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景気動向調査 No.121

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(2020年7〜9月期)における県内経済の状況
街中の人出状況が改善し、景況BSIには下げ止まりの動きが見られるも、水準は低い

新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言が発令された4〜6月期に比べて、景況BSIは上昇に転じるも、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIの水準も依然として低いままとなっている。

回答事業者の売上高水準(事業者平均値)を見ても、9月は前年比18.4%減となっており、業績状況にも依然として厳しさが見られる。感染状況にやや落ち着きが見られることから(7〜9月期における全国の新規感染者数は1日平均700人)、街中の人出状況は改善してはいるものの、外食や教養・娯楽サービスの利用状況は低調のままとなっている。さらに、感染防止の観点から営業活動を自重する事業者も多く、業績改善に向けた取り組みを実施しづらい状況にある。県内製造業は機械・機械部品、鉄鋼・金属製品などにおいて、業績状況の悪化が続いており、人手過剰感が強く、3割弱の事業者が「従業員の一時休業」を実施した。

3.2020年10〜12月期の国内外経済情勢
11月中旬にかけて国内経済は持ち直しの動きを見せるも
新型コロナの感染が急激に広がり、再び先行き不透明感が強まっている

7月から開始された観光需要喚起策「Go To トラベル」は、新型コロナウイルスの感染状況に落ち着きが見られた10月以降、利用者数が急増した。その結果、11月のホテル客室稼働率(英STR調べ)は55.1%(4月は14.1%)まで上昇した。また、コロナ禍で4〜6月期の需要が消失した自動車市場に回復の動きが見られたことに加えて、デジタル化が世界的に進行する中で、半導体や半導体製造装置の販売が急伸し、国内の生産活動、輸出の動きは改善傾向を示した。日本を含め、中国、欧米各国が大規模な経済対策を打ち出しており、その政策効果も国内景気の持ち直しに寄与したものと考えられる。アパレル・繊維、外食産業では、上場企業においても希望退職者を募集するなど、雇用環境に改善の兆しは見られないが、国内全体としては10〜12月期の実質GDPが前期に続いてプラス成長になる模様で、年後半にかけては持ち直しの動きを見せている。

ただし、11月中旬以降、国内において、再び新型コロナ感染者数が増え始め、政府は感染を封じ込めるため、「勝負の3週間」(11/25〜12/16)を設定した。この間、東京都や大阪府などで飲食店の時短営業が要請されるも、感染拡大は続いた。12月14日には「Go To トラベル」の全国一斉停止が決定され、東京都、埼玉県、大阪府、兵庫県などではコロナ病床の使用率が50%を超え、医療崩壊の危険性が強まった。政府は1月8日に東京都を含む1都3県、13日に大阪府を含む7府県を対象とした緊急事態宣言の発出に踏み切り、飲食店等に対して時短営業を要請し、夜8時以降の外出自粛を呼び掛けた。今回の宣言は、前回(20年4月7日発出)と異なり、小中高の一斉休校やイベント開催の自粛、店舗施設等への休業は要請しておらず、人出状況も4月に比べると減少幅は小さい。それでも、商業、飲食業を中心に業績への影響は避けられず、1〜3月期の実質GDPは再びマイナス成長に落ち込むことが予想される。コロナワクチンの接種が欧米各国で開始されたが、当該地域においても感染者数は高止まりしており、都市封鎖などの厳しい移動制限が継続実施されている。日本国内でも収束の目途は立たず、今後の経済活動への影響は見通せない状況で、依然として先行き不透明感が強い。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

県内景況BSIは2期連続で持ち直すも、その水準は依然として低い
11月中旬以降、新型コロナの感染が急拡大し、見通しの景況BSIは再び下降
○県内景況BSIは2期連続で持ち直すも、その水準は依然として低い

2020年10〜12月期の県内景況BSIは、7〜9月期に続いて、10ポイントを超える持ち直しの動きを見せた。国内外の生産活動(特に自動車工業、電子部品工業)が持ち直していることに加えて、一時的に新型コロナの感染状況に落ち着きが見られたことや、各種「Go Toキャンペーン」などの需要喚起策もあり、県内でも、サービス業を筆頭に全ての産業で景況BSIが持ち直した。小売業を中心に、小規模事業者の中には、依然として景況感を「悪い」とする事業者も多く見られるが、全体としては、4〜6月期の最悪期から持ち直す動きを見せている。ただし、コロナ禍前(19年10〜12月期)に比べて、その水準は依然として低く、経営上の大きな問題点であった人手不足感は大きく緩和し、余剰感を抱く事業者も増えている。県内労働市場は軟調で、有効求人数(11月)は前年比15.2%減となっている。

○新型コロナの感染が急激に広がり、先行き不透明感強まる。見通しの県内景況BSIは再び下降

2021年1〜3月期(見通し)については、調査期間中(12/1〜17)に、新型コロナの感染者数が急激に増加し、「Go To トラベル」の全国一斉停止が決定されたこともあり、再び先行き不透明感が強まった。サービス業を中心に全ての産業で景況BSIは下降する見通しとなっており、3月までの資金繰りを懸念する事業者が2割強を占める。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

家計景況感は持ち直しの動きが鈍化。見通しでは下降する

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業98社、サービス業30社の計128社。

広義の建設業の景況感

その他の産業に比べて水準は高く
「広義の建設業」の景況BSIは1年ぶりに上昇

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のこと。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が151社、「広義の建設業を除く全産業」は568社の計719社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 91社   景況BSIの推移【 前回 ▲2.6 → 今回 3.3 → 見通し 1.1 】

景況BSIは1年ぶりに上昇
コロナ禍での営業活動自粛の影響も見られるが、業況は総じて堅調

2020年10〜12月期における県内建設業について、景況BSIは1年ぶりに上昇した。19年10月の消費増税以降、県内新築住宅着工戸数は減少傾向にあるが、公共工事については、阪和自動車道の4車線化関連工事、下津港関連工事、各市町施設整備工事などで大型工事が数多く見られ、20年4月〜11月累計の公共工事請負金額は前年比13.9%増となっている(西日本建設業保証調べ)。この結果、紀中・紀南地域を中心に景況BSIは高い水準にある。その一方で、電気工事業・管工事業では景況感を「悪い」とする事業者が2割強となっている。コロナ禍による営業活動の自粛、工事遅延や取引先の設備投資見送りの影響が出ているとの回答が複数見られた。

2021年1〜3月期(見通し)では、景況BSIは下降するものの、プラス水準を維持し、底堅く推移する模様。このような状況の中で、内装工事・鉄筋工事業などにおいて、3月までの資金繰りを懸念する事業者が3割強と多くなっており、業況が懸念される。

≪製造業≫

回答事業者数: 173社   景況BSIの推移【 前回 ▲39.4 → 今回 ▲32.4 → 見通し ▲41.3 】

景況BSIは2期連続で持ち直すも、水準は依然として低く
新型コロナの感染再拡大もあり、見通しでは再び下降する

2020年10〜12月期における県内製造業の景況BSIは2期連続で上昇した。景況感が「悪い」とする事業者が食料品製造業、繊維製品製造業、機械・機械部品製造業などで減少したことが景況BSIの上昇に寄与した。ただし、木材・木工製品製造業、化学製品製造業では、コロナ禍による営業活動の自粛の影響もあり、景況BSIは下降した。

新型コロナの感染者数が再び増加していることもあり、2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは再び下降する。約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、景況BSIは厳しい水準にある。3月までの資金繰りを懸念する事業者も2割強を占め、木材・木工製品製造業、繊維製品製造業で多くなっている。その一方で、市場ニーズの変化への対応を進め、新規事業展開を検討する事業者も2割程度見られるなど、新たな動きも見られている。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 24社
(※梅干等の漬物製造業、調味料・酒類製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲36.8 → 今回 ▲25.0 → 見通し ▲52.2 】
10〜12月期の景況BSIは持ち直すも
見通しは極めて厳しい


2020年10〜12月期の景況BSIは11.8ポイント上昇したものの、依然として水準は低く、約半数の事業者が景況感を「悪い」と回答している。梅干製造業、清涼飲料製造業など幅広い業種で「悪い」とする回答が見られた。梅干製造業については、コロナ禍に伴う県内観光客の減少により、お土産品としての需要が減少し、業況に大きく影響しているものと考えられる。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは、▲52.2まで大きく下降する。新型コロナの感染者数が再び増加する中で、先行き不透明感は極めて強い。6月までの資金繰りを懸念する事業者が半数超となっており、経営状況にも厳しさが見られる。
繊維製品 回答事業者数: 27社
(※和歌山市のニット生地メーカー、橋本市のパイル織物メーカー等)
景況BSIの推移【 前回 ▲53.1 → 今回 ▲44.4 → 見通し ▲64.0 】
10〜12月期の景況BSIは持ち直すも
見通しは極めて厳しい


2020年10〜12月期の景況BSIは上昇したものの、依然として極めて低い水準にある。2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは、新型コロナの感染者数が再び増加する中で、20ポイント程度下降する模様。3月までの資金繰りを懸念する事業者が3割強を占めるなど、厳しい経営状況にある事業者が多い。
木材・木工製品 回答事業者数: 17社(※建具製造、製材業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲23.1 → 今回 ▲29.4 → 見通し ▲37.5 】
景況BSIは下降
資金繰り「悪化」の事業者が目立つ


2020年10〜12月期の景況BSIは下降し、低い水準で推移している。一部の家具・製材業で景況感を「良い」とする事業者も見られるが、過半数が景況感を「悪い」と回答している。資金繰りが悪化している事業者も多く、3月までの資金繰りを懸念する事業者が約半数を占めた。このような状況の中でも、市場ニーズの変化に対応しようとする事業者は少なくない。ただし、前述の通り、厳しい経営状況の中での事業変革は難しく、行政支援策が望まれる。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは、さらに下降する模様。
化学製品 回答事業者数: 18社
景況BSIの推移【 前回 ▲13.6 → 今回 ▲33.3 → 見通し ▲11.8 】
景況BSIは下降
資金繰りを懸念する事業者は少ないが、業況に弱さが見られる


2020年10〜12月期の景況BSIは下降した。景況感を「悪い」とする事業者は他の業種に比べて3割程度と少ないものの、「良い」とする事業者が皆無となり、景況BSIは下降した。コロナ禍で営業活動を自粛する動きが続いており、業績に影響しているものと考えられる。このような状況の中、オンライン営業やテレワーク環境の整備を進める事業者が比較的多くなっている。また、木材・木工、繊維製品製造業と異なり、資金繰りを懸念する事業者は極めて少ない。
2021年1〜3月期(見通し)については、景況BSIは上昇するが、受注高を含めて業績状況に改善の動きは見られず、業況の弱さがうかがえる。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 25社
景況BSIの推移【 前回 ▲60.9 → 今回 ▲58.3 → 見通し ▲61.9 】
景況BSIは極めて低い水準で推移
一部の事業者で新規事業展開の動きが見られる


2020年10〜12月期の景況BSIは、前回に続き極めて低い水準で推移しており、約6割の事業者が景況感を「悪い」と回答している。人手余剰感も強く、約2割の事業者で雇用者数が減少している。労働時間の削減や給与額の引き下げを行う事業者も一定数見られた。このような厳しい状況の中で、市場ニーズの変化への対応を進め、新規事業展開を行う事業者も2割程度あり、業種内での取り組みに差が見られる。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは、売上高等の業績水準が悪化し、景況BSIも再び下降する。コロナ禍による営業活動の自粛や県内大手機械メーカーの生産減が影響しているものと考えられる。
機械・機械部品 回答事業者数: 34社
景況BSIの推移【 前回 ▲52.6 → 今回 ▲27.3 → 見通し ▲19.4 】
景況BSIは上昇するも、水準は依然として低い
国内外の生産活動の持ち直しもあり、見通しにおいても景況BSIは上昇する模様


2020年10〜12月期の景況BSIは、景況感を「悪い」とする事業者が減少したことで、大きく上昇した。ただし、その水準は依然として低い。コロナ禍における営業活動の自粛、取引先の事業活動減退、県内大手メーカー(機械)の生産減などが業況に影響しているものと考えられる。このような状況の中で、テレワーク環境の整備、オンライン取引(営業)の拡大、他社との連携機会を増やす事業者も一定数見られており、今後の進展が期待される。
2021年1〜3月期(見通し)については、景況BSIはさらに上昇する。国内外で新型コロナの感染が拡大する一方で、調査時点において、国内外の生産活動は持ち直しの動きを見せており、一定程度の好影響が及ぶものと考えられる。
その他の製造業 回答事業者数: 28社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲29.4 → 今回 ▲11.1 → 見通し ▲40.7 】
足下の景況BSIはコロナ禍前の水準を回復するも
先行き不透明感は強く、見通しでは再び下降する


2020年10〜12月期の景況BSIは大きく上昇し、コロナ禍前(19年10〜12月期)の水準を上回った。コンクリート製品製造業や家庭用プラスチック製品製造業などで景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。また、紙器・包装パッケージ製造業において、景況感を「悪い」とする回答が減少したことも、今回の景況BSIの上昇に寄与した。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIについては、大きく下降する。コンクリート製品製造業などで景況感を引き下げる事業者が複数見られた。新型コロナの感染者数が再び増加する中で、先行き不透明感が強まっているものと考えられる。

≪商業≫

回答事業者数: 212社   景況BSIの推移【 前回 ▲40.2 → 今回 ▲30.8 → 見通し ▲38.9 】

一部の事業者で景況感が改善し、景況BSIは2期連続で持ち直すも
新型コロナの感染者数が増加していることもあり、見通しでは再び下降する

2020年10〜12月期における県内商業の景況BSIは、建築材料卸売業、衣料品小売業、飲食料品小売業などで景況感が改善したこともあり、2期連続で持ち直すも、低い水準で推移している。在庫の圧縮や移動・出張費の削減、業務内容の見直しに取り組む事業者も一定数見られるなど、各事業者がコロナ禍の対応に取り組んでいる。

ただし、2021年1〜3月期(見通し)については、再び新型コロナの感染者数が増加していることもあり、景況BSIは下降する模様。1月13日には大阪府、京都府、兵庫県を対象に緊急事態宣言が再発令された。1月以降、JR和歌山駅周辺の人出状況も前年比2割強減少しており(NTTドコモ調べ)、前年4月〜5月(同4割減)ほどではないものの、来店客数の減少が予想される。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 114社
景況BSIの推移【 前回 ▲39.1 → 今回 ▲21.2 → 見通し ▲31.2 】
景況BSIは大幅に上昇するも、コロナ禍による営業活動自粛の影響は残る
新型コロナの感染者数が再び増加し、先行き不透明感が強い


2020年10〜12月期の景況BSIは、大幅に上昇した。建築材料卸売業をはじめ一部の事業者で景況感の改善が見られた。ただし、売上高・収益については、「減少」との回答が依然として多く、コロナ禍における営業活動自粛の影響が見られる。地域の小売事業者を得意先とする飲食料品卸売業については、コロナ禍での人出減少も業績に影響を与えている。このような状況の中で、3月までの資金繰りを懸念する事業者が機械器具卸売業で3割程度を占めており、業況が懸念される。また、人手不足感は緩和が進んでおり、余剰感を感じる事業者も増加している。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは、新型コロナの感染者数が再び増加していることもあり、再び下降する。
小売業 回答事業者数: 98社
景況BSIの推移【 前回 ▲41.5 → 今回 ▲41.8 → 見通し ▲47.9 】
一部で景況感改善の事業者も見られるが、コロナ禍の影響は強く
景況BSIは厳しい水準にあり、見通しではさらに下降する模様


2020年10〜12月期の景況BSIは2期ぶりに下降。緊急事態宣言が発出されていた20年4〜6月期に大幅に景況BSIが落ち込んだ衣料品小売業、飲食料品小売業で持ち直しの動きが見られるも、宝石・化粧品等を販売する生活・文化用品小売業やガソリンスタンド等の景況感は依然として悪く、全体としては極めて厳しい景況感となっている。多くの事業者が在庫の圧縮などによりコスト削減に努めている。
2021年1〜3月期の景況BSIは、新型コロナの感染者数が再び増加しており、人出の減少が予想されることから、再び下降する模様。5割弱の事業者が景況感を「悪い」と回答している。

≪サービス業≫

回答事業者数: 243社   景況BSIの推移【 前回 ▲35.3 → 今回 ▲18.9 → 見通し ▲29.2 】

景況BSIは2期連続で大きく持ち直すも
新型コロナの感染者数が増加していることもあり、見通しでは再び下降する

2020年10〜12月期の景況BSIは16.4ポイントと大きく持ち直した。7〜9月期にも15.4ポイント持ち直しており、合わせて31.8ポイントの上昇となった。ただし、コロナ禍前(19年10〜12月期)の景況BSI(+4.6)に比べると、依然として低い水準にある。景況BSIの持ち直しをけん引したのは、運輸業、旅館・ホテル業、医療・福祉だが、いずれの業種についても、コロナ禍前の水準は回復できていない。飲食業や生活関連サービス業(冠婚葬祭・理美容業等)の景況BSIは厳しい水準で推移しており、3月までの資金繰りを懸念する事業者は22.8%を占める。

2021年1〜3月期(見通し)については、新型コロナの感染者数が増加していることもあり、先行き不透明感が強く、景況BSIは再び下降する模様。医療・福祉など一部の業種では、底堅さも見られるが、旅館・ホテル業、飲食業、運輸業など、人出の動向や企業活動に左右される業種においては、景況BSIが大幅に下降する見通しとなっている。このような状況の中で、市場ニーズの変化への対応やICT活用促進・デジタル化などが求められるが、いずれも実施している事業者は2割未満となっている。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 26社(※物品賃貸業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲14.6 → 今回 ▲7.7 → 見通し ▲11.5 】
景況BSIは2期連続で持ち直す
見通しでは再び下降する


2020年10〜12月期の景況BSIは2期連続で持ち直した。景況感において「悪化」との回答が、売上高・収益については「減少」との回答が減った。コロナ禍に伴う人出減少の影響は引き続き見られるものの、営業活動の自粛による業績への悪影響は7〜9月期に比べて小さくなっている。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降する。新型コロナの感染者数が再び増加していることが事業者の景況感に影響しているものと考えられる。その中で、オンライン取引(営業)の拡大に取り組む事業者が17.4%となっており、さらなる取り組み拡大が望まれる。
運輸業 回答事業者数: 38社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲49.1 → 今回 ▲18.4 → 見通し ▲40.5 】
景況BSIは2期連続で持ち直す
見通しでは再び下降する


2020年10〜12月期の景況BSIは大幅に上昇した。コロナ禍に落ち着きが見られた10月には、人流・荷動きに改善が見られたこともあり、景況感を「悪い」とする事業者が3割弱まで減少した(7〜9月期は5割強が「悪い」と回答)。売上高水準(事業者平均値)も前年比1割減まで持ち直している(7〜9月期は同2割減)。ただし、コロナ禍以前の業況までには回復しておらず、人手不足感も大きく緩和している。また、3月までの資金繰りを懸念する事業者が3割強を占める。
2021年1〜3月期(見通し)については、新型コロナの感染者数が再び増加していることもあり、営業活動の自粛を懸念する事業者も多く、景況BSIは再び厳しい水準まで下降する。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 29社
景況BSIの推移【 前回 ▲73.5 → 今回 ▲20.7 → 見通し ▲57.1 】
各種観光キャンペーン効果により、景況BSIは大幅に持ち直す
Go Toトラベルの停止決定で業況は一変し、再び景況BSIは極めて低い水準へ


2020年10〜12月期の景況BSIは50ポイント超の上昇となった。観光需要喚起策「Go Toトラベルキャンペーン」の対象に10月から東京発着の旅行が追加されたことで、利用者が急増し、紀南を中心に観光客が増加した。売上高水準(事業者平均値)は5月には前年比91.0%減まで落ち込んでいたが、11月には同3.1%減まで回復した。田辺市、白浜町、高野町などでは独自の観光需要喚起策も展開し、各地の業況を下支えした。このような状況の中で、「非接触」をテーマに業務内容を見直したり、デジタル化に取り組む事業者も増えている。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは、大幅に悪化し、6割強の事業者が景況感は「悪い」と回答した。前年12月中旬に、「Go Toトラベル」の全国一斉停止が決定し、1月初旬には、停止措置が2月7日まで延長されることになった。年末年始の県内観光客は大きく減少し、同時期の県内宿泊施設の客室稼働率は50%と極めて低い水準となった。2割弱の事業者が従業員の解雇(雇止め)を既に実施しており、3月までの資金繰りを懸念する事業者も4割超と多く、業況は極めて厳しい。
飲食業 回答事業者数: 15社
景況BSIの推移【 前回 ▲57.9 → 今回 ▲60.0 → 見通し ▲69.2 】
11月にかけて売上水準は持ち直すも
その後の新型コロナ感染増もあり、景況BSIは極めて厳しい水準にある


2020年10〜12月期の景況BSIは下降。約6割の事業者が景況感を「悪い」と回答しており、生活・文化用品小売業と並んで県内では最も景況BSIが低い業種となっている。「Go Toイート」などもあり、11月の売上高水準(事業者平均値)は前年比16.5%減まで持ち直すも、その後、新型コロナ感染者数が全国的に急増し、大阪市の一部で飲食店を対象とした時短営業が要請されるようになると、全国的に飲食店の業況が悪化した。県内でも、8割強の事業者が経営上の問題点を「売上不振」としており、12月の売上高水準は前年比25.9%減まで悪化した。このような状況の中で、3割弱の事業者が3月までの資金繰りを懸念している。
2021年1〜3月期(見通し)については、コロナ禍の収束が見通せない中、景況BSIはさらに下降する模様で、極めて厳しい水準となっている。
医療・福祉 回答事業者数: 39社
景況BSIの推移【 前回 ▲27.1 → 今回 ▲5.1 → 見通し ▲10.5 】
通院・通所の動きが回復し、景況BSIは大きく持ち直す
見通しにおいても底堅さが見られる


2020年10〜12月期の景況BSIは大きく持ち直した。新型コロナ感染者数が一時期減少していたことと、県内感染者数は少ない水準であったこともあり、通院・通所の動きが回復したものと考えられる。売上高水準(事業者平均値)は、10月には前年比99.0%まで回復している(6月は同86.8%)。このような状況の中で、非接触をテーマに事業内容を見直す動きや、ICTの活用を促進する事業者が増えている。また、4割強の事業者が人手は「不足」していると回答した。
2021年1〜3月期(見通し)について、景況BSIは下降するものの、他業種に比べてその下降幅は小さく、底堅さが見られる。
生活関連サービス業 回答事業者数: 17社(※葬祭業、クリーニング業、理美容業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲69.2 → 今回 ▲58.8 → 見通し ▲47.1 】
景況BSIは上昇するも、水準は極めて低い
売上高水準(12月)は前年比75%


2020年10〜12月期の景況BSIは上昇するも、極めて厳しい水準での推移が続いている。冠婚葬祭業、理美容業などで景況感を「悪い」とする事業者が多い。売上高水準(事業者平均値)も7〜9月期に比べて、再び下降(12月で前年比75.6%)。近親者のみの葬儀の増加により、受注単価が低下しているとの回答が多く見られた。
このような状況の中で、3月までの資金繰りを懸念する事業者は3割弱を占め、その一方で、半数の事業者が「ニーズの変化への対応」に取り組んでいる。
教養・娯楽サービス業 回答事業者数: 13社(※スポーツ関連サービス、旅行代理店業など)
景況BSIの推移【 前回 ▲47.1 → 今回 ▲7.7→ 見通し ▲7.7 】
景況BSIは大きく持ち直し、コロナ禍前の水準を上回る
見通しにおいても、景況BSIは底堅く推移


2020年10〜12月期の景況BSIは、大きく持ち直し、コロナ禍前(19年10〜12月期)の水準を上回った。ゴルフ場・練習場などスポーツ関連事業者で景況感を「悪い」とする回答が減少した。その一方で、旅行代理店や博物館など観光関連産業では「悪い」とする回答が複数見られた。
2021年1〜3月期(見通し)の景況BSIは横ばいで推移し、全国的に新型コロナ感染者数が急増する中でも、業況には底堅さが見られる。その一方で、他業種に比べて、コロナ禍による市場ニーズの変化への対応などに取り組む事業者は少ない。
その他のサービス業 回答事業者数: 66社
(※建物サービス、情報通信業、人材派遣業、建設サービス等)
景況BSIの推移【 前回 ▲13.1 → 今回 ▲13.6 → 見通し ▲20.8 】
景況BSIは、ほぼ横ばいで推移。売上高水準には持ち直しの動きも見られる
見通しの景況BSIは下降するも、業況堅調な事業者は多い


2020年10〜12月期の景況BSIは、ほぼ横ばいで推移した。売上高水準(事業者平均値)は、9月の前年比77.1%に比べて、10月は同93.6%、11月は同97.7%、12月は同91.5%と、総じて持ち直している。また、他業種と比較して、景況BSIの水準は低くはない。測量・設計業などの土木建築サービス業の景況感は「良い」とする事業者が複数見られ、廃棄物処理業の業況は底堅い。ソフトウェア開発など情報関連サービス業については、取引先の事業規模縮小などから受注状況が悪化している事業者が複数見られた。自動車整備業については、コロナ禍に伴う人出減少もあり、売上高水準は低調。
2021年1〜3月期の景況BSI(見通し)は下降する。景況感で「良い」とする回答の多かった土木建築サービス業で、景況感を引き下げる事業者が目立つ。ただし、その他の業種については、新型コロナ感染者数が急増する中でも、景況BSIに大きな変動は見られなかった。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 91社 45.5% 36社 15社 14社 26社
製 造 業 400社 173社 43.3% 63社 74社 22社 14社
商   業 600社 212社 35.3% 87社 35社 41社 49社
サービス業 800社 243社 30.4% 114社 41社 22社 66社
全 産 業 2000社 719社 36.0% 300社 165社 99社 155社

全ての地域において、景況BSIは2期連続で持ち直す
特に、紀南地域の景況BSIはサービス業の改善が寄与し、他地域を上回った
和歌山市 景況BSIは2期連続で持ち直すも、水準は低く、雇用市場は軟調
2020年10〜12月期の景況BSIは2期連続で持ち直した。ただし、その他の地域と同様、コロナ禍前(19年10〜12月期)の水準に比べて、景況BSIは依然として低く、雇用者数の不足感も和らいでおり、ハローワーク和歌山管内の有効求人数(11月)は前年比23.3%減となっている。
紀北地域 景況BSIは2期連続で持ち直すも、水準は低く、特に建設業で低くなっている
2020年10〜12月期の景況BSIは2期連続で持ち直した。ただし、その他の地域と同様、コロナ禍前(19年10〜12月期)の水準に比べて、景況BSIは依然として低い。紀北地域では、特に、建設業において景況感を「悪い」とする事業者が多く見られる。
紀中地域 景況BSIは2期連続で持ち直すも、水準は低く、特に製造業で低くなっている
2020年10〜12月期の景況BSIは2期連続で持ち直した。ただし、その他の地域と同様、コロナ禍前(19年10〜12月期)の水準に比べて、景況BSIは依然として低い。紀中地域では、特に、製造業(梅干製造業等)において景況感を「悪い」とする事業者が多く見られる。
紀南地域 景況BSIは2期連続で持ち直す。地域別では、紀中地域に代わり最も高い値に
2020年10〜12月期の景況BSIは2期連続で持ち直した。その地域の地域と同様、コロナ禍前(19年10〜12月期)の水準に比べて、景況BSIは依然として低い。ただし、旅館・ホテル業などサービス業で景況BSIが上昇し、全産業の景況BSIは見通しを含めて最も高い値となっている。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

短観DI、県内景況BSIともにコロナ禍による落ち込みの後、2期連続で持ち直すも
国内での感染拡大により、見通しでは再び下降する
●全産業 〜短観DI・県内景況BSIともに上昇に転じるも、水準は極めて低い〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は、2期連続で上昇し、その上昇幅は13ポイント。緊急事態宣言下の2020年4〜6月期の落ち込みからの持ち直しの動きと考えられ、宿泊業や対個人サービス業、製造業など幅広い業種で短観DIが上昇した。県内景況BSIについても、ほぼ同様の動きとなっている。

ただし、1〜3月期(見通し)については、新型コロナの国内感染者数が11月中旬以降、急激に増加していることもあり、短観DI、県内景況BSIともに下降する見通しとなった。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜短観DI・県内景況BSIともに上昇するも、両指数の差は拡大〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は、17ポイント上昇した。自動車工業や鉄鋼、非鉄金属を中心にほぼ全ての業種で短観DIが上昇した。その一方で、県内景況BSIについては12ポイント上昇したものの、短観DIに比べると上昇幅は小さい。木材・木工、化学製品における景況BSIの下降が響いた。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜短観DI・県内景況BSIともに上昇。特に、宿泊業、対個人サービス業で大きく上昇〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は、前回に続いて上昇し、その上昇幅は10ポイント。「Go Toキャンペーン」もあり、宿泊・飲食、対個人サービスで短観DIが大きく上昇した。その他の業種についても、概ね上昇が見られた。県内景況BSIについても、2期連続での上昇となり、その上昇幅は12ポイント。小売業の景況BSIは下降したが、運輸業、旅館・ホテル業、医療・福祉、教養・娯楽サービス業などで景況BSIが大きく上昇した。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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