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景気動向調査 No.126

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(2021年10〜12月期)における県内経済の状況
「第5波」収束により、景況BSIは全ての産業で上昇

2021年10〜12月期の県内景況BSIは全ての産業で上昇し、全体では11.0ポイントの上昇となった。新型コロナ感染「第5波」は収束に向かい、県内でも人流は大きく増加した。その結果、小売業、サービス業の景況BSIは大きく上昇した。製造業の景況BSIについても、化学製品製造業、機械・機械部品製造業を中心に改善基調にあり、建設業についても景況BSIは高い水準にある。このような状況の中で、資源価格の高騰もあり、仕入価格の上昇懸念が強まっている。また、業況が改善する事業者では、人手不足感が再び強まっており、様々な課題が混在している。

3.2022年1〜3月期の国内外経済情勢
オミクロン株の感染拡大、ウクライナ危機、
急激な物価上昇が重なり、国内景気は悪化

新型コロナ感染「第5波」の収束により、2年ぶりに帰省の動きが目立った年末年始から一転、新たな変異株(オミクロン株)の感染拡大により、2月初旬には1日当たりの新規感染者数が10万人を超えた。最大36都道府県に「まん延防止等重点措置」が適用され、商業・娯楽施設、飲食店で営業時間短縮・休業の動きが広がった。また、感染・濃厚接触による従業員の欠勤が相次ぎ、一時的に休業せざるを得ない事業者も多く見られた。

2月24日には、ロシア軍がウクライナに侵攻し、欧米日主要各国はロシアに対する経済制裁を発動した。米国はロシア産原油の禁輸を表明し、原油価格は大幅に上昇した。コロナ禍による物流網の混乱や需給ひっ迫などで上昇傾向にあった物価は、高騰に拍車がかかり、米国の消費者物価指数(3月)は約40年ぶりの上昇率となり、ユーロ圏の同指数(3月)は過去最高の上昇率となった。この世界的な物価上昇に対して、主要各国の中央銀行は金融引き締めに動いている。その一方で、日本銀行は金融緩和の姿勢を維持しており、米国との金利差拡大観測から円安が進み、3月下旬には約6年半ぶりの安値水準(1ドル=124.0円)となった。円安に伴う輸入物価の上昇もあり、国内企業物価指数(3月)は前年比9.5%の上昇となっている。

このような状況下で、日本銀行の短観調査(3月)における「大企業・製造業」の業況判断指数は7四半期ぶりに悪化した。また、エコノミストによる日本経済見通し「ESPフォーキャスト調査」(日本経済研究センター)は、22年1〜3月期の日本の実質GDP成長率が前期比年率で▲0.64%となり、2四半期ぶりのマイナス成長に転じると予測している。

ウクライナ情勢に改善の動きは見られず、ウクライナ東部を中心に激しい戦闘が続き、欧米各国はロシアに対する経済制裁を強めている。コロナ禍については世界的に新規感染者数が減少し、各国で行動規制・入国規制が撤廃(または緩和)される方向にある。日本国内でも、各種イベントの人数上限規制が撤廃されるなど、経済活動は正常化に向かっている。ただし、中国では新規感染者数が増加しており、長春・深?・上海で都市封鎖が実施された。この結果、企業活動や物流網に大きな影響が生じている。既に電化製品、住宅設備機器、自動車、半導体等の調達難に直面している国内企業にとって、供給制約のさらなる深刻化が懸念される。

このような情勢の中で、IMF(国際通貨基金)は日本経済に関する年次審査報告を公表し、22年の実質GDP成長率は2.4%になると予測した。21年の成長率(1.6%)を上回る予測となったが、1月の予測からは0.9ポイント下方修正しており、原材料価格の高騰やウクライナ情勢等の不確実性の高まりで、国内需要の回復ペースが鈍化するとしている。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

オミクロン株の感染拡大、仕入価格の急上昇、供給制約が重なり
景況BSIは過去3番目の下げ幅となった
○1〜3月期の景況BSIはオミクロン株の感染拡大等もあり、過去3番目の下げ幅に

1〜3月期の県内景況BSIは全ての産業で下降し、全体では15.9ポイントの大幅下降となった。比較できる2001年以降では、20年4〜6月期(初の緊急事態宣言発出)、20年1〜3月期(国内で初めてのコロナ感染)に次いで3番目の下げ幅となっている。オミクロン株の感染拡大で、2月初旬には県内の1日当たりの新規感染者数は600人に迫った。外出自粛の動きが広がると同時に、感染・濃厚接触による従業員の欠勤で事業活動にも大きな影響が及んだ。また、世界的な物価上昇を背景に、仕入価格は急激に上昇しており、収益性が悪化した事業者も多い。供給網の混乱により原材料・部品の調達難に直面する事業者も少なくない。以上の様々な要因が重なった結果、景況BSIは大幅な下降となった。

○4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇するも、不安材料多く、先行き不透明が強い

4〜6月期(見通し)の県内景況BSIは5.1ポイント上昇する模様。調査期間中、オミクロン株の感染状況にやや落ち着きが見られたこともあり、サービス業、小売業を中心に景況BSIは上昇する見込みとなった。ただし、仕入価格の上昇は継続しており、新型コロナ感染が拡大する中国での都市封鎖で、原材料・部品の調達難がさらに深刻化することが懸念される。県内経済を取り巻く情勢は厳しく、先行き不透明感は強い。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

オミクロン株の感染拡大で、家計の景況感は過去2番目に低い水準に

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業128社、サービス業31社の計159社。

広義の建設業の景況感

「広義の建設業」は3期ぶりに下降

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のこと。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が178社、「広義の建設業を除く全産業」は669社の計847社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 100社   景況BSIの推移【 前回 23.6 → 今回 ▲1.1 → 見通し ▲6.5 】

オミクロン株の感染拡大や仕入価格の上昇もあり
景況BSIは大きく下降

1〜3月期の景況BSIは前回から24.7ポイントの大幅下降となり、1年半ぶりにマイナス水準となった。塗装工事業、鉄鋼・鉄筋工事業、内装工事業等の職別工事業や設備工事業(電気工事業等)で景況感を「悪い」とする事業者が多く見られた。オミクロン株の感染拡大を背景に、民間工事を先延ばしする動きや、従業員の感染・濃厚接触等による工事遅延などが発生し、業況の悪化につながったものと考えられる。また、原油・資源価格の高騰や供給網の混乱などで、鋼材・木材、アスファルト等の価格が高騰しており、収益圧迫要因となっている。

4〜6月期(見通し)の景況BSIは5.4ポイント下降する模様。第1四半期となるこの時期は、例年公共工事の出来高が少ない傾向がある。今回の調査でも、土木工事業を中心に総合工事業で景況BSIが下降する見通しとなっている。原材料価格の上昇懸念は引き続き強く、県内建設業にとって、大きな経営上の問題点となっている。

≪製造業≫

回答事業者数: 202社   景況BSIの推移【 前回 ▲13.5 → 今回 ▲23.2 → 見通し ▲19.8 】

オミクロン株の感染拡大、仕入価格の上昇、供給制約が重なり
景況BSIは1年ぶりに下降(下降幅は約10ポイント)

1〜3月期の景況BSIは1年ぶりに下降した。オミクロン株の感染拡大もあり、食料品製造業や繊維製品製造業、機械・機械部品製造業で売上高の「減少」が目立った。また、仕入価格の上昇が進み、事業者の収益性も悪化している。加えて、各種部品、木材、半導体等の供給制約の影響を受ける事業者も少なくない。

4〜6月期(見通し)の景況BSIは反転上昇。ただし、ウクライナ危機や円安進行を背景に、仕入価格の上昇懸念は強く、中国における都市封鎖の影響など、懸念材料が多い。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 23社
(※梅干等の漬物製造業、調味料・酒類製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲17.4 → 今回 ▲40.0 → 見通し ▲31.0 】
景況BSIは2期連続で下降し、極めて低い水準
仕入価格の上昇が進む一方で、販売価格に転嫁している事業者はごくわずか


1〜3月期の景況BSIは2期連続で下降し、極めて低い水準となっている。梅干等の野菜漬物製造業を中心に景況感を「悪い」とする事業者が4割強を占めた。売上高に関しては約6割、収益に関しては7割強の事業者が「減少」と回答しており、業況は極めて厳しい。仕入価格の上昇が続く一方で、販売価格に転嫁できている事業者はごくわずかで、収益性が悪化している。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇するが、その水準は極めて低い。ただし、オミクロン株の感染状況がやや落ち着きつつある中で、5月の大型連休期間中は前年に比べて県内観光客の増加が予想される。土産物等の贈答需要が増加し、梅干や酒類の販売増加に寄与するものと考えられる。
繊維製品 回答事業者数: 28社
(※和歌山市のニット生地メーカー、橋本市のパイル織物メーカー)
景況BSIの推移【 前回 ▲38.5 → 今回 ▲53.1 → 見通し ▲18.8 】
景況BSIは2期連続で下降し、極めて低い水準
一部の事業者で価格転嫁が進む


1〜3月期の景況BSIは2期連続で下降し、極めて低い水準にある。綱・手袋・じゅうたん等の繊維製品やニット生地を製造する事業者を中心に景況感を「悪い」とする事業者が約6割を占めた。売上高・収益についても「減少」とする事業者が約6割を占めるなど、業況は極めて厳しい。仕入価格の上昇が続く中で、4割弱の事業者が販売価格を引き上げており、一部で価格転嫁の動きが見られる。
4〜6月期(見通し)については、景況感を「悪い」とする事業者が減少することもあり、景況BSIは上昇する模様。仕入価格の上昇に対する販売価格への転嫁について、約4割の事業者が実施を予定している。
木材・木工製品 回答事業者数: 10社(※建具製造、製材業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲20.0 → 今回 5.3 → 見通し ▲15.8 】
景況BSIは2期連続で上昇するも
木材の調達難や木材価格の高騰が懸念材料


1〜3月期の景況BSIは2期連続で上昇し、3期ぶりにプラス水準となった。製材業において複数の事業者が景況感を「良い」と回答した。仕入価格の上昇については大きな経営上の問題点となっているが、5割弱の事業者が販売価格を引き上げるなど、価格転嫁の動きも見られた。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは、反転下降。昨年以降、世界的に材木需要が高まり、需給ひっ迫から木材価格が高騰している。ウクライナ危機後、ロシアへの経済制裁からロシア産木材の禁輸・高関税適用の動きもあり、価格のさらなる高騰も危惧される。多くの県内事業者が木材調達難に直面しており、今後の事業運営への影響が懸念される。
化学製品 回答事業者数: 17社
景況BSIの推移【 前回 20.0 → 今回 ▲4.8 → 見通し ▲10.0 】
景況BSIは大きく下降するも、水準は他業種に比べて高い
仕入価格の上昇に伴う収益性の悪化が懸念材料


1〜3月期の景況BSIは大きく下降した。景況感を「良い」とする事業者が前回に比べて大幅に減少した。仕入価格の上昇により、収益性が悪化している事業者が多く、このことが、景況BSIの下降につながったものと考えられる。ただし、景況感を「悪い」とする事業者は少なく、景況BSIの水準は0近傍と、他業種に比べて高い水準にある。
4〜6月期(見通し)の景況BSIについては下降する模様。ウクライナ危機を背景に、原油価格の高騰が続いており、仕入価格のさらなる上昇が予想される。この中で、販売価格への転嫁を予定する事業者は少なく、引き続き収益性の悪化が懸念される。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 16社
景況BSIの推移【 前回 ▲18.8 → 今回 8.0 → 見通し 8.0 】
景況BSIはプラス水準まで上昇
「原材料価格の高騰」を経営上の問題点とする事業者が約7割


1〜3月期の景況BSIは大きく上昇した。建設用金属製品や産業用機械部品に関する金属加工業で、景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。ただし、原材料価格の高騰が経営上の問題点となっている事業者は多く、収益が「減少」しているとの回答が約6割を占める。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは、横ばいで推移する模様。他業種では、部品等の調達難が課題となっているが、当業種では供給制約の影響を受ける事業者は比較的少ない。
機械・機械部品 回答事業者数: 22社
景況BSIの推移【 前回 ▲4.8 → 今回 ▲15.2 → 見通し ▲27.3 】
景況BSIは見通しを含めて下降し、業況に厳しさが見られる

1〜3月期の景況BSIは10ポイント程度下降した。約半数の事業者が売上高・収益が「減少」していると回答しており、経営上の問題点を「売上不振」とする事業者も34.8%を占める。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは、さらに下降する模様。国内の設備投資については持ち直し基調にあり、生産用機械等の販売増が期待される一方で、半導体不足や中国国内の都市封鎖に関連して、部品等の供給制約が深刻化している業種(自動車工業等)もあり、その影響が懸念される。また、仕入価格の上昇についても、業況下押し要因となっている。
その他の製造業 回答事業者数: 25社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲4.5 → 今回 ▲36.8 → 見通し ▲30.8 】
景況BSIは30ポイント超の大幅下降
経営上の問題点として「売上不振」を挙げる事業者が増加


1〜3月期の景況BSIは30ポイント超の大幅下降となった。プラスチック製品製造業、家庭用日用雑貨製品製造業などで景況感を「悪い」とする事業者が多く、経営上の問題点として「売上不振」との回答が目立つ。その他の業種と同様に仕入価格の上昇が進む一方で、販売価格に転嫁する事業者が約3割を占めた。
4〜6月期(見通し)については、景況BSIは上昇に転じるも、その水準は極めて低く、厳しい業況にある。

≪商業≫

回答事業者数: 258社   景況BSIの推移【 前回 ▲20.9 → 今回 ▲36.6 → 見通し ▲31.2 】

オミクロン株の感染拡大、仕入価格の上昇で
景況BSIは大きく下降

1〜3月期の景況BSIは15.7ポイントの大幅下降となった。オミクロン株の感染拡大に伴う売上高の減少に加えて、仕入価格の急激な上昇が業況悪化につながった。建築材料卸売業など一部の事業者では、販売価格への転嫁を進める動きも見られるが、飲食料品卸売業、機械器具卸売業、小売業では転嫁の動きは一部に限られる。売上高・収益ともに減少し、資金繰りが悪化している事業者も3割強を占める。

4〜6月期(見通し)の景況BSIは、オミクロン株の感染状況にやや落ち着きが見られることもあり、小売業で上昇するものの、卸売業に関しては、ほぼ横ばいでの推移となる模様。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 130社
景況BSIの推移【 前回 ▲6.7 → 今回 ▲26.6 → 見通し ▲26.4 】
景況BSIは大幅下降
飲食料品卸売業、機械器具卸売業の業況に厳しさが見られる


1〜3月期の景況BSIは大幅下降に転じた。飲食料品卸売業ならびに機械器具卸売業を中心に景況感を「悪い」とする事業者が約4割を占めた。全ての業種においても、仕入価格の上昇傾向が強まっているが、販売価格への転嫁状況には差が見られる。建築材料卸売業では価格転嫁を進める事業者が多い一方で、飲食料品卸売業、機械器具卸売業では転嫁を行った事業者は一部に限られる。これらの業種では、売上高等の業績状況にも厳しさが見られ、資金繰りが「悪化」しているとの回答も比較的多い。
4〜6月期(見通し)の景況BSIはほぼ横ばいで推移する。例年、第1四半期となるこの時期は公共工事の出来高が少ないこともあり、建築材料卸売業の景況BSIは下降する見通しとなっている。その他の業種については、景況BSIは上昇する。
小売業 回答事業者数: 128社
景況BSIの推移【 前回 ▲33.7 → 今回 ▲46.8 → 見通し ▲36.1 】
オミクロン株の感染拡大、仕入価格の上昇で
景況BSIは大幅に下降し、極めて低い水準にある


1〜3月期の景況BSIは13.1ポイントの大幅下降となり、極めて低い水準にある。オミクロン株の感染拡大により、和歌山県は1月中旬に不要不急の外出自粛を要請した。人出は大きく減少し、衣料品、飲食料品、生活・文化用品、自動車、燃料などを取り扱う事業者で景況感が悪化した。また、仕入価格の上昇も業況を下押ししている。6割強の事業者が仕入価格が「上昇」していると回答する一方で、販売価格が「上昇」したとの回答は燃料小売業などごく一部にとどまる。
4〜6月期(見通し)の景況BSIはオミクロン株の感染状況がやや落ち着きつつあることから、上昇する模様。

≪サービス業≫

回答事業者数: 287社   景況BSIの推移【 前回 ▲13.6 → 今回 ▲29.1 → 見通し ▲19.8 】

オミクロン株の感染拡大、燃料価格の高騰で
景況BSIは幅広い業種で大きく下降

1〜3月期の景況BSIは15.5ポイントの大幅下降となり、緊急事態宣言が東京都・大阪府等に発出されていた前年同時期とほぼ同じ水準となっている。大幅下降の要因としては、オミクロン株の感染拡大が大きい。県内でも「まん延防止等重点措置」が初適用されたこともあり、外出自粛の動きが広がった。旅館・ホテル業、飲食業に限らず、幅広い業種で感染拡大の影響が見られた。また、運輸業や生活関連サービス業(クリーニング業等)では、燃料価格の高騰が業況の下押し要因となっている。

4〜6月期(見通し)の景況BSIは、オミクロン株の感染状況がやや落ち着きつつあることから、上昇する模様。ただし、急激な物価上昇に伴う国内景気の悪化や新たな変異株の発生懸念など、先行き不安材料は多く、今後の動向に注意を要する。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 33社(※物品賃貸業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲6.3 → 今回 ▲3.0 → 見通し ▲3.2 】
景況BSIは上昇し、比較的高い水準で推移

1〜3月期の景況BSIは3.3ポイント上昇。景況BSIの水準は他業種に比べて高く、不動産取引業を中心に業況は底堅い。経営上の問題点として「設備老朽化」を挙げる事業者が3割弱を占めている。
4〜6月期(見通し)の景況BSIはほぼ横ばいで推移する模様。
運輸業 回答事業者数: 48社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲38.2 → 今回 ▲39.6 → 見通し ▲40.4 】
燃料価格の高騰もあり
景況BSIは極めて低い水準で推移


1〜3月期の景況BSIはやや下降し、極めて低い水準で推移している。景況感を「良い」とする事業者はほぼなく、「悪い」が4割弱を占める。燃料価格の高騰で、収益状況が悪化しており、約7割の事業者で、収益が「減少」している。資金繰りが「悪化」している事業者も3割程度見られた。また、新型コロナ感染・濃厚接触により、従業員が欠勤する事例が発生したことで、残業時間が増加したり、受注を見送る事業者も複数見られた。
4〜6月期(見通し)の景況BSIはほほ横ばいで推移し、業況は引き続き極めて厳しい。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 33社
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲80.0 → 見通し ▲41.4 】
年末年始の持ち直し状況から一転
オミクロン株の感染拡大で景況BSIは大幅下降


景況BSIは80ポイントの大幅下降。紀南地域の事業者を中心に、景況感を「悪い」とする事業者が大半を占めた。1月上旬までは、コロナ禍の感染状況に落ち着きが見られていたこともあり、宿泊者数は前年比で増加していたが、オミクロン株の感染が拡大すると、県民向けの観光需要喚起策「リフレッシュプラン」の実施が見送られるなど、状況が一転した。2月には初めて「まん延防止等重点措置」が県内に適用され、業況はさらに冷え込んだ。資金繰りが「悪化」している事業者は約6割を占める。
4〜6月期(見通し)については、感染状況がやや改善していることもあり、景況BSIは上昇を見込む。JTBは大型連休期間中(4/25〜5/5)の国内旅行客数を1600万人(前年比7割増)と推定している。コロナ禍前の水準に比べると3割程度少ないが、4〜6月期の業況は改善が見込まれる。
飲食業 回答事業者数: 15社
景況BSIの推移【 前回 ▲60.0 → 今回 ▲100.0 → 見通し ▲46.2 】
オミクロン株の感染拡大で
全ての事業者が景況感を「悪い」と回答


1〜3月期は全ての事業者が景況感を「悪い」と回答した。1月中旬以降のオミクロン株の感染拡大を受けて、2月上旬から1か月の間、県内に「まん延防止等重点措置」が適用された(飲食店には営業時間の短縮が要請)。内閣官房が提供している「V-RESAS」(コロナ禍の地域経済に関するデータ提供サイト)によると、県内飲食店情報の閲覧数(グルメサイトRetty提供)は、2月第3週に62%減(2019年同週比)まで落ち込んでおり、業況は極めて厳しい。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇する模様。オミクロン株の感染状況がやや改善していることに加えて、和歌山県による飲食需要喚起策「わかやま飲食店応援キャンペーン」(キャッシュレス決済によるポイント還元)が6月から実施予定となっており、業況改善が期待される。ただし、4月第1週時点における県内飲食店情報の閲覧数は19年同週比で48%減と低調であり、厳しい業況が続くことも予想される。
医療・福祉 回答事業者数: 32社
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲12.5 → 見通し ▲3.3 】
オミクロン株の感染拡大で
景況BSIは12.5ポイント下降


1〜3月期の景況BSIは12.5ポイント下降した。高齢者福祉事業を展開する事業者で景況感を「悪い」とする事業者が多く見られた。これらの事業者では、売上高が「減少」している事業者も多く、オミクロン株の感染拡大により、高齢者のサービス利用減などが影響しているものと考えられる。また、濃厚接触等により従業員の欠勤が発生した事業者も多く、業務効率の低下や残業時間の増加など、事業運営への影響が見られた。
4〜6月期(見通し)については、オミクロン株の感染状況がやや落ち着きつつあることから、景況BSIは上昇する模様。
生活関連サービス業 回答事業者数: 13社(※葬祭業、クリーニング業、理美容業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲23.1 → 今回 ▲69.2 → 見通し ▲38.5 】
オミクロン株の感染拡大もあり
景況感を「悪い」とする事業者が約7割を占めた


1〜3月期において、景況感を「悪い」とする事業者は約7割を占めている。クリーニング業、写真業で景況感を「悪い」とする回答が目立った。オミクロン株の感染拡大に伴う人出減少で、各種サービス利用客が減少したものと考えられる。また、クリーニング業では溶剤やボイラー燃料の価格高騰で「原材料価格の高騰」が経営上の問題点となっている。
4〜6月期(見通し)については、一部で景況感が改善し、景況BSIは上昇する模様。
教養・娯楽サービス業 回答事業者数: 18社(※スポーツ関連サービス、旅行代理店業など)
景況BSIの推移【 前回 ▲7.7 → 今回 ▲33.3→ 見通し ▲11.1 】
オミクロン株の感染拡大もあり
景況BSIは大幅下降


1〜3月期の景況BSIは大幅下降となった。マリンスポーツ業、ゴルフ場運営業などで景況感を「悪い」とする事業者が複数見られた。コロナ禍においても業況好調だったゴルフ場だが、1月中旬以降のオミクロン株の感染急拡大により、利用者数は減少したものと考えられる。また、業況堅調な事業者を中心に人手不足感が強まっており、経営上の課題となっている。
4〜6月期(見通し)の景況BSIは反転上昇。オミクロン株の感染状況がやや落ち着きつつあることから、景況BSIは上昇する模様。
その他のサービス業 回答事業者数: 95社
(※建物サービス、情報通信業、人材派遣業、建設サービス等)
景況BSIの推移【 前回 ▲3.3 → 今回 ▲5.3 → 見通し ▲8.7 】
景況BSIは下降するも
景況感を「悪い」とする事業者は減少傾向


1〜3月期の景況BSIは2.0ポイント下降。景況BSIの水準は他業種に比べて高く、業況は底堅い。経営上の問題点としては、建設サービス業(測量設計等)を中心に、「人材不足」を挙げる事業者が多い。
4〜6月期(見通し)については、3.4ポイント下降する模様。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 100社 50.0% 46社 19社 11社 24社
製 造 業 400社 202社 50.5% 70社 73社 36社 23社
商   業 600社 258社 43.0% 110社 42社 51社 55社
サービス業 800社 287社 35.9% 130社 59社 28社 70社
全 産 業 2000社 847社 42.4% 356社 193社 126社 172社

オミクロン株の感染拡大もあり
全ての地域で景況BSIが大きく下降
和歌山市 景況BSIは13.1ポイント下降
1〜3月期の景況BSIは13.1ポイントの大幅下降となった。全ての産業で景況BSIは下降したが、特に建設業、小売業での下降幅が大きい。4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇する模様。
紀北地域 景況BSIは16.1ポイント下降
1〜3月期の景況BSIは16.1ポイントの大幅下降となった。全ての産業で景況BSIは下降したが、特に卸売業での下降幅が大きい。また、小売業の景況BSIは▲52.2と極めて低い水準にある。4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇するものの、建設業の景況BSIが大きく下降することもあり、全体での上昇幅は小幅になった。
紀中地域 景況BSIは25.1ポイント下降
1〜3月期の景況BSIは25.1ポイントの大幅下降となった。2期連続で大きく上昇していた景況BSIだが、今回の調査では小売業を除く全ての産業で大幅下降となった。他地域と比べた場合、景況BSIの水準は紀南地域に次いで2番目に低い。4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇する。
紀南地域 景況BSIは16.2ポイント下降
1〜3月期の景況BSIは16.2ポイントの大幅下降となった。他地域と比べて、景況BSIは最も低く、特にサービス業の景況BSIは▲45.6となっている。4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇する。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

短観DIは7期ぶりに下降(下降幅は2ポイント)
県内景況BSIは16ポイント下降
●全産業 〜短観DIの下降幅は2ポイント。県内景況BSIは16ポイント下降〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は、7期ぶりに下降となった。オミクロン株の感染拡大や仕入価格の急上昇もあり、製造業・非製造業ともに下降した。県内景況BSIも下降したが、その下降幅は16ポイントと大きい。2月にはまん延防止等重点措置が適用されるなど、小売業・対個人向けサービス業(飲食業、旅館・ホテル業)を中心に景況BSIが大きく下降した。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜短観DIは4ポイント、県内景況BSIは9ポイント下降〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は4ポイント下降。県内景況BSIについても、9ポイント下降した。オミクロン株の感染拡大、仕入価格の急上昇、原材料・部品等の供給制約などさまざまな問題が業況の下押し要因となった。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜短観DIは2ポイント、県内景況BSIは18ポイント下降〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は2ポイント下降。県内景況BSIについては、18ポイントの大幅下降となった。建設業、商業、サービス業の景況BSIがそろって下降した。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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