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景気動向調査 No.113  特集

「働き方改革」に関する取り組みについて
「働き方改革関連法」への対応について

アンケート趣旨

高齢化と人口減少という状況下で、県内事業者の人手不足感が強まっている。女性・高齢者の就労促進、雇用している従業員の定着率向上のためにも、「働き方改革」による働きやすい職場づくりが重要になっている。また、昨年6月には「働き方改革関連法」が成立し、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化など県内事業者にも対応を迫る内容となっている。そこで、今回の特集アンケートでは、「働き方改革関連法」の認知度・対応状況や県内事業者が実施している「働き方改革」について質問を行った。


調査項目

【「働き方改革」に関する取り組みについて】
  1.「働き方改革」の実施状況
  2.「働き方改革」を行わない理由
  3.「働き方改革」を行う主な目的
  4.「働き方改革」として取り組んでいるもの
  5.「働き方改革」の効果
  6.「働き方改革」において効果的だった取り組み

【「働き方改革関連法」への対応について】
  7.「働き方改革関連法」に伴う制度変更の認知度
  8.時間外労働時間の上限規制(罰則付き)への対応状況
  9.年次有給休暇取得義務への対応状況
  10.月60時間超の時間外労働に対する賃金割増率変更への対応状況

調査結果

【「働き方改革」に関する取り組みについて】
職場の「働き改革」に取り組んでいる事業者は48.7%
具体的な取り組みでは、「長時間労働の是正」、「休日取得の推進」等が多い

○ 「働き方改革」を「行う予定はない」との回答は24.2%

○ 「働き方改革」の主な目的は「従業員のモチベーション向上」が最も多い

○ 「働き方改革」に取り組む事業者のうち49.3%が「効果あり」と回答

○ 効果的な「働き方改革」の取り組みとしては、「外注の活用」、「育児・介護と仕事の両立支援」などが挙げられる

【「働き方改革関連法」への対応について】
「働き方改革関連法」施行に伴う制度変更(時間外労働時間の上限規制等)について
「あまり知らない」が42.1%を占め、「全く知らない」との回答も11.8%

○ 時間外労働時間の上限規制 :「対応済み」21.3%、「未定」16.6%

○ 年次有給休暇の取得義務化 :「対応済み」18.5%、「未定」20.9%

○ 月60時間超の時間外労働に対する賃金割増率変更:「対応済み」6.5%、「未定」32.0%

1.「働き方改革」の実施状況

「働き方改革」を「行っている」事業者は48.7%
「行う予定はない」は24.2%

長時間労働の是正や休日取得の推進といった「働き方改革」の実施状況について、県内事業者に質問したところ、48.7%の事業者が「行っている」と回答した。「今は行っていないが、今後行う予定」は14.8%となっている。「行っておらず、今後も行う予定はない」との回答は24.2%となった。

■図表 「働き方改革」の実施状況(全産業616社)
※アンケートを回収した684社のうち、無回答68社を除く616社が対象。
「働き方改革」の実施状況

○「行っている」との回答は製造業、サービス業、建設業で約半数を占める

産業別に見た場合、「行っている」とする回答は製造業、サービス業、建設業で半数以上を占める一方、商業では約4割となった。業種別では、教養・娯楽サービス業(77.8%)、「機械・機械部品製造業(71.4%)、生活関連サービス業(70.0%)などで回答割合が高い。

○「行う予定はない」との回答は商業でやや多い

「行う予定はない」とする回答は、商業、製造業でやや多く見られる。業種別では、不動産業(52.9%)、その他の卸売業(37.1%)、木材・木工製品製造業(36.8%)などで回答割合が高い。

2.「働き方改革」を行わない理由

従業員規模の小さい事業者では「働き方改革」の必要性が乏しく
「行っている」との回答は少ない

前頁で見た県内事業者の「働き方改革」の実施状況において、「行っておらず、今後も行う予定はない」とする事業者は24.2%を占めた。下の図表1が示す通り、「行っておらず、今後も行う予定はない」とする事業者は従業員規模の小さい事業者ほど多くなっている。さらに、「行う予定はない」とする理由を質問したところ、従業員規模の小さい事業者では、「必要性を感じない」とする回答が多く見られた(図表2)。

■図表1 「働き方改革」の実施状況(全産業614社、従業員規模別)
※アンケートを回収した684社のうち、無回答70社を除く614社が対象。
「働き方改革」の実施状況

■図表2 「働き方改革」を行わない理由(従業員規模別、上位3つ)
※「質問1「働き方改革」の実施状況」で「行っておらず今後も行う予定はない」と回答した149社のうち、
無回答5社を除く144社が対象。

「働き方改革」を行わない理由
(注)「4人以下」の2位回答「その他」としては、「家族経営だから」、「パート・アルバイトで構成しているから」と
いった記述が多く、「必要性を感じない」に類似する内容のものが目立った。

3.「働き方改革」を行う主な目的【複数回答】

「従業員のモチベーション向上」が27.4%で最多
「従業員の心身の健康」が19.7%で後に続く

「働き方改革」を実施している(実施予定の)事業者に、最も重視する目的を質問したところ、「従業員のモチベーション向上」が27.4%で最多回答となった。「従業員の心身の健康」(19.7%)、「人材の定着」(14.3%)、「人材確保」(12.6%)との回答が後に続く。

■図表 「働き方改革」を行う主な目的(全産業350社、複数回答)
※「質問1「働き方改革」の実施状況」で「行っている」または「今は行っていないが、今後行う予定」と
回答した391社のうち、無回答41社を除く350社が対象。

「働き方改革」を行う主な目的
(注)表中における着色表記は、各項目において最も回答割合の高かった産業を意味する。

○産業ごとに「働き方改革」の主な目的に違いが見られる

産業別に見ると、商業において「従業員のモチベーション向上」、「従業員の心身の健康」といった回答が比較的多く、建設業やサービス業では「人材の定着」、「人材確保」との回答が多い。製造業については、「従業員の能力向上」、「生産性向上」とする回答がやや多くなっている。

4.「働き方改革」として取り組んでいるもの【複数回答】

「長時間労働の是正」、「休日取得の推進」に取り組む事業者が多い
「副業の許可」、「テレワーク導入」はごくわずか

「働き方改革」を実施している事業者に、具体的な取り組み内容を質問したところ、「長時間労働の是正」が55.3%と最も多く、次いで「休日取得の推進」(48.3%)、「定年延長・廃止・継続雇用制度導入」(35.0%)、「勤務時間・制度の多様化」(29.0%)などで回答が多くなっている。

■図表 「働き方改革」として取り組んでいるもの(全産業300社、複数回答)
※「質問1「働き方改革」の実施状況」で「行っている」と回答した300社が対象。
「働き方改革」として取り組んでいるもの
(注)表中における着色表記は、各項目において最も回答割合の高かった産業を意味する。

○産業ごとに「働き方改革」の取り組み内容に違いが見られる

産業別に見ると、サービス業では、「休日取得の推進」、「勤務時間・制度の多様化」、「育児・介護と仕事の両立支援」に取り組む事業者が比較的多く、建設業では「定年延長・廃止・継続雇用制度導入」に取り組む事業者が多い。

5.「働き方改革」の効果

「効果あり」は49.3%
建設業で64.5%と多く、商業で38.4%と少ない

「働き方改革」を実施している事業者に、「働き方改革」により何らかの効果(※)が得られているか質問したところ、「効果あり」との回答は49.3%で、「効果なし」(50.7%)をわずかながら下回った。多くの事業者が「働き方改革」に取り組むも、現状としては効果を得られている事業者は半数程度にとどまっている。

(※)ここでの効果については、回答者によって異なり、従業員のモチベーション向上、生産性向上、人材の定着率向上などが想定される。

■図表 「働き方改革」の効果(全産業300社)
※「質問1「働き方改革」の実施状況」で「行っている」と回答した300社が対象。
「働き方改革」の効果

○建設業で「効果あり」とする回答が64.5%と最も多い

産業別では、建設業で「効果あり」とする回答が64.5%と多くなる一方で、商業では38.4%と少なくなっている。製造業は54.9%、サービス業は48.2%となっている。

6.「働き方改革」において効果的だった取り組み【複数回答】

「外注の活用」、「育児・介護と仕事の両立支援」などが
働き方改革において効果的な取り組みとなっている

質問4で回答した「働き方改革」の取り組みについて、何らかの効果が得られたかどうかを質問したところ、「外注の活用」に取り組んだ事業者のうち54.8%が「効果あり」と回答し、最も回答割合が高かった(計算方法については、点線四角内参照)。次いで「育児・介護と仕事の両立支援」(43.1%)、「業務の集約化・業務プロセス改善」(42.3%)、「効率化のためのIT・システム導入」(40.7%)、「人事評価制度・賃金制度の改善」(40.3%)なども回答割合が比較的高い。

■図表 「働き方改革」において効果的だった取り組み(全産業300社、複数回答)
※「質問1「働き方改革」の実施状況」で「行っている」と回答した300社が対象。
「働き方改革」において効果的だった取り組み
(注)表中における着色表記は、各項目において最も回答割合の高かった産業を意味する。

【図表内の割合の算出方法】
図表内の割合の算出方法

7.「働き方改革関連法」に伴う制度変更の認知度

「あまり知らない」、「全く知らない」を合わせると53.9%
「よく知っている」は6.5%

「働き方改革関連法」に伴う制度変更(参考図表参照)の認知度を質問したところ、「よく知っている」との回答は6.5%で、「ある程度知っている」との回答は39.6%となった。「あまり知らない」が42.1%、「全く知らない」との回答も11.8%見られた。

■(参考図表)「働き方改革関連法」(平成30年6月成立)の主な内容

1.罰則付きの時間外労働上限規制導入(平成31年4月から、中小企業は平成32年4月から)
2.一定日数の年次有給休暇の確実な取得(平成31年4月から)
3.中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し(平成35年4月から)

※ その他にも、管理職等の労働時間の状況把握の実効性確保、フレックスタイム制の見直し、高度プロフェッショナル制度の創設等がある。詳細については、厚生労働省ウェブサイトを参照。

■図表 「働き方改革関連法」に伴う制度変更の認知度(全産業603社)
※アンケートを回収した684社のうち、無回答81社を除く603社が対象。
「働き方改革関連法」に伴う制度変更の認知度

8.時間外労働時間の上限規制(罰則付き)への対応状況

「対応の必要なし」、「対応済み」を合わせると58.7%
「対応予定」は24.7%、「未定」は16.6%

本年4月(中小企業は平成32年4月)以降、単月で100時間、年間で720時間を超える時間外労働は一部の業種(建設業等)を除き禁止される(違反の場合は罰則あり)中で、県内事業者にその対応(労使協定の変更等)状況を質問したところ、「対応の必要なし」とする回答が37.4%と最多となった。「対応済み」は21.3%で、「対応予定」が24.7%、「未定」は16.6%だった。

■図表 時間外労働時間の上限規制への対応状況(全産業596社)
※アンケートを回収した684社のうち、無回答85社を除く596社が対象。
時間外労働時間の上限規制への対応状況

○建設業において「対応予定」、「未定」とする回答が比較的多い

産業別に見ると、「対応の必要なし」、「対応済み」を合わせた回答割合は、製造業、商業、サービス業で6割前後となる一方で、建設業は5割となった。建設業については、上限規制の適用が平成36年4月まで猶予されることもあり、他産業に比べて「対応予定」、「未定」とする回答が多くなったものと考えられる。

9.年次有給休暇取得義務への対応状況

「対応の必要なし」、「対応済み」を合わせると34.7%
「対応予定」は44.4%、「未定」は20.9%

本年4月以降、10日以上の年次有給休暇が付与される従業員について、5日の有給休暇取得義務が事業者側(中小企業含む)に課される。これに伴い、従業員ごとの有給休暇取得状況を把握し、休暇取得を促したりする必要が生じる。この点について、県内事業者にその対応状況を質問したところ、「対応予定」が44.4%、「未定」が20.9%となり、合わせると65.3%を占めた。

■図表 年次有給休暇取得義務への対応状況(全産業604社)
※アンケートを回収した684社のうち、無回答80社を除く604社が対象。
年次有給休暇取得義務への対応状況

産業別に見ると、「対応の必要なし」、「対応済み」を合わせた回答割合は、商業、サービス業で高い。これらの産業では、パート・アルバイト等の非正規雇用比率の高い事業者が多い結果、年間10日以上の有給休暇を付与する従業員が少ない。そのため、他産業に比べて、「対応の必要なし」とする回答がやや多くなっているものと考えられる。

建設業については、「対応の必要なし」、「対応済み」とする回答は少なく、半数近い事業者が「対応予定」と回答している。

10.月60時間超の時間外労働に対する賃金割増率変更への対応状況

「対応の必要なし」、「対応済み」を合わせると35.2%
「対応予定」は32.8%、「未定」は32.0%

平成35年4月より、中小企業に対する月60時間超の時間外労働への賃金割増率変更の適用猶予が廃止され、割増率は「25%以上」から「50%以上」となる。この制度変更に対する対応(労使協定の変更等)について県内事業者に質問したところ、「対応予定」が32.8%で最も多く、「未定」についても32.0%と多く見られた。制度変更の時期が約4年後であることもあり、「対応済み」との回答は6.5%にとどまった。

■図表 月60時間超の時間外労働に対する賃金割増率変更への対応状況(全産業603社)
※アンケートを回収した684社のうち、無回答81社を除く603社が対象。
月60時間超の時間外労働に対する賃金割増率変更への対応状況

○建設業において「対応予定」、「未定」とする回答が多くなっている

産業別に見ると、「対応の必要なし」、「対応済み」を合わせた回答割合は、商業、サービス業で高くなっている。その一方で、建設業については、「対応の必要なし」、「対応済み」とする回答は少なく、8割強の事業者が「対応予定」または「未定」と回答している。建設業は他産業に比べて、人手不足感が強く、1人当たりの所定外労働時間が多い傾向にある。その結果、対応を迫られる事業者が他産業に比べて多いものと考えられる。

おわりに

○県内景況BSIは全ての産業で上昇。再びプラス水準に

前回調査(平成30年7〜9月期)では、製造業、商業の景況感が悪化し、全体の景況BSIも9.0ポイントの下降となり、それまでの持ち直しの動きに一服感が見られた。ただし、今回(10〜12月期)は、公共工事・台風災害からの復旧工事が増加した建設業で景況BSIが大きく上昇したことに加えて、その関連産業(建築資材卸売業、土木建築サービス業等)でも景況BSIが上昇した。不動産業、運輸業を筆頭にサービス業でも景況BSIは上昇、製造業・商業でも上昇に転じた。

○国内外の経済情勢に先行き不透明感広がる。見通しの県内景況BSIは全ての産業で下降

平成31年1〜3月期の見通しについては、全ての産業で景況BSIが下降し、全体では6.1ポイント下降する。建設業、サービス業の景況BSIはプラス水準を維持するが、製造業については約2年ぶりにマイナス水準まで下降する見通しとなった。昨年末以降、原油価格が急落し、仕入価格の上昇懸念は緩和に向かっているものの、世界景気・国内景気の先行き不透明感は強い。米中貿易摩擦の激化等を背景に、世界経済の減速が鮮明になっている。国内経済についても、生産活動や輸出の伸びに一服感が見られる。10月には消費増税も予定されており、県内事業者の将来見通しには弱さが見られる。

○多くの事業者が「働き方改革」を実施。ただし、課題も多い

以上のような状況の中で、県内事業者の経営課題として「人手不足問題」がますます大きくなっている。そこで、女性や高齢者の就労促進、雇用している従業員の定着率向上のためにも、事業者が「働き方改革」を行い、働きやすい職場づくりを目指すことが重要になっている。今回の特集アンケートでは、この「働き方改革」について県内事業者の取り組み状況を調査した。それによると、多くの事業者が従業員のモチベーション向上、心身の健康を確保するために、長時間労働の是正、休日取得の推進に取り組んでいることがわかった。ただし、業務の多忙さから、「働き方改革」を進められない事業者や、実施できたとしても、なかなか効果を実感できない事業者も多い。加えて、「勤務時間の多様化」、「育児・介護と仕事の両立支援」、「効率化のためのIT・システム導入」、「業務の集約化・業務プロセス改善」に取り組む事業者は少なく、県内における「働き方改革」には多くの課題が残る。

研究所では、県内事業者による「働き方改革」について、引き続き調査を行いながら、進捗状況や課題について明らかにしていきたい。

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