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景気動向調査 No.129

はじめに

1.調査の目的

県内企業の実態と動向を把握し、現在の経済環境が和歌山県内の各企業にどのような影響を及ぼしているのか、さらに、今後この状況はどのようになると予想されるのかを調査し、調査結果を企業経営の参考資料としていただくことを目的とする。

2.前回調査(2022年7〜9月期)における県内経済の状況
新型コロナ感染「第7波」に見舞われるも、景況BSIは横ばいで推移
「原材料価格高騰」への懸念は強いものの、見通しの景況BSIは上昇を見込む

2022年7〜9月期の県内景況BSIは前回からほぼ横ばいで推移した。7月 以降、新型コロナ感染が再び拡大し、8月には1日当たりの新規感染者数が過去最高を更新した。ただし、行動制限は発出されず、お盆の帰省客を含めて、8月中旬の人出状況は前年を上回った。業種によって業況に明暗は見られるものの、以前のような感染拡大期における業況の大幅悪化は見られなかった。「原材料価格高騰」への懸念は強いが、一部で販売価格への転嫁の動きに進捗が見られる。

3.2022年10〜12月期の国内外経済情勢
足下では経済対策が奏功し、国内個人消費は持ち直し傾向にあるものの
急激な円安進行・物価高、世界経済の減速が国内景気の下押し要因となっている

2022年10〜12月期の国内外経済情勢を振り返ると、国内経済は急激な円安進行、物価高に見舞われている。対ドル円レートは10月20日に一時150円台まで下落、12月の消費者物価指数の前年比伸び率は41年ぶりの高さとなっている。特に、食用油、マヨネーズ、小麦粉、パンなどの主要食品類の高騰が続いている。円安を背景に国内主要企業の業績は大きく改善し、賃上げ機運が高まっているものの、物価上昇のスピードに対しては物足りなさが残り、11月の実質賃金は前年比3.8%減となった。世界経済を見ると、物価上昇はさらに深刻となっている。ユーロ圏、米国ともに日本を大きく上回るスピードで価格が上昇しており、各国の中央銀行は大幅な利上げを進めている。この金融政策の引き締めと物価上昇により、IMF(国際通貨基金)や世界銀行はそろって、今後の世界経済の成長見通しを下方修正している。

2020年初頭から始まったコロナ禍については、1日当たりの新規感染者数が12月下旬に20万人を上回る(約4か月ぶり)など、感染の拡大・収束が繰り返されている。その一方で、2021年までのような経済活動の制限は実施されておらず、外国人観光客の入国制限も大きく緩和されており、12月には137万人の外国人客が入国している。政府による観光需要喚起策「全国旅行支援」もあり、日本人延べ宿泊客数は2か月連続(10〜11月)でコロナ前の水準を上回っており、物価上昇が続く中ではあるが、現時点ではコロナ禍で落ち込んだ個人消費は持ち直しの動きを見せている。物価高に対しては、国による29兆円規模の総合経済対策も用意されており、国内景気を下支えすることが予想される。

I 自社の景況 −回答企業の経営者が自社の景況をどうみているかを集計−

「自社の景況」は、日本銀行が全国規模で行っている企業短期経済観測調査(短観)において企業の景況感を示す業況判断指数(DI)と同様の基準を用い、県内企業の自社景況BSI値を調査するものである。

県内の自社景況BSI

景況BSIは、コロナ禍からの持ち直しの動きが強まるも
「原材料価格高騰」等を要因に、見通しには弱さが見られる
○2022年10〜12月期の県内景況BSIは、コロナ禍からの持ち直しの動きが強まる

2022年10〜12月期の県内景況BSIは6.0ポイント上昇し、コロナ禍以降の最高値を再び更新した。製造業、卸売業、サービス業での業況改善が全体をけん引した。製造業に関しては、原材料価格の高騰が続く中で、鉄鋼・金属製品製造業、機械・機械部品製造業を中心に受注環境が改善している。卸売業に関しては、県内景気の改善を背景に、機械器具卸売業等で業況が改善した。観光需要喚起策「全国旅行支援」もあり、外食需要・旅行需要の持ち直しから、飲食業、旅館・ホテル業で業況が改善し、サービス業全体でもコロナ禍以降の最高値を記録した。

○1〜3月期(見通し)の景況BSIは、原材料価格の高騰、世界景気の減速懸念もあり、弱含む

1〜3月期(見通し)の県内景況BSIは全ての産業で下降し、全体では4.8ポイント下落する。世界的な金融引き締めの流れの中で、世界景気の下振れリスクが高まり、急激な円安進行を背景に、物価の上昇が続いている。県内事業者においては、これらの事象への懸念が根強く、景況BSIの見通しには弱さが見られる。

(参考) 家計の景況感と広義の建設業の景況感

家計の景況感

家計の景況感が3期連続で上昇

家計の景況感

※「家計景況感」とは、和歌山県内家計消費の状況が経営に大きく影響する事業者の景況BSIのことで、該当事業者は小売業とサービス業の一部(教養・娯楽、生活関連サービス業)である。今回の該当事業者数は小売業103社、サービス業19社の計122社。

広義の建設業の景況感

「広義の建設業」は下降し、再びマイナス水準に

広義の建設業の景況感

※「広義の建設業」とは、建設業ならびに建設業を主な得意先とする業種(窯業・土石品製造業、測量・設計業務等)のこと。今回の該当事業者数は「広義の建設業」が146社、「広義の建設業を除く全産業」は555社の計701社。
1.産業別(建設業、製造業、商業、サービス業)

ここでは、建設業、製造業、商業、サービス業の各産業別に景況を報告する。また、製造業、商業、サービス業に関しては、業種別にその景況を合わせて報告する。

自社の景気(産業別)

≪建設業≫

回答事業者数: 92社   景況BSIの推移【 前回 ▲1.1 → 今回 ▲2.2 → 見通し ▲5.9 】

景況BSIは見通しを含めて下降
「原材料価格の高騰」もあり、業況にはやや弱さが見られる

2022年10〜12月期の景況BSIは1.1ポイント下降(コロナ禍以前の水準に比べて低い)。県内建設市場は、公共工事請負金額に減少傾向が見られ、新築住宅着工戸数についても、分譲住宅が増加する一方で、持家住宅は減少傾向にある。鉄骨工・屋根工などの職別工事業、電気工事業等の設備工事業で景況感を「悪い」とする事業者が目立つ。「原材料価格の高騰」を経営上の問題点とする事業者も多く、収益圧迫要因となっている。

1〜3月期(見通し)の景況BSIについても、3.7ポイント下降する見通しとなっており、売上高では4割弱、収益については4割強が「減少」すると回答するなど、業況にはやや弱さが見られる。

≪製造業≫

回答事業者数: 163社   景況BSIの推移【 前回 ▲16.2 → 今回 ▲4.3 → 見通し ▲6.5 】

原材料価格が高騰するも、景況BSIはコロナ禍前の水準を上回る
世界景気の減速感が強まり、先行き不透明感は強い

2022年10〜12月期の景況BSIは大きく上昇し、コロナ禍直前の2019年10〜12月期の▲14.4を上回っている。「原材料価格の高騰」が大きな経営上の課題となる中でも、金属加工等の鉄鋼・金属製品製造業、機械・機械部品製造業、繊維製品製造業で景況BSIが上昇した。売上高が「増加」したとする事業者も約3割を占めた。

1〜3月期(見通し)の景況BSIは2.2ポイント下降する。日本国内の鉱工業生産指数は足下において下降傾向にあり、その動向に影響を及ぼす世界景気は減速感を強めており、県内製造業の業況については先行き不透明感が強い。

以下では、製造業の各分野について報告を行う。

食料品 回答事業者数: 30社
(※梅干等の漬物製造業、調味料・酒類製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲10.3 → 今回 ▲20.0 → 見通し ▲7.4 】
仕入価格の上昇が続く中 景況BSIは下降が続く

2022年10〜12月期の景況BSIは下降した。前期に比べて売上高や収益が「減少」したとする事業者が増え、景況感を「悪い」とする事業者が全体の3割強を占めた。仕入価格の上昇が続く中で、販売価格への転嫁に向かう事業者も徐々に増加している。
1〜3月期(見通し)の景況BSIについては、上昇する。販売価格を引き上げようとする事業者も複数あり、食料品製造業における価格転嫁が進むかどうか動向が注目される。
繊維製品 回答事業者数: 28社
(※和歌山市のニット生地メーカー、橋本市のパイル織物メーカー等)
景況BSIの推移【 前回 ▲12.5 → 今回 ▲14.3 → 見通し ▲15.4 】
景況BSIは3期ぶりに下降 業種内で業況に差が見られる

2022年10〜12月期の景況BSIは3期ぶりに下降。景況感を「悪い」とする事業者がやや増加する一方で、「良い」とする事業者も複数あり、業況に差が見られる。景況BSIはコロナ禍前の水準まで回復。仕入価格の上昇が続く中、販売価格への転嫁を進める事業者は約4割を占める。依然として、売上不振を経営上の問題点とする事業者は多く、全体としての業況には弱さも見られる。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降する模様で、今後の動向に注意が必要。
木材・木工製品 回答事業者数: 15社(※建具製造、製材業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲33.3 → 今回 0.0 → 見通し ▲14.3 】
景況BSIは大幅上昇も
「売上不振」を経営課題とする事業者は少なくない


2022年10〜12月期の景況BSIは大幅上昇。サンプル数が15社と少ない点には注意が必要で、経営上の問題点として「売上不振」を挙げる事業者は4割を超えており、業況は極めて厳しい。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降に転じる模様。
化学製品 回答事業者数: 14社
景況BSIの推移【 前回 ▲11.1 → 今回 ▲7.1 → 見通し ▲7.1 】
景況BSIは上昇
急激な円安進行もあり、原材料価格高騰の影響が懸念される


2022年10〜12月期の景況BSIは上昇。ただし、収益が「減少」しているとする事業者は約7割を占めており、原材料価格の高騰が収益性を圧迫している。経営上の問題点として「原材料価格の高騰」を挙げる事業者が8割強を占めており、極めて大きな問題点となっている。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは横ばいで推移する模様だが、円安が急激に進行しており、輸入コストがさらに高まれば、業況が悪化する可能性が高く、今後の動向に注意を要する。
鉄鋼・金属製品 回答事業者数: 19社
景況BSIの推移【 前回 21.7 → 今回 31.6 → 見通し 27.8 】
景況BSIは極めて高い水準
受注状況が改善し、景況感を「良い」とする事業者が3割を占める


2022年10〜12月期の景況BSIはさらに上昇し、極めて高い水準。景況感を「良い」とする事業者が3割強を占めており、業況は大きく改善している。仕入価格の上昇が続く中で、価格転嫁ができている事業者は一部にとどまるものの、受注高の増加が景況感の改善に寄与している。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降するものの、極めて高い水準を維持する。ただし、世界的な金融引き締めの影響で、世界経済の今後の見通しには弱さが見られる。世界景気の減速が、県内生産活動に与える影響については注意を要する。
機械・機械部品 回答事業者数: 34社
景況BSIの推移【 前回 ▲17.6 → 今回 9.1 → 見通し ▲6.3 】
景況BSIは大きく上昇し、再びプラス水準を回復
先行きに関しても、世界経済の減速の影響が懸念される


2022年10〜12月期の景況BSIは大きく上昇。再びプラス水準まで回復。ただし、1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降を見込むものの、世界的な金融引き締めの影響で、世界経済の今後の見通しには弱さが見られる。世界景気の減速が、県内生産活動に与える影響については注意を要する。
その他の製造業 回答事業者数: 23社
(※印刷業、窯業・土石品製造業、プラスチック製品製造業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲38.9 → 今回 ▲21.7 → 見通し ▲17.4 】
景況BSIは上昇
ただし、収益「減少」の事業者が約半数を占める


2022年10〜12月期の景況BSIは上昇。ただし、景況感を「悪い」とする事業者が約4割を占めており、また、収益が「減少」したとする事業者は約5割を占めた。業種別では、印刷業、紙器製品製造業、生活雑貨製品製造業などで景況感を「悪い」とする事業者が目立つ。
1〜3月期(見通し)については、景況BSIはやや上昇するものの、低い水準が続く。

≪商業≫

回答事業者数: 206社   景況BSIの推移【 前回 ▲24.3 → 今回 ▲18.4 → 見通し ▲24.5 】

県内景気の改善を背景に卸売業で景況BSIが持ち直す
ただし、小売業を中心に原材料価格高騰への懸念は根強い

2022年10〜12月期の景況BSIは5.9ポイント上昇。上昇は3期連続。12月に入り、新型コロナ感染が再拡大するも、国の観光需要喚起策「全国旅行支援」もあり、県内のスーパー・百貨店販売額や旅行需要は持ち直し基調にある。さらに、県内では製造業、サービス業を中心に企業活動が持ち直しており、これらの事業者との取引の多い卸売業で景況BSIが上昇した。その一方で、小売業については、景況BSIが上昇しているものの、その水準は依然として低く、4割の事業者が「売上不振」を経営上の課題としている。

1〜3月期(見通し)に関しては、景況BSIは6.1ポイント下降する模様。22年10〜12月期に景況BSIが大きく上昇した卸売業で下降することに加えて、飲食料品小売業や生活・文化用品小売業で収益が「減少」するとの回答が増えるなど、原材料価格の高騰を懸念する回答が多く見られた。

以下では、卸売業ならびに小売業の景況について報告する。

卸売業 回答事業者数: 103社
景況BSIの推移【 前回 ▲16.5 → 今回 ▲5.0 → 見通し ▲14.3 】
景況BSIは3期連続で上昇し、コロナ禍前の水準を回復
ただし、仕入価格の上昇で収益性の改善の動きは鈍い


2022年10〜12月期の景況BSIは3期連続で上昇し、コロナ禍前の水準を回復。機械器具卸売業を中心に景況感を「良い」とする事業者が増加した。コロナ禍で大きく落ち込んだ業績状況は持ち直しの動きを続けている。ただし、仕入価格の上昇から収益性の改善については緩やかな動きにとどまっており、特に、飲食料品卸売業の業況は低調なままだ。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降に転じる。機械器具卸売業の景況BSIが大幅な下降に転じる模様で、その動向には注意を要する。県内事業者の業況は改善傾向にあるものの、世界経済の減速懸念から、県内製造業の先行き見通しに関しては弱さが見られ、機械器具卸売業を中心に、その影響が懸念される。
小売業 回答事業者数: 103社
景況BSIの推移【 前回 ▲32.5 → 今回 ▲32.0 → 見通し ▲34.7 】
景況BSIは3期連続で上昇
ただし、その水準は依然として低い


2022年10〜12月期の景況BSIは3期連続での上昇となった。コロナ禍前の水準に戻りつつあるものの、依然として、その水準は低く、業況は総じて厳しい。衣料品小売業や生活・文化用品小売業を中心に、景況感を「悪い」とする事業者が目立つ。仕入価格が上昇する中で、収益が「減少」している事業者は全体の約6割を占めている。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降する模様で、資源価格の高止まりや急激な円安進行を背景に、物価上昇が続いている。物価上昇を受けて、家計の節約志向が高まれば、県内小売事業者への悪影響は避けられず、今後の業況については注意を要する。

≪サービス業≫

回答事業者数: 240社   景況BSIの推移【 前回 ▲8.8 → 今回 ▲4.3 → 見通し ▲10.1 】

景況BSIはコロナ禍以降の最高値を更新
ただし、見通しには弱さが見られる

2022年10〜12月期の景況BSIは4.5ポイント上昇。コロナ禍以前の2019年10〜12月期の水準(4.6)には及ばないものの、コロナ禍以降の最高値を更新した。12月に入り、新型コロナ感染が再拡大するも、国の観光需要喚起策「全国旅行支援」もあり、県内の外食需要、旅行需要は持ち直し基調にある。旅館・ホテル業、飲食業の景況BSIはいずれもプラス水準を回復。運輸業についても、コロナ禍以降の最高値を更新した。

1〜3月期(見通し)に関しては、旅館・ホテル業、飲食業において、景況BSIが下降に転じることから、全体としては5.8ポイントの下降となる模様。原材料価格や電気代等の事業コストが増加傾向にある点や、新型コロナ感染が再拡大したことが影響したものと考えられる。

以下では、サービス業の各分野の景況について報告する。

不動産業 回答事業者数: 31社(※物品賃貸業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲5.7 → 今回 ▲3.3 → 見通し ▲17.2 】
景況BSIは見通しにやや弱さが見られる

2022年10〜12月期の景況BSIは2.4ポイント上昇。景況BSIの水準は他業種に比べて高く、不動産取引業を中心に業況は底堅い。経営上の問題点として「設備老朽化」を挙げる事業者が不動産賃貸業を中心に3割弱を占めている。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは大きく下降する。
運輸業 回答事業者数: 38社(※旅客運輸業、倉庫業含む)
景況BSIの推移【 前回 ▲26.8 → 今回 ▲7.9 → 見通し ▲13.2 】
景況BSIは大きく上昇
ウィズコロナへの動きが進む中で、人出状況・企業活動の持ち直しが後押し


2022年10〜12月期の景況BSIは大きく上昇。旅館・ホテル業の業況改善など、人出状況が持ち直していることが追い風に。
1〜3月期(見通し)に関しては、景況BSIは下降する模様。ウィズコロナへの動きが進む中で、人出状況は改善しており、運輸業への好影響も引き続き期待される。
旅館・ホテル業 回答事業者数: 28社
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 24.0 → 見通し ▲11.5 】
新型コロナ感染「第8波」に見舞われるも、旅行需要は増加
景況BSIは大きく上昇


2022年10〜12月期の景況BSIは2期連続で大幅上昇。白浜町・田辺市の複数の事業者が景況感を「良い」と回答している。新型コロナ感染「第8波」に見舞われるも、緊急事態宣言などの行動制限は発出されず、全国的に宿泊客数はコロナ禍前の水準を回復しつつある。
1〜3月期(見通し)については、景況BSIは下降する見通し。ただし、観光需要喚起策「全国旅行支援」が継続しており、国内旅行客の増加が期待されるうえに、コロナ禍に伴う国内入国への水際対策も緩和されており、訪日外国人客の持ち直しも期待される。
飲食業 回答事業者数: 8社
景況BSIの推移【 前回 ▲33.3 → 今回 12.5 → 見通し ▲33.3 】
新型コロナ感染「第8波」に見舞われるも、売上高・収益「増加」の事業者は増えた
ただし、事業コストは増加しており、景況BSIは低い水準にある


2022年10〜12月期は、売上高・収益が「増加」したとする事業者が増え、景況BSIは上昇した。新型コロナ感染「第8波」に見舞われるも、緊急事態宣言などの行動制限は発出されず、人出状況は以前ほど悪化してはいないが、飲食業の業況については、引き続き厳しい状況にある。食材価格の高騰、電気料金・ガス料金の高騰など、事業コストも増加しており、収益性の悪化が懸念される。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは下降を見込む。
医療・福祉 回答事業者数: 37社
景況BSIの推移【 前回 ▲2.3 → 今回 ▲8.3 → 見通し 6.3 】
新型コロナ感染「第8波」に見舞われる中、景況BSIは底堅さを維持
人手不足感が極めて高い水準にある


2022年10〜12月期の景況BSIは下降するも、底堅い。ただし、人手不足感は過去最高水準にまで高まっており、大きな経営上の問題点となっている。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは反転上昇する模様。
生活関連サービス業 回答事業者数: 10社
(※葬祭業、クリーニング業、理美容業等)
景況BSIの推移【 前回 ▲45.5 → 今回 ▲20.0 → 見通し ▲20.0 】
景況BSIは大きく上昇するも
原材料価格・燃料価格の高騰の影響が懸念される


2022年10〜12月期の景況BSIは大きく上昇するも、業況は厳しい状況にある。クリーニング業、理美容業で景況感を「悪い」とする事業者が目立つ。これらの業種では、原材料価格や燃料価格が高騰しており、収益性が圧迫されている。
1〜3月期(見通し)の景況BSIは横ばいで推移する模様。ただし、急激な円安進行に伴い、燃料価格の高騰は続く模様で、政府の総合経済対策の実施が期待される。
教養・娯楽サービス業 回答事業者数: 9社(※スポーツ関連サービス、旅行代理店業など)
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲22.2→ 見通し ▲22.2 】
景況BSIは下落 見通しは横ばい

2022年10〜12月期の景況BSIは22.2ポイント下落。景況感を「悪い」とする事業者が増加した。1〜3月期(見通し)の景況BSIは横ばいで推移、売上高・収益が「減少」するとの事業者が増える模様で、業況は一進一退の状況にある。
その他のサービス業 回答事業者数: 79社
(※建物サービス、情報通信業、人材派遣業、建設サービス等)
景況BSIの推移【 前回 0.0 → 今回 ▲7.8 → 見通し ▲7.9 】
景況BSIは比較的高い水準で推移

2022年10〜12月期の景況BSIは下降するも、比較的高い水準で推移している。情報通信業、建設サービス業(測量・設計等)、産業廃棄物処理業などで景況感を「良い」とする事業者が複数見られた。
1〜3月期(見通し)の景況BSIはほぼ横ばいで推移する模様だが、その水準は他業種に比べて高い。

2.地域別(和歌山市、紀北地域、紀中地域、紀南地域)

→地域区分については、こちら

県内自社景気の地域別比較(全産業)

地域別回収状況

発送先数 回答社数 回答率 回答社数(地域別)
和歌山市 紀北地域 紀中地域 紀南地域
建 設 業 200社 92社 46.0% 42社 13社 9社 28社
製 造 業 400社 163社 40.8% 65社 46社 33社 19社
商   業 600社 206社 34.3% 94社 36社 34社 42社
サービス業 800社 240社 30.0% 121社 45社 19社 55社
全 産 業 2000社 701社 35.1% 322社 140社 95社 144社

いずれの地域においてもコロナ禍からの持ち直しの動きが強まる
ただし、見通しには弱さが残る
和歌山市 景況BSIはコロナ禍以降の最高値を再び更新
2022年10〜12月期の景況BSIは上昇し、コロナ禍以降の最高値を再び更新した。卸売業、製造業、サービス業で景況BSIが上昇した。業況が改善する中、人手不足感が強まっている。1〜3月期(見通し)の景況BSIは、小売業除く全ての産業で下降する。
紀北地域 景況BSIは3期連続の上昇
2022年10〜12月期の景況BSIは3期連続で上昇。卸売業等で景況感を「悪い」とする事業者が目立ったが、繊維製品製造業などで景況感を「良い」とする事業者が増えた。1〜3月期(見通し)の景況BSIは2.4ポイントの下降となる模様。
紀中地域 景況BSIは6.1ポイント上昇
2022年10〜12月期の景況BSIは6.1ポイント上昇。建設業で景況BSIが下降するも、商業・サービス業では景況感を「悪い」とする事業者が減少。製造業では、食料品製造業で景況感を「良い」とする事業者が増えた。1〜3月期(見通し)の景況BSIは他地域同様、下降する模様。
紀南地域 景況BSIは3期ぶりに下降も、旅館・ホテル業等のサービス業でプラス水準回復
2022年10〜12月期の景況BSIは3期ぶりに下降。前回大きく上昇した建設業で景況BSIが反転下降。ただし、旅館・ホテル業を中心にサービス業の景況BSIは3年ぶりにプラス水準を回復1〜3月期(見通し)の景況BSIは8.9ポイントの下降となる模様。
3.全国との比較

−日銀短観DIと比較した県内自社景況BSI−

短観DIは3ポイント、県内景況BSIは6ポイント上昇
●全産業 〜全国と県内では、製造業における業況改善の動きに明確な差が見られた〜

全体の短観DI(以下、短観DI)、県内景況BSIともに上昇。上昇幅は県内景況BSIが短観DIのそれを上回った。製造業において、県内景況BSIが大きく改善していることから、全国を上回る上昇となった。

日銀短観と県内自社景気の比較(全産業)

●製造業 〜短観DIが下降傾向になる中、県内景況BSIは持ち直す〜

全体の短観DI(以下、短観DI)は2ポイント、県内景況BSIは12ポイントの上昇となった。短観DIが下降傾向を強める一方で、県内景況BSIは上昇傾向が続いている。業種別では、短観DIは大手企業の素材業種(石油・石炭等)で大幅な下降が見られたが、その他の業種では概ね持ち直しの動きが見られた。県内景況BSIについては、鉄鋼・金属製品や機械・機械部品製造業でBSIが上昇した。

日銀短観と県内自社景気の比較(製造業)

●非製造業 〜短観DIは1ポイント、県内景況BSIは2ポイントの上昇〜

短観DI、県内景況BSIともに5ポイントの上昇となった。12月に入り、新型コロナ感染が再拡大するも、観光需要喚起策「全国旅行支援割」もあり、外食需要、旅行需要、買い物需要が増加した。宿泊・飲食サービス、小売業、運輸業など幅広い業種において、全国、県内ともに業況が改善した。

日銀短観と県内自社景気の比較(非製造業)

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