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景気動向調査 No.118

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(2019年10〜12月期)における県内経済の状況
県内景況BSIは4期連続で下降

前回調査(2019年10〜12月期)の県内景況BSIは4期連続での下降となった。業況良好な建設業では景況BSIが上昇し、サービス業の景況BSIもプラス水準を維持する一方で、10月の消費増税、国内生産活動の低迷もあり、製造業の景況BSIは11.9ポイントの下降(下降は4期連続)となった。さらに、前回増税時(14年4月)に比べて、悪影響は限定的と考えられる商業だが、その景況BSIは3.1ポイント下降した。このような状況においても、建設業とサービス業における人手不足感は依然として強く、経営上の問題点となっている。

3.2020年1〜3月期の国内外経済情勢
新型コロナウイルス感染症の拡大により
世界経済、日本経済ともに厳しい状況に直面している

世界経済における最大の懸念事項であった米中貿易摩擦おいて、関税引き下げを含む「第1段階」の部分合意が1月に決定した。これにより、景気の持ち直しに対する期待が膨らんだが、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症は、ヒトからヒトへの感染を繰り返し、世界保健機関(WHO)は1月30日に緊急事態を宣言した。感染は瞬く間にイタリア、韓国、イランをはじめ世界中に広がり、3月10日にはイタリア全土で人の移動が制限されることになった。感染は米国にも拡大し、トランプ大統領は13日に国家非常事態を宣言した。ニューヨーク州、カリフォルニア州などで人の移動や企業活動が制限され、類似の動きは英国、フランスなどの欧州各国、タイ、シンガポールなどの東南アジア諸国、インドなどにも広がり、世界経済に深刻な影響をもたらした。各国は中央銀行による金融市場への資金供給を実施すると同時に、企業の資金繰り支援、雇用維持、失業者の生活支援といった大規模経済対策を展開した。それでも、長期間に及ぶ経済活動の停止は世界経済を大きく縮小させており、国際通貨基金(IMF)は2020年の経済成長率を前年比▲3.0%と予測し、「1930年代の世界恐慌以降で最悪の経済危機」に直面するとの見通しを示した。

このような世界情勢の中で、日本国内においては、訪日外国人数が大きく減少(3月は前年比9割減)し、旅館・宿泊業、百貨店等に大きな悪影響をもたらした。3月初旬からはほぼ全ての小中高校が休校となり、スポーツや音楽イベントなど多人数の集まる催しが中止となった。その後も感染者は増加を続け、3月24日には東京オリンピック・パラリンピックの開催が1年延期されることとなった。27日には初めて1日の新規感染者数が100人を超え、政府は4月7日に東京都、大阪府など7都府県を対象とする緊急事態宣言を発令した(16日には対象地域を全都道府県に拡大)。感染者用の病床数がひっ迫する中、医療崩壊を阻止するため、安倍首相は人との接触を7〜8割削減するよう求め、各知事は外出自粛ならびに企業への休業を要請した。これ以降、人の移動はさらに減少し、自動車メーカーを中心に生産を休止する企業が相次いだ。3月の完全失業率は2.5%と低水準で推移しているが、倒産件数は増加傾向にあり、先行きには厳しさが見られる。民間エコノミストによる「ESPフォーキャスト調査」(日本経済研究センター、4月調査)によると、2020年度の実質GDP成長率は前年比▲3.09%となり、9年ぶりのマイナス成長に落ち込む見通しとなっている。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

新型コロナの影響で、景況BSIは過去最大の下げ幅に
見通しにおいてもさらに下降する模様
○県内景況BSIは5期連続で下降。サービス業、製造業の景況BSIが大きく下降

1〜3月期の県内景況BSIは5期連続で下降し、その下降幅は現行形式で調査を開始した2001年以降では過去最大となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による悪影響が幅広い業種で見られており、旅館・ホテル業や飲食業を含むサービス業の景況BSIは28.6ポイント下落した。製造業の業況悪化は深刻で、景況BSIは5期連続で下降し、2001年以降の最低値を更新している。外出自粛の影響を受ける商業についても、景況BSIは悪化している。公共工事請負金額が増加していることを背景に、建設業については景況BSIは比較的高い水準にあるものの、新型コロナの影響による一部資材の納期遅れや現場作業員の感染リスクなどが懸念される。

このような状況の中で、雇用者数が「減少」したとする事業者は少ないものの、資金繰り「悪化」の事業者はやや増加しており、今後の動向に注意を要する。

○4〜6月期(見通し)の県内景況BSIはさらに下降し、厳しい状況が予想される

4〜6月期(見通し)においても、全ての産業で景況BSIは大きく下降し、全体の景況BSIは東日本大震災直後の2011年4〜6月期を下回り、約10年ぶりの低水準となる模様。ただし、調査終了(3月16日)以降、世界各地で都市封鎖が行われ、日本国内でも緊急事態宣言が発令された。人の移動・企業活動はより一層制限されており、県内でも商業施設、遊興施設をはじめ多くの事業者に対して休業要請が出された。このことから、4〜6月期の県内景況BSIは見通し以上に悪化するものと考えられる。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

家計の景況感は2期連続で下降し、2017年以降の最低値を更新

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業99社、サービス業31社の計130社。

広義の建設業の景況感

「広義の建設業」の景況BSIは2期ぶりに下降するも
その他の産業に比べて50ポイント程度高い水準にある

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のこと。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が161社、「広義の建設業を除く全産業」は598社の計759社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 90社   景況BSIの推移【 前回 32.9 → 今回 22.1 → 見通し 0.0 】

景況BSIは下降するも高水準を維持
新型コロナの影響もあり、見通しには弱さが見られる

1〜3月期における県内建設業について、景況BSIは下降したものの、20超の高い水準を維持している。景況感を「良い」とする事業者が、土木工事・建設工事を受注する総合工事業、設備工事業(電気工事、管工事等)で3割強を占めた。県内の公共工事請負金額が前年4月〜2月累計で前年同期比17.7%増となっており、この点が建設業の業況を下支えしていると考えられる。

4〜6月期(見通し)については、設備工事業や職別工事業を中心に景況BSIが22.1ポイント下降する模様。新年度を迎えるこの時期は景況BSIが落ち込む傾向にあるものの、今回の落ち込み幅は例年よりも大きい。新型コロナウイルス感染症の拡大により、一部の資材調達が困難になっており、工期の遅れが生じている。従業員への感染、受注工事の中止などを懸念する事業者も多く、先行き不透明感が景況感を下押ししているものと考えられる。

このような状況の中で、人手不足感は依然として強く、過半数の事業者が「不足」と回答している。また、仕入価格の上昇懸念についても強い状態にある。

≪製造業≫

回答事業者数: 167社   景況BSIの推移【 前回 ▲14.4 → 今回 ▲25.8 → 見通し ▲39.1 】

景況BSIは5期連続で下降し、2001年以降の最低値を更新
新型コロナの影響もあり、見通しでもさらに下降する

県内製造業の景況BSI(1〜3月期)は5期連続で下降し、現行形式で調査を開始した2001年以降の最低値を更新した。前年半ば以降、国内生産活動が低迷していたことに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大により、県内製造業の景況感はさらに悪化している。中でも、食料品製造業、繊維製品製造業、木材・木工製品製造業において景況BSIが極めて低い水準まで下降している。これらの業種では、従業員20人未満の事業者も多く、資金繰りが「悪化」しているとの回答も多い。

4〜6月期(見通し)では、新型コロナの影響がさらに拡大する模様で、景況BSIは▲39.1まで下降する。これまで県内製造業の景況感をけん引してきた化学製品製造業、機械・機械部品製造業についても景況BSIが悪化する模様。

このような状況の中で、人手不足感がやや弱まっている。その一方で、資金繰りが「悪化」している事業者が増えており、新たな懸念材料となっている。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 23社
景況BSIの推移【 前回 4.8 → 今回 ▲47.8 → 見通し ▲47.6 】
新型コロナによる悪影響が大きく
景況BSIは50ポイント超下降し、2013年以降の最低値を更新


1〜3月期の景況BSIは50ポイント以上の大幅下降となり、2013年以降の最低値を更新した。梅干製造事業者だけではなく、観光施設向けに酒類を製造する事業者、学校給食向けの事業を展開する事業者などで景況感を「悪い」とする回答が多く見られた。新型コロナウイルス感染症の拡大により、「取引先からの受注減」、「学校給食休止に伴う受注減」といった悪影響を受けている事業者が多い。
4〜6月期(見通し)については、景況BSIはほぼ横ばいで推移する模様だが、4月以降も新型コロナウイルスの感染拡大は継続しており、さらに景況BSIが落ち込む可能性が高い。
繊維製品 回答事業者数: 27社
景況BSIの推移【 前回 ▲26.9 → 今回 ▲44.0 → 見通し ▲50.0 】
4割強の事業者が景況感を「悪い」と回答
新型コロナの影響は、今後強まる模様


1〜3月期の景況BSIは17.1ポイント下降し、2013年7〜9月期以降の最低値を更新した。ニット製品、パイル織物、染色等を展開する事業者で景況感を「悪い」とする回答が多く見られた。
4〜6月期(見通し)では、景況BSIはさらに下降する模様。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、1〜3月期にはあまり見られなかったものの、4月以降は「取引先からの受注減」、「日本人の外出機会減少に伴う売上減」が生じるとする事業者が多い。
木材・木工製品 回答事業者数: 14社
景況BSIの推移【 前回 ▲20.0 → 今回 ▲35.7 → 見通し ▲76.9 】
景況BSIは15.7ポイント下降
見通しではさらに下降し、半数の事業者で資金繰りが「悪化」


1〜3月期の景況BSIは15.7ポイント下降し、▲35.7ポイントとなった。家具製造業や製材業で景況感を「悪い」とする回答が多く、売上高では7割弱の事業者が「減少」と回答している。前年10月の消費増税以降、国内の住宅建設市場には弱さが見られ、さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大により、取引先からの受注が減少している事業者も少なくない。
4〜6月期(見通し)についても、新型コロナの影響は避けられず、景況BSIは▲76.9まで下降する。このような状況の中で、半数の事業者で資金繰りが「悪化」する模様。
化学製品 回答事業者数: 17社
景況BSIの推移【 前回 16.7 → 今回 0.0 → 見通し ▲11.8 】
景況BSIは3期連続で下降
新型コロナの影響もあり、見通しにおいても下降する


1〜3月期の景況BSIは3期連続で下降し、2年ぶりの低水準。ただし、その他の業種に比べて景況BSIの水準は高い。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は1〜3月期にはあまり見られなかったものの、国内外の製造業の業況は悪化しており、この点が景況BSIにつながったと考えられる。
4〜6月期(見通し)については、新型コロナによる悪影響を予想する事業者が多く、景況BSIは▲11.8まで下降する。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 23社
景況BSIの推移【 前回 ▲17.6 → 今回 ▲21.7 → 見通し ▲13.6 】
景況BSIは約3年ぶりの低水準
見通しについては、新型コロナの影響に留意


1〜3月期の景況BSIは2期連続で下降し、約3年ぶりの低水準となった。建築用金物製造業などで業績悪化の事業者が複数見られる。また、6割強の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答している。
4〜6月期(見通し)については、板金加工事業者などで景況感を「良い」とする事業者が増加することから、景況BSIは上昇する。ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、受注減となる事業者は増加する模様で、先行きには注意が必要。
機械・機械部品 回答事業者数: 35社
景況BSIの推移【 前回 ▲25.0 → 今回 ▲8.6 → 見通し ▲41.9 】
景況BSIは5期ぶりに上昇するも
新型コロナの影響もあり、見通しでは大きく下降する


1〜3月期の景況BSIは5期ぶりに上昇した。配電盤・電力制御装置製造業、産業機械製造業などで景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。ただし、4〜6月期(見通し)においては、これらの事業者の景況感は悪化する見通しとなっており、景況BSIは▲41.9まで大幅に下降する。国内の設備投資マインドが弱くなっていることに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大により、県内事業者の先行き不透明感が増している。
その他の製造業 回答事業者数: 28社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲15.6 → 今回 ▲26.9 → 見通し ▲38.5 】
景況BSIは4期連続で下降
見通しにおいても下降が続く


1〜3月期の景況BSIは4期連続での下降となった。コンクリート製品製造業やプラスチック製日用雑貨品製造業等で景況感を「悪い」とする事業者が多く見られた。新型コロナウイルス感染症の拡大により、受注の減少など大きなマイナスの影響を受けている事業者が約2割を占める。
4〜6月期(見通し)については、景況感を「良い」とする事業者が減少し、景況BSIがさらに下降する模様。

≪商業≫

回答事業者数: 223社   景況BSIの推移【 前回 ▲23.7 → 今回 ▲31.1 → 見通し ▲42.6 】

新型コロナの影響は大きく、景況BSIは5期連続で下降
見通しではさらに下降し、2013年以降の最低値を更新

県内商業の景況BSI(1〜3月期)は、前回の消費増税直後の2014年4〜6月期とほぼ同じ水準まで下降した。下降は5期連続。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響は大きく、約半数の事業者で業績にマイナスの影響が見られる。訪日外国人客の減少、日本人の外出自粛、商品の調達難などが業績に悪影響をもたらしている。

4月以降についても、新型コロナウイルス感染症の拡大は続いており、自主休業や営業時間を短縮する事業者も見られる。業績悪化は避けられず、4〜6月期(見通し)の景況BSIは卸売業、小売業ともに2013年以降の最低値を更新する。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 124社
景況BSI値の推移【 前回 ▲13.0 → 今回 ▲22.3 → 見通し ▲34.2 】
景況BSIは約10ポイント下降
新型コロナの影響もあり、見通しでは2013年以降の最低値を更新


1〜3月期の景況BSIは10ポイント程度下降した。県内建設業の良好な業況を背景に、建築材料卸売業については景況BSIが上昇したが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響などで、飲食料品卸売業の景況BSIは下降した。経営上の問題点として「売上不振」を挙げる事業者が増加しており、1〜3月期の売上高が「減少」した事業者は約半数を占めた。
4〜6月期(見通し)についても、景況BSIはさらに下降し、2013年以降の最低値を更新。新型コロナの影響により、建築材料卸売業で商品調達が困難になるとする事業者が複数見られ、景況感にも影響しているものと考えられる。
このような状況の中で、人手不足感は大きく緩和しており、仕入価格の上昇懸念についても弱まっている。
小売業 回答事業者数: 99社
景況BSI値の推移【 前回 ▲33.3 → 今回 ▲41.8 → 見通し ▲53.3 】
新型コロナの影響は大きく、景況BSIは2期連続で下降
見通しではさらに下降し、2013年以降の最低値を更新


1〜3月期における景況BSIは、期末商戦などで上昇する傾向にあるが、今期の1〜3月期については、新型コロナウイルス感染症の拡大による悪影響もあり、8.5ポイントの下降となった。6割強の事業者が売上高「減少」と回答しており、多くの事業者で業績が悪化した。業種別では、飲食料品小売業、その他の小売業(ガソリンスタンド、時計・宝石店等)で景況BSIが下降している。前年10月の消費増税に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大により、訪日外国人客の減少や日本人の外出控えが進み、売上高の減少につながったものと考えられる。
このような状況の中で、資金繰りが「悪化」しているとの回答が3割強まで増加している。業種別では、衣料品小売業で約7割、生活・文化用品小売業、飲食料品小売業では約4割の事業者が「悪化」と回答した。
4月以降においても、新型コロナウイル感染症の拡大は続いており、外出自粛や自主休業の動きも見られることから、景況BSIのさらなる悪化は避けられず、4〜6月期(見通し)は▲53.3まで下降し、2013年以降の最低値を更新する模様。

≪サービス業≫

回答事業者数: 279社   景況BSIの推移【 前回 4.6 → 今回 ▲24.0 → 見通し ▲32.5 】

新型コロナの影響を受け、景況BSIは2012年以降の最低値を更新
見通しにおいても、さらに下降する模様

県内サービス業の景況BSI(1〜3月期)は、28.6ポイント下降し、2012年以降の最低水準を更新した。30ポイント近い下落幅は、2014年4月の消費増税時を大きく上回る。旅館・ホテル業、飲食業、運輸業、教養・娯楽サービス業を中心に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく出ており(主に外出自粛に伴う客数減、休業による売上減)、景況BSIは大きく下降した。売上高・収益に関するBSIも大幅に下降し、2012年以降の最低値を更新した。このような状況の中で、飲食業、旅館・ホテル業では約6割の事業者で資金繰りが「悪化」しており、雇用者数については、旅館・ホテル業で約4割の事業者が「減少」と回答している。

4〜6月期(見通し)については、4月の緊急事態宣言の発令を受けて、県内でも、旅館・ホテル業、飲食業、教養・娯楽サービス業を対象に、営業時間の短縮や休業が要請されている。不要不急の外出も要請されており、客数減少は避けられず、景況BSIはさらに下降する模様。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 33社(※物品賃貸業含む)
景況BSI値の推移【 前回 17.6 → 今回 ▲15.2 → 見通し ▲25.0 】
新型コロナの影響を受け、景況BSIは大きく下降
見通しではさらに下降し、2013年以降の最低値を更新


1〜3月期の景況BSIは32.8ポイント下降し、約2年ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス感染症の拡大により、住宅・建物等の内覧・内見者数が減少し、売上高が予想を下回った事業者が多くいたものと考えられる。また、中国で生産される建設資材(トイレ、システムキッチン等)で、一時納期遅れが生じ、建物の引き渡し時期が遅延し、販売できなかったという事例もあった。
4〜6月期(見通し)においても、新型コロナの影響は拡大する模様で、景況BSIはさらに下降し、2013年以降の最低値を更新する模様。
運輸業 回答事業者数: 42社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSI値の推移【 前回 9.7 → 今回 ▲31.7 → 見通し ▲41.0 】
新型コロナの影響を受け、景況BSIは大幅下降
見通しにおいて、約半数の事業者の資金繰りが「悪化」


1〜3月期の景況BSIは40ポイント以上下降し、2013年以降の最低値を更新した。新型コロナウイルス感染症の拡大により、訪日外国人客・日本人旅行客が大幅に減少したため、旅客運輸業で景況感が大きく悪化した。さらに、国内・県内の景気が悪化し、企業活動が低迷していることから、輸送需要が減少し、貨物運輸業においても景況感は悪化している。
4〜6月期(見通し)においても、景況BSIはさらに下降する模様。このような状況の中で、資金繰りが悪化している事業者は約半数を占める。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 25社
景況BSI値の推移【 前回 12.5 → 今回 ▲76.0 → 見通し ▲83.3 】
新型コロナの影響を受けて、景況BSIは90ポイントの大幅下降
見通しを含めて、約8割の事業者が景況感を「悪い」と回答


1〜3月期の景況BSIは急激に悪化し、約8割の事業者が景況感を「悪い」と回答した。回答事業者のうち、訪日中国人客を顧客とする事業者は約半数を占めており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、宿泊者数が大きく減少した。白浜温泉旅館協同組合によると、宿泊キャンセルが相次ぎ、3月の売上高は前年比約65%減となっている。白浜では、アドベンチャーワールドが2月29日より臨時休園(3月23日に一部営業再開するも、4月7日から再び休園)となり、とれとれ市場についても3月は営業時間を短縮していた。このような状況の中で、約4割の事業者が従業員数が「減少」したと回答している。
4〜6月期(見通し)については、4月の緊急事態宣言発令による外出自粛要請もあり、宿泊者数の減少が避けられないことから、景況BSIはさらに下降する模様。
飲食業 回答事業者数: 16社
景況BSI値の推移【 前回 ▲6.3 → 今回 ▲73.3 → 見通し ▲53.3 】
新型コロナの影響を受けて、景況BSIは80ポイントの大幅下降
約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答


1〜3月期の景況BSIは大きく下降。約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、日本人の出控えにより、来店客数が大きく減少した。売上高が大きく減少する中、資金繰りについて、6割の事業者が「悪化」と回答し、4〜6月期(見通し)に借入を「増加」すると回答した事業者が4割強を占めた。雇用者数については、「減少」とする回答は3割弱にとどまった。
4〜6月期(見通し)については、景況BSIが上昇するとの結果となったが、調査終了後の4月に緊急事態宣言が発令され、飲食店は営業時間の短縮を要請されている。不要不急の外出自粛も合わせて要請されていることから、来店客数の減少は避けられず、景況BSIはさらに下降することが予想される。
医療・福祉 回答事業者数: 39社
景況BSI値の推移【 前回 6.7 → 今回 ▲15.4 → 見通し ▲13.5 】
新型コロナの影響を受けて、景況BSIは22.1ポイント下降
見通しにおいても新型コロナの影響拡大が懸念される


1〜3月期の景況BSIは20ポイント超の下降となり、約4年ぶりの低水準となっている。売上高・収益などの業績に関するBSIに大きな変化は見られないものの、新型コロナウイルス感染症対策(マスク・防護服・消毒薬の準備)が負担になっているとする事業者や、外出自粛に伴い来院者数が減少しているとする事業者が複数見られた。
このような状況の中で、人手不足感は依然として強く、その結果として、「人材育成ができない」、「残業時間増加に伴う人件費増」などの悪影響が見られている。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは1.9ポイント上昇する模様だが、県内外で医療・福祉施設における集団感染が多数発生していることから、急を要しない通院・施設利用は控えられる傾向にあり、業績への影響が懸念される。
生活関連サービス業 回答事業者数: 14社
(※葬祭業、クリーニング業、理美容業等)
景況BSI値の推移【 前回 ▲29.4 → 今回 ▲35.7 → 見通し ▲42.9 】
新型コロナの影響もあり、景況BSIは厳しい水準にある

1〜3月期の景況BSIは6.3ポイント下降し、▲35.7と厳しい水準にある。景況感を「悪い」とする事業者はクリーニング業、葬祭業などで多く見られた。売上高については、約7割の事業者が「減少」と回答している。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、外出が自粛される中、理美容業等では来客数の減少が避けられず、4〜6月期(見通し)の景況BSIはさらに落ち込む模様。このような状況の中で、資金繰りが「悪化」するとの回答が4割程度を占めている。
教養・娯楽サービス業 回答事業者数: 17社
景況BSI値の推移【 前回 ▲16.7 → 今回 ▲52.9→ 見通し ▲62.5 】
景況BSIは▲52.9まで下降し、2013年以降の最低値を更新

1〜3月期の景況BSIは36.2ポイント下降し、▲52.9(2013年以降の最低値)。ゴルフ場・練習場、スポーツクラブ、テニスクラブ、パチンコ店などで景況感を「悪い」とする回答が多く見られた。新型コロナウイルス感染症の拡大により、4月には緊急事態宣言が発令され、和歌山県内でも、スポーツクラブやパチンコ店、学習塾などに休業要請が出された。これらの業種を中心に、4〜6月期(見通し)における業況悪化は避けられず、景況BSIは▲62.5まで下降する。
その他のサービス業 回答事業者数: 93社
(※建物サービス、情報通信業、人材派遣業、建設サービス等)
景況BSI値の推移【 前回 8.9 → 今回 2.2 → 見通し ▲14.8 】
景況BSIは下降するも、プラス水準を維持
見通しにやや弱さが見られる


1〜3月期の景況BSIは6.7ポイント下降するも、プラス水準を維持。サービス業の他の業種に比べて、景況感を「悪い」とする事業者は少ない。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響も大きくはない。4〜6月期(見通し)については、建設サービス業(測量設計等)で景況感が「悪い」事業者が増えることもあり、下降する模様。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 90社 45.0% 38社 13社 13社 26社
製 造 業 400社 167社 41.8% 65社 64社 22社 16社
商   業 600社 223社 37.2% 93社 37社 45社 48社
サービス業 800社 279社 34.9% 128社 56社 25社 70社
全 産 業 2000社 759社 38.0% 324社 170社 105社 160社

いずれの地域においても、景況BSIは大きく下降
見通しにおいても、4割前後の事業者が景況感を「悪い」と回答
和歌山市 景況BSIは2014年以降の最低値を更新。見通しにおいても厳しい状況が続く
1〜3月期の景況BSIは13.5ポイントと大きく下降し、2014年以降の最低値を更新。小売業を除く全ての産業で景況BSIが下降し、中でもサービス業では景況BSIが20ポイント超下降した。飲食業、運輸業で景況感を「悪い」とする事業者が増加した。4〜6月期(見通し)については、全ての産業で景況BSIは下降し、厳しい見通しとなっている。
紀北地域 景況BSIは5期連続で下降。見通しにおいても厳しい状況が続く
1〜3月期の景況BSIは5期連続で下降し、約4年ぶりの低水準となっている。小売業、製造業、サービス業の景況BSIが低い水準にある。4〜6月期(見通し)では、建設業を含む全ての産業で景況BSIが下降し、4割強の事業者が景況感を「悪い」と見通している。
紀中地域 景況BSIは約20ポイント下降。見通しにおいても厳しい状況が続く
1〜3月期の景況BSIは約20ポイント下降し、約4年ぶりの低水準となっている。サービス業、小売業、製造業の景況BSIが低い水準にある。4〜6月期(見通し)では製造業を除く全ての産業で景況BSIが下降し、4割強の事業者が景況感を「悪い」と見通している。
紀南地域 景況BSIは約30ポイント下降。見通しにおいても厳しい状況が続く
1〜3月期の景況BSIは約30ポイント下降し、約4年ぶりの低水準となっている。製造業、小売業、サービス業で景況BSIが大きく下降した。4〜6月期(見通し)においても、状況は厳しい。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

短観DIに比べて、県内景況BSIが大きく下降
●全産業 〜短観DI 、県内景況BSIともに非製造業におけるBSI下降が響いた〜

1〜3月期において、全体の短観DI(以下、短観DI)は8ポイントの下降となった。製造業の短観DIの下降に加えて、底堅さの見られていた非製造業の短観DIが大きく下降した。県内景況BSIについては、製造業が12ポイント下降し、非製造業は19ポイント下降している。短観DIと県内景況BSIとの差は9ポイント拡大し、25ポイントとなった。

4〜6月期(見通し)についても、短観DI、県内景況BSIはともに下降する模様。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜短観DI・県内景況BSIともに5期連続で下降。県内景況BSIは最低値を更新〜

1〜3月期において、全体の短観DI(以下、短観DI)は8ポイントの下降となった。鉄鋼、繊維、生産用機械、化学などで短観DIが下降した。県内景況BSIについては12ポイント下降しており、2001年以降の最低値を更新した。食料品製造業などほぼ全ての業種で景況BSIが下降した。

4〜6月期(見通し)についても、短観DI、県内景況BSIともに下降する。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜短観DIが2期連続で下降。県内景況BSIは大きく下降〜

1〜3月期の全体の短観DIは2期連続で下降した。宿泊・飲食サービス業、運輸・郵便、対個人サービス業で短観DIが大きく落ち込んだ。また、県内景況BSIは19ポイント下降した。これまでは建設業、サービス業がけん引する形で、堅調に推移していたが、今回は不動産業、運輸業、飲食業、旅館・ホテル業で景況BSIが大きく下降した。

4〜6月期(見通し)については、短観DI、県内景況BSIともに下降する。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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