以降の最低値を更新していたが、今回は景況感を「良い」とする事業者が、県外に販路を持つ事業者を中心に複数見られたこともあり、大きく上昇した。依然として、経営上の問題点として、約半数の事業者が「売上不振」を挙げており、資金繰りにおいては、約4割の事業者が「悪化」しているとする厳しい状況だが、4〜6月期の見通しでは、景況BSIはさらに上昇する模様で、業況にはやや改善の兆しが見られた。
化学製品 回答事業者数: 20社
景況BSIの推移【 前回 16.7 → 今回 ▲15.3 → 見通し 0.0 】
景況BSIは下降。ただし、見通しでは上昇
景況感は一進一退の状況


景況BSIは前回から大きく下降。前回に比べて、景況感を「悪い」とする事業者が増加した。売上高、収益についても前期比で「減少」とする事業者が4割を占めている。ただし、経営上の問題点として「売上不振」を挙げる事業者は15.8%と少なく、4〜6月期の見通しでは、景況BSI、売上高・収益の各BSIは上昇する。今回の大幅下降については、前回調査におけるサンプル数が12社と少なかったことも影響しており、この点には留意する必要がある。
他業種と同様に、仕入価格の上昇懸念は再び強まっている。4割強の事業者が仕入価格は「上昇」していると回答した。また、経営上の問題点として「設備の老朽化」を挙げる事業者が複数見られる一方で、設備投資の実施比率は低い水準にとどまっている。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 23社
景況BSIの推移【 前回 23.8 → 今回 8.7 → 見通し 9.1 】
景況BSIは下降するもプラス水準を維持
仕入価格の上昇懸念、人手不足感ともに強まる


前回に比べて、景況BSIは下降となったが、プラス水準は維持した。4〜6月期(見通し)の景況BSIはほぼ横ばいで推移する模様。この堅調な業況を受けて、人手不足感は強まっており、4割強の事業者が「人手不足」と回答している。また、仕入価格の上昇懸念も強まっており、約7割の事業者が仕入価格は「上昇」していると回答した。
機械・機械部品 回答事業者数: 36社
景況BSIの推移【 前回 12.5 → 今回 13.9 → 見通し 11.8 】
景況BSIは上昇し、高水準
景況感を「悪い」とする事業者が減少している


景況BSIは平成28年以降、10.0を上回る高水準で推移している。景況感を「悪い」とする事業者が減少傾向にあることも、景況BSIの上昇要因となっている。4〜6月期の見通しにおいても、景況BSIは10.0を上回る模様。人手不足感もあり、約4割の事業者が雇用者数を「増加」させると回答した。
その他の製造業 回答事業者数: 34社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲3.0 → 見通し 6.3 】
景況BSIは下降するも4〜6月期の見通しでは上昇する

景況BSIは3ポイント下降となった。景況感を「良い」とする事業者と「悪い」とする事業者がほぼ同数見られる。「良い」とする事業者には、窯業・土石品製造業、印刷業などが多く見られ、「悪い」とする事業者には、漆器製造業が複数見られる。
4〜6月期の見通しでは、売上高BSIがプラス水準まで上昇し、景況BSIも上昇する。

≪商業≫

回答事業者数: 245社  景況BSI値の推移【 前回 ▲20.6 → 今回 ▲18.5 → 見通し ▲21.3 】

景況BSIは3期連続で上昇
卸売業での上昇が一服するも、小売業が上昇に転じた

県内商業の景況BSI(1〜3月期)は3期連続で上昇した。2期連続で景況BSIが上昇していた卸売業で小幅ながら下降となるも、小売業の景況BSIが上昇に転じた。小売業については、依然として、多くの事業者が売上高・収益が「減少」していると回答しており、その業績動向には厳しさも見られるが、事業者の景況感には落ち着きが見られるようになっている。また、卸売業についても、建築関連卸売業、機械器具卸売業などで景況感を「良い」とする事業者が増えている。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 138社
景況BSI値の推移【 前回 ▲6.8 → 今回 ▲7.3 → 見通し ▲16.0 】
景況BSIは小幅下降となったが
景況感を「良い」とする事業者は増加傾向にある


仕入価格の上昇懸念が再び強まっていることもあり、景況感が悪化した事業者が増えた。その一方で、建築関連卸売業、機械器具卸売業、その他の卸売業(包装品卸売業等)などでは、景況感を「良い」とする事業者が増えており、県内卸売業の景況BSIは0.5ポイントの小幅下降にとどまった。
4〜6月期(見通し)については、景況BSIはさらに下降する見通しだが、例年4〜6月期は建築関連卸売業、機械器具卸売業等において、景況感が下降する傾向にあり、「景気悪化」と判断することは難しく、今後の動向を注視する必要がある。
その他の点に関しては、人手不足感が建築関連卸売業、機械器具卸売業などで強まっている。
小売業 回答事業者数: 107社
景況BSI値の推移【 前回 ▲40.7 → 今回 ▲33.0 → 見通し ▲28.3 】
景況BSIは前回から上昇
4〜6月期の見通しでも上昇する模様だが、その水準は依然として低い


景況BSIは前回から上昇。景況感を「悪い」とする事業者が減少したが、依然として約4割の事業者が「悪い」と回答している。売上高、収益についても「減少」とする回答は減ってはいるものの、その回答割合は50%を超えている。経営上の問題点として「売上不振」を挙げる事業者が過半数を占めるなど、厳しい業況に変化は見られない。業種別では、自動車小売業、生活・文化用品小売業(書籍、家具、宝石・化粧品等)、衣料品小売業で景況BSIが上昇したが、飲食料品小売業は横ばい、燃料小売業は下降した。
仕入価格の上昇懸念が、燃料小売業や飲食料品小売業で強まっている。さらに、飲食料品小売業では販売価格が「下落」している事業者が2割ほど見られており、仕入価格が上昇する中、収益圧迫要因となっている。また、資金繰りが「悪化」していると回答する事業者は3割弱と前回から増加しており、飲食料品小売業では約4割を占めた。
4〜6月期の見通しでは、景況BSIは上昇する模様。生活・文化用品小売業、衣料品小売業が上昇に寄与する。

≪サービス業≫

回答事業者数: 268社  景況BSI値の推移【 前回 ▲6.5 → 今回 ▲7.3 → 見通し ▲9.3 】

景況BSIは3期ぶりに下降
業種によっては良好な業種もあり、明暗分かれる

県内サービス業の景況BSI(1〜3月期)は0.8ポイント下降した。前回に続いて、旅館・ホテル業、飲食業で景況BSIが下降したことに加えて、運輸業、医療・福祉における景況BSIの下降が響いた。ただし、不動産業は業況堅調で、対事業所サービス業は景況BSIがプラス水準にあり、教養・娯楽、生活関連サービス業は業況が改善した。県内サービス業では、業種間で明暗が分かれる状況が続いている。

4〜6月期の見通しにおいても、県内サービス業の景況BSIは下降するが、不動産業や土木建築サービス業において、例年見られる景況BSIの下降が主要因であり、その他の業種については概ね上昇する模様。

このような状況の中で、「人材不足」を経営上の問題点とする事業者が増加しており、運輸業、医療・福祉、飲食業で人手不足感が強まっている。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 40社(※物品賃貸業含む)
景況BSI値の推移【 前回 ▲2.9 → 今回 2.5 → 見通し ▲15.4 】
景況BSIは2期連続で上昇
4〜6月期の見通しでは下降となるも、総じて堅調な動きとなっている


景況BSIは2期連続で上昇し、1年ぶりにプラス水準となった。不動産取引業や建設機械等の物品賃貸業で景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。4〜6月期については、物品賃貸業を中心に景況感を引き下げる事業者が多く、景況BSIは下降する模様。4〜6月期については、例年、景況BSIは下降する傾向がある点には留意が必要。また、経営上の問題点として、「設備の老朽化」を挙げる事業者が約3割を占めている点には注意が必要。
運輸業 回答事業者数: 49社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSI値の推移【 前回 4.7 → 今回 ▲12.2 → 見通し ▲2.1 】
景況BSIは下降に転じるも、4〜6月期の見通しでは再び上昇
約4割の事業者が「人材不足」を経営上の問題点に挙げている


前回はプラス水準まで上昇した景況BSIだが、今回は下降に転じた。農産物等の生鮮品を取り扱う貨物運輸業などで景況感を「悪い」とする事業者が多く見られた。売上高・収益等の業績を見ると、「減少」しているとの回答が4〜5割を占める状況にあり、業績動向は決して良いとは言えない。ただし、景況感を「悪い」としている事業者は、4〜6月期の見通しでは、景気判断を引き上げており、見通しの景況BSIは上昇する。
業種全体での人手不足感は強まっており、4割強の事業者が人手は「不足」していると回答している。経営上の問題点として「人材不足」を挙げる事業者は約4割となっており、「売上不振」を上回った。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 25社
景況BSI値の推移【 前回 ▲21.1 → 今回 ▲41.7 → 見通し ▲16.7 】
景況BSIは2期連続で下降
例年以上に景況感を「悪い」とする事業者が目立つ


1〜3月期は例年、宿泊客数が少ない時期であることもあり、景況BSIは下降。ただし、例年以上に景況感を「悪い」とする事業者が多く、約5割を占めた。
4〜6月期の見通しでは、景況BSIは上昇するも、売上高では約4割、収益では約半数が「減少」と回答するなど、業績状況には引き続き厳しさが見られる。このような業況を受けて、人手不足感は昨年7〜9月期から緩和している。
医療・福祉 回答事業者数: 33社
景況BSI値の推移【 前回 13.2 → 今回 ▲3.2 → 見通し 0.0 】
景況BSIは下降したが、景況感を「悪い」とする事業者は1割程度
4〜6月期には再び景況BSIは上昇し、業況には底堅さが見られる


景況BSIは下降したが、景況感を「悪い」とする事業者は1割程度にとどまっている。さらに、4〜6月期の見通しでは景況BSIが上昇することから、業況は底堅く推移していると考えられる。
このような状況の中で、人手不足感は強まっており、4割強の事業者が人手は「不足」していると回答している。さらに、経営上の問題点として「人材不足」(32.0%)、「人件費」(20.0%)を挙げる事業者が多い。
土木建築サービス業 回答事業者数: 24社(※設計・測量業等)
景況BSI値の推移【 前回 ▲31.3 → 今回 ▲4.2 → 見通し ▲41.7 】
景況BSIは上昇
ただし、4〜6月期の見通しでは下降する模様


景況BSIは上昇。景況感を「悪い」とする事業者が減少した。4〜6月期の見通しでは、景況感を「悪い」とする事業者が5割程度まで増える。業況は一進一退の状況にある。
教養・娯楽、生活関連サービス業 回答事業者数: 25社
(※葬祭業、クリーニング業、学習塾、パチンコ業、理美容業等)
景況BSI値の推移 【 前回 ▲39.3 → 今回 0.0 → 見通し 8.3 】
景況BSIが大きく上昇。見通しでも上昇は続き、業況は改善している

前回大きく下降した景況BSIだが、今回は大幅上昇となり、マイナス水準を脱した。景況感を「良い」とする事業者が、葬祭業、クリーニング業、スポーツ施設運営業で複数見られた。4〜6月期の見通しにおいて、売上高・収益が「減少」するとの回答が減り、景況感を「悪い」とする事業者も減少することから、景況BSIはさらに上昇し、プラス水準となる模様。前回は業況に厳しさが見られたが、その状況はやや改善している。
対事業所サービス業 回答事業者数: 64社
(※金融業、建物サービス業、情報通信業、人材派遣業等)
景況BSI値の推移【 前回 5.9 → 今回 3.1 → 見通し ▲6.5 】
景況BSIは下降するも、前回に続いてプラス水準
売上高BSIもプラス水準で、景況感・業績ともに良好


景況BSIは下降するもプラス水準を維持。売上高においても、「増加」とする事業者が「減少」を上回るなど、景況感、業績ともに良好な状況にある。人材派遣業、情報通信業などで景況感、業績が良好な事業者が多く見られた。
4〜6月期(見通し)については、景況BSIは下降する。
飲食業 回答事業者数: 8社
景況BSI値の推移【 前回 ▲31.3 → 今回 ▲50.0 → 見通し ▲12.5 】
景況BSIは前回に続いて下降し、平成25年以降の最低値を再び更新
そのような業況において、「人手不足」という課題にも直面している


回答事業者数が8社と少ないことに注意は必要だが、1〜3月期の景況BSIは前回に続いて下降し、2013年以降の最低値をさらに更新した。景況感を「悪い」とする事業者が半数を占めている。業績についても、売上高では5割、収益では約6割の事業者が「減少」と回答しており、厳しい状況にある。このような業況においても、人手不足感は強く、半数の事業者が人手が「不足」していると回答した。このように、県内飲食業は業況の悪さに加えて、人手不足という課題に直面している。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 88社 44.0% 33社 15社 19社 21社
製 造 業 400社 201社 50.3% 80社 74社 26社 21社
商   業 600社 245社 40.8% 93社 50社 47社 55社
サービス業 800社 268社 33.5% 118社 52社 32社 66社
全 産 業 2000社 802社 40.1% 324社 191社 124社 163社

和歌山市、紀中地域で景況BSIが3期連続上昇
中でも和歌山市の景況BSIは2期連続でプラス水準となっている

和歌山市 景況BSIは3期連続で上昇し、他地域と比べて高い水準で推移している
1〜3月期の景況BSIは小売業を除く全ての産業で上昇し、いずれの産業もプラス水準となっており、特に建設業、卸売業は12.5、13.1と高い水準にある。また、建設業、卸売業では人手不足感も強まっている。
4〜6月期(見通し)については、県全体と同様に景況BSIは下降する。
紀北地域 景況BSIは3期ぶりに下降。小売業を除く全ての産業で下降となった
1〜3月期の景況BSIは3期ぶりに下降。小売業を除く全ての産業で景況BSIが下降した。特に、建設業、卸売業は4〜6月期の見通しにおいてもさらに下降する模様で、業況悪化が懸念される。製造業については、4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇する模様。
紀中地域 景況BSIは3期連続で上昇。景況BSIの水準は県内では和歌山市の次に高い
1〜3月期の景況BSIは3期連続で上昇。建設業、製造業、小売業での景況BSI上昇が寄与した。紀中地域は県全体に比べてサービス業の景況BSIの水準は低いが、建設業、製造業、小売業では高い。この3産業では、景況感を「悪い」とする事業者が比較的少なくなっている。
4〜6月期(見通し)については、県全体と同様に景況BSIは下降する。
紀南地域 景況BSIは3期ぶりに下降。県全体に比べて景況BSIは低迷している
1〜3月期の景況BSIは3期ぶりに下降。製造業、小売業の下降が響いた。昨年7〜9月期以降、県全体では景況BSIが持ち直す中、紀南地域では持ち直しの動きが弱い。この間、建設業の景況BSIは上昇したが、製造業やサービス業で景況BSIが下降傾向にある。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

日銀短観DIが3ポイント上昇するも、県内景況BSIは横ばい
両者の差は19ポイントに拡大

●全産業 〜短観DIが上昇する中、県内景況BSIは製造業での下降が響き横ばいにとどまる〜

1〜3月期において、日銀短観DI(以下、短観DI)は3ポイント上昇し、県内景況BSIは横ばいだった。県内景況BSIは昨年10〜12月期に6ポイント上昇し、全国との差を縮めたが、今回は差が広がり、両者の差は19ポイントとなった。

4〜6月期の見通しについては、短観DI、県内景況BSIともに下降するが、短観DIで特に下降幅が大きい。短観DIは非製造業で下降幅が大きくなっており、建設業、運輸業で大きく下降する模様。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜短観DIと県内景況BSIとの差は拡大したが、4〜6月の見通しでは縮小する〜

1〜3月期の県内景況BSIは前回に続いて下降。化学、鉄鋼・金属製品、食料品での下降が響いた。ただし、いずれの業種も4〜6月期の見通しでは上昇に転じ、県内景況BSIは6ポイント上昇する模様。

短観DIは3期連続の上昇となった。いずれの規模においてもDIは上昇しており、業種別では、自動車、機械等の加工業種に加えて、鉄鋼、非鉄金属等の素材業種でもDIが上昇傾向にある。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜県内景況BSIは3期連続で上昇するも、短観DIも上昇し、差は21ポイントに拡大〜

1〜3月期の県内景況BSIは3期連続で上昇した。建設業、小売業でのBSI上昇が寄与した。ただし、4〜6月期については、景況BSIは下降する模様。

短観DIは2期連続で上昇。情報サービス業、運輸業、建設業などでDIが上昇した。4〜6月期の見通しについては、建設業、運輸業でDIは下降に転じ、全体でも6ポイント下降する模様。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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