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景気動向調査 No.127  特集

「直近決算期(2021年度)の業績」について
「足下(4〜6月期)の業績状況」について
「円安の影響、価格転嫁、賃上げ」について
「今年度(2022年度)の業績見通し」について

調査項目

【「直近決算期(2021年度)の業績」について】
  1.2021年度の売上高の増減
  2.2021年度の営業利益の増減

【「足下(4〜6月期)の業績状況」について】
  3.足下の売上状況に悪影響を及ぼしている事象
  4.足下の収益状況

【「円安の影響、価格転嫁、賃上げ」について】
  5.円安の影響(メリット・デメリット)
  6.販売価格への転嫁状況
  7.賃上げ状況

【「今年度(2022年度)の業績見通し」について】
  8.2022年度の売上高(見通し)
  9.2022年度の営業利益(見通し)
  10.2022年度の収益状況(見通し)

調査結果

【「直近決算期(2021年度)の業績」について】
前年比で売上高「減少」の事業者が43.8%
前年比で営業利益「減少」の事業者が44.9%
【「足下(4〜6月期)の業績状況」について】
足下の売上状況に悪影響を及ぼしている事象としては
「コロナ禍」が最多。「原材料・商品等の調達難」が後に続く
【「円安の影響、価格転嫁、賃上げ」について】
41.5%の事業者が円安について「デメリットが大きい」と回答
価格転嫁の状況については、「十分に転嫁できていない」事業者が過半数
【「今年度(2022年度)の業績見通し」について】
2022年度の売上高・営業利益について、「増加」するとの回答が大きく減る
22年度通期での収益状況では、「黒字」が32.3%、「赤字」が19.7%

1.2021年度の売上高の増減(前年比)

「減少」が43.8%を占め、「増加」(36.4%)を上回った
商業では「減少」が過半数を占める

2021年度の売上高の増減(前年比)について質問したところ、「1〜3割の減」とする回答が24.0%で最も多く、「1割未満の減」(13.1%)、「3割以上の減」(6.7%)を含めた「減少」との回答は43.8%となった。「1割以上の増」(22.6%)、「1割未満の増」を合わせた「増加」との回答は36.4%。

○「減少」とする回答は商業で50.2%を占める

産業別では、「減少」とする回答が商業で50.2%と過半数を占めている。その一方で、「増加」とする回答は製造業で40.5%、建設業で39.4%と比較的多い(建設業は「減少」とする回答も47.9%と多い)。

○「減少」とする回答は衣料品小売業、生活・文化用品小売業などで多い

業種別では「減少」とする回答は衣料品小売業(76.2%)、生活・文化用品小売業(69.2%)、飲食料品卸売業(66.7%)、飲食業(64.3%)などで多い。「増加」は、総合工事業(53.3%)、鉄鋼・金属製品製造業(52.4%)、機械・機械部品製造業(51.7%)、運輸業(50.0%)などで多い。増加要因としては、コロナ禍の感染状況の改善に伴う販売・受注増に加えて、販売価格の引き上げなどが挙げられる。

■図表1 2021年度の売上高の増減(前年比) 図表1 2021年度の売上高の増減(前年比)

(参考) 売上高の増減(過去調査との比較)

「増加」事業者が2年連続で増えて36.4%を占めているが
2018年度の38.8%には及ばない

過去の景気動向調査においても、各決算期における売上高の増減を質問している。ここでは、2018年度以降の調査結果の変化について見る。図表によると、21年度は前年度に比べて「増加」との回答が増え、「減少」との回答が減っていることがわかる。このことは、全ての産業で共通している。ただし、コロナ禍前の2018年度に比べると、「増加」は少なく、「減少」が多い。

■図表 (参考) 売上高の増減(過去調査との比較)
図表 (参考) 売上高の増減(過去調査との比較)

(注)売上高の増減については、前年度との比較を行った。

2.2021年度の営業利益の増減(前年比)

「減少」が44.9%を占め、「増加」(32.3%)を上回った
商業では「減少」が過半数を占める

2021年度の営業利益の増減(前年比)について質問したところ、「1割以上の増」とする回答が23.4%で最も多く、「1割未満の増」(8.9%)を含めた「増加」との回答は32.3%となった。「1割未満の減」(10.8%)、「1〜3割の減」(22.9%)、「3割以上の減」(11.2%)を合わせた「減少」との回答は44.9%を占めている。

○「減少」とする回答は商業において過半数を占める

産業別では、「減少」とする回答が商業で56.1%と過半数を占めており、建設業(41.1%)、製造業(43.4%)、サービス業(38.0%)では約4割を占めている。

○「減少」とする回答は小売業で多い

業種別では、「減少」とする回答が生活・文化用品小売業(83.3%)、飲食料品卸売業(71.4%)、飲食料品小売業(70.0%)などで多い。その要因としては、コロナ禍等に伴う販売数・受注量の減少や原材料・商品調達コストの上昇、人件費の増加などが挙げられる。また、「増加」とする回答は食料品製造業(53.6%)、機械・機械部品製造業(51.7%)などで多く見られた。

■図表2 2021年度の営業利益の増減(前年比)
図表2 2021年度の営業利益の増減(前年比)

(参考) 営業利益の増減(過去調査との比較)

「増加」事業者は2年連続で増えるも、18年度に比べると少ない

過去の景気動向調査においても、各決算期における営業利益の増減を質問している。ここでは、2017年度以降の調査結果の変化について見る。図表によると、21年度は前年度に比べて「増加」との回答が増え、「減少」との回答が減っていることがわかる。このことは、商業を除く全ての産業で共通している。ただし、コロナ禍前の2018年度に比べると、「増加」は少なく、「減少」が多い。

■図表(参考) 営業利益の増減(過去調査との比較)
図表(参考) 営業利益の増減(過去調査との比較)

(注)営業利益の増減については、前年度との比較を行った。

3.足下の売上状況に悪影響を及ぼしている事象【影響度の大きい順に3つまで選択】

「コロナ禍」が36.0%で最多
建設業・製造業では「原材料・商品等の調達難」が多い

足下(4〜6月期)の売上状況に悪影響を及ぼしている事象について、影響度の大きい順に3つまで質問したところ、「コロナ禍」が依然として36.0%と最も多かった。次いで、「原材料・商品等の調達難」(25.4%)、「取引先・顧客の景況感悪化」(15.3%)が後に続く。

「人手不足」による販売機会の逸失や「自社製品・サービスの値上げ」に伴う売上減を選択する回答はわずかだった。

○「コロナ禍」との回答は対個人向け事業者で多い

最多の回答だった「コロナ禍」だが、業種別では旅館・ホテル業(48.2%)、教養・娯楽サービス業(44.1%)、生活関連サービス業(42.6%)、衣料品小売業(41.2%)などの対個人向け事業者で回答が多い。また、内装工事業などの職別工事業についても、「コロナ禍」との回答が比較的多く見られた。

○「原材料・商品等の調達難」との回答は建設業・製造業で多い

2番目に多い回答だった「原材料・商品等の調達難」に関しては、機械・機械部品製造業(34.8%)、木材・木工製品製造業(33.8%)、設備工事業(32.3%)、化学製品製造業(32.1%)などで回答が多い。

■図表3 足下の売上状況に悪影響を及ぼしている事象【ポイント割合(注)】
図表3 足下の売上状況に悪影響を及ぼしている事象

(注)当質問では、影響度の大きい順に事象を3つまで選択する形式で質問している。集計に際しては、1位の事象に3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイントを割り当て、各事象の総ポイントが全体合計ポイントに占める割合を「ポイント割合」として算出した。

4.足下の収益状況

原材料価格の高騰もあり、「黒字」事業者は減少傾向
特に建設業でその傾向が顕著

足下(4〜6月期)の収益状況を質問したところ、「黒字」が26.8%、「赤字」が26.0%で拮抗している。同様の質問を21年10〜12月、21年7〜9月に実施した時の結果と比較すると、「黒字」事業者が減少傾向にあることがわかる。この間、急激な円安進行に伴う輸入物価の上昇、原油価格の上昇に伴う燃料価格の引き上げ、資源価格の高騰が重なり、収益圧迫の傾向が強まったことが、「黒字」事業者の減少要因と考えられる。

○建設業を筆頭に「黒字」事業者の減少が目立つ

○産業別に見た場合、建設業で収益圧迫の動きが強まっており、21年7〜9月期には56.3%だった「黒字」事業者が、足下(4〜6月期)には22.3%まで減少している。代わって「赤字」事業者が10.9%から23.4%まで増加している(その他の産業についても類似の動きが見られる)。

■図表4 足下の収益状況(過去調査との比較)
図表4 足下の収益状況(過去調査との比較)

5.円安の影響(メリット・デメリット)

円安の影響として41.5%が「デメリットが大きい」と回答
製造業で56.5%と回答が多く、サービス業では29.2%と少ない

調査期間中(5/27〜6/20)において、対ドル円安進行はさらに進み、1ドル135円の水準となっている。年初の1ドル115円の水準からは大幅な円安進行となっており、その影響について質問を行ったところ、「デメリットが大きい」とする回答が41.5%を占めた。「影響はない」とする回答もサービス業を中心に26.8%と占めており、「わからない」は建設業を中心に24.9%となっている。

○製造業では56.5%が「デメリットが大きい」と回答

原材料価格の上昇といった「円安のデメリット」だが、「デメリットが大きい」との回答は製造業で56.5%と特に多い。繊維製品製造業(82.4%)、鉄鋼・金属製品製造業(60.0%)などでは輸入原材料を多く使用していることから、「デメリットが大きい」との回答が多くなっている。

○運輸業、衣料品小売業、飲食料品小売業で「デメリットが大きい」との回答が過半数を占める

「デメリットが大きい」との回答は、運輸業(54.8%)、衣料品小売業(52.4%)、飲食料品小売業(50.0%)、教養・娯楽サービス業(50.0%)などでも多くなっている。

■図表5 円安の影響(メリット・デメリット)
図表5 円安の影響(メリット・デメリット)

6.販売価格の転嫁状況

「十分転嫁できた」事業者は6.0%
「全く転嫁できていない」が19.3%

コロナ禍からの世界経済の持ち直し、ウクライナ危機等に伴う物流網の混乱などで資源価格・原材料価格は上昇傾向にあったが、足下で進む円安進行はさらなる物価上昇を懸念させる。そこで、販売価格への転嫁状況について質問を行ったところ、「十分転嫁できた」とする回答は6.0%にとどまり、「全く転嫁できていない」(19.3%)を含めて、仕入価格の上昇分を販売価格に十分転嫁できていない事業者が極めて多いことがわかった。

■図表6 販売価格への転嫁状況
図表6 販売価格への転嫁状況

(参考) 販売価格への転嫁状況(過去調査との比較)

昨年に比べて、転嫁の動きが広まるも
転嫁幅は十分ではない事業者が多い

販売価格への転嫁状況については、類似の質問を行っている和歌山県「県内企業の経営実態調査」を参照し、今回の調査結果と比較したところ、「全く転嫁できていない」とする回答が大きく減少し、「十分に転嫁できていない」との回答が大幅に増加した。このことから、以前に比べて、価格転嫁の動きは広がりつつあるものの、その転嫁幅は仕入価格の上昇分に対して不十分である事業者が多いと考えられる。

■図表(参考) 販売価格への転嫁状況(過去調査との比較)
図表(参考) 販売価格への転嫁状況(過去調査との比較)

(注)「19年度」、「20年度」の調査結果は、和歌山県が実施した「県内企業の経営実態調査」の値を参照した。今回の調査結果と比較するために、集計対象から「転嫁する必要なし」を除外し、「転嫁は希望の1割未満」、「転嫁は希望の1〜5割」、「希望の5割以上を転嫁」を「十分に転嫁できていない」に集約した。

7.賃上げ状況

正規雇用者の「賃上げ」実施事業者は45.7%
「3%以上増加」は10.5%

正規雇用者の給与額(賞与・残業代は含まない)を3月末比で比較した場合の増減を質問したところ、「3%以上の増」(10.5%)を含む「増加」(賃上げ実施)の事業者は45.7%だった。過去の調査結果と比較した場合、「賃上げ」実施事業者の割合は昨年から1.5ポイント減少。「3%以上の増」の事業者は3.5ポイント増加した。

■図表7-1 正規雇用者の給与額の増減(3月末比)
図表7-1 正規雇用者の給与額の増減(3月末比)

(注)給与額には賞与・残業代は含まない

■図表7-2 正規雇用者の給与額の増減(過去調査との比較)
図表7-2 正規雇用者の給与額の増減(過去調査との比較)

8.2022年度の売上高(見通し)

21年度に比べて「増加」、「減少」ともに回答割合が下降
特に建設業でその傾向が強い

今年度(2022年度)の売上高の見通しを前年比で質問したところ、「増加」は20.8%となり、「減少」の34.1%を下回った。21年度の実績(前年比)と比較した場合、「増加」、「減少」ともに回答が減り、「横ばい」とする回答が増えた。

○建設業で「増加」とする回答割合が大きく低下

産業別に見た場合、建設業において「増加」の回答割合が大きく下降している。

■図表8 今年度(2022年度)の売上高(見通し、前年比)
図表8 今年度(2022年度)の売上高(見通し、前年比)

(注)「21年度[実績]」は「1.2021年度の売上高の増減」の調査結果を参照した。

9.2022年度の営業利益(見通し)

21年度に比べて
「増加」とする回答が大きく減る

今年度(2022年度)の営業利益の見通しを前年比で質問したところ、「増加」は14.8%となり、「減少」の41.8%を大きく下回った。原材料価格の高騰など、収益圧迫要因が複数見られる中で、厳しい見通しとなっている。21年度の実績(前年比)と比較した場合、「増加」、「減少」ともに回答が減り、「横ばい」とする回答が増えた。

○全ての産業で「増加」とする回答が大きく減少

産業別に見た場合、いずれの産業において「増加」の回答割合が大きく下降している。

■図表9 今年度(2022年度)の営業利益(見通し、前年比)
図表9 今年度(2022年度)の営業利益(見通し、前年比)

(注)「21年度[実績]」は「2.2021年度の営業利益の増減」の調査結果を参照した。

10.2022年度の収益状況(見通し)

22年度通期の収益状況では、「黒字」事業者が32.3%で
4〜6月期に比べて増加する

今年度(2022年度)の収益状況の見通しを質問したところ、「黒字」は32.3%となり、「赤字」の19.7%を上回った。別の質問で調査を行った22年4〜6月の収益状況と比較した場合、「黒字」が増え、「赤字」が減少した。

○価格転嫁が進む業種で収益状況が改善

22年4〜6月の収益状況と比較して「黒字」の事業者が増加した業種としては、機械・機械部品製造業、建築材料卸売業、機械器具卸売業、化学製品製造業、鉄鋼・金属製品製造業などが挙げられる。いずれも、販売価格への転嫁を進めている事業者が多い業種であり、この点が「黒字」増加の要因になっているものと考えられる。

■図表10 今年度(2022年度)の収益(見通し)
図表10 今年度(2022年度)の収益(見通し)

(注)「22年4〜6月[実績]」は「4.足元の収益状況」の調査結果を参照した。
「21年10〜12月[実績]」は過去の景気動向調査の結果を参照した。

おわりに

○4〜6月期の景況BSIは12.3ポイント上昇

4〜6月期の県内景況BSIは建設業を除く全ての産業で景況BSIが上昇し、全体では12.3ポイントの上昇となった。前期(1〜3月期)は、新型コロナ 「第6波」により、人出状況の悪化や感染・濃厚接触に従業員の欠勤等により事業活動に大きな影響が及んだ。4〜6月期は「第6波」が収束に向かい、大きく落ち込んでいた景況BSIは上昇に転じた。特にサービス業や小売業で景況BSIが改善した。主な経営課題として、「原材料価格の高騰」を挙げる事業者が半年間で約10ポイント増加し、全体の約3割を占めている。

○7〜9月期(見通し)の景況BSIは1.1ポイント上昇する

7〜9月期(見通し)の県内景況BSIは1.1ポイント上昇する模様。調査終了後、再び新型コロナウイルス感染症の感染が拡大している。4〜6月期においても、コロナ禍が業績に悪影響を与えているとする事業者は多く、小売業、サービス業を中心に、感染拡大の影響が懸念される。また、為替水準が急激に円安方向に進んでおり、原材料価格の高騰と相まって、仕入価格が大きく上昇している。

○比類ないほど多くの経営課題に直面する中で

上述の通り、2022年4〜6月期の県内経済は、新型コロナ感染「第6波」の収束から、景況BSIは上昇した。ただし、資源価格・燃料価格・円安進行を背景に、県内事業者の仕入価格は上昇しており、経営への影響が懸念される。これまでに比べて、価格転嫁の動きは広がっているが、「十分転嫁できている」とする事業者は少ない。また、消費者側にも価格転嫁を受け入れる余力はあまりない。県内事業者において、正規雇用者の給与水準を前年比3%以上引き上げた事業者は1割程度にとどまり、据え置きの事業者が約半数を占めている。7月の消費動向調査(内閣府)によると、全国の消費者心理は2か月連続で低下し、基調判断は「弱含んでいる」に下方修正された。7月以降の新型コロナ感染「第7波」もあり、人出状況は再び悪化している。

このように、比類ないほど多くの経営課題に直面し、先行き不透明な状況にある中で、県内事業者は抱える課題1つ1つに対して丁寧に対処し続けることが求められている。2020年以降のコロナ禍においても、業績状況を改善させている県内事業者は数多く、それらの事業者には従業員の「働きがい」、「働きやすさ」、「賃金水準」に関しては自社評価が高いという共通点が見られる(和歌山県「令和3年度県内企業の経営実態調査」より)。  

性別や年齢に関わりなく、その人の能力が評価されること、育児・介護との両立が可能な勤務体制の構築など、一朝一夕に実現できるものではないが、まずは他社の事例などを参考に、自社への適用を検討することが重要である。

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