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ホーム > 和歌山県内の動向 > 景気動向調査 > 景気動向調査 No.109

景気動向調査 No.109  特集

「人手の過不足感、従業員の募集・離職状況」について

アンケート趣旨

定年退職者の増加や国内景気の回復を背景に、企業の人手不足感が強まっている。そこで、今回の特集アンケートでは、県内事業者における人手不足感、事業への影響について質問を行った。研究所では、類似の調査を平成26年9月に実施しており、その時点からの状況の変化についても報告を行う。また、人手不足を解消するための手段である従業員の募集についても質問しており、県内事業者がどのような人手不足対策を実施しているのかについて考察を行った。


調査項目

  1.人手の過不足感
  2.人手不足による事業への支障の有無
  3.人手不足による事業への支障の内容
  4.従業員の募集状況
  5.従業員の確保見通し
  6.採用したい従業員の人物像
  7.募集を行っている職種
  8.従業員の募集を行っている主な理由
  9.従業員の募集方法
  10.離職者数の有無と増減
  11.従業員の確保・定着に向けた取り組み

調査結果

【「人手の過不足感、従業員の募集・離職状況」について】
現在、人手が不足している事業者は38.2%。3年前に比べて7.6ポイント上昇
従業員の募集を行っている事業者は44.4%で、うち半数が欠員補充を目的としている
人手の過不足感

○ 人手が不足している事業者のうち48.7%が事業に「支障あり」と回答

○ 支障内容は「人材育成ができない」、「売上減少」、「人件費増」がそれぞれ約4割

従業員の募集

○ 現在、従業員の募集を行っている事業者は44.4%。特に飲食業、運輸業に多い

○ 従業員を募集している事業者の過半数が「確保は難しい」と考えている

○ 採用したい人物像では「素直・真面目」が25.9%で最多

○ 募集している職種としては「営業職」が29.1%で最多

○ 従業員募集を行っている主な理由では「離職者(定年退職者除く)の補充」が最多

○ 約4年前に比べて、従業員の募集方法は多様化している

従業員の離職状況、従業員の確保・定着に向けた取り組み

○ 過去2年間で(従業員都合による)離職者が「いる」事業者は87.1%。このうち、直近1年間で離職者が「減少」した事業者は15.6%にとどまる

○ 従業員の確保に向けて、約半数の事業者が「賃金水準引き上げ」を実施

○ 従業員の確保が難しい事業者は「賃金水準引き上げ」の他に、様々な取り組みを実施

1.人手の過不足感(単一回答)

現時点で人手が「不足している」事業者は38.2%
3年前調査に比べて7.6ポイント上昇

現時点における人手の過不足感について質問したところ、38.2%の事業者が「不足している」と回答した。平成26年9月実施の調査(以降、「3年前調査」と表記)と比べて、その割合は7.6ポイント上昇している。

○現時点で「不足している」事業者と「2〜3年後には不足する」事業者を合計すると65.1%
○人手不足感は建設業、サービス業で特に強い

産業別では、建設業において、人手が「不足している」との回答が49.4%と半数近くを占めた。サービス業についても、「不足している」との回答が40.6%を占めており、飲食業(83.3%)、運輸業(55.6%)で回答が多い。

○人手不足感はいずれの産業においても強まっている

3年前調査と比較すると、いずれの産業でも「不足している」とする回答は増加しており、建設業、製造業はともに11.7ポイントの増加となった。また、商業については、「2〜3年後には不足する」との回答が12.6ポイント増加しており、先行きの不足感が強まっている。

■図表 1 人手の過不足感 (全産業689社)※単一回答
※アンケートを回収した741社のうち、無回答52社を除く689社が対象。
人手の過不足感
※図表中の「H29」は今回調査(景気動向調査No.109)、
「H26」は平成26年9月実施の景気動向調査No.96の調査結果を示している。

2.人手不足による事業への支障の有無(単一回答)

人手が不足している事業者のうち48.7%が「支障あり」と回答
製造業、サービス業では過半数を占める

現時点で人手が「不足している」事業者に対して、事業への支障の有無を質問したところ、48.7%の事業者が「支障あり」と回答した。また、「今後支障あり」とする回答も48.7%見られた。

○「支障あり」とする回答は製造業、サービス業で過半数を占める

産業別では、製造業やサービス業で「支障あり」とする回答が過半数を占めている。業種別では、木材・木工製品製造業(80.0%)、化学製品製造業(71.4%)、機械・機械部品製造業(66.7%)、医療・福祉(57.9%)、運輸業(56.0%)、飲食業(55.6%)、鉄鋼・金属製品製造業(50.0%)で回答が多い。

○3年前に比べて「今後支障あり」とする回答が増加した

3年前調査と比較すると、「支障あり」とする回答はほとんど増減なしだが、「今後支障あり」とする回答割合は5.3ポイント上昇した。産業別では、製造業、サービス業において「支障あり」とする回答割合がやや上昇した。

■図表 2 人手不足による事業への支障の有無 (全産業261社)※単一回答
※質問1で「不足している」と回答した263社のうち、無回答2社を除く261社が対象

※図表中の「H29」は今回調査(景気動向調査No.109)、
「H26」は平成26年9月実施の景気動向調査No.96の調査結果を示している。

3.人手不足による事業への支障の内容(複数回答可)

「人材育成ができない」、「売上減少」、「人件費増」との回答が多い
特に建設業、製造業では約半数が「人材育成ができない」と回答

人手不足により事業に支障が生じている事業者に対して、支障の具体的な内容を質問したところ、「技術伝承、人材育成ができない」、「売上高の減少」、「残業時間増に伴う人件費増」とする回答が4割前後で多くなっている。

○製造業では「残業時間増に伴う人件費増」、「技術伝承、人材育成ができない」との回答多い

建設業では、「技術伝承、人材育成ができない」(56.3%)、「売上高の減少」(43.8%)とする回答が多く見られる。

製造業については、「残業時間増に伴う人件費増」(68.8%)、「技術伝承、人材育成ができない」(50.0%)、「工期・納期の遅れ」(46.9%)とする回答が多い。特に、機械・機械部品製造業、鉄鋼・金属製品製造業では、「残業時間増に伴う人件費増」と「技術伝承、人材育成ができない」をともに選択している事業者が多く、人手不足に対して、残業時間を増やすことで対応しているものの、人材育成に時間を割けない事業者が多いことがうかがえる。

○商業、サービス業ともに「売上高の減少」とする回答が多い

商業では、「売上高の減少」(59.1%)とする回答が多くなっている。「販路開拓の抑制」(36.4%)とする回答も他産業に比べて多い。

サービス業では、「売上高の減少」(42.6%)、「技術伝承、人材育成ができない」(38.9%)とする回答が多い。「売上高の減少」については、特に飲食業で回答が多く、「技術伝承、人材育成ができない」とする回答は教養・娯楽、生活関連サービス業で多い。

■図表 3 人手不足による事業への支障の内容 (全産業124社)※複数回答可
※質問2で「支障あり」と回答した127社のうち、無回答3社を除く124社が対象

4.従業員の募集状況(単一回答)

従業員募集を「行っている」事業者は44.4%
業種別では、飲食業、運輸業で回答が多い

現在、従業員を募集しているかどうかについて質問したところ、44.4%が「行っている」と回答した。

○従業員募集を「行っている」事業者はサービス業、製造業で約半数を占めた

産業別では、「行っている」とする回答がサービス業で50.6%を占め、製造業では45.5%を占めた。建設業、商業については、「行っている」とする回答が4割を下回った。

○従業員募集を「行っている」事業者は飲食業、運輸業では7割前後を占める

業種別に見ると、「行っている」とする回答は、飲食業(75.0%)、運輸業(68.1%)、旅館・ホテル業(54.5%)、飲食料品小売業(52.9%)、飲食料品卸売業(52.4%)などで多く見られる。

■図表 4 従業員の募集状況 (全産業698社)※単一回答
※アンケートを回収した741社のうち、無回答43社を除く698社が対象

5.従業員の確保見通し(単一回答)

従業員を募集している事業者の53.7%が「確保は難しい」と回答
特に、建設業では64.7%を占める

現在、従業員を募集している事業者に対して、予定数を確保できるかどうかを質問したところ、53.7%の事業者が「確保は難しい」と回答した。「わからない」とする回答は26.5%で、「確保できる」とする回答は19.7%にとどまった。

○建設業の64.7%が従業員の「確保は難しい」と回答

産業別では、建設業で64.7%の事業者が「確保は難しい」と回答している。製造業、商業、サービス業についても、約半数の事業者が「確保は難しい」と回答した。「確保できる」とする回答は製造業で25.0%とやや多い。商業とサービス業については、「わからない」とする回答が3割程度を占めた。

○設備工事業、飲食料品卸売業、鉄鋼・金属製品製造業で「確保は難しい」とする回答が多い

業種別では、「確保は難しい」とする回答が、設備工事業(85.7%)、飲食料品卸売業(72.7%)、鉄鋼・金属製品製造業(70.0%)、飲食業(66.7%)、化学製品製造業(62.5%)などで多い。その一方で、「確保できる」とする回答は、木材・木工製品製造業(62.5%)、教養・娯楽サービス業(50.0%)、食料品製造業(40.0%)などで多い。

■図表 5 従業員の確保見通し(全産業309社)※単一回答
※質問4で「行っている」と回答した310社のうち無回答1社を除く309社が対象

6.採用したい従業員の人物像(単一回答)

「素直・真面目」との回答が25.9%で最多
建設業では「コミュニケーション能力が高い」が最も多い

現在、従業員を募集している事業者に対して、採用したい従業員の人物像を質問したところ、「素直・真面目」とする回答が25.9%で最も多く、続いて「専門的なスキル、知識がある」(16.9%)、「コミュニケーション能力が高い」(13.1%)との回答数が多い。

○建設業では「コミュニケーション能力が高い」が、製造業では「素直・真面目」が最多回答

建設業では、「コミュニケーション能力が高い」とする回答が21.9%で最も多く、続いて「素直・真面目」とする回答が18.8%と多い。

製造業については、「素直・真面目」とする回答が28.2%で最多となっており、その後には「専門的なスキル、知識がある」が21.1%で続く。

○商業、サービス業ともに「素直・真面目」とする回答が最も多い

商業では、「素直・真面目」とする回答が20.0%で最多となっており、「性格が明るい・社交性がある」との回答が16.7%で後に続く。

サービス業については、「素直・真面目」とする回答が29.1%で最多となっており、「専門的なスキル、知識がある」とする回答が18.1%、「コミュニケーション能力が高い」とする回答が16.5%で後に続く。

■図表 6 採用したい従業員の人物像 (全産業290社)※単一回答
※質問4で「行っている」と回答した310社のうち無回答20社を除く290社が対象

7.募集を行っている職種(複数回答可)

募集している職種としては「営業職」が29.1%で最多
製造業、建設業でも2〜3割を占める

現在、従業員を募集している事業者に対して、募集を行っている職種について質問したところ、「営業職」とする回答が29.1%で最も多く、「生産工程2(加工・組み立て)」(19.0%)、「接客・店頭販売職」(14.7%)、「一般事務職」(14.4%)とする回答が後に続く。

○製造業では約半数の事業者が「生産工程2(加工・組み立て)」と回答

建設業では、81.8%が「土木・建設職」と回答しており、「営業職」(21.2%)、「一般事務職」(18.2%)がその後に続いた。

製造業では、「生産工程2(加工・組み立て)」(55.3%)との回答が最多で、「営業職」(32.9%)、「生産工程1(設備の運転・監視)」(22.4%)、「研究・開発職」(21.1%)が、その後に続いた。

○商業では「営業職」、サービス業では「専門職1(介護・医療・保健分野)」との回答が多い

商業では、「営業職」が50.0%で最多回答となっており、「接客・店頭販売職」が24.2%で次に多い。

サービス業では、「専門職1(介護・医療・保健分野)」とする回答が21.4%で最も多く、その後には「運輸職(運転手等)」(20.6%)、「接客・店頭販売職」(19.1%)が続く。

■図表 7 募集を行っている職種 (全産業306社) ※複数回答可
※質問4で「行っている」と回答した310社のうち無回答4社を除く306社が対象

8.従業員の募集を行っている主な理由(単一回答)

「離職者(定年退職者除く)の補充」が35.4%で最多
特に、サービス業で回答が多い

現在、従業員を募集している事業者に対して、従業員を募集する主な理由について質問を行ったところ、「離職者(定年退職者除く)の補充」が35.4%で最も多く、続いて「事業規模拡大を図るため」(20.7%)、「業績好調による業務量の増加への対応」(14.0%)との回答が多く見られた。

○約半数の事業者が欠員補充(将来の欠員を含む)を目的に従業員を募集している

従業員の募集を行っている理由として、「将来的な退職者増加への準備」(11.6%)、「定年退職者の補充」(8.1%)との回答も一定数あり、最多回答の「離職者(定年退職者除く)の補充」を含めて、約半数の事業者が離職者、定年退職者、将来的な退職者といった欠員に対する補充を、従業員募集の主な目的としている。

○「事業規模拡大を図るため」との回答は製造業や商業(特に卸売業)で多い

産業別では、いずれの産業においても「離職者(定年退職者除く)の補充」との回答が多く、特にサービス業で4割以上を占める。「事業規模拡大を図るため」、「業績好調による業務量の増加への対応」といった回答については、製造業や商業で比較的多く回答が見られた。

「将来的な退職者増加への準備」については、建設業において他産業に比べて回答が多く見られる。

■図表 8 従業員の募集を行っている主な理由 (全産業285社)※単一回答
※質問4で「行っている」と回答した310社のうち無回答25社を除く285社が対象

9.従業員の募集方法(複数回答可)

平成25年に比べて、従業員の募集方法は多様化しており
中でもITを活用した募集方法が2倍に

現在、従業員を募集している事業者に対して、従業員の募集方法について質問したところ、「ハローワークへの登録」とする回答が82.3%で最も多い回答となっている。その後には、「知人等による紹介」(37.7%)、「学校への求人」(30.0%)、「自社ホームページでの求人」(27.7%)が多い回答として続いている。

○サービス業では「自社ホームページでの求人」、「民間求人サイトの活用」とする回答が多い

産業別では、「ハローワークへの登録」との回答が製造業で比較的少なく、「知人等による紹介」とする回答は建設業で多く見られる。製造業は他産業に比べて、「学校への求人」、「合同説明会・就職フェアへの参加」、「民間人材紹介会社の活用」との回答が多い。商業については、それぞれの募集方法の回答割合が全体に比べて低い。サービス業については、「自社ホームページでの求人」、「民間求人サイトの活用」との回答が比較的多い。

○平成25年に比べて、従業員の募集方法は多様化している

当研究所では、平成25年8月に従業員の募集方法に関する調査を実施しており、その当時と比べると、それぞれの募集方法を選ぶ回答割合が上昇している。特に「自社ホームページでの求人」、「民間求人サイトの活用」といったITを活用した募集方法や「合同就職説明会・就職フェアへの参加」、「民間人材紹介会社の活用」といった回答が増えている。

■図表 9 従業員の募集方法 (全産業310社)※複数回答可
※質問4で「行っている」と回答した310社が対象

※図表中の「H29」は今回調査(景気動向調査No.109)、
「H25」は平成25年8月に実施した「県内事業者経営状況調査」の調査結果を示したもの。

10.(従業員都合による)離職者数の有無と増減(単一回答)

過去2年間に離職者が「いる」と回答した事業者は87.1%
このうち、直近1年間で離職者数が「減少」した事業者は15.6%

過去2年間における(従業員都合による)離職者の有無を質問したところ、87.1%の事業者が「いる」と回答した。「いない」とする回答は12.9%だった。

○サービス業、製造業で「いる」とする回答が9割前後

産業別に見ると、「いる」とする回答はサービス業で91.8%、製造業で89.1%と9割程度を占めた。

■図表 10-1 過去2年間における離職者の有無 (全産業684社)
※アンケートを回収した741社のうち無回答57社を除く684社が対象

○直近1年間で離職者が「減少」した事業者は少ない

過去2年間で(従業員都合による)離職者が「いる」と回答した事業者に、直近1年間の離職者数の増減(比較対象はそれ以前の1年間)を質問したところ、「変化なし」とする回答が66.4%で最も多くなった。「減少」とする回答は15.6%にとどまり、「増加」とする回答は18.0%だった。

■図表 10-2 直近1年間における離職者数の増減(全産業596社)
※過去2年間に離職者が「いる」と回答した596社が集計対象。

11.従業員の確保・定着に向けた取り組み(複数回答可)

「賃金水準引き上げ」が46.4%で最多
他には雇用の安定化や職場環境の改善に取り組む事業者も多い

従業員の確保や定着に向けて、実際に実施している取り組み内容について質問したところ、「賃金水準引き上げ」とする回答が46.4%で最も多くなっている。その後には、3割前後で「雇用の安定化」、「福利厚生の充実」、「社員間のコミュニケ―ションの円滑化」、「残業時間の抑制」、「職場環境改善」といった回答が多く見られた。このように、賃金・各種手当の充実、雇用の安定化、職場環境や雰囲気の改善といった回答が上位回答となっている。

○建設業では「人材育成の強化」、サービス業では「雇用の安定化」との回答が比較的多い

非正規雇用比率が比較的高いサービス業では、「雇用の安定化」を回答する事業者が36.9%とやや多く、建設業では「人材育成の強化」(36.7%)との回答が多く見られた。製造業については、「残業時間の抑制」、商業については、「残業時間の抑制」、「柔軟な勤務時間制度の整備」とする回答がやや多い。

■図表 11 従業員の確保・定着に向けた取り組み (全産業653社)※複数回答可
※アンケートを回収した741社のうち無回答88社を除く653社が対象

(参考) 従業員の確保が難しいと考える事業者はどのような対策を行っているのか

従業員の確保が難しい事業者ほど
「賃金水準引き上げ」以外にも、様々な取り組みを実施

質問5「従業員の確保見通し」で、従業員は「確保できる」と回答した事業者と「確保は難しい」と回答した事業者とでは、従業員の確保・定着に向けた取り組み内容に違いが見られるかどうかを見たところ、次のような違いが見られた。

○「確保は難しい」事業者は、「賃金水準引き上げ」、「雇用の安定化」等で回答が多い

従業員の「確保は難しい」と考える事業者は、「確保できる」と考える事業者に比べて、「賃金水準引き上げ」、「雇用の安定化」、「人材育成の強化」、「柔軟な勤務時間制度」等の取り組みを行う事業者が多い。

○「確保できる」事業者は、「仕事へのやりがい付与」等で回答が多い

従業員は「確保できる」と考える事業者は、「確保は難しい」と考える事業者に比べて、「仕事へのやりがい付与」、「休暇制度の充実」等の取り組みを行う事業者が多い。

■図表 従業員の確保・定着に向けた取り組み(従業員の確保見通し別)

(参考) 離職者の増加に直面する事業者はどのような対策を行っているのか

離職者が「増加」している事業者の多くは
「賃金水準引き上げ」、「残業時間の抑制」に取り組んでいる

質問10-2「直近1年間における離職者数の増減」で、離職者が「増加」していると回答した事業者と「減少」と回答した事業者とでは、従業員の確保・定着に向けた取り組み内容に違いが見られるかどうかを見たところ、次のような違いが見られた。

○離職者が「増加」している事業者は「残業時間の抑制」等で回答多い

離職者が「増加」している事業者は、「残業時間の抑制」等の取り組みを行う事業者が比較的多い。

○離職者が「減少」している事業者は、「賃金水準引き上げ」、「福利厚生の充実」等で回答多い

離職者が「減少」している事業者は、「賃金水準引き上げ」、「福利厚生(各種手当)の充実」、「明確な人事評価制度の整備」等の取り組みを行う事業者が比較的多い。

■図表 従業員の確保・定着に向けた取り組み(離職者の増減別)

おわりに

○県内景況BSIは3期連続で上昇し、約4年ぶりのプラス水準

平成29年末、日経平均株価は22,765円まで上昇し、年初に比べて3,000円以上高い水準となった。経済協力開発機構(OECD)の予測によると、平成29年における主要国のGDP成長率はそろってプラス成長となる見通しで、国際通貨基金(IMF)も今後の世界経済の成長率予想を上方修正している。この世界景気の回復に加えて、国内では上場企業を中心に業績改善が大きく進んだ。企業活動では、人手不足感の強まりが懸念されるものの、堅調な外需を背景に輸出が伸び、自動車や機械などで国内生産が増加している。生産活動の持ち直しは、設備投資の伸びにもつながっている。消費者心理を示す「消費者態度指数」(内閣府調べ)も改善が続いており、企業・家計ともに持ち直しの動きが見られた。

このような状況の中で、県内景況BSIは3期連続で上昇した。全ての産業で景況BSIが上昇し、平成26年1〜3月期以来、約4年ぶりにプラス水準を回復した。また、売上高・収益に関するBSIについても上昇し、消費増税(平成26年4月)以降の最高値を更新した。依然として、約4割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答している点や、仕入価格の上昇懸念が強まっている点、人手不足感が強まっている点には注意が必要だが、県内景気は総じて持ち直している。

○県内景気が持ち直す中、県内事業者の人手不足感は強まっている

県内景気が持ち直す中、多くの県内事業者にとって課題となっているのが「人手不足」である。今回の特集アンケートでは「人手の過不足感」について質問を行った。それによると、現在、人手が不足している事業者は38.2%で、3年前に実施した類似調査に比べて7.6ポイント上昇していることがわかった。さらに、この人手不足による事業への支障については、「人材育成ができない」、「売上減少」、「人件費増」といった回答が多く見られた。

このような人手不足を解消するためには、従業員を募集・採用することや、離職者を増やさないことが対策として重要となるが、県内事業者の9割近くで離職者が出ており、その離職者数を減らすことができている事業者は一部にとどまる。また、4割の事業者が従業員を募集しているが、うち半数以上は従業員を確保することは難しいと考えている。

従業員の確保が難しくなる中で、県内事業者の多くが、従業員を確保・定着させるために、賃上げや正社員登用、福利厚生の充実、残業時間の抑制に取り組んでいる。今後は、このような従業員の待遇・処遇改善に加えて、将来性のある事業への「選択と集中」、無駄な業務の削減、設備投資(IT投資等)による省力化など、現時点の人員で事業を継続していくための取り組み・工夫が欠かせない。当研究所としては、このような県内事業者の取り組みについて、引き続き、調査・研究を通じた課題提起、解決策提案に努めて参りたい。

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