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景気動向調査 No.126  特集

「温暖化ガス排出削減(脱炭素)に向けた取り組み」について
「ウィズコロナ(コロナとの共存)に関する取り組み」について

調査項目

【「温暖化ガス排出削減(脱炭素)に向けた取り組み」について】
  1.国際社会における脱炭素の動きが経営に与える影響
  2.脱炭素に関する取り組み状況
  3.脱炭素に関する具体的な取組内容
  4.脱炭素に取り組もうと考えた理由
  5.脱炭素に取り組んでいない理由
  6.二酸化炭素(CO2)排出量の把握状況
  7.二酸化炭素(CO2)排出量を把握していない理由

【「ウィズコロナ(コロナとの共存)に関する取り組み」について】
  8.コロナ感染・濃厚接触等による従業員の欠勤
  9.従業員の欠勤による事業運営への影響
  10.従業員の欠勤による事業運営への影響の詳細
  11.感染者・濃厚接触者が出た場合の備え

調査結果

【「温暖化ガス排出削減(脱炭素)に向けた取り組み」について】
脱炭素に関する取り組みを行っている事業者は26.7%
二酸化炭素(CO2)排出量を把握している事業者は7.7%

○ 国際社会における脱炭素の動きは、経営に「悪影響」と考える事業者が18.6%。「好影響」は3.6%で、「どちらでもない」が53.2%を占める

○ 脱炭素に関する具体的な取組内容では、「日常の省エネ習慣」、「省エネ機器・設備導入」が多い

○ 脱炭素に取り組もうと考えた理由では、「社会貢献・地域貢献」、「コスト削減」が約半数。「販売先・顧客からの要請」は5.9%

【「ウィズコロナ(コロナとの共存)に関する取り組み」について】
新型コロナ感染・濃厚接触による従業員の欠勤について「欠勤あり」が44.9%
欠勤者発生時の業務継続手順を策定している事業者は9.5%

○ 従業員の欠勤があった事業者のうち、事業運営に「支障あり」だった事業者は59.0%

○ 事業運営における「支障」の内容では、「シフト調整・人材確保の手間増」が最多

1.国際社会における脱炭素の動きが経営に与える影響

「悪影響」は18.6%(商業で25.1%とやや多い)
「好影響」は3.6%で、「どちらでもない」が過半数

国際社会において温暖化ガス排出削減(脱炭素)に向けた動きが活発化することで、経営にどのような影響が生じるか質問したところ、「悪影響」が18.6%となり、「好影響」の3.6%を上回った。ただし、「どちらでもない」が53.2%と過半数を占めており、「わからない」が24.5%となっている。

○「悪影響」は商業でやや多く、建設業で少ない

産業別に見た場合、「悪影響」は商業で25.1%とやや多く、建設業で9.6%と少ない。また、業種別に見ると、運輸業(48.9%)、その他の小売業*(47.2%)、鉄鋼・金属製品製造業(42.9%)、建築材料卸売業(26.7%)、飲食料品小売業(25.9%)で「悪影響」とする回答が多い。

(*)「その他の小売業」は主に燃料小売業。

■図表1 国際社会における脱炭素の動きが経営に与える影響
国際社会における脱炭素の動きが経営に与える影響

2.脱炭素に関する取り組み状況

「行っている」は26.7%、「今後、行う予定」は10.5%
この二つを合わせると37.2%を占める

脱炭素に関する取り組み状況を質問したところ、「行っている」が26.7%となり、「今後、行う予定」は10.5%だった。「行っている」と「今後、行う予定」を合わせると37.2%となり4割弱を占める。ただし、最多回答は「行っていない」で62.8%だった。

○「行っている」はサービス業でやや多く、商業で少ない

産業別に見た場合、「行っている」との回答はサービス業で32.5%とやや多く、商業では19.2%と比較的少ない。また、業種別に見ると、運輸業(48.9%)、化学製品製造業(42.1%)、鉄鋼・金属製品製造業(36.4%)、木材・木工製品製造業(35.3%)、医療・福祉(34.5%)、旅館・ホテル業(33.3%)、飲食業(33.3%)で「行っている」とする回答が多い。

■図表2 脱炭素に関する取り組み状況
脱炭素に関する取り組み状況

○従業員規模100人以上では「行っている」が51.6%

図表は掲載していないが、従業員規模別に見た場合、「行っている」とする回答は「4人以下」では16.8%だが、「20〜29人」では34.3%、「30〜49人」では38.4%、「50〜99人」では40.7%、「100人以上」では51.6%となっている。

3.脱炭素に関する具体的な取組内容【複数回答可】

「日常の省エネ習慣」、「省エネ機器・設備の導入」が約6割
「再生可能エネルギーの創出」は約2割

質問2において、脱炭素に関する取り組みを「行っている」、「今後、行う予定」と回答した事業者に具体的な取組内容を質問したところ、「日常の省エネ習慣づけ」が63.0%で最も多く、「省エネ性能の高い機器、設備の導入」が57.9%で2番目に多かった。その他の回答としては、「業務・作業の効率化」(43.2%)、「ガソリン車をハイブリッド車、電気自動車へ変更」(29.1%)、「再生可能エネルギーの創出」(20.5%)などが見られた。

○「省エネ習慣」、「省エネ機器・設備導入」は旅館・ホテル業、飲食業で特に多い

最多の回答だった「日常の省エネ習慣づけ」は、旅館・ホテル業(86.7%)や医療・福祉(81.8%)などを中心にサービス業で回答が多く見られた。「省エネ機器・設備の導入」は、飲食業(87.5%)、飲食料品小売業(87.5%)、旅館・ホテル業(86.7%)で回答が多く、「ガソリン車をハイブリッド車、電気自動車へ変更」は、不動産業(54.5%)、建築材料卸売業(50.0%)、建設業(40.7%)で多く見られた。

■図表3 脱炭素に関する具体的な取組内容【複数回答可】
※質問2で「行っている」、「今後、行う予定」と回答した事業者に質問
脱炭素に関する具体的な取組内容

4.脱炭素に取り組もうと考えた理由【複数回答可】

「社会貢献・地域貢献」、「コスト削減」が多い(それぞれ約6割)
「イメージ向上」、「消費者の環境意識の高まり」が次に多い

質問2において、脱炭素に関する取り組みを「行っている」、「今後、行う予定」と回答した事業者に、取り組もうと考えた理由を質問したところ、「社会貢献・地域貢献」(56.3%)、「コスト削減」(55.2%)とする回答が多く見られた。また、社会全体での環境意識の高まりもあり、「イメージ向上」(28.9%)、「消費者の環境意識の高まり」(25.9%)とする回答も多い。「販売先・顧客からの要請」とする回答は5.9%にとどまった。

○「販売先・顧客からの要請」は製造業で12.9%とやや多い

「社会貢献・地域貢献」は、建設業(70.4%)や機械器具卸売業(83.3%)などで回答が多く、「コスト削減」は旅館・ホテル業(91.7%)、飲食業(83.3%)で回答が多い。また、「規制強化への対応」は、化学製品製造業(37.5%)、運輸業(35.7%)で回答が多く、「販売先・顧客からの要請」は、鉄鋼・金属製品製造業(20.0%)、繊維製品製造業(18.2%)で回答が多く見られた。

■図表4 脱炭素に取り組もうと考えた理由【複数回答可】
※質問2で「行っている」、「今後、行う予定」と回答した事業者に質問
脱炭素に取り組もうと考えた理由

5.脱炭素に取り組んでいない理由【複数回答可】

「手段・方法がわからない」、「必要性を感じない」が多い(それぞれ約4割)
「必要性を感じない」は従業員規模の小さい事業者で多い

質問2において、脱炭素に関する取り組みを「行っていない」と回答した事業者に、取り組んでいない理由を質問したところ、「手法・方法がわからない」(40.5%)、「必要性を感じない」(38.9%)とする回答が多く見られた。また、「取り組むための資金が不足」(20.0%)、「国の規制・ルールが定まっていない」(19.8%)との回答も多い。

○「必要性を感じない」とする回答は繊維製品製造業で多い

「手段・方法がわからない」とする回答は、旅館・ホテル業(66.7%)、生活関連サービス業(66.7%)、建築材料卸売業(65.0%)などで多く、「必要性を感じない」とする回答は、繊維製品製造業(65.0%)、衣料品小売業(64.3%)、機械器具卸売業(60.0%)、木材・木工製品製造業(55.6%)などで多い。

■図表5 脱炭素に取り組んでいない理由【複数回答可】
※質問2で「行っていない」と回答した事業者に質問
脱炭素に取り組んでいない理由

○「必要性を感じない」とする回答は従業員規模の小さい事業者で多い

図表は掲載していないが、従業員規模別に見た場合、「必要性を感じない」とする回答は、「4人以下」では47.6%と約半数を占める一方で、「30〜49人」では31.8%、「50〜99人」では21.7%、「100人以上」では21.7%となっている。また、「30〜49人」、「50〜99人」においては、「国の規制・ルールが定まっていない」、「取り組むための人材が不足」とする回答が他の規模に比べて多い。

6.二酸化炭素(CO2)排出量の把握状況

「把握している」は7.7%
従業員100人以上の事業者では26.6%と多い

自社の二酸化炭素(CO2)排出量の把握状況を質問したところ、「把握している」とする回答は7.7%にとどまった。

○「把握している」は化学製品製造業、鉄鋼・金属製品製造業で2割強

産業別に見ても「把握している」とする回答は製造業で10%をわずかに上回った程度となっており、大きな違いは見られない。業種別では、化学製品製造業(28.6%)、鉄鋼・金属製品製造業(21.7%)、旅館・ホテル業(16.1%)、総合工事業(13.0%)で「把握している」との回答が比較的多く見られた。

■図表6 二酸化炭素(CO2)排出量の把握状況
二酸化炭素(CO2)排出量の把握状況

○「把握している」との回答は、従業員100人以上の事業者で26.6%を占めた

図表は掲載していないが、従業員規模別に見た場合、「把握している」とする回答は、「100人以上」で26.6%と多く見られたが、その他の従業員規模では、いずれも1割を下回った。

7.二酸化炭素(CO2)排出量を把握していない理由【複数回答可】

「計算方法がわからない」が6割弱で最も多い
「把握する必要性を感じない」が4割弱

質問6で二酸化炭素(CO2)排出量を「把握していない」と回答した事業者に、把握していない理由を質問したところ、「計算方法がわからない」との回答が58.3%と最も多く、次いで「把握する必要性を感じない」が36.0%となっている。
産業別に見た場合でも、回答状況に大きな差は見られない。また、図表は掲載していないが、従業員規模別に見た場合も、回答状況に大きな違いは見られなかった。

■図表7 二酸化炭素(CO2)排出量を把握していない理由【複数回答可】
※質問6で「把握していない」と回答した事業者に質問
二酸化炭素(CO2)排出量を把握していない理由

8.コロナ感染・濃厚接触等による従業員の欠勤

「欠勤あり」が44.9%
従業員50人以上の事業者のほぼ全てが「欠勤あり」と回答

1月以降の新型コロナ変異株(オミクロン株)の感染が拡大する中で、感染や感染者との濃厚接触、感染疑い、家族の発熱等で従業員が欠勤したかどうかを質問したところ、「欠勤あり」とする回答が44.9%を占めた。

○従業員50人以上の事業者のほぼ全てが 「欠勤あり」と回答

従業員規模別に見た場合、「欠勤あり」とする回答は「30〜49人」で71.3%、「50〜99人」で96.2%、「100人以上」で93.8%を占めた。

■図表8 コロナ感染・濃厚接触等による従業員の欠勤
コロナ感染・濃厚接触等による従業員の欠勤

9.従業員の欠勤による事業運営への影響

従業員の欠勤で事業運営に「支障あり」は59.0%
従業員5〜9人、10〜19人の事業者でやや多い

質問8で感染・濃厚接触等により従業員の「欠勤あり」と回答した事業者に、事業運営への影響を質問したところ、「支障あり」との回答が59.0%を占めた。

○従業員規模の小さい事業者において「支障あり」とする回答がやや多い傾向にある

従業員規模別に見た場合、「支障あり」とする回答は「5〜9人」で66.7%と最も多く、「10〜19人」(62.1%)で2番目に多くなっている。「50〜99人」において、「支障あり」とする回答が60.8%と3番目に多いものの、従業員規模の小さい事業者ほど「支障あり」とする回答がやや多い傾向にある。

■図表9 従業員の欠勤による事業運営への影響
※質問8で「欠勤あり」と回答した事業者に質問
従業員の欠勤による事業運営への影響

10.従業員の欠勤による事業運営への影響の詳細【複数回答可】

「シフト調整・人材確保の手間増」が7割強と多い
「業務効率・質の低下」が4割で2番目に多い

質問9で従業員の欠勤により事業運営に「支障あり」と回答した事業者に、支障の詳細を質問したところ、「シフト調整・人材確保の手間増」との回答が72.6%で最も多かった。「業務効率・質の低下」が40.1%で次に多く、「残業時間の増加」(26.9%)、「工期・納期の遅れ」(19.3%)、「機会損失」(13.2%)、「休業」(10.8%)が後に続く。

○「10〜19人」、「20〜29人」で「工期・納期の遅れ」がやや多い

従業員規模別に見た場合、「シフト調整・人材確保の手間増」が「4人以下」、「50〜99人」、「100人以上」において9割強を占める一方で、「5〜9人」、「10〜19人」、「20〜29人」ではやや少なく、6割弱となっている。ただし、「5〜9人」は「業務効率・質の低下」が、「10〜19人」、「20〜29人」は「工期・納期の遅れ」とする回答が比較的多く、業績悪化が懸念される事業者がやや目立つ。
「50〜99人」、「100人以上」などの従業員規模の大きい階層では、「残業時間の増加」が比較的多くなっており、従業員の欠勤を残された人材で調整している事業者が多いことがわかる。

■図表10 従業員の欠勤による事業運営への影響の詳細【複数回答可】
※質問9で「支障あり」と回答した事業者に質問
従業員の欠勤による事業運営への影響の詳細

11.感染者・濃厚接触者が出た場合の備え【複数回答可】

感染者・濃厚接触者が出た場合の手順を策定している事業者は半数に満たず
「欠員を補充できる人材の育成・確保」は10.7%にとどまる

今後、社内で感染者・濃厚接触者が出た場合への準備状況について質問したところ、「体調不良者発生時の手順策定」が40.6%で最も多く、「濃厚接触者発生時の手順策定」(36.6%)、「感染者発生時の手順策定」(31.7%)、「社内検査体制の整備」(24.4%)などの回答が後に続く。

○「体調不良発生時の手順策定」等は従業員規模の大きい事業者で実施割合が高い

従業員規模別に見た場合、「体調不良発生時の手順策定」、「濃厚接触者発生時の手順策定」、「感染者発生時の策定」、「社内検査体制の整備」などでは、従業員規模の大きい事業者で実施割合が総じて高い。ただし、「欠員を補充できる人材の育成・確保」、「業務継続の手順策定」に関しては、いずれの規模においても実施割合は低い。

■図表11 感染者・濃厚接触者が出た場合の備え【複数回答可】
感染者・濃厚接触者が出た場合の備え

おわりに

○1〜3月期の景況BSIはオミクロン株の感染拡大等もあり、過去3番目の下げ幅に

1〜3月期の県内景況BSIは全ての産業で下降し、全体では15.9ポイントの大幅下降となった。比較できる2001年以降では、20年4〜6月期(初の緊急事態宣言発出)、20年1〜3月期(国内で初めてのコロナ感染)に次いで3番目の下げ幅となっている。オミクロン株の感染拡大で、2月初旬に県内の1日当たりの新規感染者数は600人に迫った。外出自粛の動きが広がると同時に、感染・濃厚接触による従業員の欠勤で事業活動にも大きな影響が及んだ。また、世界的な物価上昇を背景に、仕入価格は急激に上昇しており、収益性が悪化した事業者も多い。供給網の混乱により原材料・部品の調達難に直面する事業者も少なくない。以上の様々な要因が重なった結果、景況BSIは大幅な下降となった。

○4〜6月期(見通し)の景況BSIは上昇するも、不安材料多く、先行き不透明感が強い

4〜6月期(見通し)の県内景況BSIは5.1ポイント上昇する模様。調査期間中、オミクロン株の感染状況にやや落ち着きが見られたこともあり、サービス業、小売業を中心に景況BSIは上昇する見込みとなった。ただし、仕入価格の上昇は継続しており、新型コロナ感染が拡大する中国での都市封鎖で、原材料・部品の調達難がさらに深刻化することが懸念される。県内経済を取り巻く情勢は厳しく、先行き不透明感は強い。

○県内の「脱炭素」の動き 〜 より多くの事業者の取り組みが求められている 〜

今回の調査では、県内事業者の「脱炭素」の取り組み状況について質問を行った。21年10月〜11月にかけて開催された国連の第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、世界全体のCO2排出量を今世紀半ば頃には実質ゼロにする目標が掲げられた。日本は2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス実質排出ゼロ)を宣言しており、グローバル企業、大企業、金融機関等で脱炭素に向けた取り組みが進められている。

今回の調査結果によると、県内事業者において「脱炭素」に向けた取り組みを行っている割合は26.7%だった。社会貢献・コスト削減を理由に「脱炭素」に取り組む事業者が一定数見られる一方で、従業員規模の小さい事業者を中心に「脱炭素に取り組む必要性はない」と考える事業者が約3割を占めている。ただし、2050年までの「脱炭素」実現のためには、大企業の取り組みだけでは不十分であり、製品・サービスの供給網全体で「脱炭素」を達成する必要がある。既に国内大手不動産企業が、建設資材に関するCO2排出量を供給網全体で正確に把握するよう建設企業に要請しており、同様の動きは他業種においても拡大していくことが予想される。

環境省『中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック』に記載している通り、脱炭素の取り組みにはメリットが多く、1.自社の競争力(優位性)が増し、2.光熱費・燃料費の低減につながり、3.知名度・認知度の向上、4.社員のモチベーションや人材獲得力の強化が期待できる。まずは、身近な「省エネ対策」などからスタートし、再生可能エネルギーの活用検討など、取り組みを徐々に拡充させていくことが望まれる。

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