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ホーム > 和歌山県内の動向 > 景気動向調査 > 景気動向調査 No.108

景気動向調査 No.108  特集

「平成29年度における県内事業者の賃上げ・設備投資」について
「リスクマネジメント」について

アンケート趣旨

今回の特集アンケートでは、県内景気に大きな影響を与える県内事業者の賃上げ、設備投資について質問をすると同時に、自然災害、風評被害等のリスクに対するマネジメントについて、現在の実施体制などを質問した。

調査項目

【「平成29年度における県内事業者の賃上げ・設備投資」について】
  1.正規雇用者の月例給与額の増減
  2.非正規雇用者の賃金単価の変化
  3.夏季賞与の支給状況
  4.夏季賞与の支給額の増減
  5.正規雇用者数の増減
  6.非正規雇用者数の増減
  7.総人件費の増減
  8.人件費の増加が収益に与える影響
  9.設備投資の実施及び予定
  10.設備投資の目的
  11.設備投資による業績への影響
  12.設備投資を実施しない理由

【「リスクマネジメント」について】
  13.組織内部のリスク
  14.組織外部のリスク
  15.リスクマネジメントの実施体制

調査結果

【「平成29年度における県内事業者の賃上げ・設備投資」について】
正規雇用者の月例給与額を引き上げた事業者は53.8%と過半数
71.8%の事業者が夏季賞与を支給し、そのうち37.5%が支給額を増額

○ 正規、非正規ともに雇用者数を「増加」させた事業者が「減少」を上回る

○ 総人件費が「増加」した事業者は49.9%。うち約半数が「収益を圧迫」と回答

○ 平成29年度に設備投資を実施する(予定含む)事業者は31.4%

○ 設備投資の目的は「設備更新」、「設備の維持・修繕」がそれぞれ約4割

○ 設備投資による業績への影響では「売上高の増加」が4割弱

○ 設備投資をしない理由として、過半数の事業者が「現状で設備は適正水準」を挙げる

【「リスクマネジメント」について】
内部リスクは「労働災害」・「品質リスク」、外部リスクは「自然災害」、「法改正リスク(※)」
リスクマネジメントができていないとする事業者は6割(50人以上の事業者では約2割)

○ リスクマネジメントについて「していない」とする回答が6割。「総務・企画部門が兼務」とする回答が26.0%

(※)「法改正リスク」とは、法改正を知らずに法律違反を犯すリスクや規制変更に伴う事業運営への悪影響等を言う。

1.正規雇用者の月例給与額の増減(前年度比)

月例給与額を増加させた事業者は53.8%と過半数を占め
昨年度の55.1%とほぼ同水準

平成29年度の月例給与額(※)が前年度に比べてどの程度増減(定期昇給含む)しているかを県内事業者に質問したところ、「増加」したとする回答は53.8%、「横ばい」は44.0%となった。増加幅に関しては、「1%以上2%未満」が19.8%で最も多く、「2%以上3%未満」が17.4%で続き、「3%以上の増加」は8.3%だった。

(※)賞与及び時間外手当は除く

○サービス業で「増加」とする回答が増えた

産業別では、製造業やサービス業で「増加」したとする回答が多くなっている。特にサービス業は昨年度調査では「増加」とする回答割合が53.6%だったが、今回の調査では57.7%まで上昇している。業種別では、物品賃貸業、金融業、旅客運輸業、医療・福祉等で「増加」とする回答が増えた。

■図表1-1 正規雇用者の月例給与額の増減[前年度比] (全産業712社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答56社を除く712社が対象。
正規雇用者の月例給与額の増減

○「増加」した事業者数は高止まり

当質問は平成26年度以降、継続して聞いており、図表1-2は今回を含めた4回分の調査結果を示したものである。

図表を見ると、前年度に比べて月例給与額を「増加」させた事業者は5割超の水準で高止まりする一方、「3%以上増加」させた事業者は徐々に減少していることがわかる。

■図表1-2 平成26〜29年度における月例給与額の増減 [全産業、各前年度比]
※景気動向調査No.96(平成26年9月実施)、No.100(平成27年9月実施)、
No.104(平成28年9月実施)の回答結果を参照した。

平成26〜29年度における月例給与額の増減

2.非正規雇用者の賃金単価の変化(前年度比)

非正規雇用者の賃金単価を「引き上げた」事業者は35.1%で
平成26年度以降、やや増加傾向にある

平成29年度における非正規雇用者への賃金単価(時給、日給、月給単価等)が前年度に比べてどの程度変化したかを県内事業者に質問したところ、64.0%の事業者が「横ばい」と回答し、「引き上げた」との回答は35.1%となった。引き上げ幅に関しては、「3%以上の引き上げ」が9.1%、「3%未満の引き上げ」が26.0%となった。

○建設業で「引き上げた」とする回答が増えた

産業別では、建設業とサービス業で「引き上げた」事業者が増加している。特に建設業は昨年度調査では「引き上げた」とする回答割合が11.7%だったが、今回の調査では34.0%まで上昇した。業種別では、管工事業、建築工事業、その他の建設業などで回答割合が上昇した。

■図表2-1 非正規雇用者の賃金単価の変化[前年度比] (全産業584社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答184社を除く584社が対象。
非正規雇用者の賃金単価の変化

○「引き上げ」事業者は増加傾向

当質問は平成26年度以降、継続して聞いており、図表2-2は今回を含めた4回分の調査結果を示したものである。

図表を見ると、賃金単価を「引き上げた」事業者は緩やかながら増加傾向にあることがわかる。産業別では、建設業とサービス業において「引き上げた」事業者が昨年度調査に比べて増加した。

■図表2-2 平成26〜29年度における賃金単価の変化 [各前年度比]
※景気動向調査No.96(平成26年9月実施)、No.100(平成27年9月実施)、
No.104(平成28年9月実施)の回答結果を参照した。

平成26〜29年度における賃金単価の変化

3.夏季賞与の支給状況

71.8%の事業者が夏季賞与を「支給した」と回答
昨年度調査の71.5%とほぼ同水準

平成29年度における夏季賞与について、その支給状況を県内事業者に質問したところ、71.8%の事業者が「支給した」と回答した。

○「支給した」とする回答は製造業、建設業で多い

産業別に見ると、建設業や製造業で「支給した」とする回答割合が8割前後となる一方で、商業は68.8%、サービス業は66.5%となった。

■図表3-1 平成29年度夏季賞与の支給状況(全産業720社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答48社を除く720社が対象。
平成29年度夏季賞与の支給状況

○「支給した」とする回答割合は昨年度調査とほぼ同水準

夏季賞与の支給状況について、図表3-2には昨年度調査の結果を示した。図表を見ると、「支給した」とする回答は71.5%となっており、今回の71.8%はそれとほぼ同水準となっている(産業別に見ても大きな違いは見られない)ことがわかる。また、一昨年(平成27年度)の調査では、「支給した」とする回答割合は78.8%となっており、今回の71.8%はそれに比べると低い水準と言える。

■図表3-2 平成28年度夏季賞与の支給状況(全産業736社)
※「景気動向調査No.104」(和歌山社会経済研究所、平成28年9月実施)より
平成28年度夏季賞与の支給状況

4.夏季賞与の支給額

夏季賞与を支給した事業者のうち37.5%は支給額を「増加」させた
その割合は昨年度調査の36.3%に比べてやや高い

平成29年度における夏季賞与について、支給したと回答した事業者にその支給額の増減(前年土肥)を質問したところ、4割弱の事業者が「増加」したと回答した。

○「増加」との回答は製造業で多く、「減少」も製造業で多い

産業別に見ると、製造業で「増加」との回答が4割強と多くなっている。建設業、サービス業についても「増加」とする回答割合が4割弱を占めた。

■図表4-1 平成29年度夏季賞与の支給額(全産業512社)
※「質問3 夏季賞与の支給状況」で「支給した」を回答した517社のうち、無回答5社を除く512社が対象。

○昨年度調査に比べて「増加」、「減少」ともに回答割合が上昇

夏季賞与の支給額について、図表4-2には、昨年度調査の結果を示した。図表を見ると、「増加」とする回答割合が昨年度の36.3%から今回は37.5%に上昇していることがわかる。

産業別では、建設業で「増加」とする回答割合が大幅に上昇している。業種別では、電気工事業や職別工事業(塗装工、屋根工等)で特に上昇した。

■図表4-2 平成28年度夏季賞与の支給額(全産業520社)
※「景気動向調査No.104」(和歌山社会経済研究所、平成28年9月実施)より

5.正規雇用者数の増減(平成29年3月末比)

正規雇用者数が「増加」した事業者は16.3%
「減少」した事業者は13.4%

調査時点における正規雇用者数を平成29年3月末時点の雇用者数と比較した場合の増減について、県内事業者に質問したところ、「増加」との回答が16.3%で「減少」の13.4%を上回った。

○「増加」とする回答は製造業で23.2%とやや多い

産業別に見ると、「増加」とする回答は製造業で23.2%とやや多く、商業では11.3%と少なくなっている。 「減少」とする回答はサービス業で18.4%とやや多く、特に飲食業(30.8%)、土木建築サービス業(27.8%)、運輸業(23.4%)で多くなっている。

■図表5-1 平成29年度における正規雇用者数の増減(全産業717社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答51社を除く717社が対象。

○昨年度調査に比べて「減少」したとする回答割合が上昇

昨年度調査(図表5-2)と今回調査(図表5-1)を比較すると、「増加」したとする回答割合が下降し、「減少」したとする回答割合が上昇している。

平成27年度に実施した調査では「減少」とする回答割合は9.0%であり、徐々に上昇していることがわかる。産業別では、サービス業で「減少」とする回答割合が上昇傾向にある。

■図表5-2 平成28年度における正規雇用者数の増減(全産業734社)
※「景気動向調査No.104」(和歌山社会経済研究所、平成28年9月実施)より

6.非正規雇用者数の増減(平成29年3月末比)

非正規雇用者数が「増加」した事業者は13.8%で
昨年度調査とほぼ同じ結果となった

調査時点における非正規雇用者数を平成29年3月末時点の雇用者数と比較した場合の増減について、県内事業者に質問したところ、「増加」との回答が13.8%で「減少」の10.1%を上回った。

○「増加」とする回答は製造業で18.8%とやや多い

産業別に見ると、「増加」とする回答は製造業で18.8%とやや多く、商業で7.6%と少なくなっている。

■図表6-1 平成29年度における非正規雇用者数の増減(全産業593社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答175社を除く593社が対象。
平成29年度における非正規雇用者数の増減

○昨年度調査とほぼ同じ結果

昨年度調査(図表6-2)と今回調査(図表6-1)を比較すると、ほぼ同じ結果となっている。ただし、産業別に見ると、製造業において「増加」とする回答が増えており、建設業、サービス業で「減少」とする回答が増えている。

■図表6-2 平成28年度における非正規雇用者数の増減(全産業617社)
※「景気動向調査No.104」(和歌山社会経済研究所、平成28年9月実施)より
平成28年度における非正規雇用者数の増減

7.総人件費の増減(前年度比)

総人件費が「増加」したとする事業者は49.9%
昨年度調査に比べて増えている

平成29年度の総人件費の増減(前年度比)を質問したところ、「増加」とする回答が49.9%とほぼ半数を占めた。

○「増加」とする回答は製造業で59.1%と多い

産業別に見ると、「増加」とする回答は製造業で59.1%と多く、続いてサービス業で51.6%となっている。「減少」したとする回答は商業、サービス業で比較的多く見られた。これらの事業者には、景況感や業績状況が悪く、正規雇用者または非正規雇用者を減少させた事業者が多い。

■図表7-1 平成29年度の総人件費の増減(全産業716社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答52社を除く716社が対象。
平成29年度の総人件費の増減

○昨年度調査に比べて「増加」とする回答が増えた

昨年度調査(図表7-2)と今回調査(図表7-1)を比較すると、「増加」とする回答が49.9%と昨年度の43.9%から増えている。産業別では、全ての産業で「増加」とする回答割合が上昇している。正規雇用・非正規雇用者への賃上げや雇用者数の増加が進み、総人件費の増加につながっているものと考えられる。

■図表7-2 平成28年度の総人件費の増減(全産業733社)
※「景気動向調査No.104」(和歌山社会経済研究所、平成28年9月実施)より
平成28年度の総人件費の増減

8.人件費の増加が収益に与える影響

総人件費が増加している事業者のうち約半数が
「収益を大きく圧迫」、「収益をやや圧迫」と回答

「質問7 総人件費の増減」において「増加」を選択した事業者に、人件費の増加が収益に与える影響について質問したところ、半数程度の事業者が「収益を大きく圧迫」(6.6%)または「収益をやや圧迫」(41.8%)と回答した。「収益に影響なし」とする回答は16.4%にとどまった。

○「収益を大きく圧迫」、「収益をやや圧迫」とする回答はサービス業で多い

産業別に見ると、サービス業で「収益を大きく圧迫」(6.3%)、「収益をやや圧迫」(45.2%)とする回答が多くなる一方で、建設業では「収益への影響は軽微」とする回答が40.0%と比較的多く見られた。

■図表8-1 人件費の増加が収益に与える影響(全産業347社)
※「質問7 総人件費の増減」において「増加」を選択した357社のうち、
無回答10社を除く347社を集計対象としている。

人件費の増加が収益に与える影響

9.設備投資の実施及び予定

平成29年度の設備投資について「あり」とする回答が31.4%
昨年度調査の26.4%からは増加した

平成29年度における設備投資の実施及び予定について県内事業者に質問したところ、31.4%の事業者が「あり」と回答した。予定「なし」とする回答は58.2%、「未定」は10.4%となった。

○「あり」は製造業で4割と多い

産業別に見ると、「あり」とする回答は製造業で40.8%と多くなっている。その一方で、建設業は20.9%と比較的低い値となっている。

■図表9-1 平成29年度の設備投資の実施及び予定(全産業692社)
※アンケートを回収した768社のうち、無回答76社を除く692社が対象。
平成29年度の設備投資の実施及び予定

○昨年度に比べて「あり」との回答は増加

昨年度調査(図表9-2)と今回調査(図表9-1)を比較すると、商業、サービス業等で「あり」との回答が増加している。特に、商業では、「あり」との回答割合が昨年度調査の12.9%から22.0%に大きく上昇している。業種別では、燃料小売業、機械器具小売業、衣料品小売業など小売業を中心に増加した。

平成27年度に実施した調査では、「あり」と回答した事業者は32.8%となっている。

■図表9-2 平成28年度の設備投資の実施及び予定(全産業711社)
※「景気動向調査No.104」(和歌山社会経済研究所、平成28年9月実施)より
平成28年度の設備投資の実施及び予定

10.設備投資の目的【複数選択可】

設備投資の目的は
「設備更新」、「設備の維持・修繕」がそれぞれ約4割

平成29年度に実施(または実施予定)の設備投資について、その目的を質問したところ、「設備更新」とする回答が40.6%で最も多かった。続いて多かった回答は「設備の維持・修繕」の37.3%。このように既存の設備を「更新」したり、「維持・修繕」するための設備投資が目立つ。

○産業ごとに、投資目的は様々で、製造業では「設備の能力増強」との回答も多い

産業別に見ると、製造業では「設備更新」の次に、「設備の維持・修繕」と「設備の能力増強」が続く。「設備の能力増強」との回答は、鉄鋼・金属製品製造業、食料品製造業などで多く見られた。

商業については、「設備更新」、「設備の維持・修繕」とする回答がとても多く、サービス業については、「設備更新」、「設備の維持・修繕」との回答も多いが、「新規事業の展開」との回答も他産業に比べて多く見られる。「新規事業の展開」との回答は教養・娯楽、生活関連サービス業、不動産業、医療・福祉などで多く見られた。

■図表10 設備投資の目的(全産業217社)
※「質問9 設備投資の実施及び予定」で「あり」と回答した217社を集計対象としている。
設備投資の目的

11.設備投資による業績への影響【複数選択可】

「売上高の増加」が4割弱
「売上原価の削減」、「販売費及び一般管理費の削減」が1割

平成29年度における設備投資について、実施した(または実施予定の)事業者に、その投資による業績への影響について質問したところ、「売上高の増加」とする回答が37.1%となっており、「売上原価の削減」(13.8%)、「販売費及び一般管理費の削減」(10.5%)とする回答が後に続く。また、「業績に影響なし」とする回答が41.9%見られた。

○「売上高の増加」は製造業に多い

産業別に見ると、「売上高の増加」との回答は、製造業で44.6%と多く、商業は37.8%、サービス業は34.9%、建設業は14.3%となっている。建設業については、「販売費及び一般管理費の削減」とする回答が21.4%と比較的多い。

業種別では、運輸業、医療・福祉、鉄鋼・金属製品製造業、機械・機械部品製造業で「売上高の増加」とする回答が多く見られた。

○昨年度調査と比べて「業績に影響なし」とする回答がやや増加

昨年度調査と比較すると、「業績に影響なし」とする回答がやや増加した。また、「売上原価の削減」、「販売費及び一般管理費の削減」との回答も増加した。「売上高の増加」については減少している。

■図表11 平成29年度の設備投資による業績への影響(全産業210社)
※「質問9 設備投資の実施及び予定」で「あり」と回答した217社のうち、
無回答7社を除く210社を集計対象としている。

平成29年度の設備投資による業績への影響
※(注)(  )内の値は昨年度調査の値。「景気動向調査No.104」(平成28年9月実施)を参照した。

12.設備投資を実施しない理由【複数選択可】

設備投資をしない理由として
過半数の事業者が「現状で設備は適正水準」を挙げた

平成29年度における設備投資について、実施予定のない事業者に、実施しない理由を質問したところ、「現状で設備は適正水準」とする回答が最も多く、過半数を占めた。「景況・業況の先行きが不透明」とする回答が30.9%で後に続く。

○製造業の回答結果に特徴あり

産業別に見ると、「現状で設備は適正水準」であるとする回答はいずれの産業においても、約半数を占める。

「景気・業況の先行きが不透明」とする回答は製造業に多い。また、製造業では、その他の産業と比べて、「資金調達が困難」、「借入負担が大きい」とする回答も多い。「資金調達が困難」については、食料品製造業、繊維製品製造業で回答が多く、「借入負担が大きい」は鉄鋼・金属製品製造業で回答が多い。

○昨年度に比べて「現状で設備は適正水準」との回答が増加

昨年度調査と比較すると、「現状で設備は適正水準」とする回答割合が昨年度調査の49.1%から今回は51.5%に上昇した。一方で、「景気・業況の先行きが不透明」、「企業収益の悪化」とする回答は減少している。国内景気、県内景気が持ち直す中で、先行きの不透明感を理由に、投資を先延ばしする事業者は減少したと考えられる。

■図表12 平成29年度に設備投資を実施しない理由(全産業392社)
※「質問9 設備投資の実施及び予定」で「なし」と回答した403社のうち、
無回答11社を除く392社が集計対象。

平成29年度に設備投資を実施しない理由
(注)(  )内の値は昨年度調査の値。「景気動向調査No.104」(平成28年9月実施)を参照した。

13.組織内部のリスク【最大2つまで選択可】

組織内部のリスクは、「安全・労働災害」、
「品質リスク」であるとする事業者が多い

事業経営におけるリスクについて、組織内部のリスクとして、どのようなものを認識しているかを質問(最大2つまで選択可)したところ、「安全・労働災害」との回答が63.7%で最も多く、「品質リスク」とする回答が50.0%で2番目に多かった。「情報リスク(漏えい等)」、「周辺環境の破壊」、「業務における従業員の法令違反」といった回答も見られたが、回答割合は1〜2割と低い。

○「安全・労働災害」は建設業で、「品質リスク」は製造業で回答割合が高い

産業別に見ると、建設業では9割強の事業者が「安全・労働災害」をリスクとしており、製造業では「安全・労働災害」と並んで、「品質リスク」を内部リスクとして強く認識している。商業については、「安全・労働災害」、「品質リスク」の回答割合が他の産業に比べて低い。

○「情報リスク(漏えい等)」はサービス業で回答割合が比較的高い

サービス業については、「情報リスク(漏えい等)」、「業務における従業員の法令違反」の回答割合が他の産業に比べて高くなっている。「情報リスク(漏えい等)」については、対事業所サービス業(情報通信業、金融業など)、不動産業、生活関連サービス業などで回答割合が高かった。「業務における従業員の法令違反」については、運輸業で回答が多く見られた。

■図表13 組織内部のリスク(全産業532社)
組織内部のリスク

14.組織外部のリスク【最大2つまで選択可】

組織外部のリスクは、「地震・自然災害」、
「法改正リスク(規制変更等)」であるとする事業者が多い

事業経営におけるリスクについて、組織外部のリスクとして、どのようなものを認識しているかを質問(最大2つまで選択可)したところ、「地震・自然災害」との回答が64.6%で最も多く、「法改正リスク(規制変更等)」とする回答が36.2%で続く。「サプライチェーンリスク」、「風評リスク」といった回答も見られた。

○「地震・自然災害」とする回答は製造業、建設業に多い

産業別に見ると、「地震・自然災害」との回答は製造業(79.3%)、建設業(70.8%)で多く見られる。また、地域別では和歌山市、紀南地域で特に回答が多くなっている。「法改正リスク(規制変更等)」は建設業(58.3%)、サービス業(47.5%)で多くなっている。特に、運輸業、医療・福祉で回答が多い。

○「サプライチェーンリスク」とする回答は製造業、商業に多い

「サプライチェーンリスク」とする回答は、製造業(39.3%)、商業(37.3%)で回答が多く、特に卸売業、木材・木工製品製造業、繊維製品製造業などで回答が多い。また、「風評リスク」については、サービス業(36.4%)で回答が多くなっており、特に旅館・ホテル業、不動産業、対事業所サービス業で回答が多い。

■図表14 組織外部のリスク(全産業542社)
組織外部のリスク

15.リスクマネジメントの実施体制

「リスクマネジメントはしていない」が6割
「総務・企画部門などが兼務」が26.0%

組織内部、外部のリスクに対して、リスクマネジメントを実施する部署があるかどうかを質問したところ、「リスクマネジメントはしていない」とする回答が6割強を占めた。「専門部署がある」とする回答は1.8%で、「総務・企画部門などが兼務」とする回答が26.0%を占めた。「担当部署はないが、専担者はいる」との回答は11.5%となっている。

○「リスクマネジメントをしていない」とする回答は建設業、商業に多い

「リスクマネジメントはしていない」とする回答は、建設業(73.5%)、商業(72.0%)で多く、サービス業(47.3%)では比較的少なくなっている。

○「リスクマネジメントをしていない」とする回答は従業員規模が小さい事業者ほど多い

図表は記載していないが、従業員規模別に見た場合、「リスクマネジメントはしていない」とする回答は、従業員4人以下では76.3%だが、5〜9人では64.3%、10〜49人では44.6%、50人以上では23.1%となっている。

○全国の中小企業については約6割が、リスク管理を担当する部署(兼務含む)を有している

みずほ総合研究所が平成27年12月に実施した「中小企業のリスクマネジメントへの取組に関する調査」によると、全国の中小企業の3.9%が「リスク管理を担当する専門部署あり」、55.7%が「リスク管理は総務・企画部門等が兼務」と回答している。

■図表15 リスクマネジメントの実施体制(全産業681社)
リスクマネジメントの実施体制

おわりに

○県内景況BSIは2期連続で改善し、緩やかに持ち直している

平成29年に入り、持ち直しの動きに一服感が見られた県内景気だが、4〜6月期、7〜9月期は改善した。売上高・収益について、約半数の事業者が「減少」と回答するなど、商業では業況に厳しさが見られるが、製造業、サービス業では業況が改善している。製造業では、鉄鋼・金属製品、機械・機械部品製造業が、サービス業では運輸業、対事業所サービス業(建物サービス業、情報通信業等)で景況感を「良い」とする事業者が多くなっている。建設業についても、公共工事額が減少する中、土木工事業では景況感が低迷する一方、電気工事業、建築工事業には景況感を「良い」とする事業者が多く見られる。

心配された仕入価格の上昇についても、一部の業種(建築工事業、食料品製造業、飲食料品卸・小売等)では上昇懸念は強いが、その他の業種では、落ち着きも見られる。その一方で、人手不足感については、不足感が強まっている。特に、建設業、運輸業、飲食業で不足感が強い。 10〜12月期(見通し)については、国内景気が引き続き持ち直し傾向にあり、県内景気はさらに改善する模様。

○県内景気が持ち直す中、正規雇用者の賃上げ実施事業者は約半数を占める

今回の特集アンケートでは、「平成29年度における県内事業者の賃上げ」について質問を行った。それによると、正規雇用者の月例給与額を増加させた事業者は53.8%と過半数を占め、昨年度調査とほぼ同様の結果となった。夏季賞与の支給状況、支給額の増減についても、昨年度調査とほぼ同様の結果となっている。県内景気が持ち直す中、正規雇用者に対する賃上げについては、昨年と同様、半数の事業者が実施していると考えられる。

○リスクを認識する事業者が多い一方で、リスクマネジメントを実施している事業者は少ない

今回の特集アンケートでは、「リスクマネジメント」についても質問を行った。それによると、組織内部のリスクとしては「安全・労働災害」、「品質リスク」を、組織外部のリスクとしては「地震・自然災害」、「法改正リスク(規制変更等)」を挙げる事業者が多いことがわかった。また、業種によっては、「情報リスク(漏えい等)」や「サプライチェーンリスク」、「風評リスク」を挙げる事業者も多く見られ、県内事業者は多様なリスクにさらされている。ただし、そのような状況の中で、リスクマネジメントを担当する部署や担当者を設けている事業者は4割程度で、6割の事業者が「リスクマネジメントはしていない」と回答した。この回答は、従業員規模の小さい事業者で特に多くなっている。

『中小企業白書』において、中小企業によるリスクマネジメントの必要性が指摘されている通り、中小企業の経営を揺るがす様々なリスク(取引先の業務停止、従業員の法令違反、品質問題等)が顕在化している。当研究所としては、リスクマネジメントに取り組む事業者が1社でも多くなるよう、引き続き、調査・研究を通じた課題提起、解決策提案に努めて参りたい。

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