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景気動向調査 No.119

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(2020年1〜3月期)における県内経済の状況
新型コロナの影響で、景況BSIは過去最大の下げ幅に

前回調査(2020年1〜3月期)の県内景況BSIは5期連続で下降し、その下降幅は現行形式で調査を開始した2001年以降では過去最大となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による悪影響が幅広い業種で見られており、旅館・ホテル業や飲食業を含むサービス業の景況BSIは28.6ポイント下落した。製造業の業況悪化は深刻で、景況BSIは5期連続で下降し、2001年以降の最低値を更新している。外出自粛の影響を受ける商業についても、景況BSIは悪化している。公共工事請負金額が増加していることを背景に、建設業については景況BSIは比較的高い水準にあるものの、新型コロナの影響による一部資材の納期遅れや現場作業員の感染リスクなどが懸念される。

3.2020年4〜6月期の国内外経済情勢
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言は解除されるも
引き続き世界経済、日本経済ともに厳しい状況に直面している

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、3月以降、世界各国で実施された都市封鎖に対して、日本政府は4月7日に緊急事態宣言を発令し、ほぼ全ての都道府県が遊戯・遊興施設、商業施設、文教施設、劇場等に対して休業要請を出した。時差出勤やテレワーク(在宅勤務)が奨励され、主要都市の人出は大きく減少し、ゴールデン・ウイーク期間中の各新幹線利用客は前年比3〜7%の水準となった(JR各社)。外国人の入国制限も強化され、6月の訪日外国人数は前年比99.9%減(日本政府観光局)となっている。

経済活動への影響は深刻で、6月に実施された全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では、指標となる大企業・製造業の景況感(DI)が約11年ぶりの低水準にまで下降し、一時的な休業者は4月に597万人(前年比420万人増)まで増加した。このような状況の中で、日本だけではなく世界的に財政政策・金融政策が次々に展開された。国内では、持続化給付金、無利子・無担保融資制度、雇用調整助成金、家賃支援給付金が用意され、事業者の資金繰りを支援している。

その後、新規感染者数の減少により、5月25日には緊急事態宣言が全面解除され、休業要請も段階的に解除されている。経済活動の再開に向けて期待が高まったが、7月上旬以降、東京都内での新規感染者数が100名を超える水準にまで増加し、再び国内において感染者数の増加傾向が見られる。世界を見ても、1日当たりの新規感染者数は過去最高を更新し続けており(7月中旬)、米国、ブラジル、インド、南アフリカ等で感染者数が増えている。この結果、米国カリフォルニア州では再び経済活動が一部制限されている。

民間エコノミスト35人によるESPフォーキャスト調査(7月調査)によると、2020年度の日本の実質経済成長率は前年比▲5.44%(4月調査では同▲3.09%)に、国際通貨基金(IMF)による2020年の世界の経済成長率は前年比▲4.9%に(4月予測は同▲3.0%)それぞれ大きく下方修正された。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

新型コロナの感染拡大により、企業活動が停滞
景況BSIは前回を超える最大の下げ幅に
○県内景況BSIは6期連続で下降。下降幅は前回を超えて過去最大に

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が広がり、欧米主要国は3月下旬以降、各地で都市封鎖を実施し、日本国内では4月に緊急事態宣言が発令された。4月から5月中旬にかけての人出減少、企業活動の停滞は深刻で、JR和歌山駅周辺においても、人出は感染拡大前の6割程度にまで減少した。その結果、県内景況BSIは過去最大の下げ幅を記録した前回(1〜3月期)を超える下げ幅となり、半数超の事業者が景況感を「悪い」と回答している。商業とサービス業の景況BSIはリーマン・ショック後の最低値を下回る水準にまで下降した。建設業については、景況BSIはプラス水準にあるものの、2019年10〜12月期に比べて約30ポイント下降しており、製造業についても同じく30ポイント程度下降している。

○7月以降の新型コロナの感染者数の増加により、先行き不透明感は再び強まっている

7〜9月期(見通し)については、極めて低い水準まで下降した商業とサービス業でやや上昇することもあり、全体では2.4ポイントの持ち直しとなる。ただし、建設業と製造業の見通しは弱含んでいる。さらに、7月以降の新型コロナの感染者数は再び増加傾向にあり、先行き不透明感は強まっている。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

家計の景況感は3期連続で下降。
7割強の事業者が景況感を「悪い」と回答

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業108社、サービス業33社の計141社。

広義の建設業の景況感

「広義の建設業」の景況BSIは2期連続で下降
約3年ぶりのマイナス水準

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のこと。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が167社、「広義の建設業を除く全産業」は671社の計838社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 105社   景況BSIの推移【 前回 22.1 → 今回 1.9 → 見通し ▲11.3 】

景況BSIは2期連続で下降するも、プラス水準は維持
新型コロナによる国内全体の景気低迷で、先行き不透明感は強い

4〜6月期における県内建設業について、景況BSIはプラス水準を維持したものの、前回からは19.2ポイント下降し、約3年ぶりの低水準となっている。県内公共工事請負金額は1〜5月期累計で前年同期比23.4%増加となっており、阪和自動車道や湯浅御坊道路関連の工事を中心に請負金額が増加している。その一方で、県内新設住宅着工戸数については前年10月の消費増税の影響もあり、2020年に入り減少傾向が見られる(特に「持家」において)。

売上高については、約半数の事業者が「減少」と回答しており、特に受注高において過半数の事業者が「減少」と回答した。不要不急の工事を先延ばしする顧客が見られたことや、中国製資材(トイレ、内装品、石材等)の納品が滞ったことが影響したと考えられる。

7〜9月期(見通し)については、景況BSIはさらに下降する模様。自由意見として「新規計画工事の取りやめ、延期の可能性」、「将来的な設備投資の減少が懸念される」といった回答が複数見られている。

≪製造業≫

回答事業者数: 199社   景況BSIの推移【 前回 ▲25.8 → 今回 ▲44.8 → 見通し ▲53.2 】

景況BSIは19ポイント下降し、極めて低い水準
見通しにおいても景況BSIはさらに下降する

県内製造業の景況BSI(4〜6月期)は6期連続で下降し、▲44.8となった。前回からの下降幅は19.0ポイントで、リーマン・ショック後の2009年1〜3月期の下降幅31.3ポイントに次いで2番目の大きさなっている。5割を超える事業者が景況感を「悪い」と回答しており、繊維製品製造業、鉄鋼・金属製品製造業では約7割が、木材・木工製品製造業、機械・機械部品製造業では約5割の事業者が「悪い」と回答している。国内における新型コロナウイルス感染症の拡大により、4月には緊急事態宣言が出され、人との接触機会を減らすため、企業活動は停滞を余儀なくされた。県内事業者においても、業績への影響は大きく、約7割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答している。

7〜9月期(見通し)についても、業績底打ちの兆しはあまり見られず、化学製品製造業、鉄鋼・金属製品製造業、機械・機械部品製造業などで景況BSIはさらに下降する模様。このような状況の中で、資金繰りが「悪化」するとの回答が4割強を占めている。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 32社
(※梅干等の漬物製造業、調味料・酒類製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲47.8 → 今回 ▲43.8 → 見通し ▲46.9 】
新型コロナによる悪影響が続き
景況BSIは極めて低い水準で推移している


4〜6月期の景況BSIは極めて低い水準で推移しており、過半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。売上高・収益については約7割の事業者が「減少」と回答し、半数の事業者が「従業員の一時休業」を実施している。
7〜9月期(見通し)についても、景況BSIは極めて低い水準で推移する。売上高・収益についても、引き続き厳しい状況が続く模様。
繊維製品 回答事業者数: 25社
(※和歌山市のニット生地メーカー、橋本市のパイル織物メーカー等)
景況BSIの推移【 前回 ▲44.0 → 今回 ▲66.7 → 見通し ▲59.1 】
新型コロナによる悪影響が強まり
約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答


4〜6月期の景況BSIは前回から20ポイント超下降し、▲66.7となった。約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答している。売上高・収益については、約8割の事業者が「減少」と回答しており、2割の事業者が一時的な休業措置をとった。
7〜9月期(見通し)についても、景況BSIは極めて低い水準で推移する。売上高・収益についても、引き続き厳しい状況が続く模様。
木材・木工製品 回答事業者数: 21社
(※建具製造、製材業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲35.7 → 今回 ▲38.1 → 見通し ▲50.0 】
景況BSIは3期連続で下降
見通しではさらに下降する模様


4〜6月期の景況BSIは3期連続で下降し、▲38.1となった。他業種に比べて、景況BSIの水準は低くはないものの、景況感を「悪い」とする事業者は前年同期の約2割から約5割まで増加している(建具製造事業者で「悪い」との回答が多い)。売上高・収益についても「減少」とする回答が増加しており、今後の見通しには厳しさが見られる。
7〜9月期(見通し)の景況BSIは▲50.0まで下降する模様。
化学製品 回答事業者数: 22社
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲25.0 → 見通し ▲31.6 】
景況BSIは4期連続で下降するも
人手不足感は依然として高い


4〜6月期の景況BSIは4期連続での下降となった。他業種に比べて水準は低くないものの、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。売上高・収益等の業績については、「減少」とする回答は増加しているが、人手不足感は依然として強く(4割弱が「人手不足」と回答)、設備投資実施比率も52.4%と高い。
7〜9月期(見通し)については、景況BSIはさらに下降する模様だが、その他の製造業種に比べると、業況に違いが見られる。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 27社
景況BSIの推移【 前回 ▲21.7 → 今回 ▲66.7 → 見通し ▲76.9 】
景況BSIは大幅下降
約半数の事業者が従業員の一時休業を実施


4〜6月期の景況BSIは前回から大きく下降し、▲66.7となった(繊維製品製造業と並んで製造業では最も低い水準)。7割強の事業者が景況感を「悪い」と回答し、売上高・収益についてもほとんどの事業者が「減少」と回答している。業況が急激に悪化する中、「従業員の一時休業」を実施した事業者が約半数を占めた。
7〜9月期(見通し)についても、景況BSIはさらに下降する模様で、厳しい状況が続く。
機械・機械部品 回答事業者数: 35社
景況BSIの推移【 前回 ▲8.6 → 今回 ▲42.4 → 見通し ▲53.1 】
景況BSIは大幅下降
見通しにおいても厳しい状況が続く模様


4〜6月期の景況BSIは前回から大きく下降し、▲42.4となった。5割強の事業者が景況感を「悪い」と回答し、約7割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答している。業況の急激な悪化により、「一定期間の休業」、「従業員の一時休業」といった措置を講じた事業者も複数見られた。
7〜9月期(見通し)についても、景況BSIはさらに下降する模様。一部の事業者で売上高・収益が「増加」とするとの回答は見られるものの、総じて業況には厳しさが見られる。
その他の製造業 回答事業者数: 37社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲26.9 → 今回 ▲31.4 → 見通し ▲51.4 】
景況BSIは5期連続で下降し
見通しでは20ポイントの下降となる模様


4〜6月期の景況BSIは5期連続で下降し、▲31.4となった。約4割の事業者が景況感を「悪い」と回答し、売上高・収益については6割強の事業者が「減少」と回答した。
7〜9月期(見通し)では、さらに景況BSIが下降する。

≪商業≫

回答事業者数: 227社   景況BSIの推移【 前回 ▲31.1 → 今回 ▲53.3 → 見通し ▲44.9 】

新型コロナの感染拡大の影響が広がり
商業の景況BSIは大きく下降し、16年ぶりの低水準

県内商業の景況BSI(4〜6月期)は、卸売業で17.9ポイント、小売業で25.8ポイント下降した結果、全体では22.2ポイント下降し、▲53.3となった。この値は、2008年9月のリーマン・ショック後の最低値▲49.6を下回っており、16年ぶりの低水準となっている。新型コロナウイルス感染症の拡大により、4月7日に緊急事態宣言が発令され、県内商業事業者においても、一定期間の休業や営業時間の短縮を余儀なくされる事態となった。不要不急の外出が自粛される中で、街中の人出は大きく減少し、小売事業者の業績は悪化し、卸売業についても飲食料品卸売業や機械器具卸売業で景況BSIが大幅に下降している。

7〜9月期(見通し)については、緊急事態宣言の解除や新規感染者数の減少もあり、景況BSIは上昇する見通しとなっているが、7月以降、全国的に感染者数が再び増加傾向にあり、先行き不透明感は強まっている。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 119社
景況BSI値の推移【 前回 ▲22.3 → 今回 ▲40.2 → 見通し ▲38.1 】
景況BSIは17.9ポイント下降し、極めて低い水準
見通しにおいても厳しい状況が続く模様


4〜6月期の景況BSIは前回から17.9ポイント下降し、▲40.2となった。過半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。学校休校に伴う給食休止、飲食店や旅館・ホテル業の売上減が農水産物や加工品を取り扱う飲食料品卸売業の業況を悪化させており、全国的な製造業の生産活動の低迷が機械・機械部品を取り扱う卸売業の業況を押し下げている。この2つの業種では、売上高・収益等の業績も大きく悪化しており、国による持続化補助金や和歌山県事業継続支援金の利用率が高い。
7〜9月期(見通し)については、景況BSIは2.1ポイント上昇するものの、極めて低い水準での推移となる模様で、売上高・収益等の業績についても改善の兆しは見られない。県内の企業活動については、いずれの産業においても見通しは厳しく、県内卸売業にとっては厳しい業況が続くことが予想される。
小売業 回答事業者数: 108社
景況BSI値の推移【 前回 ▲41.8 → 今回 ▲67.6 → 見通し ▲52.4 】
「一定期間の休業」を行った事業者も多く、業況は大幅に悪化
見通しにおいても厳しい状況が続く模様


4〜6月期における景況BSIは25.8ポイント下降し、▲67.6となった。7割強の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、業況は極めて厳しい。新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言が4月に発令され、県内でも15日以降、遊戯・遊興施設、商業施設等を対象に休業要請が出された。大型連休期間中についても、JR和歌山駅周辺の人出は感染拡大前に比べて6割程度減少した(NTT「モバイル空間統計」)。「一定期間の休業」、「営業時間の短縮」措置をとった県内事業者も多く、売上高・収益は大きく減少した。このような状況の中で、資金繰りが「悪化」している事業者は増加傾向にあり、4割強の事業者が「悪化」と回答している。
7〜9月期(見通し)については、調査時点(6月中旬)において、新型コロナの新規感染者数が全国的に低い水準にあったことから、景況BSIは上昇しているが、7月以降、再び感染者数が全国的に増加しており、先行き不透明感が増している。

≪サービス業≫

回答事業者数: 307社   景況BSIの推移【 前回 ▲24.0 → 今回 ▲50.7 → 見通し ▲40.1 】

新型コロナの影響が広がり、景況BSIはリーマン・ショック後の最低値を下回り
見通しにおいても厳しい状況が続く模様

県内サービス業の景況BSI(4〜6月期)は、28.6ポイント下降した前回とほぼ同程度の下降幅(26.7ポイント)となり、急激に業況が悪化している。約6割の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIは▲50.7まで下降し、リーマン・ショック後の最低値▲50.3を下回った。中でも、紀南地域を中心とする旅館・ホテル業の景況BSIは▲94.4にまで下降し、飲食業が▲87.5、生活関連サービス業が▲83.3と異例の水準となっている。多くの事業者が「一時的な休業」、「営業時間短縮」、「従業員の一時的な休業」措置をとり、国の「持続化給付金」や県の「事業継続支援金」、無利子・無担保融資などを活用しているが、業績悪化の影響は大きく、資金繰りに苦心する事業者が多い。

7〜9月期(見通し)については、5月下旬に緊急事態宣言が全面解除されるも、7月に入り、再び新型コロナの新規感染者数は増加しており、旅館・ホテル業や飲食業をはじめ、人出が影響する業種については、見通しにおいても厳しい状況が予想される。また、製造業をはじめ県内事業者の事業活動は低迷しており、これらの業種を顧客とする対事業所向けサービス業についても、先行き不透明感が強い。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 39社(※物品賃貸業含む)
景況BSI値の推移【 前回 ▲15.2 → 今回 ▲38.9 → 見通し ▲35.3 】
県内の経済活動の低迷が影響し
景況BSIは23.7ポイントの大幅下降


4〜6月期の景況BSIは23.7ポイント下降し、前回に続いて2013年以降の最低値を更新した。緊急事態宣言に伴う外出自粛の動きもあり、一定期間の休業・営業時間の短縮を行った事業者も多く、土地売買業や不動産賃貸業を中心に売上高・収益「減少」の事業者が目立った(約7割の事業者が「減少」と回答)。「在宅勤務や観光客減により駐車場の利用者が減少している」、「テナント事業者からの賃料値下げ要請に応じた」、「テナント事業者の廃業が今後増えるのではと懸念される」といった自由意見が見られた。
7〜9月期(見通し)については、景況BSIは上昇するものの、引き続き厳しい状況が続くことが予想される。
運輸業 回答事業者数: 44社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSI値の推移【前回 ▲31.7 → 今回 ▲54.5 → 見通し ▲42.9 】
旅客に限らず多分野で荷動きが停滞
景況BSIは2013年以降の最低値を再び更新


4〜6月期の景況BSIは、22.8ポイント下降し、前回に続いて2013年以降の最低値を更新した。訪日外国人客・日本人旅行客の大幅減少により、旅客運輸業で景況感が大きく悪化している。国内・県内景気の低迷もあり、農水産品、機械・金属製品、化学工業品、繊維工業品、食料工業品などさまざまな分野で荷動きが減少しており、貨物運輸業でも景況感は悪化している。約7割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答しており、業況は極めて厳しい。
7〜9月期(見通し)については、緊急事態宣言の解除や新規感染者数の減少(調査時点6月中旬)もあり、景況BSIは上昇する見通しとなっているが、7月以降、全国的に感染者数が再び増加傾向にあり、先行き不透明感は強まっている。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 36社
景況BSI値の推移【 前回 ▲76.0 → 今回 ▲94.4 → 見通し ▲84.4 】
観光需要が消失し、5月の平均売上高は前年比9割減
景況BSIは▲94.4まで下降


4〜6月期について、ほぼ全ての事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況感は▲94.4となった。1〜2月にかけては、訪日外国人客の急激な減少が当業界に大きな影響を与えたが、その後は日本人観光客が激減した。3月以降には8割超の事業者が一定期間の休業措置をとり、緊急事態宣言が発令された4月以降には、白浜などの主要観光地において土産物店・飲食店の休業も相次いだ。ゴールデン・ウィークについても、白浜・羽田便が全便運休、JR西日本の特急も減便となるなど、10連休となった昨年とは大きく異なる状況となった。4月の売上高は回答事業者の平均で前年比84.2%減、5月には同91.0%減となった。緊急事態宣言の全面解除(5/25)後には、人出はやや回復するも、6月の売上高は前年比80.1%減と大幅減少のままとなっている。
7〜9月期(見通し)についても、7月に入り、全国的に新型コロナの新規感染者数が増加しており、先行き不透明感は依然として強い。
飲食業 回答事業者数: 24社
景況BSI値の推移【 前回 ▲73.3 → 今回 ▲87.5 → 見通し ▲66.7 】
会食自粛の動きが広まり、飲食業の景況BSIは極めて低い水準に
7月以降、再び感染者数が増加しており、先行き不透明感が強い


4〜6月期の景況BSIは、約9割の事業者が景況感を「悪い」と回答した。新型コロナの感染拡大を受けて、全国的に不要不急の外出が控えられるようになり、飲食業への影響は日増しに高まった。緊急事態宣言が発令された4月の売上高(回答事業者平均)は前年比65.1%減、5月は66.7%減となっている。半数の事業者が「一定期間の休業」を余儀なくされ、7割強の事業者が「従業員の一時休業」措置をとった。厳しい状況の中で、国の「持続化給付金」、県の「事業継続支援金」を活用したり、テイクアウト・デリバリー制度を新たに採用する事業者も多く見られる。
7〜9月期(見通し)についても、景況BSIは極めて低い水準で推移する模様。7月に入り、新規感染者数が全国的に増加しており、飲食店の予約・顧客管理システムを提供するトレタによると、7月第3週の飲食店(全国5800店舗)の来客数は前年比約50%程度にとどまっている。
医療・福祉 回答事業者数: 54社
景況BSI値の推移【 前回 ▲15.4 → 今回 ▲32.1 → 見通し ▲21.2 】
景況BSIの下降が続き、約4割の事業者が景況感を「悪い」と回答
7月以降、再び感染者数が増加しており、先行き不透明感が強い


4〜6月期の景況BSIは16.7ポイント下降し、▲32.1となった。介護報酬改定の影響が響いた2016年1〜3月期の▲25.0を下回る水準となっている。約6割の事業者が売上高が「減少」していると回答しており、介護事業者では在宅サービスの利用控えが生じ、病院・診療所・歯科医院では新型コロナウイルスの感染を恐れ、受診を控える動きが見られた。また、感染防止策の徹底に要する費用が収益圧迫要因になっているとの回答も見られるなど、様々な面で事業に影響が出ている。このような状況の中で、人手不足業種であった医療・福祉においても、2割弱の事業者が人手は「過剰」であると回答している。
7〜9月期(見通し)については、景況BSIは10ポイント程度上昇する模様だが、7月以降、再び新型コロナに感染する人が増加傾向にあり、先行き不透明感は強まっている。
生活関連サービス業 回答事業者数: 18社
(※葬祭業、クリーニング業、理美容業等)
景況BSI値の推移【 前回 ▲35.7 → 今回 ▲83.3 → 見通し ▲64.7 】
8割強の事業者が景況感を「悪い」と回答
約7割の事業者で資金繰りが「悪化」


4〜6月期の景況BSIは大幅に下降し、▲83.3となった。8割強の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、冠婚葬祭業を除く多くの事業者で「一時的な休業」、「従業員の一時休業」措置を実施した。4月の売上高(回答事業者平均)は前年比36.7%減、5月は同41.2%減、6月は同34.7%減となっており、約7割の事業者で資金繰りが「悪化」している。
7〜9月期(見通し)については、複数の事業者で景況感が「良い」となる模様で、景況BSIは上昇する。ただし、7月以降、再び新型コロナに感染する人が増加傾向にあり、先行き不透明感は依然として強い。
教養・娯楽サービス業 回答事業者数: 15社
(※スポーツ関連サービス、旅行代理店業など)
景況BSI値の推移【 前回 ▲52.9 → 今回 ▲60.0→ 見通し ▲66.7 】
景況BSIは▲60.0まで下降
見通しにも厳しさが見られる


4〜6月期の景況BSIは前回からさらに落ち込み、約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答している。4の売上高(回答事業者平均)は前年比37.7%減、5月は同39.5%減、6月は同41.2%減となっており、非常に厳しい業況にある。新型コロナウイルス感染症の拡大により、「一時的な休業」、「従業員の一時休業」の措置をとった事業者が約7割を占める。
7〜9月期(見通し)についても、厳しい判断をしている事業者が多く、景況BSIは下降する模様。7月以降、再び新型コロナに感染する人が増加傾向にあることから、業況改善の兆しは見られず、事業者の資金繰り支援などのさらなるサポート拡充が必要と考えられる。
その他のサービス業 回答事業者数: 77社
(※建物サービス、情報通信業、人材派遣業、建設サービス等)
景況BSI値の推移【 前回 2.2 → 今回 ▲25.0 → 見通し ▲15.1 】
景況BSIは3年ぶりのマイナス水準

4〜6月期の景況BSIは27.2ポイント下降し、3年ぶりのマイナス水準となった(その他の業種に比べて水準は低くない)。測量・設計等の土木建設サービス業では景況感を「良い」とする事業者が複数見られる一方で、新型コロナの影響で営業機会が減少した事業者(金融業、自動車整備業等)を中心に業績が悪化した。
7〜9月期(見通し)については、土木建設サービス業の一部で景況感が改善する事業者もあり、景況BSIは上昇するが、総じて業況には弱さが見られる。約半数の事業者が売上高・収益は「減少」すると回答しており、注意が必要。当該業種は、県内事業者の活動状況に左右される傾向にあり、今後の景気次第では、業況が弱含む可能性が高い。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 105社 52.5% 40社 19社 21社 25社
製 造 業 400社 199社 49.8% 81社 69社 30社 19社
商   業 600社 227社 37.8% 94社 40社 38社 55社
サービス業 800社 307社 38.4% 130社 62社 29社 86社
全 産 業 2000社 838社 41.9% 345社 190社 118社 185社

いずれの地域においても、景況BSIは大きく下降
特に紀南地域は2019年10〜12月期から50ポイント超の下降となった
和歌山市 景況BSIは全ての産業で下降し、全体では27.4ポイント下降
4〜6月期の景況BSIは27.4ポイントの大幅下降となった。全ての産業で景況BSIが下降したが、建設業と小売業での下降幅が特に大きい。7〜9月期(見通し)については、商業とサービス業で景況BSIは上昇するものの、その他の地域と同様、先行き不透明感は強い。
紀北地域 景況BSIは全ての産業で下降し、全体では18.9ポイント下降
4〜6月期の景況BSIは18.9ポイント下降し、▲44.6と極めて低い水準。全ての産業で景況BSIが下降したが、中でも小売業の下降幅が大きい。7〜9月期(見通し)については、建設業での景況感悪化が目立つ。全体では0.9ポイント上昇するが、水準は極めて低い。
紀中地域 景況BSIは全ての産業で下降し、全体では14.1ポイント下降
4〜6月期の景況BSIは14.1ポイント下降し、▲35.1と極めて低い水準。全ての産業で景況BSIが下降したが、製造業(特に食料品製造業)、サービス業(特に旅館・ホテル業)の下降幅が大きい。7〜9月期(見通し)についても、サービス業を除く全ての産業で景況BSIは下降する模様。
紀南地域 景況BSIは▲48.6と極めて低く、中でもサービス業は▲64.7となっている
4〜6月期の景況BSIは20.8ポイント下降し、▲48.6と極めて低い水準。中でも、サービス業(特に旅館・ホテル業)の景況BSIは▲64.7となっており、建設業の+24.0とは業況が大きく異なる。7〜9月期(見通し)については、2.0ポイント上昇するものの、その水準は極めて低い。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

短観DI、県内景況BSIともに大幅下降
●全産業 〜短観DI 、県内景況BSIともに20ポイントを超える下降となった〜

4〜6月期において、全体の短観DI(以下、短観DI)は27ポイントの大幅下降となった。製造業、非製造業ともに短観DIは大きく落ち込んでおり、同様の傾向は県内景況BSIにおいても見られる。県内景況BSIは22ポイント下降し、製造業は19ポイント、非製造業は23ポイント下降している。1〜3月期は、製造業の下降幅が大きかったが、4〜6月期については、非製造業の方が下降幅は大きくなっている。

7〜9月期(見通し)については、短観DIが下降する一方で、県内景況BSIは上昇する。ただし、その水準は極めて低く、業況には厳しさが見られる。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜前回に続いて、短観DI・県内景況BSIともに大きく下降〜

4〜6月期において、全体の短観DI(以下、短観DI)は27ポイントの大幅下降となった。特に自動車関連での短観DIの下降幅が大きいが、業種に関係なく、大きな落ち込みとなっている。県内景況BSIについても、19ポイントの大幅下降となっており、繊維製品、鉄鋼・金属製品、木材・木工製品、機械・機械部品など幅広い分野で景況BSIが下降している。

さらに、7〜9月期(見通し)についても、短観DI、県内景況BSIはともに下降する模様。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜前回に続いて、短観DI・県内景況BSIともに大きく下降〜

4〜6月期の全体の短観DIは26ポイントの大幅下降となった。宿泊・飲食サービス業、運輸・郵便、小売等で短観DIが極めて低い水準となっている。また、県内景況BSIについても23ポイントの大幅下降となった。建設業や機械器具卸売業、衣料品小売業、生活関連サービス業での下降幅が大きいことに加えて、旅館・ホテル業、飲食業については極めて低い水準まで低下している。

7〜9月期(見通し)については、短観DIが下降する一方で、県内景況BSIは上昇に転じるが、依然としてその水準は極めて低い。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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