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景気動向調査 No.120

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(2020年4〜6月期)における県内経済の状況
新型コロナの影響が広がり、景況BSIは前回に続いて最大の下げ幅に

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が広がり、欧米主要国は3月下旬以降、各地で都市封鎖を実施し、日本国内では4月に緊急事態宣言が発令された。4月から5月中旬にかけての人出減少、企業活動の停滞は深刻で、JR和歌山駅周辺においても、人出は感染拡大前の6割程度にまで減少した。その結果、県内景況BSIは過去最大の下げ幅を記録した前回(1〜3月期)を超える下げ幅となり、半数超の事業者が景況感を「悪い」と回答している。商業とサービス業の景況BSIはリーマン・ショック後の最低値を下回る水準にまで下降した。建設業については、景況BSIはプラス水準にあるものの、2019年10〜12月期に比べて約30ポイント下降しており、製造業についても同じく30ポイント程度下降している。

3.2020年7〜9月期の国内外経済情勢
日本国内については、街中の人出状況や企業活動の一部に
持ち直しの動きが見られるが、欧米各国で新型コロナウイルスの感染拡大が見られ、
先行き不透明感が依然として強い

新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言が全面解除(5月)されて以降、国内では7月に入り、再び新規感染者数の増加傾向が見られるようになった。東京都、大阪府などは飲食店・バーなどに対して営業時間の短縮を要請した。7月22日からは観光需要喚起策「Go To トラベル」事業が開始されたが、お盆の帰省自粛の動きを含めて、人出の本格的な回復は見られなかった。その後は新規感染者数が低水準で推移し、イベント観客の上限規制が9月中旬に緩和され、9月の4連休には多くの観光地で一定のにぎわいが見られた。国内企業の生産活動についても、自動車工業や電子部品・デバイス工業を中心に6月以降、持ち直しの動きを見せている。中国を筆頭に自動車販売が持ち直しており、また、世界的に在宅勤務が増加した結果、パソコン等のIT機器への需要が高まった。各種経済対策・金融政策も効果を発揮しており、日本国内の完全失業率は3.0%(9月)と低い水準を維持している。

ただし、9月以降、欧米各国において新型コロナウイルス感染症の新規感染者が再び増加しており、欧州を中心に人の移動や企業活動に制限をかける動きが再び見られる。国際通貨基金(IMF)は10月に2020年の世界経済の成長見通しを前年比マイナス4.4%に上方修正したが、下振れする懸念が残る。コロナ禍による経済格差の拡大、米中関係の悪化、英欧FTA交渉の先行き不透明感、米国の追加経済対策に関する協議難航などもあり、国内経済を取り巻く情勢は不安定な状況にある。

このような状況の中で、民間エコノミスト36人によるESPフォーキャスト調査(10月調査)によると、2020年度の日本の実質経済成長率は前年比▲6.12%(7月調査では同▲5.44%)に下方修正された。内需・外需ともに7月調査に比べて弱まるとの見通しとなっている。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

街中の人出状況が改善し、景況BSIには下げ止まりの動きがみられるも
その水準は依然として低い
○県内景況BSIは依然として低い水準にあり、約半数が景況感を「悪い」と回答

新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言が発令された4〜6月期に比べて、景況BSIは上昇に転じるも、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIの水準も依然として低いままとなっている。

回答事業者の売上高水準(事業者平均値)を見ても、9月は前年比18.4%減となっており、業績状況にも依然として厳しさが見られる。感染状況にやや落ち着きが見られることから、街中の人出状況は改善してはいるものの、外食や教養・娯楽サービスの利用状況は低調のままとなっている。さらに、感染防止の観点から営業活動を自重する事業者も多く、業績改善に向けた取り組みを実施しづらい状況にある。県内製造業は機械・機械部品、鉄鋼・金属製品などにおいて、業績状況の悪化が続いており、人手過剰感が強く、3割弱の事業者が「従業員の一時休業」を実施した。

○見通しの県内景況BSIはほぼ横ばい。依然として先行き不透明感が強い

10〜12月期(見通し)については、景況BSIはほぼ横ばいで推移する。ただし、建設業やサービス業では景況BSIが下降する見通しとなっている。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、先行き不透明感は依然として強いままとなっている。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

人出状況の改善もあり、家計景況感は4期ぶりに上昇

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業130社、サービス業30社の計160社。

広義の建設業の景況感

その他の産業に比べて水準は高いものの
「広義の建設業」の景況BSIは3期連続で下降

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のこと。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が200社、「広義の建設業を除く全産業」は739社の計939社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 122社   景況BSIの推移【 前回 1.9 → 今回 ▲2.6 → 見通し ▲4.3 】

景況BSIは3期連続で下降し、約3年ぶりのマイナス水準
新型コロナに加えて、長雨・猛暑といった天候不順が業績に影響

7〜9月期における県内建設業について、景況BSIは3期連続で下降し、約3年ぶりのマイナス水準となった。県内公共工事請負金額は阪和自動車道の4車線化工事、下津港に関連する大型工事などの大型工事が多く見られ、12か月連続で前年を上回る請負金額となっている。ただし、塗装工事や鉄骨・鉄筋工事業などの職別工事業を中心にコロナ禍に伴う営業自粛や長雨・猛暑などによる工事遅延、大手鉄鋼メーカーの生産調整などが業績に悪影響を及ぼしている。

10〜12月期(見通し)においても、景況BSIは下降する。先行きの業績に不透明感を感じる事業者が多い。公共工事請負金額は増加基調にある一方で、県内住宅市場は持家住宅の着工戸数が減少傾向にあり、この点が不透明感を強める一つの要因になっていると考えられる。

≪製造業≫

回答事業者数: 215社   景況BSIの推移【 前回 ▲44.8 → 今回 ▲39.4 → 見通し ▲38.2 】

景況BSIは7期ぶりに上昇するも、水準は極めて低い
人手過剰感が出ており、3割弱の事業者が「従業員の一時休業」を実施

県内製造業の景況BSI(7〜9月期)は7期ぶりに上昇するも、極めて低い水準での推移しており、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。特に、これまで県内製造業の業況をけん引してきた鉄鋼・金属製品製造業、機械・機械部品製造業で景況BSIが▲60.9、▲52.6と極めて低い水準となっている。国内自動車メーカーをはじめ、国内製造業の生産活動の低迷が影響している。また、食料品製造業、鉄鋼・金属製品製造業の一部では仕入負担も増しており、業況悪化の要因となっている。他産業に比べて人手過剰感が強まっており、27.2%の事業者が「従業員の一時休業」を実施している。

10〜12月期(見通し)については、国内の鉱工業生産指数に改善の動きも見られるが、先行き不透明感は強く、県内の景況BSIは▲38.2とほぼ横ばいで推移する模様。特に、化学製品製造業で見通しに弱さが見られる。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 38社
(※梅干等の漬物製造業、調味料・酒類製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲43.8 → 今回 ▲36.8 → 見通し ▲33.3 】
新型コロナによる悪影響が続き
景況BSIは低い水準で推移している


7〜9月期の景況BSIは7ポイント上昇したものの、依然として低い水準で推移している。約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。梅干製造事業者を中心に仕入価格が「上昇」する中、販売価格への転嫁は進んでおらず、約7割の事業者が、収益は「減少」していると回答した。半数以上の事業者が借入を増やしており、4〜6月期に比べて資金繰りが「悪化」している事業者は減少したものの、依然として約3割の事業者が「悪化」と回答している。
10〜12月期(見通し)についても、景況BSIは低い水準で推移する模様。売上高・収益等の業績に関するBSIが再び下降する見通しとなっており、先行き不透明感は強い。
繊維製品 回答事業者数: 33社
(※和歌山市のニット生地メーカー、橋本市のパイル織物メーカー等)
景況BSIの推移【 前回 ▲66.7 → 今回 ▲53.1 → 見通し ▲40.6 】
新型コロナによる悪影響が強まり
約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答


7〜9月期の景況BSIは4期ぶりに上昇するも、約6割の事業者が景況感を「悪い」と回答するなど、厳しい状況にある。業績状況についても改善の動きは見られず、7割強の事業者が売上高が「減少」していると回答した。このような状況の中で、約4割の事業者で「人手過剰感」が見られる。
10〜12月期(見通し)については、パイル織物事業者を中心に業績状況に改善の動きが見られることから、景況BSIは上昇するものの、その水準は▲40.6と極めて低い。
木材・木工製品 回答事業者数: 26社(※建具製造、製材業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲38.1 → 今回 ▲23.1 → 見通し ▲36.0 】
景況BSIは1年ぶりに上昇するも
見通しを含めて、業況は依然として厳しい


7〜9月期の景況BSIは1年ぶりに上昇。木製建具、家具、事務所用装備品製造事業者などで景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。ただし、このような事業者は限定的で、多くが前年比「減収・減益」の状況にある。長雨・猛暑などの天候不順に伴う建築現場での工事遅延なども受注状況に影響を及ぼしたものと考えられる。
10〜12月期(見通し)の景況BSIは再び下降する模様。県内に限らず、全国的に新築住宅着工戸数は減少しており、先行きに対する弱さが目立つ。
化学製品 回答事業者数: 22社
景況BSIの推移【 前回 ▲25.0 → 今回 ▲13.6 → 見通し ▲31.8 】
景況BSIは5期ぶりに上昇するも
見通しでは4〜6月期を下回る水準まで下降する模様


7〜9月期の景況BSIは5期ぶりに上昇。他業種に比べて水準は低くないものの、売上高・収益については約半数の事業者が「減少」と回答している。景況感を「良い」とする事業者の減少も続いており、10〜12月期(見通し)の景況BSIは▲31.8まで下降し、4〜6月期の▲25.0を下回る。県内では、衣料品、化粧品、電子製品などに使用される化成品を製造する事業者が多く、コロナ禍に伴う人出減少が受注状況に影響を及ぼしているものと考えられる。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 23社
景況BSIの推移【 前回 ▲66.7 → 今回 ▲60.9 → 見通し ▲54.5 】
景況BSIは極めて低い水準で推移
約半数の事業者で人手過剰感が見られる


7〜9月期の景況BSIは極めて低い水準(▲60.9)で推移している。製造業では最も低い水準にあり、約7割の事業者が景況感を「悪い」と回答した。また、約9割の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答しており、人手過剰感も強まっている。コロナ禍に伴う営業自粛や自動車メーカーの生産減、県内大手メーカーの生産減、住宅市場の冷え込みなど様々な要因が重なり、業況は極めて厳しい状況にある。資金繰りBSIは4〜6月期の▲40.7から▲17.4まで改善するも、世界景気の回復期待もあり、鉄・非鉄価格は上昇し、県内事業者の仕入負担が増している。
10〜12月期(見通し)の景況BSIは上昇するものの、その水準は極めて低い。
機械・機械部品 回答事業者数: 38社
景況BSIの推移【 前回 ▲42.4 → 今回 ▲52.6 → 見通し ▲40.5 】
景況BSIは前回に続いて下降
人手過剰感が強まり、約2割の事業者で従業者が減少


7〜9月期の景況BSIは2期連続での下降となった。約6割の事業者が景況感を「悪い」と回答している。人手過剰感も強まっており、従業員数100人以上の事業者を含めて約2割の事業者が従業員は「減少」と回答した。自動車メーカーの生産減、県内大手メーカーの生産減や国内外の設備投資マインドの低下などが業況を悪化させており、10〜12月期(見通し)の景況BSIは10ポイント超の上昇となるものの、その水準は依然として低い。
その他の製造業 回答事業者数: 35社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲31.4 → 今回 ▲29.4 → 見通し ▲33.3 】
新型コロナによる悪影響が続き、景況BSIは低い水準で推移
先行き不透明感も強い


7〜9月期の景況BSIは6期ぶりに上昇するも、約4割の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、売上高・収益については6〜7割の事業者が「減少」と回答している。特に印刷、紙器・包装資材関連の事業者で業況が悪く、コロナ禍に伴う各種イベントの中止や個人消費の落ち込みが業績に影響しているものと考えられる。
10〜12月期(見通し)においても、改善の動きは見られず、先行き不透明感の強さが伺える。

≪商業≫

回答事業者数: 287社   景況BSIの推移【 前回 ▲53.3 → 今回 ▲40.2 → 見通し ▲38.0 】

景況BSIは7期ぶりに上昇するも、水準は極めて低い
新型コロナにより営業時間の短縮、営業活動を自粛する事業者も依然として多い

県内商業の景況BSIは、前回調査(4〜6月期)で大幅に下降(22.2ポイント下降)したが、今回調査(7〜9月期)では13.1ポイント上昇した。緊急事態宣言解除後の人出状況の改善等を背景に小売業の景況BSIが26.1ポイント上昇し、商業全体の改善に寄与した。その一方で、卸売業の上昇幅は1.1ポイントにとどまっている。主な取引先となる飲食業、旅館・ホテル業、製造業などの業況が低迷しており、景況BSIは極めて低い水準で推移している。景況BSIが大きく上昇した小売業についても、その水準は▲41.5と極めて低く、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答し、卸売業とともに厳しい業況が続いている。

10〜12月期(見通し)については、2.2ポイントの上昇を見込むも、新型コロナウイルス感染症への感染防止の観点から、営業時間の短縮(27.3%)や営業活動を自粛する事業者(44.3%)も多く、先行き不透明感は強い。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 157社
景況BSIの推移【 前回 ▲40.2 → 今回 ▲39.1 → 見通し ▲37.6 】
景況BSIは小幅に上昇するも、水準は低い
飲食料品卸売業を中心に厳しい業況が続いている


7〜9月期の景況BSIは17.9ポイント下降した4〜6月期からは上昇したものの、その上昇幅は1.1ポイントにとどまる。景況感を「悪い」と回答する事業者は約半数を占め、売上高・収益等の業績については、約7割の事業者が「減少」と回答している。特に、飲食料品卸売業の業況は極めて厳しい。飲食業、旅館・ホテル業などの業績不振が影響していることに加えて、コロナ禍により営業活動を自粛せざる得ない点や天候不順に伴う仕入価格の上昇なども業績に悪影響を与えていると考えられる。また、機械器具卸売業の一部については、県内大手メーカーの生産調整が業績悪化要因となっている。
10〜12月期(見通し)については、景況BSIは1.5ポイントの上昇となっているが、その水準は低く、新型コロナウイルス感染症の再拡大に対する懸念もあり、先行き不透明感は強い。
小売業 回答事業者数: 130社
景況BSIの推移【 前回 ▲67.6 → 今回 ▲41.5 → 見通し ▲38.4 】
4〜6月期に比べて街中の人出状況が改善に向かい
景況BSIは26.1ポイント上昇するも、その水準は依然として低い


前回調査で25.8ポイント下降した景況BSIだが、7〜9月期は26.1ポイントの上昇となった。回答事業者の売上高水準(事業者平均値)を見ても、5月には前年比29.0%減となっていたが、8月には同16.3%減となっており、減少幅が縮小している。新型コロナウイルス感染症の拡大により、5月の大型連休期間中には、JR和歌山駅周辺の人出が感染拡大前に比べて6割程度減少したが、9月には5%程度の減少まで回復している(NTT「モバイル空間統計」)。この人出の回復が業況の改善に寄与したものと考えられる。ただし、依然として景況BSIは▲41.5と極めて低く、半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。
10〜12月期(見通し)についても、景況BSIは上昇するが、その水準は低い。「営業時間の短縮」、「出張・商談・営業の自粛」を実施する事業者も多く、新型コロナの影響は依然として大きく、今後の業況については、感染状況に左右される点が大きいと考えられる。

≪サービス業≫

回答事業者数: 315社   景況BSIの推移【 前回 ▲50.7 → 今回 ▲35.3 → 見通し ▲36.7 】

人出状況の改善、政策効果などから景況BSIは上昇するも、水準は極めて低い
先行き不透明感が強く、見通しの景況BSIは再び下降する

前回調査で26.7ポイント下降した県内サービス業の景況BSIだが、7〜9月期は15.4ポイントの上昇となった。回答事業者の売上高水準(事業者平均値)を見ても、5月には前年比16.8%減となっていたが、8月には同11.2%減となっており、減少幅が縮小している。街中の人出状況の改善や国・県による観光需要喚起策効果が見られたものと考えられる。ただし、景況感を「悪い」と回答する事業者は約半数を占め、特に旅館・ホテル業、飲食業、生活関連サービス業、運輸業で多く見られる。これらの業種では資金繰りが「悪化」している業種も多く、厳しい業況にある。その一方で、医療・福祉業では「人手不足」が依然として経営課題として大きく、業種ごとに業況や経営課題に差が見られる。

10〜12月期(見通し)については、引き続き政策効果が期待される一方で、新型コロナウイルス感染症の感染状況は見通しづらく、先行き不透明感が強い。このようなことから、景況BSIは再び下降する模様。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 43社(※物品賃貸業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲38.9 → 今回 ▲14.6 → 見通し ▲27.5 】
街中の人出状況の改善もあり、景況BSIは上昇するも
見通しでは再び下降する


前回調査で23.7ポイント下降した景況BSIだが、7〜9月期は24.3ポイントの上昇となった。街中の人出状況の改善もあり、一部の不動産取引業で売上高が「増加」している。ただし、売上高・収益等の業績について、約半数の事業者が「減少」と回答しており、「テナント契約の解除」、「イベント中止に伴う貸衣裳需要の減少」といった回答が見られた。10〜12月期(見通し)については、7〜9月期の景況感を「良い」と回答した事業者が景気判断を引き下げており、景況BSIは再び下降する。
運輸業 回答事業者数: 53社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲54.5 → 今回 ▲49.1 → 見通し ▲46.9 】
移動・物流ニーズの改善乏しく
景況BSIは極めて低い水準で推移している


7〜9月期の景況BSIは5.4ポイント上昇するも、▲49.1と極めて低い水準にあり、景況感を「悪い」とする事業者は半数を超えている。回答事業者の売上高水準(事業者平均値)を見ても、5月の前年比25.2%減に比べて、9月は同20.0%減と大きな改善は見られない。旅客運輸業に限れば9月は同51.2%減となっており、業況は極めて厳しい。貨物運輸業についても、国内景気の低迷を背景に、農水産品、機械・金属製品、化学工業品、繊維工業品、食料工業品などさまざまな分野で荷動きが前年に比べて減少しており、県内事業者においてもほぼ同様の状況と考えられる。
10〜12月期(見通し)についても、景況BSIに大きな改善の動きは見られない。このような状況の中で、資金繰りが「悪化」している事業者が約4割を占め、「従業員の一時休業」を実施した事業者も3割弱を占めた。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 34社
景況BSIの推移【 前回 ▲94.4 → 今回 ▲73.5 → 見通し ▲72.7 】
各種観光キャンペーンの効果もあり、売上高の水準は前年比4割減まで改善するも
景況BSIは▲73.5と極めて厳しい水準で推移している


7〜9月期について、国・県による観光需要喚起策の効果もあり、回答事業者の売上高水準(事業者平均値)は、5月の前年比91.0%減から9月には同40.2%減まで改善するも、依然として8割強の事業者が景況感を「悪い」と回答している。このような状況の中で、資金繰りが「悪化」している事業者は4〜6月期の88.6%から7〜9月期は60.6%まで減少したものの、依然として多い。また、「事業規模を縮小」した事業者が23.8%、「従業員の一時休業」を実施した事業者が42.9%となっている。
10〜12月期(見通し)については、国の「Go To トラベル」キャンペーンの対象に東京発着の旅行が追加されたが、県の観光需要喚起策が9月末に終了していることに加えて、新型コロナウイルス感染症の感染状況については、先行き不透明感が強く、県内事業者の先行き見通しは依然として厳しい。
飲食業 回答事業者数: 19社
景況BSIの推移【 前回 ▲87.5 → 今回 ▲57.9 → 見通し ▲52.6 】
街中の人出状況の改善もあり、景況BSIは上昇するも、水準は極めて低い
国の需要喚起策が期待される一方で、先行き不透明感が強い


街中の人出状況の改善もあり、7〜9月期の景況BSIは4期ぶりに上昇するも、▲57.9と極めて低い水準にあり、景況感を「悪い」とする事業者は6割弱を占める。回答事業者の売上高水準(事業者平均値)を見ると、5月の前年比67.7%減に比べて、7月は同33.8%減まで改善したが、その後は8月、9月ともに同32.4%減、同32.1%減と目立った改善の動きが見られない。「営業時間の短縮」(75.0%)、「従業員の一時休業」(33.3%)を実施する事業者も依然として多い。
10〜12月期(見通し)については、国の外食需要喚起策「Go To イート」が10月からスタートし、その効果が期待される一方で、新型コロナウイルス感染症の感染状況については、先行き不透明感が強く、県内事業者の見通しについても弱さが見られる。
医療・福祉 回答事業者数: 50社
景況BSIの推移【 前回 ▲32.1 → 今回 ▲27.1 → 見通し ▲20.0 】
景況BSIは3期ぶりに上昇し、売上高の水準は前年比6.4%減まで改善
見通しには弱さが見られ、資金繰り「悪化」とする事業者が約3割


7〜9月期の景況BSIは3期ぶりに上昇に転じた。緊急事態宣言が発令されていた4〜5月の頃に比べると、回答事業者の売上高水準(事業者平均値)は9月に前年6.4%減まで持ち直している。ただし、景況感を「悪い」とする事業者は3割強を占めた。
10〜12月期(見通し)については、景況BSIが上昇する一方で、資金繰りが「悪化」する事業者が約3割を占める。新型コロナウイルス感染症の感染状況次第では、再び業況が悪化することが予想されるなど、先行き不透明感は強い。
生活関連サービス業 回答事業者数: 13社
(※葬祭業、クリーニング業、理美容業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲83.3 → 今回 ▲69.2 → 見通し ▲41.7 】
景況BSIは上昇するも、水準は極めて低い
資金繰り「悪化」とする事業者は約4割


7〜9月期の景況BSIは上昇するも、▲69.2と極めて低い水準にあり、7割強の事業者が景況感を「悪い」と回答している(葬祭業等)。街中の人出が徐々に増えたことから、回答事業者の売上高水準(事業者平均)は5月の前年比42.2%減から9月の同18.7%減まで改善してはいるものの、業況が持ち直していると考える事業者は少ない。資金繰りが「悪化」している事業者も約4割を占めており、総じて厳しい状況にある。
10〜12月期(見通し)の景況BSIは上昇を見込むが、新型コロナウイルス感染症の感染状況次第では、再び業況が悪化することが予想されるなど、先行き不透明感は強い。
教養・娯楽サービス業 回答事業者数: 17社
(※スポーツ関連サービス、旅行代理店業など)
景況BSIの推移【 前回 ▲60.0 → 今回 ▲47.1→ 見通し ▲56.3 】
景況BSIは上昇するも、水準は極めて低い
見通しでは再び下降する


7〜9月期の景況BSIは上昇するも、▲47.1と極めて低い水準にあり、半数超の事業者が景況感を「悪い」と回答している。回答事業者の売上高水準(事業者平均)は5月の前年比39.5%減から9月の同19.0%減まで改善している。ただし、資金繰りが「悪化」している事業者は4割強と多く、業況については厳しさが見られる。野外での活動となるスポーツ関連サービスの事業者についても、景況感を「悪い」とする事業者が多い。他業種に比べても「感染防止対策」に力を入れている事業者が多く、この点についても収益圧迫要因となっているものと考えられる。
10〜12月期(見通し)については、再び景況BSIは下降する。街中の人出状況は改善しているものの、需要回復にはつながらない状況にある模様。
その他のサービス業 回答事業者数: 86社
(※建物サービス、情報通信業、人材派遣業、建設サービス等)
景況BSIの推移【 前回 ▲25.0 → 今回 ▲13.1 → 見通し ▲21.7 】
景況BSIは上昇するも、前年水準に比べて低い水準にある
人材派遣業、ビルメンテナンス業で景況感「悪い」事業者が多い


7〜9月期の景況BSIは11.9ポイント上昇するも、前年同時期に比べると30ポイント超低い水準にある。人材派遣業、ビルメンテナンス業などで景況感を「悪い」とする事業者が多く見られる。回答事業者の売上高水準(事業者平均)は5月に前年比17.2%減となった後も、7月は同22.0%減、8月は同15.2%減と大きな改善の動きは見られない。その一方で、測量・設計、建設コンサルタントなど土木建築サービス業などで景況感を「良い」とする事業者も複数見られることから、他業種に比べて景況BSIの水準は高い。経営上の問題点についても、「売上不振」(31.1%)よりも「人材不足」(32.4%)との回答が多い。
10〜12月期(見通し)の景況BSIについては、土木建築サービス業において、景況感を引き下げる事業者が複数見られることから、景況BSIは下降する模様。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 122社 61.0% 55社 20社 13社 34社
製 造 業 400社 215社 53.8% 82社 75社 35社 23社
商   業 600社 287社 47.8% 122社 47社 55社 63社
サービス業 800社 315社 39.4% 134社 70社 26社 85社
全 産 業 2000社 939社 47.0% 393社 212社 129社 208社

全ての地域で景況BSIは上昇するも、水準は低い
見通しでは、紀中・紀南地域で景況BSIが下降する模様
和歌山市 景況BSIは上昇するも、水準は低い
7〜9月期の景況BSIは7期ぶりに上昇に転じる。ただし、4割強の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIの水準は低い。10〜12月期(見通し)については、全ての産業で景況BSIが上昇するも、その水準は依然として低い。
紀北地域 景況BSIは上昇するも、水準は低く、特に商業で低くなっている
7〜9月期の景況BSIは7期ぶりに上昇に転じる。ただし、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIの水準は低い。特に、商業において他地域よりも景況BSIが低く、7割弱の事業者が景況感を「悪い」と回答した。10〜12月期(見通し)については、建設業、サービス業を除く産業で景況BSIが上昇し、全体でも0.6ポイント上昇する模様。
紀中地域 景況BSI は上昇するも、水準は低く、見通しでは再び下降する
7〜9月期の景況BSIは4期ぶりに上昇に転じる。ただし、4割強の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIの水準は低い(他地域に比べて商業の景況BSIが高いため、全体も高い水準にある)。10〜12月期(見通し)については、景況BSIが再び下降する模様。
紀南地域 景況BSIは上昇するも、水準は低く、見通しでは再び下降する
7〜9月期の景況BSIは3期ぶりに上昇に転じる。ただし、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。10〜12月期(見通し)については、景況BSIが再び下降する模様。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

短観DI、県内景況BSIともに上昇するも、水準は極めて低い
●全産業 〜短観DI・県内景況BSIともに上昇に転じるも、水準は極めて低い〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は4〜6月期に27ポイント下降したが、今回(7〜9月期)は3ポイントの上昇となった。これまでの大幅下降を踏まえると、その上昇幅は小さい。県内景況BSIについても、同様の動きが見られる。県内景況BSIは9ポイント上昇した。

10〜12月期(見通し)についても、短観DI、県内景況BSIともに1ポイントの上昇を見込む。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜短観DI・県内景況BSIともに上昇に転じるも、水準は極めて低い〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は、4〜6月期に27ポイント下降したが、今回(7〜9月期)は2ポイント上昇した。これまでの大幅下降を踏まえると、その上昇幅は小さい。県内景況BSIについても、上昇に転じたが、その水準は極めて低い。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜短観DI・県内景況BSIともに上昇に転じるも、水準は極めて低い〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は、4〜6月期に26ポイント下降したが、今回(7〜9月期)は4ポイントの上昇に転じた。これまでの大幅下降を踏まえると、その上昇幅は小さく、県内景況BSIについてもほぼ同様の動きが見られる。県内景況BSIは11ポイント上昇した。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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