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景気動向調査 No.118  特集

「新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響」について
「働き方改革関連法」について

アンケート趣旨

昨年末、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症は、世界中に感染拡大している。感染拡大を抑えるため、世界各地で都市が封鎖され、日本では4月7日に緊急事態宣言が発令され、東京都、大阪府等では外出自粛要請や一部業種の休業要請が行われた。訪日外国人客の減少、日本人の外出控え、世界的な生産供給網の寸断により、県内事業者への悪影響は大きくなっている。そこで、今回の特集アンケートでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による県内事業者への影響について、質問を行った。

加えて、施行から1年が経過した「働き方改革関連法」について、施行内容の認知度や時間外労働時間の上限規制への対応状況について確認を行った。


調査項目

【新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響】
  1.実施している中国関連事業
  2.新型コロナウイルスの感染拡大による影響
  3.感染拡大による影響(既に見られるもの)
  4.感染拡大による影響(今後予想されるもの)
  5.感染拡大に対する対策の有無と効果
  6.感染症に対する事前認識と準備状況

【働き方改革関連法】
  7.「働き方改革関連法」の内容の認知度
  8.時間外労働時間の上限規制への対応状況

調査結果

【「新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響」について】(※調査期間 : 2/28〜3/16)
今後の見通しを含めて73.0%の事業者が新型コロナにより「マイナスの影響」を受ける
政府の緊急事態宣言等もあり、影響はさらに拡大し、深刻化しているものと考えられる

○ 「大きなマイナスの影響」との回答は旅館・ホテル業(95.7%)、飲食業(60.0%)、飲食料品小売業(50.0%)、飲食料品卸売業(39.3%)、食料品製造業(31.8%)で多い

○ 既に見られる影響の内容としては、「取引先からの受注減」、「日本人の外出機会減少に伴う売上減」との回答が多い

○ 調査時点においては、感染拡大の影響に対して対応策を講じる事業者は17.1%にとどまる

【「働き方改革関連法」について】
1年前に比べて、「働き方改革関連法」の認知度は大きく上昇
時間外労働時間の上限規制への対応も進んでいる

○ 「働き方改革関連法」の内容について、「よく知っている」、「ある程度知っている」が73.4%

○ 時間外労働の上限規制に対する対応状況では、「対応の必要なし」、「対応済み」が68.3%

1.実施している中国関連事業【複数回答可】

「中国製の製品・商品の仕入」を行う事業者は22.2%
「訪日中国人観光客」向けの事業を展開する事業者は6.8%

県内事業者の中国関連事業について質問したところ、「中国製の製品・商品の仕入」との回答が22.2%、「訪日中国人観光客への商品販売(サービス提供)」が6.8%、「中国への自社製品・商品の輸出」が4.3%となっている。「実施していない」との回答が57.8%と過半数を占めた。

○幅広い業種で中国製の製品・商品の仕入が行われている

「中国製の製品・商品の仕入」を行っている事業者は商業で最も多く(32.6%)、製造業で28.2%となっている。業種別では、化学製品製造業(60.0%)、生活・文化用品小売業(53.3%)、機械器具卸売業(52.4%)、木材・木工製品製造業(41.7%)、衣料品小売業(37.5%)で回答が多い。

○訪日中国人観光客への商品販売(サービス提供)を行う旅館・ホテル業は40.9%

「訪日中国人観光客への商品販売(サービス提供)」を行う事業者は旅館・ホテル業(40.9%)、飲食料品小売業(40.0%)、飲食業(30.8%)で回答が多い。

○中国への自社製品・商品の輸出を行う事業者は食料品製造業で25.0%

「中国への自社製品・商品の輸出」を行う事業者は食料品製造業(25.0%)、鉄鋼・金属製品製造業(14.3%)、機械・機械部品製造業(11.5%)で回答が多い。

■図表1 実施している中国関連事業(全産業632社)
※アンケートを回収した759社のうち、無回答127社を除く632社が対象。
実施している中国関連事業

2.新型コロナウイルスの感染拡大による影響

今後の見通しを含めると73.0%が「マイナスの影響」を受ける
「大きなマイナスの影響」を受ける事業者は約2割(※)

※調査期間は2/28〜3/16で、緊急事態宣言発令(4/7)よりも前の時点

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業活動への影響を質問したところ、「大きなマイナスの影響」が見られる事業者が19.3%、「ややマイナスの影響」が22.1%、「マイナスの影響は今後出てくる」が31.6%となった。ただし、調査実施期間は2月28日から3月16日までとなっており、4月8日の政府による緊急事態宣言発出以前の状況であることから、「マイナスの影響」はさらに拡大しているものと考えられる。

(※)東京商工リサーチ[3/27〜31実施]によると、今後の見通しを含めて98.0%の県内事業者が「影響がある」と回答した(有効回答数98社)。

○今後の見通しを含めると商業で「マイナスの影響」を受ける事業者が79.5%と多い

産業別に見ると、商業において「大きなマイナスの影響」(20.5%)、「ややマイナスの影響」(28.8%)とする回答が多くなっている。また、製造業や建設業については、「マイナスの影響は今後出てくる」とする回答が比較的多い。

■図表2 新型コロナウイルスの感染拡大による影響(全産業706社)
※アンケートを回収した759社のうち、無回答53社を除く706社が対象。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響

「大きなマイナスの影響」との回答は
旅館・ホテル業(95.7%)、飲食業(60.0%)で多い(※)

※調査期間は2/28〜3/16で、緊急事態宣言発令(4/7)よりも前の時点

○旅館・ホテル業、飲食業、飲食料品小売業で「大きなマイナスの影響」との回答が多い

業種別に新型コロナウイルスの感染拡大による事業活動への影響を見ると、「大きなマイナスの影響」は旅館・ホテル業(95.7%)、飲食業(60.0%)、飲食料品小売業(50.0%)などで回答が多い。

○化学製品製造業等で「マイナスの影響は今後出てくる」との回答が多い

「マイナスの影響は今後出てくる」とする回答は、化学製品製造業(62.5%)、鉄鋼・金属製品製造業(56.5%)、生活・文化用品小売業(45.0%)、機械・機械部品製造業(41.9%)で多くなっている。

■(参考) 新型コロナウイルスの感染拡大による影響(業種別)
新型コロナウイルスの感染拡大による影響

3.感染拡大による影響(既に見られるもの)【複数回答可】

「取引先からの受注減」が27.6%で最多
「日本人の外出機会減少に伴う売上減」は23.9%で次に多い

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業活動へのマイナスの影響について、その具体的な内容を質問したところ、「取引先からの受注減」とする回答が27.6%で最も多く、「日本人の外出機会減少に伴う売上減」(23.9%)、「仕入不足に伴う生産抑制」(16.4%)といった回答が後に続く。

○「取引先からの受注減」は製造業で48.7%と回答が多い

産業別に見ると、「取引先からの受注減」とする回答は、製造業で48.7%と最も多く、「日本人の外出機会減少に伴う売上減」とする回答はサービス業で35.7%と多くなっている。「仕入不足に伴う生産抑制」とする回答は建設業で25.7%と多い。

■図表3 感染拡大による影響(既に見られるもの)(全産業373社)
※質問2で「大きなマイナスの影響」、「ややマイナスの影響」、「マイナスの影響は今後見られる」と
回答した515社のうち、無回答142社を除く373社が集計対象。

感染拡大による影響(既に見られるもの)

4.感染拡大による影響(今後予想されるもの)【複数回答可】

「取引先からの受注減」が34.3%で最多
「資金繰りの悪化」とする回答は15.9%

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による今後予想されるマイナスの影響について、その具体的な内容を質問したところ、「取引先からの受注減」とする回答が34.3%で最も多く、「日本人の外出機会減少に伴う売上減」(29.5%)、「仕入不足に伴う生産抑制」(18.0%)といった回答が後に続く。

○「資金繰りの悪化」とする回答はサービス業で21.3%と多い

産業別に見ると、「取引先からの受注減」とする回答は、製造業で56.0%と最も多く、「日本人の外出機会減少に伴う売上減」とする回答は商業で36.6%と多くなっている。「仕入不足に伴う生産抑制」とする回答は建設業で32.6%と多い。「資金繰りの悪化」とする回答は全体では15.9%で、サービス業で21.3%と多くなっている(特に教養・娯楽サービス業、旅館・ホテル業で回答が多い)。

■図表4 感染拡大による影響(今後予想されるもの)(全産業440社)
※質問2で「大きなマイナスの影響」、「ややマイナスの影響」、「マイナスの影響は今後見られる」と
回答した515社のうち、無回答75社を除く440社が集計対象。

感染拡大による影響(今後予想されるもの)

5.感染拡大に対する対策の有無と効果

「実施している」との回答は17.1%
「実施していない(予定もなし)」が61.7%(※)

※調査期間は2/28〜3/16で、緊急事態宣言発令(4/7)よりも前の時点

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業活動へのマイナスの影響に対する対策の有無と効果を質問したところ、「実施していない」とする回答が61.7%で最も多く、「今後実施予定」とする回答が21.2%で後に続いた。「実施している」との回答は17.1%だった。

○「実施している」とする回答はサービス業、商業で多い

産業別に見ると、「実施している」とする回答は、サービス業や商業でやや多くなっている。業種別では、飲食料品小売業、生活・文化用品小売業で回答が多い。

○「実施していない(予定もない)」とする回答は建設業、サービス業で多い

産業別にみると、「実施していない(予定もない)」とする回答が、建設業(66.7%)、サービス業(65.0%)で多くなっている。業種別では、不動産業(77.3%)、運輸業(66.7%)、飲食業(66.7%)で回答が多くなっている。ただし、調査期間(2月28日から3月16日)は、緊急事態宣言発令以前であることから、足下では、多くの事業者が対策を実施しているものと考えられる。

■図表5 感染拡大に対する対策の有無と効果(全産業486社)※複数回答可
※質問2で「大きなマイナスの影響」、「ややマイナスの影響」、「マイナスの影響は今後見られる」と
回答した515社のうち、無回答29社を除く486社が集計対象。

感染拡大に対する対策の有無と効果(全産業486社)

6.感染症に対する事前認識と準備状況

感染症拡大の影響について、「認識していた」は25.2%
「準備していた」は5.3%

新型コロナウイルス等による感染症が拡大した場合に事業活動に与える悪影響について、以前から「認識していた」とする回答は25.2%。悪影響に対して、事前に「準備していた」とする回答は5.3%となった。「認識なし(今後は準備したい)」が42.9%で最も多い回答だった。

○「実施していない(予定もない)」とする回答は建設業、サービス業で多い

産業別にみると、「認識していた」とする回答はサービス業で35.9%と最も多く、医療・福祉(53.6%)、旅館・ホテル業(52.2%)、教養・娯楽サービス業(50.0%)などで回答が多い。その他の業種では、化学製品製造業(36.4%)、鉄鋼・金属製品製造業(33.4%)、不動産業(33.3%)で「認識していた」とする回答が比較的多く見られた。

ただし、これらの業種においても、「準備していた」とする回答は一部にとどまり、医療・福祉(25.0%)、旅館・ホテル業(17.4%)においても、回答は少ない。

■図表6 感染症に対する事前認識と準備状況(全産業508社)
※質問2で「大きなマイナスの影響」、「ややマイナスの影響」、「マイナスの影響は今後見られる」と
回答した515社のうち、無回答7社を除く508社が集計対象。

感染症に対する事前認識と準備状況

7.「働き方改革関連法」の内容の認知度

前回調査に比べて、認知度は大きく上昇
「よく知っている」、「ある程度知っている」を合わせると73.4%

「働き方改革関連法」の施行から1年が経過し、罰則付きの時間外労働上限規制が4月から中小企業にも適用される。このことに関連して、「働き方改革関連法」の内容認知度を質問したところ、「よく知っている」との回答が18.6%、「ある程度知っている」が54.8%となった。

2018年12月に実施した前回調査からは、「よく知っている」、「ある程度知っている」との回答がいずれも大きく増加している。

■(参考図表)「働き方改革関連法」(2018年6月成立)の主な内容

  1. 罰則付きの時間外労働上限規制導入(2019年4月から、中小企業は2020年4月から)
  2. 一定日数の年次有給休暇の確実な取得(2019年4月から)
  3. 同一労働同一賃金制度(2020年4月から、中小企業は2021年4月から)
  4. 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し(2023年4月から)

※ その他にも、管理職等の労働時間の状況把握の実効性確保、フレックスタイム制の見直し、高度プロフェッショナル制度の創設等がある。詳細については、厚生労働省ウェブサイトを参照。

■図表7 「働き方改革関連法」に伴う制度変更の認知度(全産業719社)
※アンケートを回収した759社のうち、無回答40社を除く719社が対象。
「働き方改革関連法」に伴う制度変更の認知度
※(注)図表中の「18年」については、当該年において弊所が実施したアンケート調査の結果を意味する。

8.時間外労働時間の上限規制への対応状況

前回調査に比べて、「対応済み」事業者が大きく増加
「未定」は8.4%まで減少

「働き方改革関連法」の施行内容にある「時間外労働時間の上限規制」について、その対応状況を質問したところ、「対応済み」が38.2%、「対応予定」が23.3%となっている。2018年12月に実施した前回調査に比べて、「対応済み」とする回答が大きく増加した(特に製造業)。ただし、建設業では「未定」とする事業者が13.8%と比較的多く見られる。

■(参考図表)「時間外労働時間の上限規制」の内容

  1. 時間外労働の上限が法制化
    1か月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内、1年間の時間外労働720時間以内
  2. 労使協定・就業規則の改定などの要対応
  3. 中小企業への適用が2020年4月から開始(適用猶予業務(建設、運転等)あり)

■図表8 時間外労働時間の上限規制への対応状況(全産業722社)
※アンケートを回収した759社のうち、無回答37社を除く722社が対象。
時間外労働時間の上限規制への対応状況
※(注)図表中の「18年」については、当該年において弊所が実施したアンケート調査の結果を意味する。

(参考) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に係る事業者支援策について

※5/19時点

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おわりに

○新型コロナの影響で、景況BSIは過去最大の下げ幅を記録

1〜3月期の県内景況BSIは5期連続で下降し、その下降幅は現行形式で調査を開始した2001年以降では過去最大となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による悪影響が幅広い業種で見られており、旅館・ホテル業や飲食業を含むサービス業の景況BSIは28.6ポイント下落した。製造業の業況悪化は深刻で、景況BSIは5期連続で下降し、2001年以降の最低値を更新している。外出自粛の影響を受ける商業についても、景況BSIは悪化している。公共工事請負金額が増加していることを背景に、建設業については景況BSIは比較的高い水準にあるものの、新型コロナの影響による一部資材の納期遅れや現場作業員の感染リスクなどが懸念される。

このような状況の中で、雇用者数が「減少」したとする事業者は少ないものの、資金繰り「悪化」の事業者はやや増加しており、今後の動向に注意を要する。

○4〜6月期(見通し)の県内景況BSIはさらに下降し、厳しい状況が予想される

4〜6月期(見通し)においても、全ての産業で景況BSIは大きく下降し、全体の景況BSIは東日本大震災直後の2011年4〜6月期を下回り、約10年ぶりの低水準となる模様。ただし、調査終了(3月16日)以降、世界各地で都市封鎖が行われ、日本国内でも緊急事態宣言が発令された。人の移動・企業活動はより一層制限されており、県内でも商業施設、遊興施設をはじめ多くの事業者に対して休業要請が出された。このことから、4〜6月期の県内景況BSIは見通し以上に悪化するものと考えられる。

○国・県・自治体が用意している支援策の活用を

上述の通り、県内景況BSIは5期連続で下降しており、見通しはさらに厳しくなることが予想される。調査結果が示す通り、人の移動が大きく制限される中で、企業活動は縮小を余儀なくされている。この難局を乗り切るために、県内の多くの事業者が状況変化に対応しようと前向きな取り組みを行うだけではなく、他の事業者との協働、感染症対策に尽力する医療機関への協力にも力を注いでいる。

このような事業者の取り組みや県民の感染抑止の行動により、感染症の拡大は抑えられつつあり、5月14日には緊急事態宣言が和歌山県を含む39県で解除された。感染再拡大を抑えるため、経済活動の本格的な再開には、もうしばらくの時間が必要と考えられることから、国・県・自治体が用意している支援策(35頁以降参照)のさらなる充実を期待すると同時に、県民・県内事業者の感染予防対策の徹底により、経済活動が早期に回復することが望まれる。

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